最近発達障害という言葉について、よく耳にしませんか?

あなたは、3歳前後のお子さんを持つママですか?「同年代の子と比べて、うちの子何か違う。うちの子発達障害かも?」と気になっていませんか?

子どもにそんな不安を感じている人に向けて、3歳前後の発達障害の子どもの特徴、相談窓口、子どもへの接し方などを説明していきたいと思います。

目次

うちの『3歳の子』もしかして発達障害?

3歳ごろは、幼稚園や保育園に通っている子も多いのではないでしょうか。

子どもと過ごす時間が長いママは、一番先にお子さんの違和感を感じるかもしれません。

発達障害の特徴の一部をあげると、

  • 親との意思疎通でも難しい
  • こだわりが強い
  • 友達とうまくいかなかい
  • 会話が難しい
  • 周りへの無関心
  • 運動(ジャンプなど)が苦手

(参照文献:PDF発達障害の診断を受けた幼稚園児の行動特徴: 3歳から5歳の変化に関する検討 宮寺千恵 吉澤智慧 2015

心当たりがあるお子さんは、発達障害を持っているのかもしれません。

発達障害の場合、ママやパパは、子どもの特徴を理解して早期発見し、適切に対応することが大切です。

まずは、定形発達3歳児の特徴を見ていきます。

定形発達の3歳児の特徴とは?

定型発達とは発達障害でない人々(あるいはそのような状態)を意味する用語である

参照:ウィキペディア『定型発達』

個人差はありますが、以下にあげるような特徴があります。

(参照 発達障害情報・支援センター|3歳児対象:わんぱく3歳児〜子どもの心と体を育てよう〜

自我の芽生え

  • 自己主張が強くなる(イヤイヤ期もこの頃)
  • 考える力がついてきて、「なんで」「どうして」が増える
  • 他者への関心を持つ

言葉が豊かに

  • 言葉が増えて、簡単な会話が成り立つようになる
  • 色、数字の理解ができるようになってくる

運動がダイナミックに

  • 運動能力、バランス感覚も向上
  • 片足けんけん、ブランコなどで遊ぶ

遊びの種類も多彩に

  • 鉛筆を持って丸を書いたり
  • ハサミやノリなどの道具を使う
  • 指先を使う工作などで遊ぶ
  • ごっこ遊び(おままごと、人形を使った遊び)をする

身の回りのこと

自分でできることが増える

  • おもちゃなどの片付け
  • 服を着たり、脱いだり

排泄

うんちやおしっこが分かり、大人に知らせるようになる

発達障害の特徴は?

3歳頃の集団生活を始めるタイミングで、発達障害が気づかれることが多いようです。

そして、発達障害にはいくつかのタイプがあります。

発達障害の種類

発達障害支援法では、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他の脳次機能障害のことを指しています。

そして、その症状が低年齢において発現するものと定義されています。

それぞれを明確に分けることが難しく、障害の特徴がそれぞれ少しずつ重なり合っていることもあります。障害の程度もそれぞれ異なります。

広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群)

  • 人と目が合わない
  • 他の子に関心がない
  • ひとり遊びが多い
  • マイルールがあり、臨機応変が苦手
  • 得意なことは何時間でも熱中できる

注意欠陥多動性障害(AD/ H D)

  • おとなしく座っていられない
  • 常に動いている
  • 順番を待てない
  • 不注意(うっかりミス)が多い
  • 集中し続けるのが困難
  • (課題など)最後までできない
  • 物事の段取りが下手
  • 整理整頓が苦手

学習障害(LD)

  • 読む、書く、計算するなど特定の行為が難しい
  • 小学校の学年が上がるにつれ成績不振に陥る

(参照:発達障害情報・支援センター

知的障害を伴う場合

発達障害は、知的障害を伴うこともあります。

チック障害

自分の意思とは関係なくしてしまう行為を意味しています。運動チックと音声チックの2つのタイプに分類されています。

運動チックとは

まばたき、急に首を振る、顔をしかめる、などの素早い運動をする行為

音声チックとは

咳払い、鼻を鳴らす、奇声をあげる、特定の単語を繰り返すなどの行為

チック障害の経過

成人までに軽快の方向に向かうことが多いようです。

トゥレット症候群

運動チックと音声チックの両方が1年以上続く重症のチック障害

吃音症

口ごもったり、言葉の出だしが困難だったり、話が休止したりなど流暢に話ができない状態

発達性協調運動障害

WHOの診断ガイドライン「ICD-10」によると、全体的知能の遅れや、協調運動の発達の重篤な機能障害を基本的徴候としています。

具体的に言うと、両手を使ったり、目と手、手足など同時に使う運動能力が遅れているために、運動などが苦手だったり、素早い運動や反応が困難が生じます。

そして、動作ができないことにより日常生活に支障がある場合を発達性協調運動障害と診断されます。

早期発見が大切な理由

冒頭で、発達障害の場合は、早期発見、早期に環境を整えることが大切だと説明してきました。

それはなぜなのか、説明していきたいと思います。

3歳からの集団生活

3歳を迎える頃になると、保育園や幼稚園、あるいは市町村の集団健診など集団生活をスタートするお子さんは多いのではないでしょうか?

