今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「子供発達障害テスト」についてです。

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静江
日々の生活をとおして、「うちの子供は発達障害かもしれない。」と心配している親御さんはたくさんいらっしゃいます。
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浩二
発達障害の可能性を感じても、なかなか専門機関には相談しづらいという方もいらっしゃるかもしれませんね。
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静江
専門機関でどんなテストを行っているのか内容がわかれば、一歩ふみだす勇気がわくかもしれませんね。

今回は子供の発達障害の可能性を確かめる診断テストについてお伝えします。

専門機関に相談する場合、どのようなテストをするのかをあらかじめ知っておくことで、相談するための心構えができるかもしれません。

発達障害は早期発見が重要なので、ぜひ、一歩をふみだしてみてください。

子供の発達障害の可能性を確認する診断テスト

発達障害かどうかを確かめる診断テストの内容は、検査だけではなく、問診や面接などをとおしてお子さんの様子を確認することが重要な項目です。

専門機関で行われる発達障害の診断テストの内容は次のとおりです。

子供の発達障害の診断テスト内容

【問診】
お子さんが生まれてから現在までの成長の様子や日常の行動、他の障害の有無などについて、母子手帳などの情報を参考にしながら保護者に聞き取りを行います。

【面接・行動観察】
質問に回答できるお子さんは、面接を行います。面接が難しいお子さんの場合は、スタッフと遊ぶ様子や言葉、視線、反応などを観察します。

【検査】
心理士によってさまざまな検査(知能、発達、脳波、血液など)を実施します。

このように、発達障害かどうかを診断するためには、さまざまな工程が必要です。

これらの情報により医師が総合的に判断を行いますが、一度の診察では判断ができずに、繰り返し経過観察が必要となる場合もあります

正式な診断までに数ヶ月を要する場合もあるので、少しでも可能性を感じたら早めに専門機関に相談することが大切です。

参照:こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」

では、「検査」とは具体的にどのような内容なのでしょうか。

くわしくみていきましょう。

発達障害の検査

発達障害かどうかを診断するためには、いくつかの検査が実施されます。

どの検査を実施するかはお子さんの状況により異なります。

では、知能検査と発達検査の中で代表的なものをいくつかみていきましょう。

知能検査

WISC-IV知能検査

WISC-IVは、5歳0カ月~16歳11カ月の子供を対象とした児童用知能検査です。

多くの機関が取り入れており、世界中で広く利用されています

WISC-IVの特徴は次のとおりです。

WISC-IVの特徴

・実施時間は60〜90分
・全15個の下位検査(基本検査:10、補助検査:5)で構成
・4つの指標(言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度)とIQ(知能指数)が数値化される
・プロセスに関する得点も算出され、詳細な分析が可能
・子供の知的発達の様相を多面的に把握することが可能

参照: 株式会社日本文化科学社

こちらはWISC検査の概要についてくわしく説明した動画です。

田中ビネー知能検査Ⅴ

田中ビネー知能検査Ⅴは、2歳〜成人までを対象とした知能検査です。

日本人の文化や生活様式に即し、実生活において馴染みの深い内容なので、スムーズに検査に溶け込むことができます。

田中ビネー知能検査Ⅴの特徴は次のとおりです。

田中ビネー知能検査Ⅴの特徴

・実施時間は30〜60分
・担当者と1対1で実施
・問題をジェスチャーで示し、動作で応える形式
・年齢に応じて問題がわけられている
・時代に即して内容を改定している
・「方向性」「目的性」「自己批判性」の3つの要素が一般知能において重要な要素としている
・分析的な視点とトータルな視点をもちあわせている

参照:田研出版株式会社

就学児版の田中ビネー知能検査Vについての書籍を紹介します。

「就学児版田中ビネー知能検査Vマニュアル」

出版社:田研出版 

著者:中村淳子 他

価格:5,500円(2020年12月現在)

