チック症の4つの診断分類

アメリカ精神医学会のマニュアル「DSM-5」では、チック症の診断は5つに分けることができます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。

トゥレット症/トゥレット障害

・多様な運動チック、一つ以上の運動チックの両方が、同時でなくとも見られる
・チックの頻度が増減する
・最初にチックが始まって一年以上持続している

これらの基準に当てはまる場合、トゥレット症/トゥレット障害と診断されます。

持続性(慢性)運動または音声チック症/持続性(慢性)運動または音声チック障害

・トゥレット症/トゥレット障害に当てはまらない
・1種類または多様な運動チック、または音声チックが存在した
・運動チックと音声チックが同時に見られない
・チックの頻度が増減する
・最初にチックが始まって一年以上持続している

これらの基準に当てはまる場合、持続性(慢性)運動または音声チック症/持続性(慢性)運動または音声チック障害と診断されます。
ここに該当する場合には、運動チックか音声チックのどちらかを特定する必要があります。

暫定的チック症/暫定的チック障害

・トゥレット症/トゥレット障害・持続性(慢性)運動または音声チック症/持続性(慢性)運動または音声チック障害に当てはまらない
・1種類または多様な運動チック、または音声チックが存在した
・運動チックと音声チックが同時に見られない
・チックの持続期間は始まってから一年未満

これらの基準に当てはまる場合、暫定的チック症/暫定的チック障害と診断されます。

他の特定されるおよび特定不能のチック症群

チック症または精神発達症の診断分類の中で、どの基準にも当てはまらない場合、他の特定されるおよび特定不能のチック症群に分類されます。

他の特定されるチック症

臨床家がチック症または特定の神経発達症の基準を満たさない特定の理由を伝える場合

特定不能のチック症

臨床家がチック症または特定の神経発達症の基準を満たさない理由を特定しない場合及び特定の診断を下す上で十分な情報がない場合

特定不能のチック症/特定不能のチック障害

チック症と考えられるものの、チック症または神経発達症の診断基準をいずれも満たさない場合に診断されるのが特定不能のチック症/特定不能のチック障害です。

共通する診断基準について

なお、トゥレット症/トゥレット障害、持続性(慢性)運動または音声チック症/持続性(慢性)運動または音声チック障害、暫定的チック症/暫定的チック障害、他の特定されるおよび特定不能のチック症群の四つには、以下の共通する診断基準があります。

・発症が18歳以前である
・物質による生理学的作用または他の医学的疾患によるものではない
・一度診断された階層レベルのチック症より下位の階層レベルの診断がなされることはない

これらは他の特定されるおよび特定不能のチック症群に共通するものではありません。