突然ですが、あなたは一人暮らしをしたいですか?
もし、実家で暮らしているのであれば、「自立したい」と思ったことはないですか?
そうは思うものの、「何からしたらいいのか・・」「不安だな・・」と困ってはいませんか?
そんなあなたに、この記事では発達障害の人が一人暮らしをする前に検討して欲しいことや、一人暮らしをしたときに直面する問題とその対策を考えていきたいと思います。
目次
幅広く検討しよう
発達障害の人は一人暮らしはできると思います。ただし、自分のできること、できないことをしっかりと把握し、必要な時は周りの人の相談して、時には協力を得ながらという条件が入ります。
発達障害の方にとって、一人暮らしは仕事をしながら、自分の身の回りのことをするという生活になります。全部こなそうと思うと、かなり苦戦することが予想されます。
それは発達障害の特性である整理整頓が苦手、優先順位をつけて作業するということが不得意などの特徴があるので、効率的に家事などをこなすことが難しいからです。それだけで疲弊してしまいます。
なので、自分が今どのくらい家事のスキルがあるのか、金銭管理がどれくらいできているのかによって、一人暮らしできるかどうかの判断が変わってくるので、一人一人が検討する必要があるのです。
そのために、一人暮らしの選択を狭めずに色々な選択肢から選択して欲しいのです。
ここからは、一人暮らし、グループホーム、実家のメリットやデメリットを一緒に考えていきましょう。
一人暮らし
平成15年厚生労働省「精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査」の調査では、発達障害を含む精神障害で一人暮らしをしている人の割合は17.9%、実家暮らしは76.8%となっています。(内閣府のページより参照)
現状を見ると、一人暮らしをしている割合は少数派となっています。
現状は上記の通りですが、ここからは一人暮らしのメリットとデメリットを考えていきましょう。
メリットは
- 自由に生活できる
- 同居する人に干渉されない
デメリットは
- 初期費用がかかる(まとまったお金が必要)
- 住居のインフラ(電気、水道、ガスなど)の手続きが発生する
- ひとりなので、相談相手がいない
- 日常生活のこと(食事、洗濯、掃除、整理整頓など)を自力で行う
- 自己管理能力(時間・予定のこと、お金のこと、体調管理、内服のこと)が必要
どんな人に向いているのか
- 自分の身の回りのことが自分でできる人
- 収入があり、経済的に自立して過ごせる人
- 自分から、誰かに相談できる人
こんな人が快適に過ごせると思います。
次はグループホームを見ていきましょう。
グループホーム
メリットは
- 住居のインフラ(電気、水道、ガス)の手続きはしなくて良い
- 生活家電(冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、掃除機など)を用意しなくても良い
- サービス管理責任者と呼ばれるスタッフがいるため、困ったことがあったときに相談できる
- 個人の部屋も与えられているでプライバシーは守られる
- 食事の管理や健康管理、お金に関する相談もできる
- 緊急時の対応もできる体制がある
- 就労をしながら住める
- 同じような境遇の人と話ができる
デメリットは
- 完全な一人暮らしではない
- 事業所ごとに決まりや門限がある
- 入居は、すぐできない(かかりつけ医、市町村などの手続きや市町村の認定調査や審査を通らなければいけない)
- グループホームを利用するサービス料(障害者自立支援法による1割負担)の他に、その事業所ごとに定めている利用料・光熱費・食費など実費があるので費用がかかる
どんな人に向いているか
- 一人暮らしが不安で、職員に相談し、支援を受けて暮らしたい人
- ひとりでいるのが苦手な人
- 一人暮らしへのステップとしてグループホームで日常生活のスキルや金銭管理を身につけたい人
実家
メリットは
- 家族の支援が受けられる(食事や家事などの生活面)
- お金の不安は少ない
デメリットは
- 家族の干渉を受ける
- 職場が長距離になった場合、通勤が困難
どんな人が向いているか
- 実家で安心して暮らしたい人
- 身の回りのことが自分でできない人
- まとまったお金がない人
これまで、検討した中でピンとくるものはありましたか?