参照:楽天ブックスAmazon

発達検査

新版K式発達検査

新版K式発達検査は、生後100日頃〜成人までを対象とした発達検査です。

発達の状態について観察を行い、精神発達のさまざまな側面についての遅れやバランスなど全体像をとらえるための検査です。

新版K式発達検査の特徴は次のとおりです。

新版K式発達検査の特徴

・実施時間は15〜60分
・担当者と1対1で実施
・担当者と子供が机の角のとなりあった部分に座る
・「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3領域について評価する
・遊んでいるような感覚でできる内容

参照:独立行政法人国立特別支援教育総合研究所

新版K式発達検査に関する書籍を紹介します。

「発達相談と新版K式発達検査 子ども・家族支援に役立つ知恵と工夫」

出版社:明石書店

著者:大島剛 他

価格:2,640円(2020年12月現在)

参照:楽天ブックスAmazon

新版K式発達検査に関する動画も紹介します。

こちらは新版K式発達検査の概要についてくわしく説明した動画です。

乳幼児精神発達診断法

乳幼児精神発達診断法は、0歳〜7歳までを対象とした発達検査です。

乳幼児健診や保育機関、教育機関などさまざまな場所で広く利用されています

乳幼児精神発達診断法の特徴は次のとおりです。

乳幼児精神発達診断法の特徴

・実施時間は20分程度
・日常の様子を観察している保護者や保育者が質問にこたえることにより実施
・特別な用具を必要とせずどこでも実施できるため、普段の様子を反映することができる
・「運動」「探索」「社会」「生活習慣」「言語」の5つの領域で構成されている
・年齢により3つの段階にわけて異なる内容で実施

参照:独立行政法人国立特別支援教育総合研究所

乳幼児精神発達診断法に関する書籍を紹介します。

「乳幼児精神発達診断法 0才〜3才まで」

出版社:大日本図書

著者:津守 真、稲毛 教子

価格:2,456円(2020年12月現在)

3才〜7才までを対象としたものはこちらです。

「乳幼児精神発達診断法 3才〜7才まで」

出版社:大日本図書

著者:津守真、磯部景子

価格:2,200円(2020年12月現在)

参照:楽天ブックスAmazon

このように、子供の発達障害の可能性をテストするためには、さまざまな検査が実施されています。

どの検査を利用するかどうかは、対象となるお子さんの状況や実施者の判断により異なります。

では、検査を含めさまざまなテストを実施した結果、医師により発達障害であると診断された場合、どのように対応したらよいのでしょうか。

とるべき対応についてくわしくみていきましょう。

子供が発達障害と診断された場合の対応

お子さんが発達障害であると診断された場合、その特性にあわせた対応をすることによって、日常生活を過ごしやすくすることができるかもしれません。

それぞれの種類ごとのポイントについてくわしくみていきましょう。

ASD(自閉スペクトラム症)への対応

ASD(自閉スペクトラム症)への対応のポイント

・得意なことと苦手なことを理解する。
・得意なことを着実にこなし、自己肯定感や自信を育む
・苦手なことは無理をさせず、周りの理解が得られるよう伝えておく
・家庭は社会での決まりごとをルールとして明確に示す
・突然の予定変更を避ける
・必要な情報は、写真やイラスト、文字などを使って見える化する
・時系列にした一連の行動をイラストなどにして壁に貼っておく
・感覚が過敏な場合は、その症状にあわせて刺激となるものを排除する

参照:こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」

このように、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、得意なことと苦手なことを理解して対応をすることで、自信を育むことにつながります

決められたルールを守ることが得意なので、必要な情報を先回りして準備をすることで、安心して日々を過ごすことができます。

また、視覚や聴覚など、感覚が過敏な場合があるので、刺激となるものはできるだけ排除できるように工夫しましょう。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)への対応

