今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害は、空気が読めない?」についてです。
発達障害の中でも、ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害など)やADHD(注意欠陥・多動性障害)の方が、「空気が読めない」問題に直面することが多いようです。
そこには、障害の特性が関係しています。
このトピックでは、空気が読めない理由と改善方法について紹介します。
目次
空気が読めないのはなぜ?
場の雰囲気を感じることが苦手だったり、関心がなかったりと理由は様々です。
発達障害があるから、空気が読めないというわけではありません。
ASDとADHDに分けて、空気を読みづらくしている原因を探ってみましょう。
ASDの思考回路の特徴
- 他人に興味が湧かない
- 他人と関わろうとしない
- 思い込みで会話する
- 空気に過敏になることで関われない
4点あげてみましたが、最初の2点は子ども時代に起こりがちな思考です。
1人の空間を好む傾向や新しい環境に適応しづらい傾向があるため、どうしても他人との関わりが薄くなってしまいます。
成長するにつれ、他人と会話する機会が増えます。
そうなると、コミュニケーションを試みるのですが、上手くできずに内向的になり、周囲と距離を置いてしまうのです。
ADHDの思考回路の特徴
- 思いついたことを、話してしまう
- 無意識に会話に入ってしまう
ADHDの場合、思考が先行してしまい、場の空気を読むよりも先に、衝動的に言葉を発することがあります。
そのため、他人からは「空気が読めない」と感じられてしまいます。
しかし、本人は衝動的に出る言葉を抑えることが難しいため、コミュニケーションが難しいのです。
空気が読めない行動は、療育や訓練で改善
空気を読めるようにするには、どのような療育や訓練をすれば良いのでしょうか。
答えは、良い行動パターンを繰り返し学習することです。
コミュニケーション能力を高める訓練を、ソーシャルスキルトレーニング(SST)といいます。
コミュニケーション能力を高め、他人との関わりを円滑に行えるようになると、二次障害といわれる抑うつ状態やひきこもりなどが、回避できます。
発達障害とひきこもりの関係については、こちらを参考にしてください。
ソーシャルスキルトレーニングは、どこでできる?
- 自宅
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 就労・生活支援センター
- 就労移行支援事業所
- 精神科デイケア
未就学児から成人まで、SSTを受けられる施設が開設されています。
自宅は、専門的なSSTを受けた復習を行う場として最適です。ソーシャルスキルを親子で身につける本なども出版されているので参考にしてみてください。
上記以外にもSSTを訓練できる施設はありますが、発達障害と関係の深い施設をあげています。
アレッタでの活動は、子どもたちが自ら選択し、繰り返し学ぶ機会を提供し続けます。そうすると、最初はできなかったことでも、自分で考え行動できるように成長します。
自分でできたことで、自信を持つようになり、もっと自分で考え行動したくなるような仕組みを用意しています。
SSTを受けられる施設に通うには
18歳未満(特例20歳まで)の場合、障害児通所支援という制度を利用します。
この制度を利用するには、お住まいの市区町村にある役所や保健福祉センターで申請をして、受給者証を発行してもらう必要があります。
制度や申請方法がわからない場合、行きたい施設に直接問い合わせる方法や相談支援を行なっている事業所に申請を代行してもらうこともできます。
18歳以上の場合、障害福祉サービスの受給者証を取得します。こちらも、申請の流れは一緒です。
お住まいの地域によって、相談窓口の名称に違いがあるので、電話などで問い合わせてから必要なものを持参するほうがよいでしょう。
SSTの訓練内容
年齢や施設によって違いはありますが、聞く・話す・考えるがセットになっており、話しを聞いて、相づちを適切にすることや理解する能力を身につけます。
話すことで、自分の意見を他人にわかるように伝える訓練をします。
自分の聞き方や話し方で、他人を不快にさせていないか、自分の意思を上手く伝えられているかを考えることがセットです。
この作業には、指導者とマンツーマンで会話をして学ぶ機会と、複数人でディスカッションする実践があります。
子どもの場合は、遊びの中で自然に取り入れることも多いです。
ときには、絵カードや絵本を使って「この時は、何と言うと〇〇さんは笑顔になれますか?」など、クイズ形式で学習することもあります。
SSTで使用される絵カードの使い方と効果についての詳細は、コチラをごらんください。
まとめ
発達障害者が、全員空気が読めない人ではありません。
読みすぎて、コミュニケーションができないこともあります。
ソーシャルスキルを身につけるには、日頃の生活が重要です。
落ち着いて、話を聞ける環境を整えたり、自分の意見を考える時間を作ったりすることで、発達障害があっても、ソーシャルスキルを身につけ社会で生きる力をつけることができます。
すぐに身につくことではありませんが、長い目でみると改善が見込めるスキルです。
他人とのコミュニケーションが上手くいくと、自信にもなります。
そして、ひきこもりや抑うつ状態にもなりにくいでしょう。
発達障害で空気が読めず、友人関係が保てなかったり、社交性がないといった困りごとも、改善する見込みはあります。