不登校やひきこもりにはさまざまな心の病気や発達障害が関係していることが多いと考えられています。
不登校の生徒の約25%が何らかの発達障害を持っていたというデータもあります。
どうして、発達障害を持っている子どもは不登校になってしまうのでしょうか。
その原因と、不登校になってしまった場合の対処法についてみてみましょう。
目次
不登校の子どもは発達障害を持っていることがあります
発達障害とは、脳の発達の早期から現れる障害です。発達障害が不登校の直接的な原因になることもあります。
不登校になる原因は、主に4つあります。
- 学習がおいつかない
- いじめにあっている
- 先生の無理解
- 環境が合わず、無気力になってしまった
学習がおいつかない
発達障害の中でもLD(学習障害)があるため、授業や学習に追いつかず、不登校になってしまう場合があります。
LDとは、全般的な知的障害ではありませんが、読み、書き、算数など特定の分野で知能指数が示す水準から遅れてしまうことをいいます。
文章を読むことがむずかしかったり、かんたんな計算ができなかったりと学習面で遅れが出てしまい、まわりの子どもたちについていけず、学校に行けなくなってしまうパターンがあります。
いじめにあっている
発達障害の特性ゆえに、集団に適応し対人関係を結ぶのが難しい場合があり、それが原因でいじめがおきてしまう場合もあります。
発達障害のある子どもは、いじめを受けていてもすぐにその状況を理解してSOSを出すことが困難です。
そのため、先生や友人、親に適切な対処をとってもらうことができず、不登校になってしまうケースもあるようです。
先生の無理解
学校の先生の中には、発達障害を持った子どもに対して深く理解していない人も残念ながら存在します。
先生の中には発達障害が根性や本人の性格の問題だと勘違いしており、「やる気がないから授業を理解できないんだ」と叱りつけたりなど、子どもの心を踏みにじるような言動が原因で不登校になっていることもあります。
環境が合わず、無気力になってしまった
発達障害を持っている子どもは、とても疲れやすい傾向にあります。それは、元々持っている脳の機能がほかの人と違うので、物の見え方が少し異なるのです。そのギャップに神経をすり減らしているからです。
また、感覚器官がほかの子どもよりも鋭い子が多い傾向にあるので、人がたくさんいて情報量の多い教室に疲れてしまいます。
このように、毎日ひどく疲れる環境に身を置くことで無気力になってしまい、不登校につながることがあります。
不登校になった発達障害の子どもの多くは、二次障害を抱えている
発達障害を持った子どもは環境のミスマッチがあると大きなストレスを抱えてしまいます。
それが続くと、不眠やうつなど、発達障害のものとは異なる症状が心身に現れるようになります。これを二次障害といいます。
不登校も発達障害の二次障害として数えられています。
そして、不登校が原因で、昼夜逆転生活、ゲーム依存症など発達障害のさらなる二次障害が出てしまう可能性もあります。
しかし、二次障害は防げる可能性があります。
二次障害に陥る前に、お子さんのエネルギー消費をなるべく抑えてあげるなど、環境を変えてあげることが大切です。
発達障害を持つ子どもの不登校はどうやって治療するの!?
まずは心と体を休ませてあげましょう
不登校になる子どもは、ただ単に登校を拒否しているのではありません。
それぞれの事情があり、学校に行くことが難しくなっているのです。
発達障害を持つ子どもが不登校になってしまった場合、学校に行くだけでひどく疲れていて、“SOS”のサインを出していると考えられます。
まずは、学校にいけないことを責め立てるのではなく、心や体を休ませてあげましょう。本人の意思に反して無理やり学校に行かせるとさらなる体調の悪化につながる可能性があります。
学校を休んでいる間に、親御さんと先生で相談して、学校に行ける環境づくりを進めることが大事です。
発達障害の特性に応じた支援が必要です
発達障害を持つ子供の不登校については、発達障害の特性に応じた教育的支援や生活支援などの取り組みが必要です。
個々の状態にあった支援機関を探しましょう。
一番怖いのは、親や家族だけで悩んでしまい、子どもと共にふさぎ込んでしまうことです。
一人で悩まずに、まずは支援機関を探すことから始めてみましょう。
詳しい支援機関については後述します。
通院・治療への具体的な方法を探す
また、医療的な治療や支援も同時に進めていくことが重要です。
子どもが受診したがらない場合は、親のみで受診して子どもの心を見直すことも大切です。
医療的な治療において、薬物療法を勧められた場合、家族はその薬の効果や副作用などしっかりと確認しましょう。
発達障害の特性を緩和するための薬を服用する場合と、二次障害が出ている場合はその症状に対しての薬を服用する場合があります。
専門機関に相談しましょう
【福祉機関】児童相談所・発達障害支援センター
児童相談所は18歳未満の児童に対しての様々な相談に応じている機関です。児童福祉に対して高い専門性を持っているので、不登校全般について相談することが可能です。
発達障害支援センターは、各地に設置されており、発達障害者への支援を総合的に行われている機関です。発達障害を持つ子どもの不登校に対しても専門性を持って対応してもらうことができます。
【保健機関】保健所、精神保健福祉センター
保健所では、高校生以降の不登校などについて相談することができます。
また、精神保健福祉センターは、心の病を持つ方の自立や社会復帰を目指す方への支援を行っている機関です。
精神科医や、精神保健福祉士など専門性の高い相談員が駐在しているのが特徴です。また、カウンセリングなどを行ってもらえる可能性もあります。
【特定非営利組織】フリースクールなど
不登校を支援するNPO法人は多く存在し、学習機会の提供やフリースクールなどの運営を行っているところもあります。
すぐに学校に復帰するのではなく、まずはフリースクールなどに参加するなど、徐々に社会生活に慣らしていくことが大切です。
まとめ
不登校になる子どもの約25%がなんらかの発達障害を持っているといわれているように、発達障害を持っている子どもは発達障害の症状がゆえに不登校になりやすい傾向があります。
しかし、不登校は親や学校の対応、専門機関への相談で防ぐことができます。
発達障害を持っている子どもはSOSを出すのが苦手な場合があるので、普段からの生活態度などを注視することも大切です。
子どもが不登校になってしまった場合、一人で悩まずに専門機関に相談してみましょう。