今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害免許」についてです。

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静江
発達障害があるから運転はしないほうがいい、、そんな声を聞いたことがありませんか?
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浩二
でも免許がないと仕事が限られてくるし、なかなか生活の自立もできない、、と悩みますよね。

人生設計をするうえで、免許を取るかどうか、は大きなポイントです。

今回は、発達障害があっても免許を取得できるのか、また発達障害がある方が運転するリスクと免許を持っているとどんなメリットがあるかをご一緒に考えてみましょう。

免許を取ろうか悩んでいる方の参考になるはずです。

発達障害があると免許がとれない?

発達障害とは

発達障害とは

生まれつきの脳の障害があり、言葉の発達が遅い、対人関係を上手に築くことができない、特定分野の勉強が極端に苦手、落ち着きがない、集団生活が苦手、といった症状が現れる障害の総称。

  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)
  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
  • 学習障害(LD)

の三種類に分けられます。

それぞれの特徴については、以下の記事も参考にしてください。

では、発達障害があると運転免許を取れないのでしょうか?

障害の度合いによる

発達障害があっても、運転免許を取ることはできます。法律上問題ありません。

しかし、発達障害の特性の一つである「不注意」の傾向が強い人は、車の運転が危険になります。

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浩二
度合いによるということですね。
私の周りにも、発達障害があっても運転免許を持っている方はたくさんいます。
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静江
車の運転には責任も伴うので、家族や医師に相談して客観的な意見を求めるといいですね。

こちらは発達障害がある方を対象にしたアンケートです。

「免許を持っているか」という質問に、4割の方が持っていると答えられました。

また4割近くの方が持っていない、または持っていても乗らないんですね。

この中には、運転が不安で乗らない人だけでなく、交通が便利なところに住んでいるので運転免許を持っていないという方もいると思います。

では次に、発達障害がある人が、運転免許を取るときに難しさを感じる原因をもう少し詳しく見てみましょう。

発達障害がある人が免許を取るのに難しさを感じる理由

その理由を発達障害の種類別にみてみましょう。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

ASDの人に見られる特徴

  • 注意が向けられる視野が狭いー全体が把握できない
  • 臨機応変な対応が難しい
  • 視覚認知が苦手ー車体感覚を図ったり、スピード・距離感を図るのが難しい
  • こだわりが強いーほかの車のルール違反にイライラする。ルールを守りすぎて渋滞を引き起こす
  • 感覚が鈍いーものの認知、反応速度が遅い
  • コミュニケーションを取るのが苦手ー教習所で教官とのやり取りに難しさを感じる

注意欠陥多動性障害(ADHD)

ADHDの人に見られる特徴

  • 集中力が長く続かない
  • 衝動性ー安全確認をする前に行動してしまう
  • 不注意ー他車を見落とす。標識や通行人を見落とす
  • 二つのことを同時にすることが苦手ー方向指示器を出し忘れる
  • 一点に集中することができないー気が散りやすく、いくつかの作業をすると何かを忘れる
  • 予定管理が苦手ー教習所でのスケジュール管理が難しい

学習障害 (LD)

LDの人に見られる特徴

  • 読字障害ー案内標識が読めない。教科書の文章が読めない。筆記試験が通らない。

こちらの動画は、発達障害がある人がなぜ免許取得を難しく感じるかが説明されています。

発達障害の特性が運転に活かされた点もあるんですね。

また、発達障害と運転免許についてQ&A形式で書かれている書籍もあります。

本の後半には実例も載っています。

価格:1320円 Amazon(21年6月現在)

運転免許があるメリットは?

発達障害の方が免許を取るには様々な難しさがありますが、もし免許があればどんなメリットがあるでしょうか?

例えば、

  • 行動範囲が広がる
  • 職業の選択の幅が広がる
  • 身分証明になる
  • 生活の自立につながる
  • 成功体験が自信につながる

などが挙げられます。

発達障害がある人のうち、小さいころから叱られることが多かった・ネガティブな記憶が残りやすい、、などが原因で自己肯定感が低い人は少なくありません。

それで、「運転免許を取れた!」という成功体験によって、自己肯定感や自尊心を高めることができるかもしれません。

運転免許を取るメリット、そして運転するリスクをじっくり考えて、免許を取得するか決めたいですね。

教習時のポイント

免許を取ることにした場合は、どのように教習をすすめていったらいいでしょうか?

ポイントは、自分に合ったスケジュールや講師を選ぶことです。

自分に合ったスケジュールを立てる

ASDやADHDの方の中には、予定を立てることが難しくスケジュールを詰込みすぎてしまったり、予約を忘れてすっぽかしてしまったり、、ということもあるでしょう。

免許取得期限まで時間があるから、、と悠長に考えていたら、あっという間に時間が過ぎて気づけば期限ギリギリで焦った!なんていうことも。

勉強や仕事とのバランスをとりつつ、自分に合った予定を立てましょう。

また家族のサポートも得ながら、予約を忘れないようにして教習の期限内に免許取得できるようにしましょう。

相性のいい教官を選ぶ

特定の教官が苦手に感じることがあるかもしれません。

例えば、曖昧な指示が多く理解しにくい、ダメ出しが多く褒めてくれない、、といった教官です。

最初のうちは複数の教官に教えてもらい、その中で、丁寧に教えてくれる・指示が具体的かつわかりやすい・できた時にはよく褒めてくれる教官を選ぶといいですね。

発達障害がある人へのサポートがある教習所

全国で数はまだ少ないですが、発達障害がある人へのサポート体制が整っている教習所があります。

鹿沼自動車教習所「つばさプラン」(栃木)

発達障害や知的障害などが理由で教習に不安がある人をサポートするプランです。

コーディネーターと呼ばれる専門の職員が、学科教習・技能教習の支援や個別の学習指導をしてくれます。

遠方の人向けにアパートの利用もでき、生活面でもサポートがあります。

鹿沼自動車教習所公式HP

また、この「つばさプラン」に準じた学校が全国にいくつかあります。

コヤマドライビングスクール「スマイルコース」(東京・神奈川)

鹿沼自動車教習所の「つばさプラン」合宿研修を修了し、発達障害の研究を積んだ専門スタッフがコーディーネーターとしてサポートしてくれます。

コヤマドライビングスクール公式HP

「つばさプラン」がある全国の教習所は以下サイトをご覧ください。

「運転免許 つばさプラン」®全国研究会 公式HP

免許がなくても

自分の発達障害の特性を考えて、また家族からのアドバイスで運転免許を取らないことにする方もいるでしょう。
その場合は、仕事と住居地の選択がカギです。

仕事の選択

運転しなくてもいい働き方を探します。例えば営業を避ける、などです。
発達障害の人に向いている仕事について、以下の記事も参考にしてください。

住居地の選択

田舎は交通が不便で車がどうしても必要なことが多いので、バスや電車など交通が便利なところに住む、ということになりますね。

まとめ

発達障害があっても免許が取れるかは、度合いによります。

不注意や衝動性の度合いが強いと、運転のリスクが高くあまり向きません。

車の運転には責任も伴うので、家族や医師にも相談し客観的な意見を求めましょう。

免許を取るメリットは、

  • 職業選択の幅が広がる
  • 行動範囲が広がる
  • 成功体験が自信につながる

などたくさんあります。

運転のリスク、免許を取るメリットを考慮し取ることにした場合は自分に合ったスケジュール、教官を選んでください。サポートの手厚い教習所の情報を得ることもできますね。

運転免許を取得できれば、自立に向けた一歩・大きな自信につながると思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。