今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害と呼ばないで」についてです
Amazon こどもの医学部門289位(2022年11月)、初版から10年経った今でも「希望が持てた」「疑問が全て氷解した」「発達障害ではなかった」「改善が見られた」と高評価レビューが寄せられる書籍の紹介です。
発達障害は生まれつきの特性で治らない
と言われて長年悩んできた方にはぜひ読むことをおすすめしたいのですが
少数ながら「母親を追い詰めてどうする?」「偏見」との声もあるので買ってから後悔したくありませんよね。
あなたが読んで「希望が持てた」と思えそうか、この記事で判断してみてください。
目次
書籍「発達障害と呼ばないで」内容紹介
なぜ発達障害と診断される人が増加しているのか、発達障害と似て非なる愛着障害にはどんな対処が効果的なのかを実例や著名人のエピソードを交えながら解説した書籍です。
著者の岡田先生は精神科医で、現在も沢山の方の相談に乗っており、執筆活動も続けておられます。
愛着障害に関する著書も多く、こちらの本もどちらかといえば発達障害というより愛着障害の本だったというレビューもよせられていました。
まず百聞は一見に如かずということで、試し読みできるサイトをご紹介します。
基本情報
著者 | 岡田尊司 |
発売日 | 2012/7/28 |
出版社 | 幻冬舎 (2012/7/28) |
価格 | 880円(税込み)、電子版836円(税込み) |
ページ数 | 266ページ |
103人が共感!一番役に立ったカスタマーレビューをご紹介
「発達障害と呼ばないで」Amazonカスタマーレビューの中で、役に立った数の多いコメントをご紹介します。
「障害」という表現によって、多くの子どもたちが最初から強烈な劣等感を植え付けられている。これでは、自己肯定感など育つはずがない。(中略)
これからは愛情に飢えた子どもたちや、非定型発達の子どもたちを、「発達障害」と呼ばないで欲しいと思う。それこそが、著者の願っていることではないだろうか。
引用:Amazon商品紹介2012年8月19日・齊藤祐作さんのレビューより一部抜粋
高評価レビュー
70%の人が読んで納得!良書だ!とコメントしています。
読むべき!と強く推薦しているのは今まで多くの発達障害(と呼ばれている非定型発達)児と接してきた心理士・児童福祉士・教育関係の方、自分の発達障害で長年悩みを抱えてきた方でした。
筆者が全95件のレビューを読んだ感想としては、診断結果を俯瞰して冷静な視点で受け止める方の納得が多いように感じました。
・共働きや虐待件数が年々増加している点と、愛情不足の子が増えている点が一致していて納得
・タブーとされていたが、発達障害には親の愛情が関係していると真実を伝えてくれている
・愛情に飢えた子、非定型発達の子を障害と呼ばないでという主張は納得できる
・過剰診断により安易な薬物療法に結びやすい現状に警鐘を鳴らしている点が共感できる
低評価レビュー
低評価は少数でしたが、責められている、無力感、詐欺だ等見過ごせない意見ばかりでした。
著者が男性だからというわけでは無いかもしれませんが、母乳神話・女性が子どもを保育園に預けて働きに出ることは決して母親の意志だけではなく、体調や家庭の事情など様々な解決しがたい理由があり、ベストよりベターな判断だった可能性もあります。
他人に介入されたくない問題なだけに辛辣なコメントも印象的でした。
・既に愛情の問題を抱えている養育者が、提案する養育スタイルに易々と変えるとは思えない
・愛着を結ぶ為の話の中で母乳神話を持ちだすのはデリカシーに欠けていると感じた
・十分な愛情と忍耐をもって子育てしていると思っている人には無力感を与えるだけだ
・発達障害の記述が少なくタイトル詐欺ではないかと感じた
後半で、母親だけのせいにしてはいけないとも記述されているだけに…
次に、発達障害と似て非なる愛着障害なら改善できるといわれる根拠についてお伝えします
今からでも遅くない!愛着障害は克服できる
発達障害と診断される人が増えている背景には
・診断を受ける人が増えている
・自閉症スペクトラム、ADHDスペクトラム等(診断名が付くほどではない・介助の必要性はあまりないとの判断)の疑いがある程度の状態も発達障害のくくりに含められるようになった
・特性が似ているが原因の違う「愛着障害」が誤って「発達障害」と診断されている
ことが要因ではないかと岡田先生は述べています。
診断の難しい「発達障害」と「愛着障害」について、最大の違いである「愛着障害」であれば改善できる点についてを短くまとめました。
生まれつきの発達障害、後天性の愛着障害
発達障害は生まれつきの脳の発性ですが、愛着障害は生まれてから対人関係が原因で問題が生じる状態です
幼少期に養育者や特定の人と十分な愛着を結べなくても、後から結びなおせれば、人を恐れるといった症状も緩和することが可能です。
↓発達障害と愛着障害の相違点についてはこちらの記事も参考にどうぞ
愛着障害を克服するには「安全基地」が必要
著書の第三章「愛着スタイルは第二の遺伝子」に出てくる用語「安全基地」
愛着を深め、愛着障害を克服するカギとなるのが「安全基地」です。
安全基地とは、いざというとき頼れる、守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所、心の支えとすることのできる存在である。対人関係において、その人が安心できる人のことである。(中略)安全基地とは自分という存在が無条件に受け入れられる場所なのである。(中略)自分が大切にされることで、自分を大切にできるようになるのである。
引用:愛着こう愛着障害の克服方法は?「安全基地」を持ち自身の「認知」を変えること一部抜粋
↓愛着障害は2つに分類されますが、どちらも種類の克服にも「安全基地」が必要です。
「発達障害と呼ばないで」著者が一番伝えたいこととは
円滑にコミュニケーションがとれない・発語が遅い・とにかく落ち着きがない等の状態であっても、発達検査を強要されるようなことはありません。
自らの意思でもないのに診断されて、あなたは「○○障害疑い」と言い渡されることがこれからの可能性を子どもから奪ってしまうネガティブな十字架になっていないか?
