今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所になることを願って投稿させていただきます。
今日のトピックは「発達障害 トレーニング」についてです!
毎日子どもと接していると、こんな想いを抱くことがあるかもしれません。
・発達障害を少しでも改善したい
・子どもがもっと上手く周りと馴染めるように手助けしたい
・トレーニングってどんなものなのか知っておきたい
トレーニング方法をあなたが知らないことは危険です。トレーニングはサポートしてくれる機関に実施してもらうことになります。どのトレーニングが子どもに必要なのかを決める時には、支援者の判断だけでなく、子どもの特性を日頃から見ているあなたの意見が必要不可欠になるからです。まずは知識としてトレーニングの内容がどういったものかを知り、その上で自分の子どもに必要なトレーニング方法を提案できるようにしていきましょう。
目次
発達障害トレーニングの代表、ソーシャルスキル・トレーニング
SSTとは、社会の中で、相手から自分の望むような反応(望むような回答,理解など)を得るための言動を身に着けるトレーニングです。最も有名かつ実施している機関も多いトレーニングとなっています。
・ゲーム
・デッスカッション
・ロールプレイ
・共同作業
・絵と文で場面ごとの適切な振る舞いを学ぶ
・場面づくり
・役つくり
・役に従ってコミュニケーション
・良かったところを褒める(否定はなし)
・もっと良くできるところを提案
・改善できたところを褒める
・実際の場面でやってみる
・あいさつをする
・相手の気持ちを考える
・会話をする
ちなみに子どもだけでなく大人に対してもトレーニングができます。上記のようなトレーニングを通して、社会生活を送る上での困りごとを解消していきます。
どこで受けられるの?
SSTは、医療機関(精神科)だけでなく就労移行支援事業者、若者地域サポートステーション、地域活動支援センター、就労・生活支援センターなどで行われています。今日では、放課後等デイサービスでSSTを受けられることも増えてきています。
応用行動分析(ABA)
応用行動分析とは、行動を「きっかけ」「行動」「結果」の3つに注目し行動を分析することで、子どもを理解していこうとする方法です。
お母さん 「手を洗っておいで」
お子さん 手を洗う
お母さん 「手を洗ってくれてありがとう」
この例をABA的に解釈します。
お母さんの手を洗っておいでという声かけが「きっかけ」となり、子どもは手を洗うという「行動」をし、子どもはお母さんからありがとうを言ってもらえたという「結果」が得られました。
なぜ最後に褒める必要があるのかというと、子どもにして欲しい行動を増やす(強化)には、ほうび(強化子)を与えることが大事とされているからです。ほうびは子どもにとってさまざまです。褒められることなのか、感謝されることなのか、自分のやりたいことをさせてもらえることなのか。
お子さん (上りやすい高さの机を見つける)
お子さん (机の上にのる)
お母さん (一旦、何もしない)
お母さん 「降りて?」
お子さん (降りる)
お母さん 「ちゃんと降りれて偉いね、ありがとう」
この例をABA的に解釈します。
子どもが上りやすい高さの机を見つけたことが「きっかけ」となり、子どもは机の上にのるという「行動」をし、何も得られないという「結果」を得ました。その後、お母さんから降りてという提案の声かけが「きっかけ」となり、机から降りるという「行動」をし、お母さんから賞賛と感謝という「結果」を得られました。
①行動の「きっかけ」を無くす
(上の例では、そもそも机を片付けておき、机の上にのることができない環境にしておく)
②良い行動を提案し、もしやってくれたらその行動を強化する
(上の例では、降りて?と、して欲しい行動を提案し、その行動を取ってくれたらほうびを与えている)
③結果のほうびを無くす(消去)
(上の例では、注目を集めたい子どもを無視するということになっている。基本的に非推奨。②を優先しよう)
して欲しくない行動を減らす方法が3つあります。優先順位は①>②>③の順です。まずはそもそも問題行動を取るきっかけになる物事を無くせないかを考えましょう。
上記のような方法を通して子どもを否定することなく子どもにして欲しい行動と、して欲しくない行動を覚えてもらうことができます。
どこで受けられるの?
