チック症とは、精神疾患の一つです。
疾患分類は、チック症群・チック障害群です。
アメリカ精神医学会のマニュアル「DSM-5」で、チック症は「突発的、急速、繰り返される不規則な運動もしくは発声」と定義されています。
チック症は、3~4歳頃の幼児期に始まり、7~8歳の学童期に多く症状がみられます。
ただ、大人になるにつれて自然と症状が治癒する傾向にあります。
目次
チック症の分類
チック症は動作の種類や持続時間によって、4つに分類することができます。
動作の種類によって「音声チック」と「運動チック」に分けられ、持続時間によって「単純性チック」「複雑性チック」に細分化されます。
音声チック
音声チックで最も多く見られるのは咳払いの症状です。
他に、単純な音声、複雑な発声、汚言、卑猥な言葉などが見られます。
奇声や汚言は一際目立つ要因となるため、他者の目が気になって外出を避けるようになることがあります。
運動チック
運動チックは身体の動きのことを指します。
まばたきなど、一見癖に見えるものも多いのが特徴です。
ただ、顔や肩の動きなど目立ちやすいものや手のチックなどは、文字を書く上で支障をきたしたりと、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
単純チック
1秒未満など瞬間的に突然起こる、明らかに無意味な動作のことです。
複雑チック
単純チックよりも動きが遅く、意味が見られたり周囲や環境に反応して起こる動作のことです。
では、これらを踏まえた上で、より細分化してチック症の症状に迫ります。
単純性音声チック
主な症状は「咳払い」「鼻鳴らし」「唸り」です。横隔膜や中咽頭筋の収縮で引き起こされます。
複雑性音声チック
主な症状は音声の繰り返しである「同語反復」、最後に聞いた言葉を繰り返す「同響言語」、わいせつな言葉や民族的、人種的、宗教的中傷などの含まれる「苦言」です。
単純性運動チック
主な症状は「まばたき」「肩すくめ」「四肢の伸展」です。
複雑性運動チック
主な症状は性的または卑猥な身振りなどの見られる「汚行」や、他者の運動の真似をする「同響動作」です。
チック症が引き起こされる要因
チック症の要因は、厳密に特定されていません。
ただ、身体的要因と環境的要因が影響を及ぼしあっていることはわかっています。
身体的要因
身体的要因に含まれる遺伝的要因と生理学的要因は、チック症が引き起こされる確率と重症度合いに大きく関係しています。
具体的には、低出生体重や妊娠中の喫煙などが挙げられます。
環境要因
落ち着いていられるような環境や集中している場合には、症状は安定する傾向にあります。
一方、不安や興奮、激しい疲労などによってチック症は悪化します。
このことから、ストレスを伴う環境下においてはチック症が引き起こされやすいということができます。
チック症に見られる合併症
チック症にはしばしば合併症が見られます。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)や強迫性障害などは、その代表的なものです。
40%以上に合併症としてADHDが見られるとされ、学習障害が見られる場合もあります。