今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害 マイペース」についてです。

「自分の子はちょっとマイペースすぎるんじゃないか。」「あの人はなぜあんなにマイペースなんだろう。」

マイペース過ぎる人との付き合いからストレスを抱えてはいないでしょうか。マイペースすぎる人と接していて、発達障害という言葉が頭をよぎることもあるかもしれません。

マイペースは良い意味でも悪い意味でも使われます。マイペースな人は真面目でおっとりしていると言われる一方、自分勝手とも言われます。マイペースというだけで発達障害だと判断ことはできませんが、マイペースすぎる人の中には発達障害の可能性のある人はやはりいます。

発達障害の人にはどのような症状があるのでしょうか。マイペースな人は発達障害なのか。マイペースな人とどう接していけばよいのか。本記事ではこうした疑問に答えていこうと思います。

マイペースすぎる人は自閉症スペクトラム障害?

マイペースな人って?

マイペースという言葉はどのような様子を想像しますか?

・落着きある
・冷静
・堂々としている
・協調性がない
・自分勝手

などさまざまな様子の人を表すことが多いものです。「落ち着いている」と、「自分勝手」は意味はまったく違います。マイペースな人と言っても表す意味はさまざまです。

そもそもマイペースとは

自分に合った進度・方法。「マイペースで勉強する」(デジタル大辞泉)

という意味になります。自分のリズムを持って生きてる人がマイペースということですね。

マイペースな人って自閉症スペクトラム障害なの?

必ずしも悪い意味とは言えない「マイペースな人」ですが、
中には「マイペース過ぎる」と言いたくなる人もいるのではないでしょうか

例えば子供であれば
・ずっと手をたたいてぐるぐるしている。
・いつも電車のおもちゃばかりで遊んでいて、他のことに興味を持たない
・空気が読めず失礼なことばかり言ってしまい、友達を作れない

大人であれば
・一つの仕事をずっとしており、話かけても止まらない。
・融通が聞かず、予定が変わるとパニックになる。
・部屋が片付いていなくても気にとめない。

などの様子が見える人です。
実はこれは発達障害の一つでもある自閉症スペクトラム障害の人に見える症状なのです。

現在ではメディアで目にすることも増えた発達障害ですが、発達障害には種類があります。
その中の自閉症スペクトラム障害は、対人関係の障害、コミュニケーションの障害、興味や行動の偏りの3つがその特徴として言われています。

自閉症スペクトラム障害って?

自閉症スペクトラム障害は発達障害の一つ

発達障害の一種である自閉症スペクトラム障害(ASD)ですが、そもそも「発達障害」とは何でしょうか。

発達障害は、発達の進み方において早い部分や、成熟しない、遅い部分があることによって、さまざまな苦手や障害が現れるというものです。ある部分は非常に発達してしまった一方、ある部分は発達が遅れてしまったというものです。得意や不得意、好きや嫌いの差が大きいことが特徴にあります。
病苦ではない生まれもった特性であるため治ることはなく、子供や大人といった年齢に関わらず症状が現れます。先天的であるため、誰かのせいでなってしまうということはありません。

発達障害にはさまざまな種類がありますが、その中での主なものは

・自閉症スペクトラム障害(ASD)
・注意欠如・多動性障害(ADHD)
・学習障害(LD)

の3つと言われています。まずは自閉症スペクトラム障害について見ていきましょう。

自閉症スペクトラム障害?自閉症と違う?

自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴は以下の3つです。

・対人関係の障害
・コミュニケーションの障害
・興味や行動の偏り

具体的には、子どもの頃では一人遊びが多く集団行動が苦手であることや、自分の話したいことしか話せない、自分の好きなことや興味のあることには毎日何時間でも熱中する一方、初めてのことや決まっていたことの変更は苦手、馴染めないなどの特徴が挙げられます。

大人になった後では空気を読むことや冗談を理解することが苦手なことから対人関係やコミュニケーションに困難を抱えたり、興味あることにしか目が向かず、一度取り組みだすと話しても通じなくなったりとします。

これらは、ある特定の分野にのみ強いこだわりを持つことから起こっている症状です

自閉症スペクトラム障害は症状の違いや程度から「自閉症」や「アスペルガー症候群」といった呼ばれ方がされていたこともありますが、現在アメリカ精神医学会の診断基準ではまとめて「自閉症スペクトラム障害」と定められているそうです。

こちらの動画では具体的にどのような様子が見えるのかについて漫画で分かりやすく解説がされています。

注意欠如・多動性障害や学習障害はASDと違う?

