今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「カフェオレ斑と発達障害」についてです。
今回は「カフェオレ斑は何かの病気なのか?病気ならどんな病気なのか?」と不安な方向けにお伝えします。
カフェオレ斑(カフェオレはん)とは文字通り皮膚の表面に出るカフェオレ色の斑紋(はんもん)です。
カフェオレ斑が出ると遠因で発達障害かもしれないといわれる理由を調べてみました。
目次
カフェオレ斑とレックリングハウゼン病との関係
カフェオレ斑(カフェオレはん)とは皮膚にできる平らなあざで、腕や首など全身にできる病気。
自然と消えることはなく成長するにつれ大きくなる可能性があります。
カフェオレ斑とレックリングハウゼン病との関係
皮膚の表面にカフェオレ色の斑紋が出る病気は、レックリングハウゼン病です。
カフェオレ斑と神経線維腫を主な特徴とし、骨や眼や神経系、副腎や消化管など様々な症候が現れ、染色体異常によって発症する遺伝性のある病気です。
両親のどちらかがレックリングハウゼン病を有する場合、子供が同じ病気を発症する確率は50%ですが、両親がレックリングハウゼン病でなくても発症する可能性はあります。
参考元:神経線維腫症Ⅰ型(指定難病34) | 難病情報センター
レックリングハウゼン病の正式名称は神経線維腫症I型(neurofibromatosis type1)。
発見者の名前から別名「レックリングハウゼン病」とも呼ばれ、日本では「NF1」と略される場合もあるようです。
レックリングハウゼン病の方が、レックリングハウゼン病の解説動画を配信していますので、興味のある方はご覧ください。
レックリングハウゼン病になる原因は遺伝子
レックリングハウゼン病になる原因は遺伝子で、17番染色体長腕に位置します。
遺伝子の産物はニューロフィブロミン(neurofibromin)と呼ばれています。
Rasという蛋白の機能を制御し細胞の増殖や細胞死を抑制することで、腫瘍の発生と増殖を抑制すると考えられています。
この遺伝子に変異を来すために従来の抑制が効かなくなり常に活性化してしまうことで、神経線維腫(しんけいせんいしゅ)をはじめ多種の病変を生じるのだと推測されています。
難病指定されている病気なので、詳細は専門サイトでも確認してください。
専門の学会に参加している皮膚科医の紹介別途ございます。核を参考にしてください。
症状の特徴
レックリングハウゼン病には代表的な症状が2つありそれが「カフェオレ斑」と「神経線維腫(しんけいせんいしゅ)」です。
それぞれの症状を詳しく説明していきます。
代表的な症状2つ
カフェオレ斑
- 扁平で盛り上がりのない斑紋
- 色は淡いミルクコーヒー色から濃い褐色まで様々
- 斑紋の内側での色の濃淡の変化はない
- 形は長円形のものが多く、丸みを帯びた滑らかな輪郭
- 小児では径5mm以上、成人では径15mm以上を基準
神経線維腫(しんけいせんいしゅ)
- 皮膚の神経線維腫は思春期頃より全身に多発
- 末梢神経内の神経線維腫や漫性の神経線維腫がみられることもある
- 悪性末梢神経鞘腫瘍は末梢神経から発生する肉腫で、患者の2~4%に生じる
カフェオレ斑や神経線維腫(しんけいせんいしゅ)はどんな症状なのか、画像で確認したい方は大河内愛美(@manamiokochi)さんのツイートを確認してください。
症状には個人差がある
カフェオレ班は生まれた時から見られやすく、神経線維腫(しんけいせんいしゅ)は思春期や大人になってから現れる方もいます。
参考元:神経線維腫症の完治へ
その他の症候
レックリングハウゼン病には「カフェオレ斑」「神経線維腫(しんけいせんいしゅ)」の他に以下のような症状があります。
皮膚 | ・雀卵斑様色素斑 ・大型の褐色斑 ・貧血母斑 ・若年性黄色肉芽腫 ・有毛性褐青色斑 |
