今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「子供発達障害不安障害」についてです。

「うちの子ってなんでこんなに怖がりなんだろう?」「忘れ物の確認、何度もやってる…」そんな行動が頻繁に見られたら、もしかしたら「不安障害」かもしれません。 不安な状態が続いてしまうと、だんだん外出が怖くなり、生活に影響が出てくる可能性があります。

不安障害について理解して、子供に対して「なんでこんなこともできないの?」「これからこの子はどうなるの?」という不安を少しでも軽減していきましょう。不安障害への治療法やサポート方法についてもお話しします。

発達障害と不安障害の関係って?

発達障害と不安障害は常に隣り合わせの関係にあると言ってもいいでしょう。

発達障害などの何かしらの障害を持った人は、 自分は周りと少し違うと疎外感を感じることもあるかもしれません。 変わった人だと言われたり、できないことに対して怒られたりと、気持ちが不安定になる機会が多いです。

発達障害の人は仲間からの孤立や、自尊心の低下から、自己肯定感が低くなり不安障害を併発する可能性が比較的高いと言われています。

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静江
発達障害に関しては、以下のサイトでも詳しく説明があります。よろしければご覧ください。

不安障害とは?

精神疾患のひとつで、様々な不安に関する障害を総称した言い方です。不安障害にはパニック障害、恐怖症、強迫性障害、気分障害(うつ病・躁鬱病)などがあり、それぞれに共通する主な症状としては、常に不安と恐怖を感じている状態です。

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浩二
心の病について、以下の動画で分かりやすく説明されています。よろしければご覧ください。

不安障害の症状は?

健常者にとっては、 以下のような出来事は日常茶飯事かもしれませんが、不安障害の人にとってはとても不安に感じてしまいます。

  • 予定していたことが変更になる
  • 電車が遅れる
  • 同じ場所にいつもあるモノがない
  • あやふやな表現をされる
  • 忘れ物をしたらどうしようと不安で何度も確認をする

など、何度も同じことを確認してしまったり、予定通りでないことが突如発生したりすると不安でたまらなくなります。

「もしかしたら〇〇かもしれない」という不安状態があらゆる場面で起こります。すると、不安と恐怖でだんだん何もできなくなってきて、社会や日常生活に支障が出てしまう場合があるのです。

下記のツイートをご覧ください。

ご覧の様に、不安障害に苦しむ人は少なくありません。

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静江
常に不安状態だと、心も体も疲れそうですね・・・
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浩二
そうですね。緊張状態が続くので、疲れやすく、体がこわばって眠りが浅くなる人もいるようです。

不安障害の原因は?

発達障害を伴う不安障害の原因については、まだまだ不明瞭な部分が多く、はっきりと分かっていません。ですが、少しずつ分かってきていることは、発達障害の人は脳内報酬系の分泌量が少なく、不安状態になりやすいという研究結果です。

脳内報酬系とは

脳で快感を感じさせるシステムのこと。綺麗な景色を見たり、美味しいものを食べたりすると報酬系が働いてドーパミンなどの快楽物質が分泌され、気分が高揚します。その快感が人の行動の動機付けとなるのです。

一般的な不安障害は、何かの出来事や経験などがきっかけで慢性的に不安な状態になります。発達障害の人は、脳の状態が不安に傾きやすくなっているため元々不安障害を併発しているか、発達障害から起こった二次障害である可能性もあるのです。

二次障害って?

障害があることで、叱責されたり孤立したりして、自尊心を削られ、その結果暴力的になってしまったり、うつ病になってしまうなどの二次的な障害のことです。

もともと大人しい性格の人は、不安障害やうつ病になりやすい傾向があります。
他には、しばしばかんしゃくを起こしたり、すぐに口論になったり、故意に人を苛立たせたりする、反抗挑戦性障害や他人や動物を傷つけたり、モノを壊したり、窃盗をしたりする素行障害なども二次障害の例です。

二次障害を防ぐには

二次障害を防ぐためには、早期療育や周りのサポートが必要となります。

もし、発達障害と診断を受けた場合は、診断名にこだわらず、発達障害への理解と子供の行動パターンの理解を進めましょう。そうすることで、子供の苦手な部分をサポートできるようになり、何でこんなこともできないの?と思い悩むことも少なくなるでしょう。

発達障害への理解がなく、しつけと思って子供に過度に怒り続けてしまうと、子供の自己肯定感が下がってしまい、二次障害に発展しやすくなってしまいます。
子供に合ったサポート方法や治療法で、子供の自己肯定感を保つことが大切です。

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静江
下記に感情のコントロールが苦手な子への対応について解説している動画を用意しました。よければ併せてご覧下さい。

不安障害の治療法やサポート

おうちでできること

まず、子供が何に不安がっているのか、話を聞いてあげることが大切です。子供にも話したい気分のときと、そうではない時があるので、子供を焦らせないようにしてあげてください。

  • 子供の気分やタイミングを見計らう
  • 話をしようとこちらから誘う
  • 話始めたら聞き役に徹する
  • 拒まれたら強制しない
  • いつでも話ができる体制であることを伝える

以上のことを心掛けながら、お話をしましょう。助けになるような言葉を無理に考えなくても大丈夫です。「また不安なことがあったら話をしよう」「一緒に考えよう」など、話を聞く体制があることを伝えましょう。

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浩二
いつでも不安な気持ちを吐き出せる場所があると知っていれば、お子さんも安心しますね。

薬物療法

一般の不安障害の人に出す「抗不安薬」を発達障害の人に服用しても、発症した原因が違うため、あまり効果はみられません。

一般的な不安障害とは違い、発達障害の人は、脳機能の障害が原因と言われているからです。発達障害の人はこだわりや依存度が元々高く、薬物療法に頼りすぎて薬に依存してしまうと危険なので、薬物療法は最小限にとどめましょう。

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静江
一般の不安障害なのか、発達障害を伴っている不安障害なのか病院での診断も大切なんですね。

認知行動療法

発達障害と不安障害を併発している人は薬物治療を最小限に抑えて、認知行動療法や森田療法などを利用することもできます。もちろん、一般の不安障害の人も利用できる方法なので、お薬と一緒に上手に活用してみましょう。行きつけの病院でそれらの治療を希望する旨をお話ししてもいいかもしれません。

認知行動療法とは

自分の感情を客観視またはコントロールする訓練をすることで、認知(考え方・物事の捉え方)を変えストレスを軽減させていく治療法のこと。物事の捉え方が変わることで行動にも変化があることを期待されています。

森田療法とは

森田正馬(もりたまさたけ)によって考えられた精神療法のことです。第一期~第四期に構成されたプログラムに沿って特別な施設での生活を送ります。最終的には日常生活へ戻ることができ、その中で不安や葛藤が発生しても健康な状態を保つことができるようになるという治療です。

まとめ

以上、発達障害と不安障害についてお話をさせて頂きました。
一般的な不安障害と、発達障害を併発している場合では治療法が異なってくることがあります。

早期治療や療育によって、不安障害を防いだり、だんだんと不安な気持ちを自分でコントロールすることが可能です。障害への理解を深めて、子供へのフォローの仕方を考えるきっかけになればと思います。