放課後等デイサービス、就労支援センター、療育施設など、今ではさまざまな施設でこのABAの考え方が根底となり支援が行われています。
ABAを学ぶことは子どもとのより良い関係を築くうえで重要になってきます。
まずは動画で学んでみましょう。
深く知りたい方は本やセミナーなどABAを勉強する機会は豊富にありますので、ぜひ理解し日々の生活でABAの考え方を活かしてみてください。
おすすめ動画
こちらの動画では発達障害の子どもに焦点をむけてABAを解説しています。
発達障害向け認知行動療法(ASAP-CBT)
認知行動療法とは、自身のものの捉え方や考え方を理解し、改善することで心理的苦痛をやわらげ、問題となっている行動を少しづつ適切なものへとしていく療法です。認知行動療法のなかでも、自閉スペクトラム症をはじめとした発達障害の方向けの専門プログラムがASAP(ASD 6 Assistance Program)です。
・話す・聞くとき、頼む・断るときのマナー
・感情のコントロール
・特性への対処法
・援助を求めるときのマナー
低くなってしまった自己肯定感や誤った認知から来るオーバーな自己肯定感を改善しようと考えます。自分の気持ち、 認知、行動のパターンを振り返り対人関係の特徴に気づくことで、特性を客観的に捉えられるようになります。
ADHD向け認知行動療法(AH-CBT)
ADHDの方向けの認知行動療法プログラムです。ADHDは発達障害の中でもより専門的なプログラムが必要になります。
・職場や生活での困難の共有
・生活リズム表作成
・疾病の理解
・二次障害の理解
・対処法の共有と強化
・自己受容
助けてと言う能力の向上と低い自尊心の回復を目標にしています。
どこで受けられるの?
認知行動療法は専門家しか実施することができないので、医療機関や精神保健福祉センターでの実施が主になってきます。
セルフモニタリング
セルフモニタリングとは、子どもがすでにできること、持っている行動に対して注意を促し、遂行を強化するための訓練技法です。 自閉症児に対するSSTの研究から、SSTにセルフモニタリングを用いることの有効性が明らかになっています。
・からだの調子は?
・きもちの調子は?
・脳のキャパはどう?
・今イライラはどれくらい?
・学校でお話は聞けたかな?
どの行動を観察させたいかを決め、標的にしたい行動を元にセルフモニタリングシートを作成します。自由記述が難しい可能性を考慮して、0~100の数値で質問に答えさせる形式もあります。ABAの考え方から、シートをしっかりと活用してくれた時にはごほうびシールを張るなどしてセルフモニタリングの使用を強化していきます。
どこで受けられるの?
放課後等デイサービス、療育施設、学校など幅広い施設で受けることが可能です。またご両親が子どもにセルフモニタリングさせる際は、モニタリングさせたい行動をはっきりさせることが重要です。
結果を解釈するが難しい場合は、「ここの部分はどう解釈すればいいですか?」などと支援者に問いかけるのがいいでしょう。
セルフモニタリングは発達障害の子どもに対してだけでなく誰にでも使える技術なので、支援に疲れを感じた際などにご自身をセルフモニタリングすることもできます。
何に悩んでいるのかを自分で把握するところから悩み解決は始めりますので、ぜひご自身にもお使いになってみてください。
ICT活用
苦手な部分は情報通信技術(ICT)にうまく頼っていこうという考え方です。機械やアプリの使い方を覚えるのも立派なトレーニングとなります。
・読むのが苦手→電子化された教科書を音声で聞く
・書くのが苦手→キーボードで入力する
・気持ちを伝えるのが苦手→電子化された絵カードを選んで気持ちを音声出力する
・話を聞くのが苦手→映像を見ながら説明を読む
やみくも頼るのではなく、子どもが学校・日常場面でどのようなことに困っているのかを把握することが重要です。困りごとにピンポイントでの活用が効果的です。ICTに支配されるのではなく、うまく活用し子どもの可能性を広げていきましょう。
どこで受けられるの?