骨、頭蓋骨 | ・顔面骨の欠損 ・四肢骨の変形や病的骨折 ・脊柱、胸郭の変形 |
眼 | ・虹彩小結節 ・視神経膠腫 |
脳、脊髄 | ・視神経膠腫 ・毛様細胞性星細胞腫 ・脊髄腫瘍 |
その他 | ・消化管間質腫瘍 ・褐色細胞腫 ・悪性末梢神経鞘腫瘍 ・学習障害、注意欠陥多動症 など |
人によって症状は様々なので、少しでも「おかしいな」と感じたら早めの受診をおすすめします。
レックリングハウゼン病が引き起こしやすい合併症
レックリングハウゼン病は合併症を引き起こしやすい病気であり、病気の症状自体は軽くても合併症に悩む人も多くいます。代表的な合併症は以下の通りです。
- 高血圧症
- 側弯(そくわん)
- 骨軟化症(こつなんかしょう)
- 萎縮性甲状腺炎(いしゅくせいこうじょうせんえん)
- 四肢麻痺(ししまひ)
病気とは知らずに成長し合併症が出て治療に行った際に初めてレックリングハウゼン病と知るという人もいるようです。
高血圧症
レックリングハウゼン病は成人すると大半が高血圧症を併発するようです。
高血圧症とは安静状態での慢性的な高血圧。高血圧は血管に大きな負担になり動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化が現れると心筋梗塞や狭心症、心室性不整脈などの心疾患や脳血管障害などの重篤な病気をもたらすのです。
高血圧の原因は味の濃い食事による塩分や脂っこいものによる脂質の取り過ぎ、睡眠不足や運動不足、タバコやアルコールによる味覚障害から起きると言われます。
高血圧は「静かな殺し屋」の異名を持ち、注意しなければならない症状の一つです。
側弯(そくわん)
脊椎(せきつい)とは背骨のことで、7つの頚椎・12の胸椎・5つの腰椎から構成しています。
側弯(そくわん)は脊椎が前から見て10度以上曲がる症状であり、成長していく段階でさらにねじれる可能性があります。
側弯(そくわん)は成長期の頃に発症しますが自覚症状が無く気付かないのがほとんどです。
小学生から中学生の子供に多く、発病の割合は男性よりも女性が数を占め、男性の5倍ほどの確立です。
早期発見が重要で進行してしまうと骨の歪みによって背や腰に痛みが出たり、肺を圧迫して肺機能が低下する可能性があります。
状態が軽度ならば運動療法や整体術も有効ですが、重度になると手術による骨の矯正が必要になります。
左右の肩の高さが違う、片方の肩甲骨が出ている、胸の変形や腰の高さに異常が出てきたなど、背骨に関して違和感がある場合は注意が必要です。
骨軟化症(こつなんかしょう)
骨や軟骨の石灰化障害によって類骨と呼ぶ石灰化していない骨器質が増加する症状です。
成人に発症するものを「骨軟化症」、子供に発症するものは「くる病」と呼ばれる病気です。
原因は主に骨の軟骨に出来た腫瘍です。腫瘍によって腰背部、股や膝などの間接に痛みが出たり、骨盤など骨が出ている部分は痛みを感じたりするようです。
進行すると歩行障害など引き起こすおそれがあり生活に大きく影響する可能性があります。
萎縮性甲状腺炎(いしゅくせいこうじょうせんえん)
甲状腺の病気はほとんどに腫れが出ますが、腫れずに甲状腺機能低下に陥った自己免疫性甲状腺炎を萎縮性甲状腺炎(いしゅくせいこうじょうせんえん)といいます。
萎縮性甲状腺炎(いしゅくせいこうじょうせんえん)は、成長や発達に関与するホルモンを分泌する器官が機能低下する症状です。
たとえば基礎代謝低下、易疲労感、無気力、徐脈、心機能障害、便秘、嗄声、筋仮性肥大などが挙げられます。
生活に大きく影響を及ぼすため学業成績の低下に加え、粘液水腫、脱毛、成長の停止、症候性肥満などが起こる可能性が出るかもしれません。
四肢麻痺(ししまひ)
