今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害ASD」についてです。

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みなさんは発達障害のひとつであるASDの特性についてご存知ですか?
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浩二
発達障害のひとつであることはわかっても、具体的な特性は理解していない方が多いかもしれないですね。
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静江
ASDは社会におけるコミュニケーションを苦手とするため、ご本人だけではなく周りの理解を得ることがとても大切なんです。

今回は発達障害の種類のひとつであるASD(自閉スペクトラム症)の特性についてお伝えします。得意なことや不得意なことをしっかり理解して、ASDと上手につきあう方法をみつけていきましょう。

ASDの特性とは?

ASDの方は対人関係やこだわりの強さが特徴的であるといわれていますが、具体的にはどのような特性がみられるのでしょうか。

個人差はありますが、一般的には次のような特性がみられます。

ASDの特性

【良い側面】
・興味があることへの集中力が高い
・興味があることに関する記憶力が優れている
・規範意識が高い
・几帳面である
・口頭よりイラストや文字の方が理解しやすい
・黙々とひとりで作業に没頭する

【悪い側面】
・コミュニケーションがとりづらい
・視線があわない
・表情がとぼしい
・呼ばれても反応しない
・人見知りをしない
・親の後追いをしない
・ひとりごとが多い
・おうむ返しをする
・ひとり遊びが多い
・さわられるのを嫌がる
・食べ物の好き嫌いが激しい
・こだわりが強い
・感覚が過敏
・予定どおりでないとパニックになる
・空気が読めない

参照:こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」

実際にASDの当事者は、次のようにつぶやいています。

ASDによりコミュニケーションに難があるという例です。他人の気持ちを理解することが難しいと感じるとのことです。

このように、ASDの方は人とのコミュニケーションの場でうまくいかないことが多く、学校生活や社会生活に支障をきたすことがあります。

反対に、興味があることへの集中力が高く、ひとりで黙々と作業に没頭することがあります。

特性の中にも良い面と悪い面があり、両方の側面を総合的に理解することが大切です。

では、このような特性をふまえ、ASDと上手に付き合うためにはどのようにしたらよいでしょうか。

ASDとの上手なつきあい方について、くわしくみていきましょう。

ASDとの上手なつきあい方

ASDと上手につきあうためには、特性をふまえて「得意なこと」と「苦手なこと」を把握することが大切です。

ASDは脳の機能の障害のため、苦手なことを完全に克服することは困難な場合が多いです。

そのため、苦手の克服に力を注ぐのではなく、得意なことを活かしてカバーすることが、ASDとの上手なつきあい方といえます。

ASDの方の得意なことと苦手なことは、次のとおりです。

ASDの方の得意なこと

・興味のあることへの集中力を持続すること
・興味のあることを記憶すること
・ひとりで黙々と作業すること
・几帳面であること
・具体的なルールを守ること
・イラストや文字を見て理解すること

ASDの方の不得意なこと

・空気を読むこと
・臨機応変に対応すること
・スケジュール管理をすること
・口頭での説明を理解すること
・暗黙の了解を理解すること
・人と親密な関係を築くこと
・円滑なコミュニケーション
・集団行動をすること
・自分の体調を把握すること

参照:こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」

こちらは、ASDと上手につきあうための対策について紹介した動画です。ぜひご覧ください。

ASDの方が周りとの関係を良好に保つための秘訣について語っている動画です。

このように、ASDの方は個人差はあるものの、得意なことと不得意なことがはっきりしています。

集団の中でコミュニケーションをとることが不得意ですが、ひとりで黙々と作業をすることが得意です。

得意なことと不得意なことをしっかりと理解することは、将来仕事を選ぶ際にも非常に大切なことです。

では、そもそもASDとはどのような発達障害でしょうか。ASDについてくわしくみていきましょう。

ASDとは

ASDとはAutism Spectrum Disorderの略で、自閉スペクトラム症とも呼ばれている、発達障害の一種です。

かつては「アスペルガー症候群」や「特定不能の広汎性発達障害」などに分類されていましたが、共通した特性がみられることから、自閉スペクトラム症に統一されました。

こどもの約20~50人に1人がASDと診断されるといわれており、早ければ乳幼児の一歳半健診でASDの可能性を指摘されることがあります。

男性に多く、女性の約2〜4倍がASDと診断されているという報告もあります。

参照:こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」

ASD以外の発達障害(ADHDとLD)については下の記事をご覧ください。

このように、ASDはクラスにひとりくらいの高い割合で診断される可能性があります。

発達障害の当事者だけでなく、周りの人もASDについて理解しておくことは大切なことです。

では、具体的な治療方法はあるのでしょうか。ASDの原因と治療についてくわしくみていきましょう。

ASDの原因と治療

ASDの原因

ASDの原因は、生まれつき生じる脳の機能の障害によるものであると考えられています。

遺伝的な要因や妊娠中の影響など、多くの要因が複雑に関与している可能性が考えられますが、明確な原因は特定されていません

ただし、あくまで生まれもった性質であるため、親御さんの育て方が原因ではありません

ASDの治療

ASDそのものの治療方法は、残念ながら現在のところまだ発見されていません

しかし、個々の状況にあわせた対応をとることで、その症状をおさえることは可能です。また、かんしゃくや多動など、症状によってはで軽減する場合もあります。

大切なことは、ご本人だけではなく周りも一体となってASDへの理解を深めることです。ASDへの理解を深めることで、ASDとの上手なつきあい方が見えてくる可能性があります。