発達障害がある子が集団の中に入ると、一例ですが以下の状況になることも考えられます。

発達障害がある子の特徴

下に自閉症を持つお子さんのYouTubeを貼っておきました。

自閉症の特徴を理解するのにとても参考になりますので、ご覧いただければと思います。

  • 言葉が出なくて、お友達とコミニュケーションが取れない
  • みんなと同じことができない、遅れる
  • こだわり行動が多くなり、ひとりでいる
  • 先生とのやりとりがうまくいかない

など、孤立する、お友達ができない、環境に馴染めないなどのケースになる場合もあります。

2次障害の予防

このような状況に置かれると、不安を感じ、自信をなくすことに繋がります。そして、いじめ、引きこもり、不登校などの2次障害につながる可能性があります。

発達障害かも?と思ったら適切に対応し、早期発見し、環境を整えていくことが重要です。

2次障害になってしまったら

子どもが精神的に辛くなったときには、医療機関を受診しましょう。そして、今後のことなど小児科の先生に相談してみましょう。

医療機関から専門機関へ支援が繋がる場合もあります。

相談窓口について

相談窓口について解説します。

発達障害への気づき

ママが、「この子、他の子と違う」と気になっていたり、保育園・幼稚園の先生、市町村の健診で発達障害と指摘されるケースなど様々ですね。

「この子発達障害かも」と気づけたら、次は専門機関に相談して、その子の環境を整えましょう。

次は相談窓口を紹介していきます。

発達障害情報・支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害児を支援するための専門機関です。

設置箇所

全国(参照:発達障害者・支援センター|相談窓口の情報

役割

  • 発達障害児(者)と家族が豊かな地域生活を送れるように、保健、医療、福祉、教育、労働分野の関係機関と連携している
  • 発達障害児(者)と家族からの相談を受け、指導、助言をしている

相談前に準備しておくこと

発達障害かどうかは、その子の生育歴が重要になるので、

  • 今どんなことで困っているのか
  • 成長の過程で困ったこと
  • 気がかりなこと

事前に準備し時系列にしてまとめておくと、話がスムーズですね。

準備したいもの

  • 母子手帳
  • 幼少期の様子がわかるもの(ビデオ、動画など)
  • 学校で描いた作文

過去の記録も準備できると話が進めやすいでしょう。

市町村

お住まいの市町村においても発達障害を持つ子どもと保護者に対しての支援を行なっています。

3歳児健診で、発達障害に気付かれるケースも多いようです。

3歳児健診

3歳児健診は、保健所や市町村保健センターで行われる集団健診です。

実施内容
  • 身体測定、体重測定、内科医師、歯科医師の診察
  • 栄養や発達などの相談
相談してみましょう

言葉が出てこない、周囲に関心がないなど、心配なことや気がかりなことも相談することができますので、ぜひ相談してみましょう

個別相談

発達障害に対して不安を感じる保護者に対して、市町村の支援員が個別相談に応じている場合もあります。

心配なことがある場合は、まず相談してみましょう

保育園・幼稚園

保育園や幼稚園に入園してから、もしかして、発達障害?と気づくケースもあります。

身近な存在

ママにとっては、一番身近な相談できる人かもしれませんね。発達障害や子育ての悩み、困ったことなど相談することもできます。

理解ある環境づくり

発達障害の子の場合は特に、理解ある環境で過ごすことは子どもの未来にとってとても大切なことです。

そして、その子の特徴を保育園でも理解してもらう必要があります。

先生とコミニュケーションを

しっかり、こちらの要望を伝えたり、先生から保育園での様子を聞いたりなど、先生としっかり連携し、その子にとって安心して過ごせる環境を作っていきましょう

医療機関

3歳ごろは、病気や予防接種などで医療機関に受診することもありますよね。幼稚園の次に訪れる機会が多いのではないでしょうか?

