今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害てんかんの関係」についてです。

発達障害を検索すると「脳機能障害」という言葉に出会う機会が多くありますね。
発達障害でも、てんかんの診断を受けていない場合もあります。

しかし、発達障害とてんかんが合併していることも多くあるのが現実です。

発達障害とてんかんが、どのように関係しているのか理解することで、成長過程に大きな違いがあります。幼児期から療育や受診を繰り返す中で、身近にいるあなたに知っておいてほしい情報をまとめています。

発達障害とてんかんの関係や治療方法、日常生活について読み進めてください。

発達障害は、てんかんを抑えることで発達が進みます。

発達障害を持つ人の脳波を調べてみると、てんかんが見つかることがあります。多くの場合、発達に遅れを感じて受診し発覚します。

また、乳児期や幼児期に、てんかん発作を起こした経験のある子供が診断の結果、発達障害と診断されることもあるのです。
この章では、てんかんについて詳しく解説し、てんかんを抑えることで進む発達についてみていきましょう。

てんかんとは、どんな病気なのか。

てんかんは、脳の回路がショートして起こる発作です。主に、大脳に急激な興奮が起こり、発作が出現します。
てんかんは、100人に1人が持っているほど、メジャーな病気です。

初めての発症は、8歳までに起こることが多い傾向にあります。
てんかんで思い浮かべるのは、急に倒れてけいれんするイメージではないでしょうか。

てんかん発作には、様々な症状があります。多く知られているのは、けいれんですが、それ以外にも

  • 口がモゴモゴと動く
  • フラフラと無意味に歩き回る
  • 体全身がピーンと突っ張りる
  • 全身、または一部が硬直する
  • 呼びかけに応じない
  • まぶたがピクピクとけいれんする

などの症状があります。発作が起きてしまうと自分自身では制御出来ない為、運転中などに発作が起きてしまった場合などは大変危険です。

てんかんは、内服薬などで抑えられることが多い病気です。
診断された場合、早期に治療を始め、発作が起こらないように日頃から気をつけておくことが、本人のために一番重要です。

 

てんかん治療には、内服薬の他に食事療法もあります。

てんかん薬の副作用がひどくでる場合や薬の調整中などは、なるべく食事療法を行うことが、推奨されています。

ケトン体食療法が、てんかんに効果があるとされています。ケトン体は、脂質が分解されて作られます。ケトン体をエネルギー源として活動することで、てんかん発作を抑えられると証明されているからです。

逆に、炭水化物は、ケトン体を減らしてしまう働きがあるので、調整して食べるようにしてください。

発達が進むわけは、脳機能が安定するからです。

てんかん発作は、脳をショートさせてしまうので、ダメージを与えてしまいます。発達障害は、脳機能障害ですから、てんかん発作が大打撃になり、知的発達が遅れる可能性が高くなります。

脳波を調べて異常がある場合、てんかんを抑えることで認知機能や理解力が発達しやすくなり、動作や精神面の成長スピードが上がりやすくなるのです。

数字からみる発達障害とてんかんの関係

国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科所属の中川栄二先生は、発達障害とてんかんの研究で次のように関係を発表しています。

発達障害では、てんかんの併存や脳波異常を認める割合は高く、抗てんかん薬の治療効果が報告されている。
脳波異常を認める自閉症スペクトラム障害では、抗てんかん薬内服で生活の質の改善が75.5 %で認められ、脳波異常を認めるADHDでは、抗てんかん薬内服で生活の質の改善が70.5%で認められた。

引用:J-STAGE 2016 年 18 巻 1 号 p. 9-14発達障害とてんかん 中川 栄二氏

脳波異常のある発達障害に限った発表ですが、これが発達障害とてんかんの関係です。
てんかんだけ、発達障害だけの人もいれば、両方が合併している人もいるということです。

発達障害だから、必ずてんかん発作が起きるわけではありません。
また、発達障害とてんかんの両方がある場合、知的障害も関係することがあります。

発達障害と知的障害の違い

発達障害

発達障害とは、生まれつき「脳の機能障害」により成長に極端な偏りが出来てしまうことで、生活に支障が生じてしまう障害の総称です。

  • 相手の目を見て話すことが出来ない
  • 空気を読まない発言をしてしまう為、1人でいることが多い
  • ひとつの作業の手順、または行動に強いこだわりがある
  • 我慢することが苦手で順番を守れない場合がある
  • 忘れ物が多い
  • 衝動的に行動をしてしまう為、迷子になることが多い
  • 文字の読み書きが極端に苦手
  • 単語は読めても、文章になると読めない

など、様々な特徴があります。上記に紹介した特徴はあくまで一例です。紹介した全ての特徴を併存しているとは限りません。また、発達障害は極端な偏りによって影響を受けますが、「脳の発達の遅れが原因」とは異なります。

知的障害

「精神遅滞」とも言われ、脳の発達が遅れることにより生活に支障が生じる障害です。知能指数(IQ)が70以下の状態を指します。

発達障害と知的障害は似ていますが、違う部分はこの知能指数で、発達障害を抱えている人はIQが平均より高いという人も珍しくありません。

発達障害とてんかんを同時に治療することが正解

発達障害の治療は、療育をメインに行われることが多いです。ADHDでは、服薬することもありますが、医師の指示を守りましょう。

てんかんには、食事療法と服薬治療がありましたね。これは、てんかんが起こらないようにすることで、脳のダメージを回避していることになります。

てんかん発作を抑えることで、療育ができるだけでなく、日常生活も楽に過ごせます。
学校や職場で、発作が起きてしまうと、行事に参加できなかったり、療養を余儀なくされることも実際にあるからです。

脳波に異常のある発達障害とてんかんは、密接に関係しているので、両方の治療を同時に進めていくことをオススメします。

てんかんの診察は何科?治療費は?

てんかんを専門とする診療科は無く、主に精神科、神経内科、脳外科、小児神経科、小児科で診察を受けることが出来ます。

また、てんかんの為の医療費の補助制度があります。
参照元:てんかん地域診療連携体制整備事業

  • 自立支援医療
  • 高額療養費
  • 小児慢性特定疾患治療研究事業
  • 特別医療費助成制度(区分・小児)
  • 特別医療費助成制度(区分・重度心身障害者・精神障害者)
申請の窓口は、紹介した制度によって異なります。上記リンクに制度に関する記載がありますのでご確認下さい。

まとめ

発達障害を抱えている人は、てんかんを併存している事があります。発作は急に起きてしまい、痙攣や意識を失ってしまうなど、自分自身では制御が難しくなる大変危険な症状です。ただ、てんかんは正しい薬の服用によって、発作を起こしにくくする状態を維持し続けることで、いずれは服用無しでも発作の軽減が見込めます。これには本人の生活習慣の見直しをしていく必要があるでしょう。

これには周囲の配慮が必要となる場合もあります。

また、頼れる精度なども活用していきましょう。