今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害・知的障害の違い」についてです。
目次
知的障害と発達障害の違いとは?似ているようで少し違う
違うところは、発達障害と知的障害の症状や特徴です。
発達障害は、生まれつき「脳の障害」により成長に偏りが出来てしまい、「出来ること」「出来ないこと」に差があります。また、抱えている障害によって
- 空気の読めない発言
- 順番待ちが出来ず、先頭へ並ぼうとする
- 特定の文字や数字の書き取り、計算が極端に苦手
など、「個性」ではなく「障害」として抱えてしまう症状です。
一方、知的障害は「精神遅滞」とも言われ、生まれつき「脳の障害」により、知的機能が通常の方より遅れている、または著しく低い為、生活に介助が必要になる状態を言います。
発達障害、知的障害共に、「脳の影響」によって現れる症状と考えられており、2つの障害の共通点です。
2つの障害を併せて抱えている場合も
発達障害を抱えている方の中には知的障害も抱えている方、逆に、知的障害を抱えている方が発達障害も抱えている場合もあり、症状の重さなどは人それぞれです。
この2つの障害は「外見からでは障害と判断することが難しい」という共通点があります。周囲に説明し、理解を得られないと場合によっては「怠けている」とマイナスイメージを持たれかねません。
症状が重い場合ならまだ分かるかもしれませんが、極めて軽い方の場合はほとんど見分けることが出来ないでしょう。結果、悲観的な思い込みなどから「不登校」「引きこもり」などの精神障害へと発展しかねないのです。
このように複数の障害を抱えているなどの影響により、障害の違いがさらに分かりづらくなっている原因と言えるでしょう。
発達障害について
2つの障害の違いをさらに詳しく解説するために、まず発達障害について解説していきます。
上にも触れた通り、「脳の異常」が原因で成長に偏りが出来てしまうことで、性格、態度、行動、姿勢などに周囲とは「違い」が出てきてしまう症状です。発達障害は、大きく下記の3つに分類されます。
- ASD:自閉症スペクトラム障害・アスペルガー症候群など
- ADHD:注意欠陥・多動性障害
- LD:学習障害
ASD:自閉症スペクトラム障害・アスペルガー症候群など
- 他人とのコミュニケーションが苦手
- 空気の読めない発言をしてしまう
- 相手の顔の表情を読み解くのが苦手
- 興味あること、ないことへの反応が極端
などがあります。他人とのコミュニケーションが極端に苦手な為、会話が弾まず、孤立してしまいがちです。しかし、得意分野、趣味などへ打ち込む集中力は目を見張るモノがあります。
ただ、「過集中」という言葉をご存知でしょうか?
必要以上に集中している状態を表し、他の「やるべきこと」へ切り替えられない状況にもなりかねません。
ADHD:注意欠陥・多動性障害
- 自分をコントロールするのが苦手
- 忘れ物が多い
- 我慢するのが苦手
- 興味あること、ないことへの反応が極端
などがあります。衝動的に動いてしまう為、ルールを守れず我先にと行動してしまいます。結果、ASD同様「周囲の輪を乱す」ことになりがちです。
また、上でも触れた「過集中」の傾向を持った方もいます。
LD:学習障害
- 簡単な計算、暗算などが極端に苦手
- 文字を読むのに時間がかかる
- 頭の中で整理して、話をするのが極端に苦手
- 質問の内容を頭で整理するのが苦手
など、「聞く」「書く」「話す」「計算する」に苦手な部分がある症状を言います。計算だけ苦手な方もいれば、話す、聞くことが苦手な方など、症状は人によりそれぞれ異なってくるのです。
知的障害について
続いて、知的障害について解説していきます。
IQ70以下で生活に困難が生じていること
上でも触れた通り、「脳の異常」により、通常の方より知的発達が遅れている症状です。
IQとは、「知能指数」を意味し、知能レベルを数値として計測したモノで、平均値を100として、90以下から知的発達に遅れが生じているとなります。
逆に110以上は知的発達が進んでいると言えるでしょう。IQが下がるほど遅れていくことになり、介助なしでは生活に困難が生じてきます。
つまり、知的障害とはIQ70以下で、生活に困難が生じていると断定された障害児・障害者を言います。同年齢の通常な方と比較すると
- コミュニケーションが難しくなる
- 物事の決まりなどの理解が難しくなる
- 物の管理が出来ない
- 会話に制限がある
などがあり、症状の重さも人により様々です。
学習障害との違い
「LD:学習障害と似ている?」と感じた方もいるかもしれません。確かに、計算や会話の内容を頭で考えることが苦手な学習障害は、知的障害と似ている部分があります。この2つの障害は
- 学習障害:特定、または複数が苦手でも、学習以外は問題がない
- 知的障害:脳の発達そのものが遅れている為、思考、行動に制限がある
という違いがあります。また、学習障害の断定には、「知的障害ではないこと」が必要となります。
対応について
2つの障害は「周囲との違い」「周囲の障害に対する理解」によって心に大きな傷を受けてしまう事があります。これによって、「うつ」「引きこもり」「非行」「暴力行動」など精神障害への2次障害が生まれてしまう可能性があります。
環境を変える
ストレスは誰にでもあるモノです。しかし、障害を抱えてしまった為にストレスを受けることが増えてしまいます。
- 周囲に「障害の知識、対応法」の共有
- 定期的な通院
- 福祉施設・支援機関の活用
現在、発達障害や知的障害を「完治」させる方法は見つかっておらず、「適応力」を身につける為の訓練を目的とした治療を行っています。さらに「障害」に対する周囲の知識、対応の共有、協力が不可欠です。
また、障害を抱える方の介助をされる親御様、ご家族様の「心のケア」も必要です。アレッタでは放課後デイサービスとして、障害を抱えるご家族様の支援を行っています。
まとめ
発達障害と知的障害は、「脳の障害」により「不自由さ」を抱えてしまう部分に違いはありませんが、症状それぞれに特徴があります。
それぞれの障害で難しいところは「外見では障害と判断出来ない」ことです。「障害」と理解できるまでは「何で?」と感じてしまうことも少なくありません。結果、些細な理由からでもトラブルへと発展しかねないのです。
障害の特徴が違っても「周囲が認識、理解し協力すること」が不可欠なことには変わりありません。
その為に、障害に対する正しい知識を得て、みんなが「笑顔」になれる場所を「どう作っていくのか」を議論していくことが私達の課題ではないでしょうか。