今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所になることを願って投稿させていただきます。

今日のトピックは「発達障害 法律」についてです!

発達障害関連の法律を勉強していると、こんな悩みがあるかもしれません。

・法律って理解するのが難しい
・結局、法律を知ってどうなるの?
・どんな制度を使えるの?

発達障害関連の法律を知らないことは危険です。法律は各種支援施設とのトラブル時や就労支援を受ける時などに自分たちを守ってくれるものだからです。また障害者手帳を貰うときにもどういった基準なのかを知っていることは重要です。まずは法律の内容がどういったものかを知り、その上で自分の子どもに必要な制度を活用できるようにしていきましょう。

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浩二
今回は発達障害を持つ子どものための法律がどんなものか、重要な点に絞って紹介させていただきます!

発達障害者のための法律

発達障害者のための法律の名前は、「発達障害者支援法」といいます。発達障害を持つ人が円滑に日常生活や社会生活が送れるように周囲の人に課されるさまざまな責務、配慮が書かれています。全ては当事者さんの人権が守られて、うまく生活していくことが目標とされています。

発達障害者支援法の目的

①発達障害を持つ人のこころの正しい発達と円滑な社会生活を促す
②発達障害の早期発見&早期支援を促す
③切れ目の無い支援を促す

発達障害者支援法によって定められる支援すべき団体&内容

①国、都道府県、市町村
②地方公共団体
③発達障害者支援センター
④学校教育
⑤就労支援

障害を持っている持っていないに関わらず、互いが尊重し合って生きていくことが大事だとされています。

発達障害者支援法にとっての当事者さんのゴールは自立と社会参加になります。

基本(1-4条)

発達障害の法律上の定義や周りがすべきことが書かれています。 切れ目のない支援、早期発見&早期支援が強調されています。

発達障害の定義

脳機能の障害で低年齢で現れるもの。
当事者にとって日常生活、社会生活上の困りごとがあること。

支援

さまざまな機関が連携し、切れ目のない支援を行うこと。

国および地方公共団体のすべきこと

早期発見、早期支援、相談、保護者の意思尊重、被害を受けないように警察と連携をすること。

国民のすべきこと

発達障害への理解と自立、社会参加への協力をすること。

支援(5-13条)

早期発見&早期支援のためにすべきことや、保育・教育・就労といった具体的な支援策が必要になってくる施設に対しての責務に加え、家族に対する支援策も書かれています。

早期発見

健康診断、発達障害の診断ができる医療機関の紹介をすること。

早期支援

保護者の相談を受ける、アドバイスを与えること。

保育

友達とうまく生活できるように配慮すること。

教育

クラスの友達個別の教育計画を立てること。
他の生徒と一緒に学習ができるように配慮すること。
いじめ防止をすること。

就労

公共職業安定所、地域障害者職業センターなど就労支援団体が連携して、就労の定着を目指して支援すること。
就労支援を学校でも行うこと。
個々の特性を活かせる仕事を共に探すこと。

生活

自立を目指して、トレーニングの確保、住居の確保をすること。

いじめ・虐待の対策

差別の解消・いじめの防止をすること。

家族への支援

家族に対して情報提供、アドバイス、発達障害の家族が支え合う活動の支援をすること。

支援センター(14-19条)

発達障害の支援に携わる施設に対して、一般人や家族ではカバーできない「専門性の担保」が責務と書かれています。専門的な目線が必要なことが分かります。

発達障害者支援センター

早期発見、早期支援・就労支援のため、「専門的な」情報提供・アドバイスを行うこと。
支援に従事する者に対して、発達障害についての研修を行うこと。
発達障害支援団体どおしの連絡調整を行うこと。

秘密保持義務

支援センターの役員・職員は職務で知った情報を漏らしてはいけない。

専門的な医療機関の確保

専門的な発達障害の診断・支援が行える医療機関を確保すること。

その他(20-25条)

啓発活動や専門家の育成、研究への責務が書かれています。少しでもよりよい支援のために多くの人の協力が必要になってきます。

民間団体への支援

民間団体が行う支援活動の活性化をすること。

啓発

一般の人に発達障害の理解を深めてもらえるように、医療従事者には発達障害の発見のために啓発をすること。

専門家の人材確保

専門性を高めるための研修を行うこと。

調査研究

発達障害の原因解明、よりよい支援方法の提案を目的として、研究を行うこと。

おすすめ書籍

社会生活や日常生活上のトラブルを、豊富な事例を用いて法律から見た解決方法をまとめてくれています。発達障害を持つ当事者だけでなく、支援者やご家族などに発達障害に関わる方には幅広くおすすめできる一冊です。