それでも一人暮らしがしたい
そのように思うのならば、もっと詳しくみていきましょうね。

一人暮らしの方法を2つ紹介します。
不動産でアパートを借りる
不動屋に行って物件を探しましょう。
残念なことですが、過去には障害者は物件を借りにくいこともあったようです。
しかし、現在は法律により、そのようなことは禁止されているので、安心して物件を探しましょう。
知っておきたいこと
- 連帯保証人なども必要
- (連帯保証人がいない場合)連帯保証人がいなくても借りられる制度もありまりますが、部屋を借りる人の収入を審査されるので、収入によっては審査に落ちる場合もあるようです。
公営住宅を借りる
公営住宅を借りるには
- 現状で住宅に困窮している
- 同居してるか・同居しようとする親族がいる
- 世帯の所得月額が法令で定めるの金額以下
以上、3つの条件を全て満たしている必要があります。(「PDF」国土交通省ー公営住宅制度の概要についてより参照)
窓口
市町村の窓口
知っておきたいこと
- 連帯保証人が必要
- 発達障害を含む精神障害者福祉手帳(1級あるいは2級)がある場合は、入居が優先されます(「PDF」国土交通省ー公営住宅制度の概要についてより参照)
住みたいところが決まったら?
いづれかの方法を決めたら、信頼できる人(両親やかかりつけの先生など)に相談しながら準備をしていきましょう。
細かい注意事項や重要書類など注意力が問われる作業が多いので、心配な場合は誰かしらと一緒に手続きを進めると良いでしょう。
初期はすることが多いので、しなければいけないことは、具体的に書き出して、チェックリストを作り一つ一つしていくとミスを未然に防ぐことができます。
初期にするライフライン手続き一覧
- NHK
- 電気
- ガス
- 上下水道の手続き
それでは、一人暮らしをするにあたり注意することを考えていきましょう。
注意することとは?
早速ですが発達障害の人が一人暮らしで注意しておくと良いかを順番に見ていきますね。

お金のこと
一人暮らしをするにはお金の管理を自分でしなければいけません。
生活していくには、毎月必ず光熱費や家賃がかかります。食費、外食、交際費などがかかります。毎月の収入から、お金をやりくりして過ごさなければなりません。
発達障害の人がやりがちな行動
- 一時的な感情や欲望による衝動買い
- お金が足りなくて、借金をする
- お金の貸し借り
- 実家で暮らしていた時のようなお金の使い方
衝動買いなど家計管理の対策例
- 一週間ごとに予算を決めてお金を使う
- 収入が入ったら、出ていくことがわかっているお金(現金)を用途別に袋分けする→可視化の工夫(アナログの管理)
- 家計簿や家計簿アプリ(Moneytree マネーフォワード MEなど)の活用
キャッシュレス決済
現在キャッシュレスやバーコード決済など現金を使わない決済方法が主流になりつつありますね。
しかし、発達障害の人は特に、現金を出さないでも買い物ができるようになってしまうため、視覚的にお金をどれくらい使ったか分かりにくい、また忘れがちになり、使いすぎてしまうマイナス面もあるようです。
自分がいくら使ったかが分かりやすく、管理しやすいもの(現金、家計簿など)でお金を使いましょう。
その他の工夫
- なるべく自炊する、食材を無駄にしない
- コンビニよりスーパーで買い物をする
- スマートフォンの料金プランを見直す
- スマートフォンのゲームの課金に注意する(夢中になりすぎない)
- タバコ・お酒などの嗜好品に気を付ける
- 銀行手数料を払わないように気を付ける
- リボ払いはしない(クレジットカード)
など自分に合った方法でお金の管理をしていけたらいいですね。
障害年金と障害者手帳について
そして、障害年金や障害者手帳に制度を知っておくと良いです。
申請するようであれば、早めの行動が大切です。
障害年金とは
病気や怪我によって私生活や仕事が制限されるようになった場合に、現役世代の人も受け取れる年金です。
病気になった時に加入していた年金制度によって「障害基礎年金」か「障害厚生年金」になります。(日本年金機構より参照)
受給するには、医療機関や年金事務所(日本年金機構)などに行き、診断書や年金事務所の指定の書類の提出が必要です。
そして、障害認定日の状況が調査と3ヶ月の審査期間を経て「障害年金受給」の流れになるようです。
さらに、精神障害の場合には年金受給も年数が決まっているので、その度に医師の診断書など必要な更新手続きが必要です。
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)とは
精神障害や発達障害がある場合に、医師の診断を受けた上で、市町村の窓口で申請します。そうして認定されたものを障害者手帳といいます。
障害者認定には、1級から3級まであります。等級によって、受けられる手当や割引の違いがあります。残念ですが、JR、飛行機、有料道路料金の割引はありません。
2年ごとに更新手続きがあります
身の回りのこと
さて、次は身の回りのことですね。
今はあなたはどのくらい身の回りのこと(食事、洗濯、掃除など)ができていますか?