両手両足が同時に麻痺症状を起こす状態を四肢麻痺(ししまひ)と呼び、脊髄神経部分(せきずいしんけいぶぶん)に神経線維腫(しんけいせんいしゅ)が出来た場合に現れます。
四肢麻痺(ししまひ)は四肢の神経に麻痺が生じるだけでなく、内臓の消化機能や排泄機能や発汗体温症性機能にまで影響を及ぼします。
また横隔膜が痙攣を起こすこともあり、重篤になると呼吸が出来なくなり人工呼吸器を必要とする場合もあります。
診断されるタイミング
どちらの症状も生まれつき又は生後数カ月以内に
【カフェオレ班の場合】
- 5~15mm以上のカフェオレ斑が、5~6箇所以上ある
【神経線維腫(しんけいせんいしゅ)の場合】
- 2個以上同時に出現している
一般的に斑紋が2つまでなら問題はないとされ、重度の診断となるケースは斑紋と神経線維腫の数が増える、機能障害や痛みが伴う、線維腫が悪性である、などが挙げられます。
カフェオレ斑と発達障害の関係性
レックリングハウゼン病は軽度の発達障害を伴う可能性があります。
発達障害を伴った場合学習障害や言語障害、頭が大きい症状が現れやすいです。
学習障害以外にも知的障害や注意欠陥・多動性障害を伴う場合もあるので注意深く見守る必要があるでしょう。
以下レックリングハウゼン病と共に発病しやすい発達障害を紹介します。
学習障害
LD(Learning Disability)と言い、全般的な知的発達には遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」など学習能力に困難が生じる発達障害です。
学習障害は読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3つに分類されます。
【学習障害一例】
- 簡単な文字の読み書きが苦手
- 朗読が出来ない
- 単語は読めても、文章になると読めない など
人によって症状が異なり意識しないと気づかない場合も多く、診断が難しい障害です。
学習障害の人は文字や単語、数字の情報を正しく処理するのが苦手。文字や数字は見えても、正しく見えていない場合があります。
文字を正しく見られない結果、文章を読めず簡単な計算も解けません。
学習障害に関する記事は別途ございます。興味のある方は併せてご覧下さい。
注意欠陥・多動性障害
注意欠陥・多動性障害とはADHDとも呼ばれ自分をコントロールする力が弱く、それが行動面や学習に問題となって現れる障害です。
【ADHDの症状一例】
- ジッとしていのが苦手な為、授業中など席に座っていられない
- 列に並ぶことが苦手なので、順番を抜かして先頭へ並んでしまう
- 気になったモノに意識が向かう為、集団行動を乱しやすい
- 迷子になりやすい
- 注意散漫な為、忘れ物が多い など
上記の様な症状がありますが、あくまでも一例です。
ADHDに関する記事は別途ありますので、興味があれば併せてご覧下さい。
レックリングハウゼン病には対処療法が有効
レックリングハウゼン病は残念ながら原因が全て解明されていないので根本治療の方法はなく予防法もわかっていません。
現在は症状への対処療法のみに限られており、初診時にかかる科は症状や気になる箇所、年令によって変わるためすぐに効果が出るとは限らないのです。
レックリングハウゼン病を疑う場合、お子さんであれば小児科の受診をおすすめします。
皮膚への色素斑や神経線維腫などの症状は皮膚科か形成外科、神経の病変を危惧する場合は脳神経外科や神経内科の受診を検討してください。
レックリングハウゼン病によく施される対処療法をお伝えします。
- 漢方治療
- レーザー治療
- 凍結治療
- 外科手術
漢方治療
カフェオレ斑への対処法の一つに、シミやソバカスを薄くする漢方薬「 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「薏苡仁(よくいにん)」を処方するケースがあります。