「障害」とひとくくりにするのではなく、タイプが違うそれぞれの特性と捉えて
それが生かされる働きかけをするべきと、前書き(はじめに)部分で岡田先生は述べています。
「○○障害疑い」はネガティブな十字架?
診断を受け障害者手帳を交付されると受けられるサポートやサービスもあるのでそちらは上手に活用していきたいところです。
サポート(一部抜粋) | 療育や就労支援 |
サービス(一部抜粋) | 駐車場や公共施設の割り引き |
ですが「発達障害(疑い含む)」と診断されたばかりに
・「出来ないことは生まれつきの障害のせい」とすぐに諦めてしまったり
・「周囲に迷惑かけたくない」と新しいことへのチャレンジをためらってしまうようでは
診断を受けることがかえって重荷となることも…
捉え方はそれぞれですが、幼少期に発達検査を受けるメリット・デメリットをまとめました。
・発達の特性や得意不得意が分かると、その子にあった声掛けができる
・発達や知能の遅れを補う療育が受けられる(対象は未就学児まで)
・養育者が不安を一人で抱え込まなくてすむ
・感覚過敏や見通しが立たない等、子どもが不安に思うことを排除する働きかけが出来る
↓養育者へのヒアリング、おもちゃで遊ぶ様子の観察、試験官と一緒にパズルやクイズで遊んでいる感覚で受けられる検査を用いて診断します。詳しくはこちらの記事も参考にどうぞ
・生まれつきの発達障害なのか、養育環境が原因の愛着障害なのか判断が難しい
・周囲に迷惑をかけぬよう、子どもにいろいろなことをチャレンジさせにくい
・昔の価値観が捨てられない人から、養育者の育て方が悪かったと責められる可能性がある
ASD(自閉スペクトラム、旧自閉症)を語るうえで「歴史の汚点」と呼ぶべき男が存在します。(中略)冷蔵庫マザー理論とは「親の教育が悪いからASDになる」という主旨で、ASD児の親が孤独に泣き寝入りすることを推奨する間違ったロジックです。勿論現代の心理職でこれを信じる人間はまずいません。
引用:障害者.comASD世界史「冷蔵庫マザー理論の一生」~「親の教育が悪いからASDになる」
抱き癖はつかない!安心して愛着関係を築こう
幼少期の抱っこは愛着形成の基本です。ところが、過去の育児書の影響で今でも「抱き癖が付くから、赤ちゃんが泣いてもすぐに抱き上げてはいけない」と信じている人も一定数います。
・抱っこで愛着が安定することでもたらされる効果(愛着が果たす役割)
・愛着が安定しないまま成長して感じる生きづらさ(愛着が安定していないと…)
・「抱き癖」の根拠をまとめました。
・良好な対人関係
・幸福な家庭生活
・社会生活での成功
よく抱っこされた子どもは強くたくましく育つと岡田先生は述べています。
・人に気を使いすぎる
・自分をさらけ出すことに臆病になる
・人との交流を心から楽しめない
・相手に合わせすぎる
・諦め癖、何事にも本気に取り組めない
・拒否されることに敏感になる
・損だとわかっていても意地を張ってしまう
愛着が安定しないことの弊害は大人になっても解消されにくく、不安定な心理状態から犯罪に手を染めてしまう人もいます。
「抱き癖」の根拠ではないか?と言われているのが、第二次大戦後にアメリカの小児科医ベンジャミン・スポック氏が執筆した「スポッツ博士の育児書」です。
「自立を促すため泣いても抱っこせず泣かせなさい」「母乳と抱っこに頼りすぎると大人になってから自立が難しい」これによりスキンシップ不足となり愛着障害になりやすくサイレントベビーが増えたと言われている。
引用:ウィキペディア「スポック博士の育児書」より一部抜粋
↓抱っこやハグのスキンシップ・声掛けは安定した愛着を築く為にはかかせません
まとめ
・書籍「発達障害と呼ばないで」の評価は賛否両論だった。発達を障害と似て非なる愛着障害なら改善できるると書いた箇所・定型発達以外の子どもを「障害」と呼ばないでと訴える箇所に高評価が集まった。
・著者は「愛着障害の問題をすべて母親のせいにしてはいけない」と擁護もしているのだが、今から10年以上前に執筆されていたからかジェンダーの配慮に欠けていて、不安を助長する内容とらえた人が低評価をつけていた。又、発達障害の記述が少ないのでタイトル詐欺と感じた人もいた。
・愛着障害の克服には、自分を無条件に受け入れてくれる場所「安全基地」が必要だった。
・著者がこの本で伝えたかったメッセージは、非定型発達をなんでもひとくくりに「発達障害と呼ばないで」ということ。障害と分けるのではなく、「異なったそれぞれの特性ととらえ、それが生かされる働きかけをすることが大切だ」ということ。
本日は書籍「発達障害と呼ばないで」を紹介しました。最後までお読みいただきありがとうございました。