一人暮らしでは身の回りのこともできなくてはいけません。今から全てできなくてもいいので、少しずつ覚えてできるようにしていきましょうね。
発達障害の人は、日常生活を送る中で、不注意が多い、優先順位を付けられない、整理整頓が苦手などの特徴があります。家事などの全般は優先順位をつけて作業していくことになるので、苦戦することが予想されます。
発達障害の人がなりがちな傾向
- 後片付けも後回しにしたり、食器などを洗わずにそのままに放置してキッチンを汚してしまう
- 部屋は整理整頓できていない、散らかっている
- 洗濯については、洗濯を先送りにして、結局洗濯物が溜まる。そして、他の服を購入し、また部屋が散らかっていくという悪循環。
身の回りのことの対策
生活を維持していくには、身の回りのことはしないといけないです。なので、完璧を目指さず、生活に支障がない範囲で少しづつ作業して片付けていきましょう。
- 家事を簡単に済ます工夫
- 散らからないように、物を置く場所を決めておく
- 洗濯する日を決めて、洗濯する
- ホームヘルパーをお願いする
ホームへルーパーをお願いする場合
申し込んでも、すぐに使うことはできません。
それは、行政を通して行う福祉サービスのため、時間がかかるからです。
時間かかるし、一人暮らしを始めてからこの工程を踏むとなると大変ですよね。もし検討するなら、早めに動くことをお勧めします。
ホームヘルパーをお願いするまで
- 医師に相談してから、意見書を書いてもらい、市役所の福祉課にサービス利用の申請する
- 調査員の調査を受けてから、市町村の審査会で審査される
- 審査され、サービスを受けることを認定されたら、市町村から紹介される相談支援事業者を選択する
- その相談支援事業者がサービスの計画を立て、医師の承認が取れればサービス利用開始
次に、自分の体調管理などで気を付けることを見ていきましょう。
自分の体調管理のこと
一人暮らしをすると睡眠も自己管理、時間の管理も自己責任です。
発達障害の人は、何かにこだわりがあったり、予定や約束などをうっかり忘れてしまった、時間の逆算して動くのが苦手など特徴があります。これが続いてしまうと、「時間にルーズ」と思われてしまい周囲の信頼も失ってしまいますよね。
発達障害の人がやりがちな例
- 約束をうっかり忘れてしまう
- 何かに熱中してしまって、睡眠時間を確保できなくなってしまって寝坊してしまった
- 自分の疲れを自覚せずにオーバーワークになってしまい、ストレスをためてしまう
- (内服がある場合)正しく内服ができずに体調にも支障が出てしまう
自分の体調や時間の管理などの対策
- 予定がある場合には、覚えておくのには限界があるので、カレンダーに書く、チェックリストを作る、あるいはスマートフォンのアプリを活用する
- 何かに夢中になってしまって、睡眠時間を忘れてしまう場合は、睡眠のアプリや携帯の基本機能を使って、毎日の寝たい時間やおきたい時間を入力すれば、お知らせしてくれます。
- 疲れが溜まってしまっていることに気づけないこともあるので、しっかり休む日を決めて、思いっきり休んでみる(週一回、○曜日と決める)
- 内服は忘れないように習慣にする
どうですか?工夫や対策を立てれば、少しは安心できませんか?
次に紹介しておきたい制度をみていきましょう。
知っておきたい公的制度とは?
知っておきたい公的制度は、いくつかありますので是非見ていただければと思います。
詳しくはこちらです。
まとめ
発達障害の人が一人暮らしをするのは、可能だと私は思います。
発達障害の人の特性を考えると、家事も仕事も完璧にこなすというだけで疲弊してしまうので、自分のできることとできないことを考えながら、一人暮らしをするかどうかをまず見極めていただいたら良いのではないかと思います。
もし、一人暮らしをしたいのであれば、自分が今どのくらい家事のスキルがあるのか、金銭管理がどれくらいできているのかによって、自分の中のゴールを決めて困らないように対策を立てて、日頃から準備しておくといいですね。
実際に一人暮らしをしている発達障害の人も実際にいますから、もし一人暮らしをするとを決めたのであれば、ぜひ頑張ってみるのもいい経験だと思います。
いくら備えていても困るときは誰だってありますから、そんな時は家族や周りの人、そして、かかりつけの先生もいます。あなたはひとりではないので、困ったときは誰かに相談したり、ときには頼ることできるといいですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。