こんにちは。
発達障害を持つ人は、障害がない人と比べると経済面などに不安を持っている人もいるのではないでしょうか?
不安に思う気持ちわかります。不安ですよね。
ここでは、精神障害者の就労状況や収入の現状を説明しつつ、不安を少しでも減らしていけるように精神障害者(発達障害の人も含めて)の方が知っておいて欲しい公的制度を5つ紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
目次
公的制度を知っておくべき理由
冒頭で障害を持っている人は経済的に不安を抱えていると言いましたが、それは本当です。事業所で働いている人の平均月額の賃金を、健常者と障害者で比べて見ました。(参照5.収入|平成24年度版障害者白書ー内閣府)
健常者の労働者26.4万円
身体障害者25.4万円
知的障害者11.8万円
精神障害者12.9万円
就労継続支援A 型事業所の賃金7.2万円
就労継続支援B 型事業所の工賃は1.3万円
補足)就労継続支援の事業所はフルタイムではなく、パート労働や時間制労働になります
健常者と障害者では、これだけ労働によって得られる賃金に差があります。
精神障害者を含め発達障害を持つ人は、病状や体調などに波があるので、仕事において、自分の体調に合わせて仕事量を調整していく必要も出てきます。結果的に、安定した賃金収入が継続しないことも、想定しておく必要があるからです。
精神障害者の現状とは?
外来の精神障害者では、障害年金の受給者25.7%、障害年金以外の年金の受給者11.2%、公的手当の受給者2.1%となっている
発達障害者を含めて精神障害者は病状や体調の変化により、安定して賃金収入が得らない場合もあります。賃金収入だけでは生活できない場合は、公的制度(障害年金、公的手当、生活保護など)を利用する人も少なくありません。
今は知らなくても大丈夫でも、先のことはわかりませんよね。なので、もしも収入が減ってしまった時、自分の身を守る上で知っておきたい公的制度を5つ紹介していきます。
障害年金
障害年金とは病気や怪我によって私生活や仕事が制限されるようになった場合に、現役世代も受け取れる年金です。
病気になった時(初めて病院にかかった日、初診日)に入っていた年金制度によって「障害基礎年金」か「障害厚生年金」の2種類ありますが、障害年金は申請してすぐ受け取れないので、早めに申請しておくことが大切です。
障害年金を申請する前に
障害年金を申請する際にも医師の診断書が必要になりますので、医師に相談しておくとスムーズです。
そして、医療機関にソーシャルワーカーが配置されいることもあります。困ったときは相談してみましょう。
主な業務は社会福祉の立場から患者や家族がかかえる経済的、心理的・ 社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図ることを役割とする職員のことです。
業務の範囲は大変広いですが、経済的に生活に困っている人に対しては、社会福祉や社会保険機関などと連携して、制度を利用できるように援助や助言もしてくれます。
障害年金の申請方法は?
障害年金は、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つです。
初診日に加入していた年金制度によって窓口や認定が異なるので見ていきましょう。
障害基礎年金の申請の流れ
初診日に加入していた年金制度が国民年金だった場合はこちらになります。
申請窓口
お住まいの市町村窓口になります。ただし初診日に国民年金第3号被保険者(専業主婦など)だったら年金事務所になります。
申請にあたって必要な物
- 年金手帳
- 戸籍を確認できる物(戸籍謄本、住民票など)
- 医師の診断書
- 受診状況証明書
- 就労状況証明書
- 障害者手帳(障害の状態を証明できるもの)
- 本人名義の通帳、印鑑
などです。
受給開始まで
手続きの後、審査期間を経てから障害基礎年金の1級もしくは2級に認定されれば、障害年金の受給開始となります。(参照日本年金機構、障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法より)
障害厚生年金の申請の流れ
初診日に加入していた年金制度が厚生年金だった場合はこちらになります。
申請窓口
年金事務所あるいはお近くの年金相談センターです。
申請にあたって必要なもの
- 年金手帳
- 戸籍を確認できる物(戸籍謄本、住民票など)
- 医師の診断書
- 受診状況証明書
- 就労状況証明書
- 障害者手帳(障害の状態を証明できるもの)
- 本人名義の通帳、印鑑
などです。
受給開始まで
手続きの後、審査期間を経てから1級、2級、3級に該当すると認定されれば、障害年金の受給開始となります。(参照 日本年金機構障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法)
障害年金の更新はあるの?