ADHD(注意欠陥・多動性障害)への対応のポイント

・不要なものを視界から覗き、必要な情報だけが視界に入るようにする
・外からの刺激を受けないよう、真ん中の席に座る
・理解しやすいよう情報量を調節する
・端的にわかりやすく説明する
・口頭だけでなく文字や図にあわらして説明する
・子供が興味を持ちやすい話し方をする
・大勢ではなく1対1で個別に伝える
・話すときは目を見て名前を呼び、自分に話していることがわかるようにする
・持ち物リストを目につく場所に貼って思い出しやすくするなど、忘れ物対策をする
・動きたくなるタイミングで小休止を設けて動けるようにする
・「あと3分で授業が終わりだよ」など、見通しを伝える
・トラブルになりそうなことは事前に回避する
・落ち着けるスペースを確保する
・「待つ」練習を日頃から取り入れる

参照:知って向き合うADHD

このように、ADHD(注意欠陥・多動性障害)のお子さんは、目の前のことに集中できる環境を整えたり、見通しを伝えたりすることで、症状をおさえることができる場合があります。

ご本人の集中しづらい状況や動きたくなるタイミングをあらかじめ理解することで、落ち着いて過ごすことが可能になります。

また、何かを伝える必要があるときは、1対1で目を見て丁寧に伝えることで、ご本人に伝わりやすくなります。

LD(学習障害)への対応

LD(学習障害)への対応のポイント

・本当に苦手なことは何か、具体的に理解する
・苦手なことは別の方法で代替する
・担任の先生や周りの生徒の理解を得る
・苦手な分野を補える教材を使用する
・苦手な分野にはPCや電卓などを活用する
・スモールステップで少しづつ自信をつけさせる
・成功体験を積ませて、自己肯定感を高める
・必要に応じて個別指導を受ける
・パニックの際に落ち着ける場所を用意する
・必要な情報だけ得られるよう、環境を整える

参照:文部科学省独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター

このように、LD(学習障害)のお子さんは、特定の分野の学習が困難であり、それ以外の分野の学習は問題なく行うことができます。

そのため、困難な分野の学習を別の方法で補ったり、PCなどのアイテムを使用することで対処できる場合があります。

大切なのは、本当に苦手なことは何か、正確に把握することです。苦手を正確に理解し、できることで成功体験を積み、自信を育める環境を整えましょう。

では、子供の発達障害の診断テストを受けたい場合、どのような機関に相談すればよいでしょうか。

くわしくみていきましょう。

子供に発達障害の可能性がある場合に相談できる機関

子供の発達障害についての診断テストは医療機関以外でも行われますが、最終的に発達障害かどうかを診断するのは医療機関にいる医師です。

診断テストを受けてみたいと思った場合は、まずは発達障害の専門機関に相談してみましょう。

子供の発達障害の可能性について相談できる機関

・自治体の発達相談窓口
・自治体の保健センター
発達障害支援センター
・療育センター
・小児科、児童精神科
 参考:日本小児神経学会

参照:こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」

このように、子供の発達障害の可能性に関して相談できる機関はさまざまです。どこに相談してよいかわからないという場合は、自治体の発達相談窓口に相談してみましょう。

ご家庭の状況などを含め総合的に相談することができ、必要に応じて医療機関などへつなげてもらうことが可能です。

少しでも不安なことがある場合は、ご家族だけで抱え込まずに、ぜひ子供の発達に関してのプロである専門職の方に相談してみてください。

発達支援を受けられる機関については下の記事をご覧ください。

こちらの記事をHPに掲載している放課後等児童デイサービス「アレッタ」でも、発達障害のあるお子さんたちの支援をしています。

子供達の未来に選択肢が増えるよう、自信を持つためのお手伝いをしています。ぜひ一度HPをのぞいてみてください。

参照:放課後等児童デイサービス「アレッタ」

まとめ

今回は、子供の発達障害の診断テストついてお伝えしました。

診断テストといってもその場ですぐに結果がわかるわけではなく、子供の日常生活を含めてじっくりと時間をかけて判断する必要があります。

発達障害は早期に発見することで、その症状による影響を軽減させることが可能です。

少しでもお子さんの発達に関して心配なことがある場合は、できるだけお早めに専門機関に相談しましょう。

そして、どのような結果だとしても、その結果をふまえてお子さんの今後の生活や社会での活動に活かしていきましょう。