医師に相談してみても良い

医師や看護師がいますので、言葉が出ない、周囲に関心がないなど、心配ごとを相談してみてもいいですね。

医療のプロとして、たくさんの子どもさんをみてきています。経験から有用なアドバイスが貰える可能性もあります。

保護者の理解が大切

子どもにとって、何よりも大切なのは保護者の理解です。1つずつくわしく解説していきます。

障害受容ということ

子どもに障害があるとわかった場合、ママやパパは障害を受け入れるまでに「そうだったのか」と納得したり、「そんなことはない」と否定する気持ちになったりします。

このように、否定したい気持ちと肯定する気持ちを繰り返しながら、時間をかけて、子どもの障害を受け入れていくプロセスがあります。

これは障害受容というそうです。

最初は受け入れられないかもしれない

子どもと一緒に時間を過ごしているママは、自分の子どもが「発達障害かも?」と思っても、受け入れられないかもしれません。

保護者への支援

早期支援には、保護者の支援も含まれています

支援では、同じ境遇のママと話し合ったり、カウンセラーと話ができたり、ママが気持ちを整理できるように工夫されているようです。そして、障害についての理解を進められるようにサポートします。

時間をかけて、しっかりとサポートを受けながら、子どもと一緒に次の段階に進んでいきましょう

子どもの育て方は同じ

子どもの育て方は発達障害でも基本は同じです。くわしく見ていきましょう。

発達障害でも基本は同じ

発達障害のある子、子育ての基本は同じです。それは、障害のある子もない子も個人差はありますが、同じ成長過程をたどって成長しているからです。

子どもに向き合うこと

子どもに向き合って、その子の「できること」「できないこと」を知り、その個性を伸ばし、成長を見守っていくという点では違いはありません。

(参照:PDF 発達支援の指針|全国児童発達支援協議会

他の子と比べないこと

親の立場としては、同じ年代の子どもと比べてしまい気持ちが落ち込んでしまうこともあるかもしれません。

でも、お子さんは自分のペースで成長し、変化しています

しっかり見守ってあげましょう。

ママ、パパにして欲しいこと

ママやパパは、お子さんと毎日を過ごす中で、できたこともあると思います。できたことを喜び、認めてあげましょう。

認めてあげることで、子どもは自信をつけていきます

認めると成長する

ママやパパに認められて自信がついてくると、子どもは他のことへの関心が向いたり、「ああしたい」「こうして欲しい」などの意欲的・自発的になることに繋がります。

これを一つ一つ積み重ねる(成功体験)を積むことによって、子どもは成長していきます。

できないこともある

発達障害は脳の機能に一部の異常がある事によって、障害がない子よりも不得意な事や、できるけど時間がかかってしまうことも存在します。

な子どもができないこともあり、ママはどうして?と思うこともありますよね。

そんな時は、子どもを怒ったり、責めたりせずに、どうしたら興味を持つか・楽しくできるかを考えてみましょう。

あまり悩まないで

子どもの特性は一人一人異なるので、療育施設や専門機関に相談しながら子どもの状況に応じて、少しずつできることを伸ばしてあげましょう。

ママやパパもあまり悩みすぎず、毎日を笑顔で、楽しく過ごしていきましょう

家庭でできること

子どもを育てる環境はとても大切ですね。

こちらでは、「発達支援の指針」が示す、「課題」に沿って、ママやパパが子育てする中で知っておくと役に立ちます。

全てを完璧にやろうとせず、目安にしてくださいね。

  • 健康
  • 遊び
  • 生活
  • 情緒
  • 感覚・運動
  • コミニケーション
  • 言語
  • 大小・色・数量などの概念

(参照:PDF 発達支援の指針|全国児童発達支援協議会

健康

食事とマナー

幼児期には、栄養バランスをとれた食事をすることも大切で、食事のマナーなども徐々に身につけるここが大切です。

偏食という課題

偏食は、障害を持つ子どもの課題となることが多いです。

嗜好に合わせて工夫をしたり、他の人が食べているところを見せたり、食べても大丈夫という安心感を持たせたりして改善する場合もあります。

生活習慣の確立

食べること、眠ること、出すこと(排泄)ができるよう見守りましょう。生きていく基本となります。

そして、子どもの生活習慣を整えて定着するように、手伝ってあげましょう。

遊び

3歳という時期の子どもは、遊ぶこと自体が成長や発達に直結します。

子どもの世界を広げる

遊びによって、子どもの興味・関心が新たな人や物事に向かいます。そして、新たな発見をしたり周囲の人との関係を深めたりする可能性も秘めています

大人も一緒に遊ぶという選択

発達障害の場合は、一つの遊びに固執してしまったり、他の子どもと遊んだりすることが難しいという特徴もあります。

そんな時は、違う種類の遊びを提案したり、経験したり、ママも一緒に楽しむ事によって、子どもの達成感や充実感、また「遊びたい」という意欲を育てることを心がけていきましょう。