発達障害の別の症状である注意欠如・多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)はどのような症状なのでしょうか。自閉症スペクトラム障害(ASD)とはどう異なるのでしょうか。

注意欠如‣多動性障害(ADHD)の特徴は
・不注意
・多動性
・衝動性
の3つです。症状の例を挙げると

・不注意「集中力が極端に続かない」 じっと話を聞くことができず、また忘れものを頻繁にしてしまうといった症状。
・多動性「じっとしていることができない」落ち着きがなく、手や足を常に動かしている、整理整頓ができないといった症状。
・衝動性「考えずに行動してしまう」思ったことをすぐ話す、行動する、外の刺激へ無条件に反応する、といったことが症状。

このように注意欠如‣多動性障害(ADHD)は、一見すると自閉症スペクトラム障害(ASD)とも似た症状ですが、自閉症スペクトラム障害はこだわりの強さが特徴である一方、注意欠如‣多動性障害(ADHD)は物事の切り替えが上手くできないことが特徴と言えます。

一方、学業障害は、知的の力に問題がないにも関わらず、読み書き、計算といった特定の事物が苦手な状態を言います。こうした能力を要求される小学校2~4年生頃の成績不振から明らかになります。

3つの発達障害はそれぞれ異なるものですが、併発することもあります。
こうした発達障害はどのように診断し、どう治療するのでしょうか。

発達障害の診断方法は?

では、発達障害はどのように診断するのかについて見ていきます。

まず注意したいこととして、ネットで調べると発達障害のチェック項目などを見ることもできますが、これだけで発達障害であると判断することはできません。ネットでのチェックは発達障害の可能性を判断する一つの方法に過ぎません。

発達障害は精神科で診断を受けることができます。精神科の中では「大人の精神障害」は診断できない病院もあるため、診断に行く際は事前に確認をしましょう

発達障害は自閉症スペクトラム障害や注意欠如・多動性障害などそれぞれの種類に対し、国際的な診断基準があります。一度の診察では判断はできず、何度も病院にて診察を行う中で時間をかけて判断を行います。

発達障害は治るのか?

発達障害は治るのでしょうか。

現在のところ、発達障害は治療することはできません。
発達障害は症状仕事を行う上での困難や、自信の消失やうつといった精神的な負担を2次的に起こすことがあるためこれを軽減することを目的としています。

薬物療法による症状の緩和や、カウンセリング等によるコミュニケーションの向上を目的としたトレーニングを継続的に行う生活療法が現在の治療法となっています。

マイペースすぎる人とはどう接する?

カウンセリングを薦めてみましょう

子供や同僚など身近なところにマイペースすぎる人がいたときはどうしたらいいのでしょうか。

まず、相手のためにできることとして、カウンセリングを薦めてあげましょう。
発達障害が世の中にどの程度いるかについてはさまざまな推定はありますが、珍しい障害ではないため、深く悩まずに診断を受けるべきです。

普段の言動や行動のみで「あの人は発達障害だ」と決めることはできません。
まずはカウンセリングに行く、またはカウンセリングを促しましょう。相手に自覚がない場合も、起きたトラブルや抱えているストレスを聞いた上でカウンセリングを促すことが重要です。

また会社では保健師や公認心理師、外部のカウンセリング窓口EAP(従業員支援プログラム)が用意されていることもあります。本人のみならず周囲の上司や同僚が相談に行くこともときには必要です。

得意なことと苦手なことへの理解を持つ

発達障害が疑われる人とどう接するときには、相手の得意なことや不得意なこと、好きなことや嫌いなことを理解してあげるとよいでしょう。
発達障害の特徴は発達している部分と発達していない部分の差が大きいことです。

本人が苦手なことや嫌がることを無理にさせず、得意なことや好きなことを行える環境を作れば、自分も相手もストレスを抱えることが減ります。
まずは周囲の人が、何ができるのか、得意なのかを知り、一方で何はできないのか、苦手なのかを知ることが関係作りのために重要です。

自分のペースで考えすぎない

マイペースすぎる人が発達障害である可能性はありますが、必ずしも発達障害だとはいえません。

自分のペースで相手のことを図りすぎていないか考えることも必要です。「もしかしすると自分がせっかち過ぎるのかな」と時折考えてみましょう。

自分に問題があるのではないかとストレスを溜めてしまうことはよくありませんが、自分のことにも相手のことも落ち着いて向かい合ってみることでコミュニケーションの解決を図ることもできます。

まとめ

・マイペースすぎる人の中には発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害(ASD)の可能性がある人もいる。
・発達障害は発達の早い部分と遅い部分があることによる障害で、そのうちの一つ自閉症スペクトラム障害は特定の物事へのこだわりの強さによる障害。
・マイペース過ぎる人、発達障害ではないかと思う人にはカウンセリングを薦めることや、症状への理解、また落ち着いて向かい合うことが必要。

「マイペースすぎる」人は発達障害の可能性はありますが、それだけで発達障害だと決めることはできません。当事者もその周囲の人もストレスを抱えないよう環境作りを行っていきましょう。