▼概要

著者鵜飼 康二
出版社ぶどう社
価格\2,200(税込) 送料無料
発売日2019/11/11
2021/12/28現在 Amazonより抜粋
学べる内容

・職場でのトラブル
・採用&労働条件
・恋愛のトラブル
・親御さんのトラブル

口コミ

・法律本なのに分かりやすい
・トラブルと解決方法が参考になった
・医療や福祉だけでなく、労働まで幅広い分野をカバーしている
・発達障害でなくても参考になるものもある

などといった声が多く見られました!

精神障害者福祉保健手帳

精神障害者福祉保健手帳は、一定程度の精神障害の状態であることを認定するものです。発達障害者支援法と同じく、手帳を持つ方の自立と社会参加を促す目的があります。手帳を持つ方はさまざまな支援、サービスが受けられます。

手帳を受け取れる方

・統合失調症
・うつ病、躁うつ病
・てんかん
・薬物依存症
・発達障害
・その他精神疾患

等級は1~3級まであります。いずれも精神障害であることが条件に入っているため、受け取りたくても受け取れないといった問題もあるようです。

等級の条件

1級…精神障害であって、日常生活を送ることが不可能に近い状態にあるもの
2級…精神障害であって、日常生活に制限に著しい制限があるもの
3級…精神障害であって、日常生活・社会生活に制限があるもの

受けられるサービス

手帳を受け取ることでさまざまなサービスを受けることができます。

全国どこでも受けられるサービス

・NHKの受信金額の減免
・税金の控除・減免
・生活福祉資金の貸付
・職場適応トレーニング

その他、地域によっては

地域によっては受けられるサービス

・バスや電車など公共料金の割引
・福祉手当
・公共住宅の入居が優先にされる

などのサービスが受けられます。

申請の方法

市町村の担当窓口にて申請を行ってください。申請書、本人の写真、診断書が必要です。審査に通ると手帳が交付されます。

申請は家族や医療関係者、支援に携わる者が代理で行うこともできます。更新は2年ごとで、その度に知事の認定をもらう必要があります。

手帳を受け取るメリット・デメリット

手帳の取得は、そのメリット・デメリットをしっかりと把握した上での取得を推奨します。手帳を受け取ること自体にも申請や更新と言った負担があるからです。手帳取得のメリット・デメリットをご紹介します。

障害者枠で雇用・就職活動できる(メリット)

上記したさまざまなサービスの他に障害者枠で雇用・就職活動できるというメリットがあります。就職活動の時に選択肢が増える、雇用された後も周りから理解が得られやすかったり、仕事内容を配慮してくれたりします。

収入源を用意することは自立に向けて大きな前進となります。

発達障害を持つ当事者にとって、職に就くというのは大きな壁になってくるので、そこをクリアできる可能性を増やせるのは重要なメリットになってきます。

取得に負担がかかる(デメリット)

基本的に取得に医療機関の診断が必要になる場合がほとんどなので、診断を受けるという負担がかかります。診断はいつでも受けられるわけではなく予約が必要だったり、すぐ結果がでなかったりもします。

また手帳を持つということは障害者であることをオープンにするということなので、それに伴い心理的負担がかかることがあります。周りの人にも発達障害であることが伝わってしまうので、理解してくれる人と出会えることもある反面、今までと態度が変わってしまったり差別を受けてしまうこともあるそうです。

仕事面でいうと同僚や上司に発達障害が明らかになって昇進に影響する場合もあるそうです。

参考記事

手帳を持つメリット・デメリットをもっと知りたい方はこちら。

参考動画

手帳を持つことはメリットに注目してしまいがちですが、こちらの動画では「安易な手帳取得」を考えさせられる内容となっています。手帳を取得するな!といった内容ではありませんので安心して、ご一考の際の参考にしてみてください。

まとめ

1, 発達障害者支援法にとって、当事者さんの自立と社会参加がゴール
2,早期発見&早期支援が大事
3,切れ目のない支援を目指している
4,手帳取得は自立と社会参加実現の手助けになる
5,手帳取得にはメリット・デメリットがある

最後までお読みいただきありがとうございました!