残念ながら、精神障害の障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金)は更新があることがほとんどです。
更新の際には
更新時には、医師にしっかりと自分の状態を伝えて診断書を書いてもらい、そのほかの書類も準備していくことになります。
もしも、期限を過ぎてしまっても、きちんと書類を出していれば、障害年金の給付は受けられるので安心して良いようです。
とはいえ、しっかり準備しておきたいですね。
そして、障害者手帳から解説していきます。
障害者手帳とは?
障害者手帳は、正式には精神障害者保健福祉手帳(以後、障害者手帳)といいます。等級は1級、2級、3級となります。
障害者手帳は、長期に精神障害を抱えていて、そして、日常生活に支障がある人が適切な福祉のサポートが受けられるようにするための証明書のようなものです。
障害者手帳の申請手順とは?
申請には診断書が必要になってくるので、申請する前にかかりつけの医師に相談しましょう。
申請窓口
市町村の窓口
必要な書類
- 申請書類
- 医師の診断書
- 顔写真
- 印鑑
- マイナンバー書類
などです。
障害者手帳交付までの流れ
以上のように、申請するまでに医師の診察や書類の手続きが必要です。そして、1〜2ヶ月の審査期間があり、障害者手帳の交付となります。
障害者手帳の更新があるの?
交付されたあとは、更新手続きが2年ごとにあります。(参照 精神障害者福祉手帳の更新手続きの改善(概要)|総務省)
更新手続きは、3ヶ月前からできるようです。
申請窓口
市町村の窓口
必要書類
- 申請書類
- 診断書
- 顔写真
などです。
更新完了までの流れ
更新完了までは、おおよそ1〜2ヶ月かります。市町村からの更新手続きの通知はないことが多いので、期限切れの期日は自分で把握しておくようにしましょう。
障害者手帳で受けられる福祉サービスとは?
次は、サービス内容を見ていきたいと思います。
JR旅客運賃・航空運賃・有料道路の割引がないところが残念なポイントです。
参照)障害者と税|国税庁、「PDF]Untitled|厚生労働省 精神障がい者と家族に役立つ社会資源ハンドブック
1、生活保護の障害者加算の認定
生活保護は、資産や能力など全てを活用しても生活に困窮する人は対象です。障害者手帳を持っている場合は、等級によって障害者加算を受けられる場合があります。
申請窓口
市町村に設置されている窓口
2、税金の控除
1)所得税
納税者本人が障害者の時、
障害者控除が障害者区分1級の人は40万円、それ以外(2級、3級)の区分の人は27万円まで受けられます。
2)相続税
相続人が障害者の時、85歳に達するまでの年数1年につき、
障害者区分1級の人は20万円、それ以外の人は10万円が控除されます。
3)贈与税(不動産所得を持っている場合)
信託受益権の価値のうち
障害者区分1級の人は6000万円までは非課税になります。
そして、障害者区分2、3級の人は3000万円までは非課税になります。
4)預貯金・貸付信託・公社債・公社債投資信託など(マル優)、利子国債、公募地方債(特別マル優)
- 上記の金融商品を利用した場合、利子に対する税金が非課税になります。
- マル優・特別マル優それぞれで、非課税貯金限度額は350万円まで
5)自動車税の減免
申請窓口|お住まいの自動車税事務所や行政事務所
対象となる自動車|障害者本人名義の車1台が対象になります。等級によっては受けられない場合もあるので、調べる必要があります。
3、NHK放送受信料の全額免除あるいは半額免除
全額免除の対象
世帯主が障害等級が重度(1級)で契約した場合です。
半額免除の対象
、障害者手帳を持っている世帯ある、かつ、世帯構成員全員が市町村民税(特別区民税含む)非課税の場合になります。
4、携帯電話利用料の割引(いわゆる3大キャリア)
料金の半額など各社割引制度を設けています。
ただし、格安SIMの携帯電話ではまだ実施していません。
5、NTT電話番号案内利用料(104)の免除
通常200円/1案内ですが、無料です。
6、公営住宅などの優先入居
市町村の提供するサービスなので、担当窓口での手続きが必要です。
7、生活福祉資金の貸付(生活困窮者自立支援法に基づく事業)
低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支えることなどを目的とした貸付制度です。
窓口
各市町村社会福祉協議会
8、公営・民営交通・タクシーの割引
企業ごとに調べる必要があります。
9、公共施設、映画館、博物館の割引
全国共通で割引価格で利用できる施設はこちらです。
ビックエコー(カラオケ)、ハッピードリームサーカス、ポップサーカス、木下サーカス、ゴルフ場、ニッコールクラブ( Nikonが開催)
その他、都道府県ごとに利用できる施設がありますので調べてみてください。
生活保護
生活保護は、資産や能力など全てを活用しても生活に困窮する人が対象なので、そのような事態が起きた場合に申請を検討してみましょう。
申請するには?
