今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所となる事を願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害と呼ばないで」についてです。
【発達障害】は誤診断だったので対処を変えたら改善が見られたと書かれた書籍を見つけたので紹介します。発達障害に限らず精神疾患の類は病名を決める明確な指標がないので、適切に対処されていないことも多いのだそうです
発達検査を受けるべきか悩んでいる親御さんには・診断を受けるメリットデメリットの章がオススメです。
・【発達障害】の表記についての章ではフロリダ大学の研究やパラアスリートの訴えのリンクを載せました。寄り添うとは?困っているのは本人なのか?沢山の情報にあふれているけどこれさえ指針にしていれば振り回されることはないと思います。
目次
発達障害と混同しやすい○○障害
精神科医岡田尊司(オカダタカシ)先生は2012年に発売された著書「発達障害と呼ばないで」の中で
「発達障害」と診断されながら、実際は「愛着障害」であるケースが数多く見過ごされている。「発達障害」と似て非なる「愛着障害」には本当に必要な対処が必要だ
発達障害と呼ばないで
と述べられています。
発達障害と呼ばないで!見落とされがちな愛着障害とは
なぜ医者は「発達障害」と診断したがるのか?
最新研究が解き明かす急増の真実と、劇的に改善する理由とは・・・。
「発達障害」にひそむ「愛着障害」
引用:発達障害と呼ばないで
適切でない対処法や薬物療法を続けても改善は見られない…岡田先生は誤診断の中でも愛着障害の見落としに強い危機感を感じられているようです。
楽天・Amazonの商品レビューの多くは「非常に勉強になった」「希望がもてた」と高評価でしたが「お母さんの責任と言われているようで胸が苦しくなる」「タイトル詐欺」と少数派ながら見過ごすことのできない意見もありました。
愛着障害とは
愛着とは【特定な人との情緒的な絆】です。
愛着障害とは、養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、子供の情緒や対人関係に問題が生じる状態です。
主に虐待や養育者との離別が原因で、母親を代表とする養育者と子供との間に愛着がうまく芽生えないことによって起こります。
乳幼児期に養育者ときちんと愛着を築く事が出来ないと、「過度に人を恐れる」または「誰に対しても馴れ馴れしい」といった症状が現れることがあります。
仙台の心療内科・精神科マドレクリニックHP
愛着障害の主な原因は虐待です。お母さんは自分を責めすぎないでくださいね。
・【身体的虐待】殴る蹴るなどの身体的な暴力
・【心理的虐待】「お前なんかいらない」等、言葉の暴力
・【性的虐待】性的な行為を見せる、行う
・【ネグレクト】心身の健康な成長・発達に必要な世話・対応の放棄
愛着障害と発達障害の見分け方
愛着障害には
・人に頼ることが苦手な反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)と
・無差別に人に甘える脱抑制型愛着障害(脱抑制性対人交流障害)の2種類があります。
それぞれ発達障害の自閉症スペクトラム症(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状と似た特性があります。
・緊張が強い(目を合わせられない、人が近づくと身体がこわばる)
・大きい音に恐怖を感じる(日常で怒鳴られ続けている子に子の特性があった)
・気を引くために甘えたりわざと困らせるような行動をとる(常に相手の顔色をうかがう必要がある)
・午前中ボーッとしている子は朝食を与えられなかった可能性がある
・注意力が欠如して忘れ物が多い子は夫婦間の不仲などのストレスを抱えていた事例が多い
特性は似ていますがそれぞれ原因が異なります
例:友達と仲良く遊べないことの原因
他に・こだわりはあっても柔軟性がある・運動が苦手、手先が不器用の特性があまり見られない・親や養育者以外でも特定の人との安定した愛着で改善されやすいという違いがあります。
↓自閉症スペクトラム・愛着障害・PTSDを持った子どもはトラウマを受けやすい
診断に振りまわされないで
実のところ、著名な精神科医や発達障害の専門医であっても誤診がまれではありません。例えば「うつ病と診断したけれども、発達障害だった」「ASDだと診断したが、本当はADHDだった」などということは、しばしば見られています。
東洋経済ONLINE
発達障害に限らず精神疾患の類は血液検査の数値でこの値を超えたら○○病のように明確な指標はなく、診断は医師にゆだねられます。
急に診断の対象者が増えた
・発達障害の特性に似ていれば疑いありとして発達障害のくくりに入れられるようになり診断の対象が増えた。これをスペクトラム(症状の程度に強弱のある連続体)という
・発達検査を受ける人が増えた(疑いがあればまずは検査)
医師側の得意分野でないと見落とされることもある
・もともと自閉症やアスペルガーを専門としていた医師がADHD診断してもが自閉症寄りに偏りやすい
・二次障害のうつで受診した場合はうつの治療を優先に行うので原因が発達障害と特定されづらい
診断するための情報がそもそもあてにならない
・自閉症と多動の特性が一度に出ることはよくある
・月齢が低いうちは生まれ持った特性なのか愛着障害かを判断しづらい
・聞き取りをしても記憶が曖昧だったり、障害の存在そのものを否定する人は正直に話してくれない
参考:発達障害 | キーワード – e-ヘルスネット – 厚生労働省(発達障害の診断基準)
発達障害の診断を受けるメリット・デメリットがある人って?
