今日も皆さんと一緒に、発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「発達障害マルチタスク」についてです。

最近、マルチタスクという言葉を耳にします。幾つもの物事を同時または並行して切り替えながら行うことを指す単語ですが、発達障害を持つ人はこのマルチタスクが苦手だということを聞きました。

ですが、発達障害に限らず苦手な人は少なくありません。

仕事や生活において、いくつかの物事を並行して抱えることは珍しくありません。マルチタスクができないと能力的に発達障害になるのか、困るほど必要なスキルなのかなど、スキル自体のことも含めて、確認をしてみましょう。

マルチタスクが苦手だと発達障害?

答えから言うと、NOです。マルチタスクが苦手なだけでは、発達障害と断定はできません。ただ、発達障害を持つ人の多くは、このマルチタスクが苦手な傾向にあるのは事実です。

発達障害とは、生まれつきの脳の機能障害で、ASD(自閉症スペクトラム障害)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・LD(学習障害)など、いくつかの分類があります。

中でも、ワーキング・メモリといわれる、一時的に物事を覚えて留めておく能力が極端に低かったり、出来なかったりすると、マルチタスクは成り立ちません。

他にも、一つのことに集中すると他のことに意識を向けられないなど、原因となる発達障害の症状は、多々あります。

マルチタスクと脳科学の真実

目まぐるしい現代社会では、学業や仕事だけでなく、日常でマルチタスクを求められる場面が、何気に多いでしょう。上手にこなせる人と、なかなかうまくできない人との違いは何なのでしょうか?

そもそも脳はマルチタスクができない?!

最近では、脳科学が話題になっていて、専門家がメディアに登場することも多く見られます。脳の働きは、だいぶ解明されて来ているようで、そこからの話では、「脳はマルチタスクができない」というのが結論だというのです。

精神科医の語るYouTube動画をご覧ください。

マサチューセッツ工科大学のアール・ミラー博士も、「2つのタスクの間では、干渉が生じるので、人はマルチタスクをこなせない。できると思うのは、勘違い。脳は勘違いが得意」と述べています。

この事実には驚きです!

マルチタスクの正体

では、脳は一つづつしか作業ができないのに、仕事が早く効率が良い「マルチタスク」と言われる人は、どうなっているのでしょうか?

それは、一つひとつの作業が早いか、あまり頻繁に作業の切り替えをしない、シングルタスクという、ロスの少ないやり方をしているということです。

スタンフォード大学の神経科学者エヤル・オフィル博士は「マルチタスクではなく、タスク・スイッチング(タスクの切り替え)を素早くしているだけだ」と言っています。

ハーバード大学の研究によると、作業効率の高い社員は、仕事の切り替え回数が少なく、一方、効率の悪い社員は、一日に500回も切り替えを行っていたというデータもあります。

参考元:リクナビNEXTジャーナルKABAチャンネル

マルチタスクの善と悪

それでも、何かを同時に行う場合には、組み合わせによって違いが出ることが分かっています。その組み合わせをご紹介します。

悪いマルチタスク

どちらも考えることが要求される複雑な作業同士では、効率が著しく落ちることが、様々な研究で明らかになっています。

ロンドン大学による、1100人のビジネスパーソンを対象とした調査で、デジタルデバイスを使用したマルチタスクは、徹夜明けやマリファナの使用後と同じ程度にIQが低下することが分かりました。

善いマルチタスク

無意識にできる単純作業となら、考える複雑作業と組み合わせても、むしろ良い結果が出たりするということが分かっています。

  • 学生を対照とする実験で、ウォーキングマシンで歩きながら文章を読む場合は、記憶力・注意力とも35%アップ
  • ゲーテ大学での105人による、エアロバイクに乗りながら外国語の単語を暗記する実験では、座って暗記した組みとのテストの対比で、40%アップ
  • スタンフォード大学の研究では、81%の被験者が座っているより歩く方が60%創造性がUpし、アイデアが湧き出るという結論

ただし、あまりハードな運動は逆効果になる結果も出ていますので、何事もホドホドが肝心ですね。

参考元:ブレイクスルー佐々木

マルチタスクをしのぐ仕事術

マルチタスクを防ぐ方法

米国コーネル大学の論文に、Parking Lot(パーキング・ロット)思考というものがあります。それは、作業中に何か別のことを思いついたり、別の指示を受けたりした時に、タスクのパーキング(駐車場)ということで、メモを取っておくことです。

