今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害はひきこもりになりやすい?」についてです。
近年、ひきこもりが増えていることが問題になっていますが、 中には、発達障害であることを見過ごされたまま、長い間ひきこもりの生活を送っている人もいます。
発達障害と診断されている人も、そうでない人も、社会にはそのような人を支えてくれる制度や施設がたくさんあります。
発達障害とひきこもりの関係について、 ひきこもりだった人の声も交えながらお話をさせていただきます。
目次
発達障害はひきこもりになりやすい要素がある
発達障害がある人は、ひきこもりになる要素が多いと考えられます。
発達障害の人全員が引きこもりになるというわけでは決してありません。発達障害にもさまざまな症状があり、LD(学習障害)、ADD(注意欠陥障害)、高機能自閉症など障害が表立って見えない人もいるため、一般的な生活が困難になることがあります。
例えば、発達障害であるがゆえに以下のような問題が起こることがあります。
- 人とうまくコミュニケーションが取れない
- 同時進行で仕事を進めることが難しい
- 何度やっても覚えることが出来ない
- 感覚過敏で出歩くことが困難
など社会生活を送る上でスムーズにいかない場面が多く、疎外感や孤独感からひきこもりにつながりやすいと考えられます。
そもそも何がきっかけでひきこもりになるの?
ひきこもりとは、6カ月以上学校や会仕事に行かず、家に籠っている状態のことを言います。
ひきこもりになるきっかけとして、
- 大きな挫折を経験した
- いじめなどのつらい経験をした
- 捉え方や感じ方などの感覚の違いから、だんだん孤立していった
など、一人ひとり理由はさまざまです。
誰しも、自分にとって挫折を感じるような出来事があった場合、落ち込んでしまうという経験はありますよね。
ですが、ある環境の中で挫折を経験し、しばらくの間心身をコントロールできない状態が続くと、叱責されることが増え、「自分はダメな人間なんだ、誰からも必要とされていないんだ」と自己肯定感が保てなくなります。
結果的に、人に会いたくない、外出したくないという心の悪循環が生じ、ひきこもりになってしまうのです。
「できない」原因は”発達障害”かも?
もし、ひきこもりの人の中で「どうせ私は何をやってもできない」と考えている人がいたら、”発達障害”が原因かもしれません。
日常生活や社会生活の中で、以下のような場面はありませんか?
- 何度やっても覚えられない
- 気が散って一つの作業に時間がかかる
- 周りの人の考えや環境に違和感を感じる
- 音や光を敏感に感じてしまい、その場にいるのがつらい
発達障害の症状はさまざまで、上記だけではありません。発達障害であることに気付かないままでいると、何年もひきこもりでいることになったり、社会と繋がれないことに劣等感を抱く生活がこれからも続いてしまいます。
また、二次障害でうつ病や不安症など発症していると、発達障害であることが見過ごされてしまう場合もあるので、早期発見をして二次障害を避けたいところです。
もし、少しだけ外出することが可能であれば、一度病院で専門家とお話をしてみることをおすすめします。
早期に発達障害の検査をするメリット
外出することだけでも困難なのに、さらに病院で検査を受けるなんて大変だと思われるかもしれません。なぜ、早期に発達障害の診察をすることが重要なのか、メリットとして以下が挙げられます。
発達障害と診断された場合
- 「だからできなかったんだ」と自分を受け入れることができる
- 自分が何が苦手なのかを客観的に把握することができる
- 障害に合わせた就労先を探すことができる
- すぐに仕事に就けない場合でも障害年金という制度を利用できる
発達障害と診断されなかった場合
- 現在の悩みや困っていることを話すことで、心の安定を図ることができる
- 診断によっては、引き続き定期的に通院が必要となり、外出するきっかけ作りができる
- ひきこもりの支援をしてくれるサポート機関を紹介してもらえる
無理のないタイミングで大丈夫ですよ。
ひきこもりから後に発達障害と診断された人から寄せられた声
長い間ひきこもりだった人が、発達障害と診断されてから、多くの人が以下のように感じています。
- もっと早く発達障害だと気づいていればよかった
- 発達障害であることを分かっていたら、家族とも周りの環境ともうまくやっていけたかもしれない
- 発達障害があることを前提に仕事を探していれば、もっと早く社会復帰できていたかもしれない
ひきこもりの人にとって、体調が悪くないのに病院に行くということはとてもハードルが高いことですし、行く意味なんてあるの?と感じるかもしれません。
ですが、病院で発達障害と診断された人は、障害だと分かって気持ちが楽になった、もっと早く診断を受けていれば別の人生を歩むことが出来たのでは、という声も上がっているほどです。
「職場の人たちが自分のことを認め、必要としてくれたことで、自己肯定感が芽生えてきて、生きていてもいいんだと思えるようになりました。これからも苦手なことから逃げずに、少しずつできることを増やしていきたいと思っています」
引用元:NHK NEWS WEB-ひきこもり 見過ごされた 発達障害
ひきこもりや就職について相談できる場所は?
以下のようなさまざまな支援環境があり、自分に合った場所で相談に乗ってもらうことが出来ます。
施設については各市区町村の担当窓口へお問い合わせください。これから紹介する施設以外にも各自治体が行っているサポート制度があるかもしれません。
現在の状況を相談したい人
ひきこもり地域支援センター
ひきこもりについて相談するならまずはこちらへ。都道府県、指定都市に設置されており、本人でも家族でも相談することができる施設です。社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士などのネットワークもあります。
発達障害支援センター
発達障害児(者)についての相談はこちらへ。都道府県・指定都市に設置されています。医療や福祉などの総合的なネットワークを通して、本人と家族が生活しやすいサポートを行ってくれるサポート機関です。
働くことに関して相談をしたい人
ハローワーク
障害者や別の理由があって職場を探したい人も、カウンセラーと一緒に仕事を探すことが出来ます。障害者の人は障害者窓口を利用すると無理なく働けるお仕事を紹介してくれる施設です。
地域障害職業センター
障害のある人に就職するまでに必要な準備を専門家と一緒に行う施設です。各都道府県に設置されており、働く場所を想定して作業をしたり、コミュニケーションなど就業上必要な能力を養うためにサポートをしてくれます。
就労移行支援事業
障害があっても一般の企業で働きたいと希望する人向けに、仕事で必要なマナーやスキルを身に着けることが出来る施設です。その他にも、一般の企業での就職が難しい人向けに”就労継続支援事業”というサービスもあります。
家族との接し方について
その時の状況や、無理のないペースで、一度話をすることから始めましょう。
引きこもるという行動には、何か伝えたいメッセージがあるかもしれません。いくら親子関係や親族でも、お互いの全ての生活状況を把握することは難しいです。 何も否定せず、当人の考えていることに耳を傾けてみましょう。
どうすればよいか分からなくなった場合、専門家に相談してみてもいいです。電話やメールでも対応可能な場合があります。大切なのは、焦らないことと、抱えこまないことです。
海外に行って、人目を気にせず過ごす方もいらっしゃるようですよ。
まとめ
以上、発達障害とひきこもりの関係についてお話をさせて頂きました。
外に出ること、社会に出ることが全てのゴールではなく、最終的に自分が納得できる状態になれるように、時間をかけてサポートする必要があります。
もし変わりたいという気持ちがあるのなら、可能なペースで誰かにお話をすることから始めてみましょう。
そして、障害をサポートする環境、企業、社会のしくみはありますので、是非利用してみてくださいね。