今日も皆さんと一緒に、発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「発達障害と聴覚優位」についてです。
あなたは「聴覚優位」という言葉をご存知でしょうか?
人は五感と呼ばれる、感覚器官が捉える情報から周りの環境を認識しています。
発達障害の影響により、見えるもの、聞こえてくる音、触った感触などの情報が曖昧になってしまう子供は珍しくありません。
この記事では、発達障害と聴覚優位の関係や、憂慮すべきことは何かを解説していきます。
目次
認知には特性がある?!
認知特性とは
五感で得た情報は、脳の中で認識・理解・整理され、表現や記憶などの処理をされます。しかし、同じ刺激でも誰もが同じ方法・手順で処理されるとは限りません。
人により得意・不得意や癖のような傾向がある、その性質のことを認知特性と言います。
例えば、図形や文字で見たほうがより深く理解しやすい人、聴くほうが早くわかる人などの違いがあります。
下記をご覧ください。
大きくは、視覚・言語・聴覚の3つ、更にそれぞれ2タイプに分類され、誰もがこの6タイプのうちのいずれか、あるいは状況により複合的に当てはまると言われています。
1、視覚優位者…「見た情報」を処理するのが得意な人
1-1:二次元 カメラタイプ:写真や絵などの二次元で考える
1-2:三次元 3Dタイプ:空間や時間軸を使い三次元で考える
2、言語優位者…「読んだ情報」を処理するのが得意な人
2-1:言語映像 ファンタジータイプ:文字や文章を映像化して考える
2-2:言語抽象 辞書タイプ:文字や文章を図式化して考える
3、聴覚優位者…「聞いた情報」を処理するのが得意な人
3-1:聴覚言語 ラジオタイプ:文字や文章を音として情報処理する
3-2:聴覚・音 サウンドタイプ:音色や音階など音のイメージで入力する
自分のタイプと特徴を知れば、勉強や問題解決の向き不向きなどが分かり、物事に取り組む際の効率を良くすることにつながるというのです。
自分の認知特性のタイプがわかる、40問の簡単なテストツールがありますので一度診断をしてみてください。(自動集計のExeleデータです)
こちらから→ 「認知特性診断ツール」 ←Exeleデータをダウンロード
参考元:ダビンチニュース
聴覚優位の特徴
認知特性の内の聴覚優位とは、五感の中でも耳からの音の情報に感受性が高く「聞いた情報」を処理するのが得意なタイプです。
音・言葉・人の話に敏感に反応し、文字や文章も耳から入れる音として捉えるので、 文字を読むよりも発音された言葉を聞いたほうが理解が早いのが特徴です。
タイプ別の特徴
聴覚言語 ラジオタイプ
文字や文章を耳からの音のように処理するタイプです。
難しい内容も一度聞くと理解できたり、ダジャレや人の言葉尻を捉えるのが上手です。弁護士・教師・落語家・アナウンサー・音をイメージする作詞家などに向いています。
聴覚・音 サウンドタイプ
音色や音階といった音楽的なイメージで脳に入力するタイプです。
一度聞いただけの音楽を正確にハミングできたり、モノマネや外国語の発音も上手です。ミュージシャンや芸人などに向いているでしょう。
参考元:ダビンチニュース
発達障害との兼ね合い
聴覚優位の発達障害的な解釈
聴覚優位を発達障害に当てはめて考えると「聴くのは得意か問題が無くても、逆に文字での理解が苦手な症状」のこととなります。
本や資料などの文章を読んでも頭に入らなかったりするので、周りの人たちに聞いたり、飛び交う会話から情報を集めねばなりません。
また、話す方でも情報を伝える際に聴覚優位はの特徴が出ます。
聴覚情報に関連した言葉や、擬音語を頻繁に使いがちだったり、「聞いたところによると」「誰々が言っていたけれど」など、自分の話の権威付けを人の発言に依存する特徴もみられます。
聴覚優位でも生活上の困難はそう多くはないでしょうが、書類での手続きなどの場面では困ることが懸念されるので、見逃せない特徴です。
また、単に文字面からの理解が苦手なだけでないという場合もあります。
- 視覚過敏で文字が読み辛い
- LD(学習障害)で文字認識が不得意 など
このような場合は、聴覚優位にならざるを得ないことも考えられます。
聴覚優位への対応とサポート
先ずは、身近な人に文章をを読んで説明してもらうことが、何より一番の助けとなるでしょう。
また、デジタル技術が発達した現代では、ウェブページの読み上げ機能や、スマホの「カメラスキャン&読み上げ機能」などのアプリを使うことも有効です。
視覚過敏の対応としては、下記のようなものがあげられます。
- デジタルデバイスの場合は、画面の明るさ(バックライトの輝度)を落とす
- 印刷物なら、真白でない色の用紙を用いる
- 明朝体よりゴシック体の方が読みやすいなどの傾向もあるので、フォントを変える など
他にも、感覚統合療法を受けたりして、感覚を育てていくような方法があります。
感覚の過敏や鈍麻を自分なりに上手くコントロールすることで、生活の質を上げていくこともできます。
参考元:発達障害・自閉症.net、note
聴覚優位の活かし方
聴覚優位な人は、人の話を聞きながら、論理を組立てて理解を進めていくのが得意なため、ロジカルに物事を判断することが得意であるという特徴があります。
音やリズムなどの聴覚情報を大切にしているので、メリハリのある話し方をしたり、良く響く声の持ち主であったりと、話し方にリズムを持たせます。
この様に、呼吸にゆとりがあり深いのも特徴です。
聴覚優位な人に対して
聴覚情報である声の調子・リズム・抑揚などを相手に合わせ、数字やデータなどを示しながら論理立てて話をすると、より理解してもらいやすくなるでしょう。
読めばわかることでも、 あえて話して伝えることで相手は情報を聴覚情報として処理できるので 理解がしやすくなります。
人との会話を通じて、学んだり感銘を受けたりして学習を加速してゆくので、研修会やセミナーなどの、人の話がたくさん聞ける機会をセッティングしてあげることも効果的です。
参考元:医療・介護従事者のためのフレームワーク、
放課後デイサービス・アレッタの紹介
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また、発達障害お役立ちトピックスでは、発達障害に関する様々な情報記事を公開しています。ぜひ参考にご覧下さい。
まとめ
聴覚優位とは、認知特性という、脳が五感からの情報を認識・記憶などの処理をするときの方法や手順の内容に、癖のような傾向があり、それが聴覚寄りの性質を持っていることを指す言葉です。
目で見るよりも耳で聞く方に感受性が高く敏感に反応し、文字や文章も音のようにイメージして認識し、聞きながら組み立てるロジカルな理解をします。
発達障害としては、視覚からの認識が苦手だったり、過敏や鈍麻による障害も当てはまります。
苦手や刺激に対する対策などもありますし、優れたデジタル技術や様々な工夫で改善が可能であり、聴覚優位の特徴に合わせた対応でも良い効果を期待することができるでしょう。