生活

生活習慣を確立することの大切さ

生活習慣(食べる、寝る、排泄)を徐々に自分でできるようになることによって、「自分でできる」という自信と意欲につながっていきます。

自信をつける事によって、次の集団生活への参加やその中で適応していくステップへの進むことができます。

集団(保育園や幼稚園)の中で生きる

集団の中に入る事によって、お友達と一緒に遊び、互いに触れ合い、学び合って活動することを積み重ねることは大事です。

それは、年齢なりの社会性を身につける事、感謝される喜び、自尊感情など将来のために繋がるからです。

発達障害の場合は、集団生活を含め同世代の子たちとの触れ合いが困難な場合が多いです。状況に合わせて相談しながら、環境を調整していきましょう。

情緒

情緒は新生児の時から段階を追って発達していくものですが、ママやパパが愛情をかけて育てても、障害が影響して愛着行動が形成されにくい場合もあります。

この場合、二次的に情緒が不安定になったり、特に自発性や能動性に欠けることが多くみられるようです。

情緒を安定させて、意欲や自発性を引き出す

子どもが安心して過ごせる環境を作る

わかりやすい環境や居心地が良い空間(笑い声や賑やかな声がする)を作ったり、子どもが好奇心を持ちそうなおもちゃを使うなど

夫婦関係も大切

ママとパパが仲良くしているところを見せることは、本当に大事で、それだけで子どもは安心して家庭で過ごすことができます。

夫婦喧嘩はしないようにして下さいね。

大人が介入し新たな関係を作る

大人が誘導して、楽しい経験を積み重ねることで、「楽しい」「嬉しい」などの感情を持てるように関わりましょう。

そうすることで、人に対して情緒的な交流や共感的な関係が育まれます。そして、一緒に遊んだ友達を意識するきっかけになります。

子どもと信頼関係を作る

関係が作られることで、大人への信頼が深まり、子どもの意欲的な態度につながります。

また、その積み重ねによって、自分の置かれている状況や外部の変化がわかるようになり、情緒の安定に繋がるようです。

感覚・運動

感覚と運動経験はどちらかではできず、両方が関連しあって発達していきます

発達障害など障害がある子どもなど場合は、感覚が鈍かったり逆に過敏だったりします。その子に合わせていろいろな経験をさせてあげることが大切です。

例えばですが、嫌がらない範囲でいろいろな運動をしてみたり、家事などで手先を使うような経験してみたりしてもいいかもしれません。

コミニュケーション

子どもが自分の意思や気持ちを伝えることと、相手の気持ちを理解するという双方向のやりとりができるようになることが大切です。

ママや先生、お友達とのやりとりを通じてお互いの気持ち表現したり、理解を深めたりして、いろいろな体験を積み重ねましょう。

社会性・ソーシャルスキルの獲得

周りの人の思いや気持ちを理解して、自分の行動を変えたり、相手に合わせることを覚えていくことも必要で

また、挨拶、言葉遣い、集団行動、日常生活で行っていいこと・いけないことなども徐々に覚えていくことも大切です。

子どもに合わせて

小さい時から、徐々に覚えていけたらいいですが、障害によって理解が困難なこともあるので、子どもの状況に合わせて、専門機関と連携を取りながら進めていきましょう。

言語

発達障害がある子どもの場合には、言語の発達に遅れや偏りがあることが多いです。

今は、言葉が出てこなくても、子どもはママや周囲の人との関わりや遊び、やりとりが大切です。

日々の生活の中で、子どもの「楽しい」「嬉しい」などの意欲を育ていけたらいいですね。

具体的な方法

具体的には、絵カード学習、絵本や紙芝居の良き聞かせ、行事やプール遊びなど写真やビデオを見せることで、子どもが発言をできるように誘導するのもよいかもしれませんね。

大小・色・数量などの概念

大小や色、数量などの概念は、目で見て、比べて、触って、持ってなど複雑な知覚体験や遊びを通じて、時間をかけて育ちます。

具体的な方法

給食やおやつの時に、どちらが大きい?多い?と話しかけてみたり、好きなもの(服やお菓子)で色や数を提示してみたりしてもいいですね。

単に一方的に教えても身につかないので、いろいろな経験や遊びを通して、好奇心や興味が持てるように誘導し、その世界の楽しさを伝えることが大切です。

まとめ

うちの子は発達障害なの?と頭をよぎったその日から、ママは不安ですね。「もしかして」と思ったら、早い段階で相談窓口で相談してみて下さいね。

そして、子どもを理解することから始めてみて下さい。

もし早期発見できれば、保護者が子どもを支援できる体制を整えた上で、早期対応、療育がスタートできます。

子どもとママ、お互いに理解し合いながら、子どもと一緒に成長できたらいいですね。