今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害の人の社会性」についてです。
一般的な解釈として、社会性とは人と関わっていく為に必要なスキルです。
発達障害を抱えている人の中には、社会性が著しく身に付いていない人が一定数います。
なぜ社会性に乏しい発達障害者がいるのでしょうか?また、社会性はどうすれば身に付くものなのでしょうか?
今回は一部の発達障害者にはなぜ社会性が乏しいのか?という疑問を解明し、社会性を身に付ける工夫をお伝えします。
目次
発達障害者の中に社会性に乏しい人がいる原因
社会性が乏しい特徴を持つ発達障害は、ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)と考えるのが一般的でしょう。
なぜならASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)は、社会性が乏しくなる原因をいくつか抱えているからです。
本項では発達障害者を対象に、社会性が乏しくなる原因を4つに絞って解説していきます。
- 他人への関心が著しく薄い
- 空気が読めない
- 自分の考えを言葉で伝えるのに時間がかかる
- こだわりが強い
発達障害は大きく3つに分類され、その中の一つにASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)が存在します。
主にコミュニケーションに関する問題が発生しやすい特徴があります。
参考元:ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)|国立精神・神経医療研究センター
1.他人への関心が著しく薄い
発達障害の特徴には、「人に興味がない」というものがあります。
小さいころ抱っこをせがまなかったり、1人で遊ぶのが好きだったり、親がそばに居なくても平気だったり。自分だけの世界で十分、という感じでしょうか。
いつも誰かと一緒じゃないと何もできないよりは、いいかもしれません。ある意味精神的に自立しているいう見方もできるでしょう。
しかし誰かと生活したり一緒に勉強したりする際には、自分のしたい事だけして、自分だけのペースで行動する事はできませんよね。
2.空気が読めない
発達障害の方には、「空気を読めない」という特徴もあります。
それは相手の表情から感情を読み取ることが難しい、ということが関係しています。ちゃんと言葉で伝えないと理解できないことがあるということです。
「言わなくても分かるよね?」が通用しないという事です。
3.自分の考えを言葉で伝えるのに時間がかかる
「自分の考えを言葉で伝えるのに時間がかかる」というものがあります。
頭の中ではいろんな言葉が浮かんでいるのに、いざ話そうとすると言葉にならないという事があるのです。
また、言葉は聞き取れても、意味が分からない場合もあるようです。
コミュニケーションの基本は笑顔だと言われますが、ただただ笑っているだけではダメですよね。
自分の意思を伝えたり、相手を知るためには「言葉」で伝えなければなりません。
4.こだわりが強い
「こだわりが強い」という特徴もあげられます。
- いつも同じ服を着ていたい
- いつも同じ物を食べたい
- いつも同じ道を通りたい
- いつも同じ時間に、同じことをしたいなど
いつも同じルーティーンを守っていると安心するものの、いつも通りに出来ないとパニックになることもあります。
しかしいつも付き合わされると、お友達はきっと疲れてしまうでしょう。
他にも感情のコントロールが苦手だったり、時間の感覚が独特だったりという特徴もあります。
社会性が無いと困ることは?
社会性が無いと何が困るのでしょうか?次のような場面を考えてみてください。
- 行列のできる人気店に並んでいる時に、横から何も言わずに割り込みされた
- 自分が持っている本を急に持って行かれた
- 待ち合わせの場所に時間通りに来ないので連絡したら、「今日は気分が乗らないから行かない」と言われた
1~3のどの場面でも、「この人変わっているな」「空気読めないよね」「変な人」など、レッテルを貼られてしまう可能性があります。
人は一度レッテルを貼ると、距離を置いてしまいがちです。
発達障害者本人に悪気がなくても、社会で浮いた存在になる可能性が潜んでいます。
社会から浮いてしまうとますます孤立し、社会性を身に付く機会が失ってしまいます。ではどうすればいいのでしょうか?
社会性を身につける為にできること
発達障害だと社会性は全く身につけるられないのでしょうか?
どんな人でも社会性は身に着けられます。学び、経験を積むことによってです。
発達障害は「脳」の機能障害だと言われていますが、刺激を与えて鍛える事が出来るのです。では、どんなことができるでしょうか?