申請に必要な書類などは、ないようです。
申請の窓口
市町村の生活保護の担当窓口です。
生活保護申請から支給までの流れ
申請の際には、生活保護の必要性などを説明を受け、その後に面接や収入や資産の調査が行われます。そして、生活保護の保護費の支給が行われるという流れになっているようです。
定期的に収入の状況や訪問調査も行われ、定期的な見直しも入るようです。
自立支援医療(精神通院医療)
通院による精神医療を受ける人の負担を軽減するためにできた制度です。対象は、精神科の受診のみなので、他の診療科の診療や入院医療は、制度の対象外となります。
サービス内容
通常の保険診療の自己負担は3割ですが、自己負担が1割で済みます。
申請を検討する前に
こちらも医師の診断書が必要になりますので、かかりつけの医師に相談してから申請しましょう。
申請方法は?
申請窓口
市町村の窓口
必要な書類
- 申請書(市町村窓口にある書類)
- 医師の診断
- 同じ世帯の収入が確認できる資料
- 健康保険証
- マイナンバーの確認書類
申請してからの流れ
申請すると、「受給者証(自立支援医療受給者証」」がされますので受診の際には、提示して自立支援医療を受けましょう。
有効期限はあるの?
受給者証のには有効期限があります。有効期限は1年になるので、継続する場合には手続きが必要です。
次は、もしも入院してしまったらどんな制度があるか知っておく必要があります。
高額医療制度
高額療養費制度とは、1ヶ月(1日から月末まで)の期間に入院するなどして高額な医療費が発生した場合に、自分が加入している公的医療保険(健康保険組合、国民健康保険など)が上限額を超えた医療費が支給される制度です。(参照厚生労働省、高額医療費制度を受けられる皆様へ)
ただし、支給までには、数ヶ月かかるので医療費が高額でも一時的に自分で建て替えなければいけません。
この制度の注意点は?
差額ベッド代や食事代は医療費の対象にはならないので、これも覚えておきましょう。
上限額の決まり方とは?
医療費の自己負担の上限額は、年齢と所得によって決められてます。
例)69才以下で住民税非課税非課税世帯は34,500円→所得が上がるごとに上限額は上がります。参照)「PDF」厚生労働省|高額医療費制度を利用される皆様へ
知っておきたい限度額認定証の話
ちょっと待って、「高額は厳しい・・」と思ったあなたに限度額認定証の話をしたいと思います。
限度額認定証を使うと、窓口で払う医療費を限度額までの支払いで済むようにできます。
申請の窓口
自身の加入中の公的医療保険の窓口
申請から交付までの流れ
申請から発行まで最短で1週間程度は、かかるようです。なので、限度額認定証が利用できるのは、医療費が高額になりそうなことが前もってわかる場合に限られます。
限度額認定証の提示
限度額認定証が交付されたら、医療機関の窓口で提示すると限度額以上は窓口負担しなくてもよくなります。これは、知っておくと良いですね。
まとめ
これまで、たくさんの制度を紹介してきましたが、いかがでしたか?
発達障害を持って過ごしている方は、収入という面でも不安がつきまとっていると思います。実際に健常者と比べると賃金は低い傾向にあり、体調によっても収入が変動する可能性もありますよね。
もしも今自分がお金に困っていなくても、いざそのような経済的に危機になってしまった場合にも対処が取れるよう、また自分の生活を守れるようにに公的制度を知っておくことが大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。