今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所になることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害と時間割」についてです。

発達障害を抱える子どもは、学校の時間割を上手に使えないと聞きます。そこで今日は、発達障害の児童がなぜ、時間割を上手に使えないかの理由と、その対処法についてまとめてみたいと思います。

なぜ時間割を上手に使えないのか。その原因を知らないばっかりに、明日の準備ができない子どもを責めてばかりしてしまう、ということにならないように。

今日の記事を読めば、時間割を上手に使いたいのに使えずに苦しんでいるわが子の苦しみが手にとるようにわかり、そして、理解ある寄り添い方ができるようになると思います。ぜひ、最後まで読んでみてください。

発達障害が時間割を上手に使えない理由①『情報量の多さ』

まず、発達障害のお子さんが時間割を使えない根本的な理由が、情報量の多さです。

だいたいの時間割には、次のような情報が記載されていることが多いと思います。

時間割に記載されている情報

①曜日(月・火・水・木・金)
②時間(1・2・3・4・昼休み・5・6)
③科目(国・算・理・社・体・音・英)

一枚の紙きれに、3ジャンルの情報が詰め込まれているのです。

では、なぜこれら3つの情報が、発達障害のお子様を困らせているのか。そして時間割を上手に使えなくしてしまうのか。その理由を1つずつ解説していきます。

時間割に記載されている情報①『曜日』

まずは曜日です。

そもそも発達障害の児童にとって、『曜日』と『時間』は大のお悩み要素です。

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静江
今に集中することが多いから、今日が何曜日か気にならないんだろうな。

つまり、曜日感覚が定型発達の子と比べて弱い場合が多いので、時間割をパッと見ただけでは、今日が何曜日で明日の曜日もわからず、何を準備したらいいのかわからなくなる、というわけです。

時間割に記載されている情報②『時間』

続いて時間です。

先ほども触れましたが、時間感覚も、発達障害の特性を持つ子には理解に苦しむところです。

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静江
何かに集中すると、辺りはもう真っ暗ってこともあったっけ?

ですから、今が何時で、たとえば次の3時限目は何時から何時までなのか。もう、考えただけでもパニックを起こしてしまいそうです。

時間割に記載されている情報③『科目』

最後に科目です。

小学校であれば、「国語・算数・理科・社会・音楽・体育」と、それから最近では英語の授業も必須科目になっている学校があると聞きます。

時間割には、それぞれの科目の頭文字がズラズラズラーと並んでいるはずです。各科目を把握して整理することは、定型発達の子でも一苦労な仕事ですね。つまり、発達障害特性のあるお子にはよりハードルが高いというわけです。

こちらは「発達障害の人は優先順位がわからない」というテーマで書いた記事です。優先順位への対応についても参考にしてみてください。

さらに、こちらの動画でも「優先順位」について発達障害特性の子と定型発達の子の優先度合いの違いをくわしく解説してくれています。発達障害特性の理解を深めるためにも参考にしてください。

【対処法】情報量が多いなら情報量を減らしてあげたら良い!

さて、先ほどの情報量が多い時間割への対処法を解説します。

対処法はずばり、情報量が多いなら減らしてあげたら良い、これです。とてもシンプルですよね。

ここでは、さまざまな道具を駆使して情報量を上手に減らして頭の中を整理していく方法を紹介していきます。

時間割アイテム①『注目枠』

情報量を減らしてあげるアイテムとして「注目枠」はいかがでしょうか。

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浩二
注目枠があれば、その枠内だけを見れば良いことになります

たとえば、月曜日だけなら、1時限目から5時限目までをがんばって覚えたらいいですし(ほかの曜日はムシ)、もっと狭く、月曜日の3時限目だけの注目枠を用意してあげられたら、たとえば月曜日の3時限目が国語なら、国語だけ見ればいいということになりますね(3時限目以外はムシ)。

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静江
たしかに、どこに注目すればいいかがハッキリしていたら迷わないはず!

時間割工夫アイテム②『写真』

続いて紹介するのは「写真」です。「写真」も上手に使うことで情報量を減らしてあげられるアイテムになります。

たとえば、月曜日に持っていくものが「国語・算数・理科・体育」の4科目なら、あらかじめ『国語のセット(教科書とノートと辞書)』『算数のセット(教科書とノートとコンパス)』『理科のセット(教科書だけ)』『体育のセット(体操着)』の写真を撮っておく。

前日の日曜日に「明日(月曜日)の用意はコレだよ~」と、子どもに見せられるようしておくとよさそうですね。

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静江
写真を見ながら同じものを用意すればいいということね!
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浩二
イラストでもいいかもしれませんね。

時間割が苦手な子どもに、時間割の内容をそのままムリヤリに覚えさせるのだけはやめてくださいね。よけいに時間割を見るのも、それから学校の準備すら嫌がってしまうと思いますので。

発達障害が時間割を上手に使えない理由②『準備』の煩雑さ

先ほども少し触れましたが、教科によっては準備するものが違うというのも、発達障害の児童を困らせる要因です。

たとえば、国語なら「教科書とノートと辞書」、それから算数なら「教科書とノートとノートとは違う計算表やコンパスそれから定規」など。

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静江
科目によっては準備するものが違うから、最後グチャグチャになっちゃうのよね

片付けや、ものを並べたり、整理整頓が苦手な特性を持つのが発達障害ですから、時間割の教科ごとに必要なものを把握するのはとても大変なことです。

以下に対処法をまとめてみます。

【対処法】準備が大変なら色分けして選びやすくすれば良い!