参照:e-ヘルスネット(厚生労働省)

では、もしもASDへの理解が足りなかった場合、どのような問題が起こるのでしょうか。

ASDの影響で起こる可能性のある二次障害についてくわしくみていきましょう。

ASDの二次障害

ASDの二次障害とは、ASDの症状により身体面や精神面、社会面で問題が生じることをいいます。

具体的には次のような障害が考えられます。

ASDの二次障害

【身体面】
・頭痛
・腹痛
・食欲不振
・チックなど

【精神面】
・不安
・うつ
・緊張
・興奮しやすくなるなど

【社会面】
・周囲の理解を得られない
・失敗をくりかえす
・いじめにあう
・不登校やひきこもりになる
・暴言や暴力をふるう
・自傷行為をする

参照:こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」

このように、ASDの症状により周りとのコミュニケーションがうまくいかず、二次障害が発生する場合があります。

二次障害は心身ともに症状があらわれ、とても深刻な事態に発展する可能性もあります。

これを防ぐためには、ご本人だけではなく周りの人も一体となってASDについての理解を深める必要があります。

では、ASDについての理解を深めるためには、どのようにしたらよいでしょうか。

ASDを理解する上で参考になる本を紹介します。

ASDについての理解が深まる書籍

自閉症スペクトラムがよくわかる本

こちらは、ASDについての基礎知識や対応方法が手にとるようにわかる本です。

幼児期から成人期までのポイントをわかりやすく紹介しています。

ASDのご本人にはもちろん、発達が気になるお子さんがいる保護者の方にもオススメの一冊です。

出版社:講談社

著者:本田 秀夫

価格:1,540円(2020年12月現在)

良い口コミ

・自分の取扱説明書かのようにわかりやすいです
・イラストが多くてわかりやすく、とても読みやすいです
・自閉症スペクトラムについての情報がたくさんつまっていました

悪い口コミ

・支援や治療については、机上の理想論でした
・ある程度理解のある人には、不要な本です

参照:楽天ブックスAmazon

自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体

こちらは、すでに紹介した本の著者と同じ本田医師(精神科医・医学博士)が、ASDの方が抱えやすい「生きづらさ」に焦点を当てて、その原因を解明している本です。

ASDの早期発見から療育や支援のあり方まで、さまざまな角度から解説しています。

ASDの方にかかわるすべての方にとって得るものがある一冊です。

出版社:SBクリエイティブ 

著者:本田秀夫

価格:803円(2020年12月現在)

良い口コミ

・実体験として思い当たるものばかりで、信ぴょう性の高い本だと思いました
・当事者に寄り添った内容で、とても勇気づけられました
・職場や学校で周りの人にも読んでもらいたい一冊です

悪い口コミ

・説明がわかりにくく、入門書にはオススメできません
・深く悩んでいる自分が読んでも役に立たない内容でした

参照:楽天ブックスAmazon

ASDに関連した本はこの他にもたくさんあります。

ASDの方が日常生活を送りやすくするためには、周りの方のASDへの理解を得ることがとても大切です。

ASDの当事者だけでなく、ご家族や支援者や周りの方も、ASDへの理解を深めるために、ぜひ、読みやすいと感じる一冊を見つけてみてください。

ASDの方に適性のある職業

ASDの特性について理解したところで、ASDの方に適性のある職業について考えていきましょう。

不得意なことをする必要がなく、得意なことが活かせる職業とは何があるでしょうか。

一般的には次のような職業に向き不向きがあるといわれています。

ASDの方に向いている職業

・プログラマー
・エンジニア
・技術職
・研究者
・デザイナー
・経理・財務
・人事
・法務
・工場でのライン作業
・清掃業務
・ライター
・校正・校閲

ASDの方に向いていない職業

・接客業
・窓口応対
・営業職
・教師
・電話オペレーター
・マルチタスク能力が必要な職業

ASDの方に適している職業を具体的に5つ紹介した動画です。不得意なことを避け、得意なことを活かした職業が紹介されています。

このように、不得意なこと(他人とのコミュニケーション)をする必要がなく、得意なこと(高い集中力、高い規範意識など)を活かせる仕事が適していると考えられます。

得意なことや不得意なことには個人差がありますので、ぜひご自身の得意なことや不得意なことをリストアップして、ご自身にとっての適職とは何かを考えてみてください。

自分に適した職業につくことは、自信を得ることにもつながり、その先の人生がより豊かなものになるかもしれません。

まとめ

今回は、発達障害のひとつであるASDの特性と上手なつきあい方についてお伝えしました。

人とかかわる場面で困難が生じやすいASDですが、その特性を知ることによって上手につきあうことができるかもしれません。

現在ASDにより悩みを抱えている方は、一度ご自身の「得意なこと」と「不得意なこと」をできるだけ具体的に書き出してみてください。

これから先の人生において、ASDと上手につきあっていくための重要なヒントが隠されているかもしれません。

そして、ASDの方とかかわる周りの方もASDの特性をよく理解し、コミュニケーションの場面でご本人が困らないよう、適切な支援をしていきましょう。