特別支援学級、通信指導教室、そして通常の学級でもICTの活用が進んでいます。ただ全ての学校で受けられるわけではないのが現実です。
進学を考える場合は、下調べの段階でICTの活用がどれだけ受けられるのかを把握しておくことも大切と言えます。
こちらのサイトでは障害別でどのようなアプリが活用できるかを紹介しています。
アンガーマネジメント
アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手く付き合っていくためのトレーニングです。これは発達障害を持つ子どもだけでなく、子育てに奮闘するお母さん・お父さんにも推奨されるトレーニングになります。
・怒りを感じたら、6秒間待ってみる
・怒りの数値化
・一旦場所を変えて、離れる
・自分が「~すべき」だと思うものを書き出し把握する
・書き出した後、自分のこだわりの中で許容できること・できないことを把握する
子育てと怒りの感情は切っても切れないものです。アンガーマネジメントでは「怒り=いけないもの」と捉え抑え込むのではなく、「怒り=上手く使い、付き合ってもの」と捉えることを目標としています。自分に対しての怒りは一時的にやる気を高めてくれますが、長期的になると自責に繋がりますので過度な怒りは控えましょう。
参考記事
アンガーマネジメントの効果や実践方法などが詳しく解説されています。
おすすめ書籍
発達障害を持つ子どもの怒りを親子で一緒に考える、をテーマにした一冊です。実践法が書かれているのですぐに使える知識がほしいという方におすすめです!
▼概要
著者 | 有光興記 |
出版社 | 講談社 |
価格 | ¥1,540(税込) 送料無料 |
発売日 | 2015/08/26 |
・実年齢より2~3歳下のつもりで話す
・イライラのきっかけを親子で挙げてみる
・ムカつくことを5段階で整理する
・前兆が現れたら、とにかくひと休み
・ただ待つ、話を聴く重要性に共感
・絵が豊富で読みやすい
・子どもとの関わり方や気持ちが学べる
・幼児向けの本で参考になる人を選ぶ
などといった声が多く見られました!
ペアレントトレーニング
ペアレントトレーニングとは、両親が褒め方や指示など具体的な養育スキルを身に着けるためのトレーニングです。これは子育てに奮闘するお母さん・お父さんに向けのトレーニングになります。身に着けた養育スキルをもって、子どもが新しい行動ができるようになったり、行動をよりよく改善できるようになることを目指します。
・子どものいい所を探し、具体的に何が良かったのか褒める
・ABAを理解する
・ABAを使い、好ましい行動を増やしていく
・して欲しくない行動が起こる原因を最初から取り除いておく
・して欲しくない行動が起こったら提案し、やってくれたら褒める
・おだやかに、落ち着いて、近くで指示を出す
基本はABAを理解し、実践していくこととなります。些細なことでもいいのでいい所は褒め、やって欲しい行動をやってくれたら褒めましょう。褒め方は具体的に、指示はおだやかにを意識しましょう。
参考記事
ペアレントトレーニングの効果や実践方法などが詳しく解説されています。
おすすめ書籍
「うれしさ」を感じさせるペアレントトレーニング、をテーマにした一冊です!子どもに寄り添い、よりよい行動に導きたい方へおすすめです!
▼概要
著者 | 上野良樹 |
出版社 | ぶどう社 |
価格 | ¥2,200(税込) 送料無料 |
発売日 | 2021/03/10 |
・ペアレントトレーニングの基礎
・早期療育の基礎
・自分の気持ちを伝える嬉しさ
・コミュニケーションの楽しさ
・発達段階ごとに対応が書かれている
・ABAが根底に書かれている
・実践すると少しづつ子どもの様子が落ち着いてきた
・未就学児のお子さん向け
などといった声が多く見られました!
まとめ
1,ソーシャルスキル・トレーニング(SST)
2,応用行動分析(ABA)
3,発達障害向け認知行動療法(ASAP-CBT)
4,ADHD向け認知行動療法(AH-CBT)
5,セルフモニタリング
6,ICT活用
7,アンガーマネジメント
8,ペアレントトレーニング
ぜひABAを理解して日常に活かしてみてください!最後までお読みいただきありがとうございました!