今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害とチック症」の関係性についてです。
チック症とは、目をぱちぱちさせる、首を動かす、奇声を上げるなどの行為を本人の意思と関係なく行ってしまう疾患のことを言い、日本では、発達障害の一種と数えらえれています。
就学前の子供に多く発症する疾患で、成長に伴い症状は治まっていきます。しかし、成人になっても症状が残るケースもあります。
チックにはどのような種類があるのでしょうか。またチックが出てしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
さっそくみてみましょう。
目次
発達障害とチック症の関係
発達障害のADHD(注意欠陥・多動性障害)では、チック症を併発してしまう場合があります。
トゥレット症候群では、ADHDを伴う頻度が50%以上にものぼるという研究もあるほどです。
ADHDと併発してしまうリスクとして、ADHDの特徴の一つである多動と認識され、チック症と気付かれない場合も多いことが挙げられます。
なぜADHDとチック症は併発しやすいの?
チック症の原因はドーパミンの働きの偏りと言われていますが、ホルモンの乱れやストレスから発症してしまうのでは?と考えられています。
- 周りから受け入れてもらえない
- 言われていることがあまり理解できない
- 自分でも、どうしてこういう行動をとってしまうか分からない
発達障害を抱えている人は、日常生活でストレスを抱えていることが多くあります。また、このようなストレスを言葉にすることも難しいことが多く、ストレスをため込んでしまうのです。
ストレスが影響し脳や心のバランスが崩れ、チック症が合併してしまうリスクが上がってしまうと考えられます。
チック症の症状とは
チックは大きく分けると、「音声チック」と「運動チック」に分けることができます。
さらに、その持続性によって「単純性チック」や「複雑性チック」に分けられます。
音声チック
発声に関わるチック症です。
声や音を発するチックだけでなく、意味のある言葉を発することもあります。
- 「アッ」や「ウッ」など短い言葉を発する
- 「ゴホゴホ」と咳払いする
- 「フンフン」と鼻をならすなどの症状
- 卑猥な言葉や、罵声などを言ってしまうケースも
運動チック
体の一部にチック症が現れる障害です。
- まばたきを繰り返す
- 肩をすくめる
- 顔をしかめる
- 首を振る など
上記は主に頭の部分に現れる症状ですが、足と全身のどこでもおこります。時には複数の部位が同時に動くこともあります。
具体的には、筋肉がぴくぴく動く、ジャンプする、片足を引きずるなどがあります。
単純チック
瞬間的に発生し、明らかに無意味かつ、瞬発的に起こる動きのことです。
複雑チック
単純チックに比べて少し動きが遅く、いくつかの動きが同時に起こったりする場合があります。意味を持った動きのように見えることがあるので、チックとは気づかれにくいこともあるのです。
具体的には、汚行と呼ばれる性的な身振り手振りをしてしまったり、同響行動のように誰かほかの人の運動の真似をしたりするケースがあります。
トゥレット症候群
トゥレット症候群とは、まばたきをした首を振ったりする運動性チックと、奇声や咳払いなどの音声チックが重なって出てしまう症状が1年以上続く精神疾患のことを言います。
初期は、まばたきなど単純な運動チックから始まり、だんだんとジャンプする、肩を回す、物をやたら触るなど複雑な運動チックに変わっていきます。
次第に「アッ」や「ウッ」など単純音声チックが加わり、オウム返しや汚い言葉が出てしまう複雑音声チックに症状が進行してしまうのです。
トゥレット症候群は18歳未満で発症すると定義されていますが、稀に大人になってから発症する人もいます。
ただし、癖などと勘違いされて、診断を受けていないケースも多くあるのです。
実際にトゥレット症の青年を取材したドキュメンタリーがこちらです。どのような症状があり、どのような苦悩があるのかこの動画で知ることができます。
チック症を抑えようとすると…
チック症は自分の力では抑えることができない不随運動として考えられていました。しかし、周りの人に迷惑をかけたくない、など、本人の強い意志や努力で抑え込んでいる人も少なくありません。
ただし、チック症に先立って前駆衝動というものが起こる場合があり、チック症を抑えようとすると高い頻度で現れてしまうのです。
チック症を出すとスッキリとした感覚になり、チック症を止めようと長く我慢をするとこの前駆衝動というものが強く出てしまうことがあります。
呼吸のコントロールもチック症を抑えるコツのようです。
チックの原因とは?
チック症は、親の育て方や本人の性格に問題があって発症するわけではありません。
最近の研究では、脳の働きを調整するドーパミンの働きが偏るとチック症が起こるのではないかと考えられています。
子どもの10人~20人に1人に発症すると言われており、決して珍しい症状ではないのです。
また、チック症は脳の体質と環境要因が合わさって出現することが多いようです。
ストレスや不安、緊張などの心理的要因が関係することもありますが、とくにきっかけもなくチック症が出たり、出なかったりすることもあります。
チック症の治療法は?
チック症は1年以内に自然に消える場合と、1年以上続く場合があります。
1年以上続く場合は持続性チックという診断がつくことが多いです。
症状が比較的軽度の場合はできるだけ身体的・心理的なストレスを減らす環境を整えますが、場合によっては精神療法や行動療法などを行います。
学校の先生や会社や友人など身近な人からの理解が得られれていれば治療は行われないこともあるのです。
身近な人にチック症が出るようになったら
本人は気付いていないのに、家族や友人が先に気付くケースもあります。
初期の段階ではあまりチック症に注意を向けないようにしましょう。
そして、本人の周りの環境について考えてみることをおすすめします。
心の負担になっているものがあれば取り除いてあげて、ゆっくりと過ごせる環境を整えることが大切です。
こちらの動画では、チック症が出てしまう子どもに、慌てずに対処する方法が紹介されています。
専門家への相談
誰の目にもチックが明らかになったら、専門医への相談が必要になります。
心療内科や精神科、メンタルクリニックで見てもらえるケースが多いので、受診してみましょう。
受診の際は、お子さんの場合は学校などともコンタクトを取り、いじめなどが起きないようにすることも大切です。
まとめ
チック症とは、目をぱちぱちさせる、首を動かすなどの行為を本人の意思と関係なく行ってしまう疾患のことを言い、日本では、発達障害の一種と数えらえれています。
そして、ストレスが原因で発症するチックは発達障害のADHDと併発する場合が多く、特にトゥレット症候群は高確率でADHDと併発していることがあるのです。
治療は、心療内科や精神科、メンタルクリニックで受けることが可能です。
チック症が気になる場合は、一度専門医を訪れてみることをおすすめします。
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