桂枝茯苓丸加薏苡仁の効能
【桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがん)の主な効能】
- 血行を良くして体内の熱のバランスを整える
- 生理不順や生理痛、頭痛、めまい、肩こり、のぼせや冷えの改善、身体の炎症を鎮める
- ホルモンバランスを整える など
比較的には女性向けで筋肉質の赤ら顔の人向き、上記の諸症状を伴う更年期障害にも適します。
その他子宮内膜症や筋腫、ニキビやシミ、しもやけ、痔、打ち身、肝臓病などに用いられます。
薏苡仁湯(よくいにんとう)の効能
薏苡仁湯(よくいにんとう)はハトムギの皮を除いた種子で、効能は以下の通りです。
【薏苡仁湯(よくいにんとう)の主な効能】
- 肌の水分代謝を上げて老廃物の排出をスムーズにする
- 水分と栄養の循環を促し肌を正常に整える
薏苡仁湯(よくいにんとう)によってニキビを始め、肌荒れ、シミなどに効果を期待できます。
レーザー治療
アザやホクロ、タトゥーなどと同じくカフェオレ斑を消すために、皮膚の表面をレーザーで焼いて除去する治療法が用いられます。
アザやホクロ、タトゥーを消す場合は濃い色素に反応するルビーレーザーが多く用いられ、JMEQ社のQスイッチ・ルビーレーザー(The RubyZ-1)であれば、保険が適用される治療が可能なため経費を抑えられるかもしれません。
ただし施術後に何度も再発、再発して色が濃くなる、治っても色が無くなるもしくは白くなる事例があります。
レーザー治療は慎重に検討し、受診中の先生や、サロン常駐の先生などと事前にしっかり確認をしましょう。
形成外科の先生がレーザー治療について分かりやすく紹介している動画があるので、治療が気になる人はこちらもご覧ください。
凍結治療
レーザーと似た理屈ですがドライアイスや液体窒素で皮膚の表面を凍らせて除去する方法です。
局所麻酔は使用しないため、手術中は多少の痛みを伴います。
小さなイボなどの除去にも用いられる治療法ですが、瘢痕(はんこん)が残るといった副作用があります。
外科手術
皮膚表面をメスで削って切除する方法で、外科手術になります。
確実に除去できる方法ではあるものの、身体に傷跡が残るので嫌ならばレーザー治療の方が良いでしょう。
神経線維腫は悪性にならなければ命に関わるわけでは無く、必ず治療を行わなければいけないというのではありません。
ですが神経線維腫は大きくなると垂れ下がるほど膨れ上がるため、 見た目や美容的に治療を受けるという人が多いようです。
斑紋や腫瘍が少ない場合は局部麻酔をしてから、数が多い場合は全身麻酔をしてから施術を行います。
アレッタの紹介
放課後デイサービス アレッタは横浜市を拠点とし、子どもたちの自立や健全な育成のために、発達障害を抱えた児童とその保護者(家族)をサポートしています。
「自分の意思で行動する子」を育てようと、指導員はキッカケを与える助け手として接しながら、子供たち自らが選択し、学べる環境を提供しています。
「自分でできる」という自信を持たせ、将来に安心して暮らすことができるようになるための、創意工夫を込めたお手伝いをしていますので、是非上記リンクよりご覧ください。
まとめ
カフェオレ色の斑紋が出る病気はレックリングハウゼン病と呼ばれ、細胞の増殖に関係する遺伝子の異常から起きる病気です。
遺伝性があり予防法や根治の治療法は確立されておらず、難病指定され、現在は症状への対処療法しかありません。
いろいろな症状が出る可能性のある病気ですが、一人ずつ違うので、必ず全ての症状が出るわけではありません。
一生カフェオレ斑だけで終わる人や、症状が多少あっても日常生活に支障なく過ごしているのが、ほとんどのようです。
素人判断ができない病気なので、気になったら早期に専門医に相談するのが最も良い方法と言えるでしょう。