対処法は「サポート」です。準備が大変ならサポートしてあげたら良いのです。

ここでも、便利グッズを用いて上手にサポートする具体的な方法を解説していきます。

時間割工夫アイテム③『シール』

教科書はどれも似たような柄ですし、教科名の漢字も2文字(国語、算数、理科、社会、音楽)と特徴が弱めです。

それぞれのノートに至っては教科書以上に特徴がなく、どれがどの科目のノートか、慣れるまでは定型発達の子でも悪戦苦闘します。それほど大変な作業だと思います。

そこで有効なのがシール。

たとえば『国語は赤色』『算数は青色』『理科は黄色』といった具合に、各教科別に色分けをしてあげて、時間割表にも同じ色をつけてあげることで、幾分揃えやすくなると思います。

イメージはこんな感じです。

https://twitter.com/rakurakumom/status/1331007116761591809
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静江
たしかに、こうしたら色別でわかりやすいわね!

こちらのシールを利用すれば、さきほどのツイートと同じような感じでキレイに揃えられるのではないかと思います。

概要蛍光カラーシール
価格110円(税込)送料は別途240円
特徴・蛍光なので目立つ
・貼りやすい
・245個もあるのでたくさん貼れる
参考:2022年6月4日現在 楽天市場より

ただ、ネットショッピングだと送料がかかってしまいますので、お近くに100円ショップがあるならそちらで同じようなカラーシールを求められてもいいかもしれませんね。

発達障害が時間割を上手に使えない理由③:任務の不明確さ

時間割は、言うまでもなく静止画です。一枚の紙切れに書かれた各科目の文字は止まったままです。そこから動きません。あたりまえですが。

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静江
「時間割の文字はズット止まっている」たしかに、考えたこともなかったわ。

時間割としてキレイに一枚にまとめられているとはいえ、発達障害の子からしたら、何が終わっていて、何が終わっていないかがよくわからないので、いつ、どの場所を見ていいのかが分からないのです。

これは苦痛でしかありません。その苦痛が毎日続くのかと思うと、考えただけでもパニックになりそうです。そこで、対処法をまとめてみます。

【対処法】終わった科目は視界から取り除いてあげたらいい!

この対処法にもってこいの商品を見つけましたので、みなさんにご紹介したいと思います。

時間工夫アイテム④『行動支援ボード』

それは、行動支援ボードです。下の写真の商品名は『コバリテ視覚支援スタートキット』と言います。

発達障害の児童には行動支援ボードより引用

以下にアイテムのメリットと、このアイテムを取り入れることで未来がどう変わるのかを解説します。こちらのサイト(発達障害の児童には行動支援ボード)を参考にしています。

まず、アイテムを使うメリット。

アイテムのメリット

●セットになっているので、直ぐに環境を整えられる
絵カードを簡単に増やせるから、子ども毎に違った使い方ができる
●おしゃれなデザインなので、子どもたちも楽しく使える

次にこのアイテムを取り入れることで変わる未来についてまとめてみます。

アイテムを使うことで起きる変化

●子どもたちが授業前に準備を終えられる
●教科書や文房具の片付けが一人でできる
●急な予定変更があっても絵カードで対応でき不機嫌にならない

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静江
「終了ボックス」に終わったものを入れたら良い!たしかにこれなら1人で準備ができるようになりそうだわ!

「コバリテ視覚支援スタートキット」は業務用

ただ一点問題があって、それは価格の高さです。


発達障害の児童には行動支援ボード
より引用
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静江
わっ!40,700円!これは高いわね

サイトを詳しく見てもらえればわかりますが、もともと業務用に作られたものです。学校の先生が発達障害の児童につきっきりにならないで授業を円滑に進めるため「コバリテ視覚支援スタートキット」を使うことで、スムーズに授業ができますよといった商品設計です。

ただ、単品でも販売可能なので、必要なアイテムだけをピックアップして上手に活用するのも一つの手ですね。

発達障害の児童には行動支援ボードより引用

ほかに、同じような安い商品はないか調べましたが、ありませんでした。

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浩二
ほかにはないってことは、それだけ画期的な商品とも言えますよね。

手作りするなら『絵カード』もオススメ

コバリテ視覚支援スタートキットと同じようなものを作るために、まずはこちらの本を参考に「絵カード」を活用してみるのはいかがでしょうか。

概要絵カードの参考書
価格2,200円(税込・送料込)
特徴・CD-ROM付き
・絵カードは出力してすぐに使える
・シンプルな絵でわかりやすい
参考:2022年6月4日現在 楽天市場より

手作り覚悟で、時間をかけてアイテムを作るのもいいかもしれません。なにより、安価に仕上がります

以下は使用例です。

お支度ボード 絵カード 小学生用より引用

完成図はこんな感じですね。ホワイトボードもマグネットもダイソーで買ったそうです(別売)。終了ボックスも別売ですね。

まとめ

今日は、「発達障害が苦手な時間割のその理由」と「便利グッズで苦手な時間割と上手につきあう方法」をまとめました。

時間割が苦手な理由

①時間割は情報量が多いので頭の中が整理しづらいから苦手
②教科ごとに準備するものを判断するのがむずかしいから苦手
③時間割を見て何が終わって何が終わっていないかがわからないから苦手

これらの苦手な理由に対して、さまざまな便利グッズを紹介しました。

便利グッズで時間割と上手につきあえる

①『注目枠』をつかう
②『写真』をつかう
③『色シール』をつかう
④『行動支援ボード』をつかう
⑤『絵カード』をつかう

今回、発達障害と時間割について調べてみてあらためて感じたことは、発達障害の程度に個人差があるように、時間割の苦手度にも大きな個人差があるということです。

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浩二
まずはお子さんがなにに対して困っているのかを把握するのが先決ですね。

今日の記事でまとめた『時間割が苦手な理由』と『便利グッズ』をとりいれながら、目の前で苦しんでいるお子さんと上手に向き合っていってくださいね。