- 親にしかできない大事なこと
- SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)
この記事では2種類の方法をお伝えします。
1.親にしかできない大事なこと
社会の最小単位は、家族です。子供はそこで「社会性」を学びます。
手本を見せましょう
まずは自分が社会性を発揮しましょう。子供に人と上手に付き合ってほしいと思うのであれば、自分がそんな人になることです。
人と話すのは苦手ですか?ご近所さんと世間話するのは苦手ですか?
苦手な事を避け続けていたら、その姿を子供は見ています。そして、「自分もそうしたらいいんだ」と学んでしまうかもしれません。
もちろん無理は不要なので、出来る範囲で行ってみましょう。
発達障害児の子育ての4つのポイントをまとめた記事があるのでこちらも一緒にご覧ください。
人と触れ合う機会を作りましょう
「この子は大人しい性格だから。人と話すのが苦手だから。」だからといって、ずっと家で1人遊びをしていらどうでしょう。
同年代の子供や家族以外の人と接した機会がなければ、友達を作るのが大変になるかもしれません。小さいころから、少しずつ人と関わる機会を増やしてあげられるといいですね。
社会性やコミュニケーション能力を学ぶには、経験することが一番の近道です。
例えば発達障害児にスポーツを習わせるなどして、人と関わる機会を増やすのも有効でしょう。
SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)
皆さんは、SSTをご存じでしょうか?ソーシャル・スキル・トレーニングの略です。
ソーシャル・スキル・トレーニング(SST):発達障害者が集団生活を送る上で必要なノウハウを身につけるための支援。
発達障害者支援施策の概要|厚労省
ソーシャル、つまり社会で生活するのに必要なスキルという事です。
対人関係を中心としたソーシャルスキルの他に、近年では教育関連・就労支援関連など、さまざまな場所で実施されています。
SST学ぶメリット
SSTを学ぶメリットとして以下のようなことが挙げられます。
- 集団生活になじめる
- 他人の気持ちを察することができる
- 自分の気持ちを伝えることができる
- 感情のコントロールができる
発達障害の子供にはこれら4つのことが上手くできず、誤解されがちです。しかしトレーニングを学ぶことでうまく社会性を身に付けることができます。
どこで受けられる?
SSTは以下のような施設で実施されています。
- 精神科の医療機関
- デイサービス
- 障害者就業、生活支援センター
- 保健所など
SSTを学んでみたいけど、どのように伝えたらいいか戸惑うこともあると思います。
そんな時は、医療機関や障害就労・生活支援センター、デイサービス、保健所などで実施されていますので、かかりつけのお医者様などに相談してみると紹介してもらえるかもしれません。
SSTは資格のある専門家のみが行うわけではないようです。自宅で行うこともできます。
小さいときは何かあったら、その時に説明し教えるほうが効果的だと言えます。あとで教えようと思っても、その時の気持ちや出来事の記憶が薄れてしまうからです。
多くの教材はネットでも購入できるので、自宅で親子がリラックスした状態で利用してみると効果がでるかもしれません。
どんなことをするの?
マンツーマンで行う事もあれば、グループで行う事もあるようです。
「こんな時はどうしたらいいかな?」「お友達になにを言えばいいかな?」など具体的な場面設定で、対処する方法を学べます。
また感情をコントロールするのが難しい子には、どうしたらコントロール出来るのかを訓練するプログラムもあるみたいです。
いずれにしても、子供が楽しく学べるようにプログラムされています。
ソーシャルスキルトレーニングはある程度大きくなってからでもやりやすいので、参考になさってください。
放課後等児童デイサービスもおすすめ
放課後等デイサービス・アレッタでは、心身に障害のある小学校1年生〜高校3年生までの児童を対象にサービスを提供しています。
「朝起きられないのは発達障害のせい?」「嘘つくのは発達障害が影響している?」等、さまざまな疑問を取り上げています。
まとめ
完全な社会性を身につけた人って、きっといません。みんな誰かに失礼な事をしたり、言ったりしていると思います。
その時に気づいて「次はこうしよう」と思えるなら、その失敗を少しずつ減らしていく事ができます。
ストレスの原因にもなり、幸せの原因にもなる。いくつになっても人間関係って難しいですよね。
周りの人と笑顔で楽しく生活できるように、社会性のスキルを磨いていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。