発達障害と診断されて障害手帳を給付されると様々なサポートが受けられます。
それによって働き口が見つけやすくなったり、駐車場や入場料の割引が受けられる施設もあるので、上手に活用していきたいですね。
診断を受けるということは自分が障害者だと認めなければならず、それがショックで耐えられない人もいます。
ですので困りごとに自力で対処できるならば急いで診断する必要はないのかもしれません
発達障害の診断を受けるメリットがある人
乳幼児健診で保健師から指摘された、園や学校の先生から相談機関を紹介された、ネット等で得られた情報をもとに発達障害の特性がありそうと判断した場合に発達検査を受けられます。
・落ち着きがない、感覚が過敏、言葉が出ない等の困りごとがあるが自力で解決できない
・専門的な意見を聞きたい、得意不得意なことを知ってその子に寄りそう声掛けを取り入れたい方は発達検査を活用してみてもいいかもしれません。
↓0歳から受けられる検査もありますが、知的な遅れが明らかになるのは3歳頃からです
就園就学前に検査を受けた結果を園や学校と共有することで、よりその子にあった対処をお願いしやすいかもしれません。例えば視覚優位の子供は先生からの指示(聴くこと)が苦手なので【絵カード】を用いて事前にやることや持ち物等を伝えると見通しがたてられて子どもが抱えている心配を減らせます。
↓【絵カード】は子どもに自分でお仕度を身につけさせたいときにも効果的
発達障害の診断を受けてもメリットがない人(デメリット)
診断を受けて得意不得意がわかった方が困りごとの対策も立てやすいし、障害手帳を交付されないと受けられない制度はあります。ですが
・専門的な機関に頼らずとも自力で困りごとに対処できる
・障害年金や手帳の取得、障害者求人枠での就労を希望しないのであれば急いで診断を受ける必要はないのかもしれません。
・療育教室(市区町村、民間)
・放課後デイサービス
・養護学校
・作業療法
・運動療法
・言語療法
発達障害の表記はなぜ漢字なのか?
最後に【発達障害】の表記についてお話しします。いつからか【障がい者】や【みんなのトイレ】のように【害】の字を使用しなくなったのに【発達障害】は漢字表記な理由について触れてみたいと思います。言葉狩りの内容かと思いきや読後は困りごとの概念が180度変わってしまうほど意外な結末です。
発達障害の表記もひらがなにするべきなのか?
診断を受けるメリットの項目で【障害者であることを認めることがショックで耐えられない人もいる】とお伝えしました。日本はまだまだ【障がい者】への差別や偏見は強い国なのかもしれません。
【障がい者】がひらがな表記になった理由は【害】の字にさまたげや災いの意味があるのでマイナスイメージをもつ文字の使用を控えることで障がい者に寄り添いたいという願いからでした
当然【発達障害】についても「自分の子供に害があるイメージを持たれたくないからひらがな表記に統一してほしい」との声もありますが、当事者の意見は全く違うものでした。
【害】の字を使わなくなったのは誰への気遣いか?
表記をひらがなに変えたことは【障がい者】に寄り添うことになっているのでしょうか?
日本は発達障害の診断が最も多い国と言われているのに、一番住みにくい国ではないかと言われています。
・時間厳守が求められる、守れない人は人間性まで疑われることも
・異文化で同じ生活環境で育った人が多い為、全てを明確に言葉で伝えなくてもある程度の話題は理解できた(空気を読む、察する文化)
・優れた人材よりも平均的な人が求められる傾向が強い
・学校や職場が寄り添って環境を整備することよりも本人の服薬を優先されることが多かった
ちなみにフロリダ大学の研究によるとADHD特性のじっとしていることが苦手な子の多動を抑えることは逆効果なのでは?と言われています。
日本では、集団生活になじめない=苦労するだろうの前提のもとに特性がある子どもに訓練を受けさせる支援が多いのですが、多様性を掲げているこれからは個々の個性を尊重した寄り添い方が出来るようになるかもしれません
パラアスリートも声を上げています!
参考:当事者が考える「障がい者」ひらがな表記問題。一ノ瀬メイ×岸田ひろ実「障害の本質」対談
まとめ
・発達障害の治療で改善が見られない場合は適切でない対処や薬物療法を続けている可能性がある
・障害者であることを認めることにショックを受ける人もいる、困りごとを自力で解決できるなら診断を急かす必要はない
・障がい者に寄り添う気持ちでひらがな表記になったが当事者の意見は反対だった、障がい者が社会に持たされている害を勝手になくされることに危機感を覚えるから
発達障害(疑いも含めて)に寄り添うサポートはあるものの当事者が本当に生きやすい社会になるにはまだまだ改善の余地があるとあらためて気づかされました
↓就労を助けるサポートもあるが本当に寄り添ったものといえるのか…
お子さんの発達を心配する親御さんも、集団生活に馴染む為のサポートと生きやすくなる為のサポート両方の視点で情報を集めることをオススメします。
学習障害の特性を持った子どもは板書が苦手ですが、じっと座ってノートをとれなくてもタブレットで黒板の写真を撮ることを了承してくれる学校もあります。多様性を進める時代、特性をもったお子さんもより生きやすくなるように私たちも努めたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。