記憶だけでは、忘れないようにと意識する度にスイッチングして、脳が使われ疲れてしまいます。作業も中断されるので、知らぬ間に効率が落ちているでしょう。メモだけして作業に戻れば、ロスを無くせます。コツは、メモする以上には関わらないことです。

慣れて無意識の領域にする

マルチタスクは、車の運転をを例にすると分かりやすいでしょう。

  • ハンドル・アクセル・ブレーキのコンビネーション
  • ウインカー・ワイパー・ライトの操作
  • エアコン・オーディオの操作
  • 信号や標識・表示板、路面標示の確認
  • 歩行者・自転車・バイク・車・動物・虫、等の危険予測・挙動確認
  • 電柱・標識・植木・ガードなどの設置物の認識・回避
  • 狭い道や駐車場などでの車両感覚
  • 道路上の障害物・落下物
  • 逆光や夜間照明
  • 行き先確認、ナビなどの認識
  • 工事や渋滞などの道路状況
  • 路面のコンディション
  • 走行音やエンジン音からの情報     など

発達障害者が、実際にマルチタスクで苦しんだ体験談のブログを紹介します。下のボタンをクリックするとご覧になれます。

初心者は手に汗握る思いなのに、ベテランは、これらを無意識でこなしています。同様に、作業をルーティーン化できないか、考えてみてはいかがでしょうか?

個人のタイプにもよる

人の性格上、傾向としてマルチタスクタイプとシングルタスクタイプがあると言われます。これには、慣れが関係する部分もあります。

マルチタスクタイプ

  • 作業中に話しかけられても、手を止めずに話が聞けて、受け応えも内容の把握・記憶もできる。
  • テレビを観ながらスマホや本を眺めても、どちらの内容もほぼ正確に捉えられる。
  • グループで話す場合に、全体に話しをしながらも、一人ひとりの様子の確認やチェックができる。
  • 複数の仕事がある場合、作業工程全体の流れや順番・ポイントなどが直ぐに分かる。
  • 単純作業は途中で集中力が途切れたり、他の作業に移ったりする。
  • 作業は効率や速さを重要視し、仕上がりは7~8割で良かったりする。

シングルタスクタイプ

  • ながら作業をしていると、どれか一つの内容しか出来ていなかったり覚えていなかったりする。
  • 作業中話しかけられると、生返事で話の内容は覚えていなかったり、逆に手が止まったりする。
  • 複数の仕事では、作業工程の把握や順番決めに戸惑う。
  • グループに話しをするとき、気になる人や物事があると、話す内容が飛んだりする。又は、話すことに手いっぱいで、個別は気にできない。
  • 単純作業を続けることは苦にならずに、没頭できる。
  • 作業は早さより結果の完璧さを求める。

タイプの活かし方

マルチタスクタイプなら問題ありませんが、シングルタスクタイプや発達障害の場合には、マルチタスクを避けたり、シングルタスクに組み替えたりしてみましょう。注意点を下にまとめました。

本人が注意すること

  • 複数の指示の優先順位は、相手や周囲の人に確認し、順番を付けておく。
  • やりたいこと、やるべきことは、順番にひとつずつやる。
  • 覚えておくことはかならずメモをとる。
  • リマインダーなどのアプリを活用するのも良い。

周りの人が注意すること

  • 指示はひとつずつ出す
  • 伝えたいことは、絵や図を描いて説明する
  • 複数あるときは、順序も含めて書いて渡す
  • 何かを伝えるときは、音源を消すか、静かな場所で
  • 対象者が作業などに集中しているときは、できるだけ話しかけない

参考元:リクナビNEXTジャーナルcotreeSalad

放課後デイサービス アレッタの紹介

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放課後デイサービス アレッタは横浜市を拠点とし、子どもたちの自立や健全な育成のために、障害児と保護者をサポートしています。

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まとめ

発達障害者には、マルチタスクが苦手な方が多いです。しかし、マルチタスクが苦手だからと言って、発達障害と断定することはできません。

人の脳はマルチタスクができないというのが、最新の脳科学研究の答えでした。マルチタスクが出来ているような人は、実は、シングルタスクを上手く組み立てて、タスク・スイッチングを極力減らした効率的な作業をする人でした。

思考を必要とする作業を組み合わせると、脳に負担がかかり効率が落ちます。無意識でもできる単純な運動や作業などと、思考する作業の組み合わせなら、むしろ効率が上がる場合があります。

人にはマルチタスクタイプとシングルタスクタイプが居て、シングルタスクタイプや発達障害者でも、工夫したり慣れを鍛えることで改善ができます。