今日も皆さんと一緒に、発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「発達障害とスマホ依存」についてです。
スマホ依存は、世間一般でも話題になっている社会現象ともいえる深刻な問題ですが、さらに発達障害の人達は、健常者以上に依存症になりやすいと聞きました。
また、健常者でもスマホ依存になると、ゲーム脳やスマホ脳過労といわれる発達障害に似た症状が出るようになるということも噂になっています。
そのような恐ろしいことが真実なのか、その真偽のほどを調べてみようと思います。
目次
発達障害はスマホ依存になりやすい
全ての発達障害者が、健常者以上にスマホ依存に成りやすいわけではありませんが、中には興味のある刺激に強い依存傾向を示す特徴の症状を持つものもあるので、その場合は、通常よりも依存しやすいといえるでしょう。
スマホ依存になりやすい発達障害とは
ADHD
ADHDは、動かずにじっとしていられず、並ぶことや待つことが苦手という問題行動が特徴の発達障害ですが、退屈を嫌う傾向や、刺激を好む特性から、ネット・スマホ・ゲーム依存に陥るケースが急増しています。
ADHDの傾向がある人も、好奇心旺盛で新しいものに飛び付く新奇性タイプが多いですし、自己抑制する力が強くない為、一旦スマホ依存になってしまうと、非常に抜けにくくなってしまうのです。
実際に、ADHDはパチンコなどのギャンブル依存にもなりやすいという研究も発表されています。
ASD
ASDは、他者とのコミュニケーションや社会性において苦手な特徴を持つ発達障害で、リアルでは構築しづらい人間関係も、ウェブ上では苦手意識も傷付くこともなく自分のペースで参加できるSNSなどに、はまり易いようです。
また、興味を引くものに強いこだわりを持つ特徴からも、ゲームや動画などに、はまるケースも多く見受けられます。
参考元:東邦大学医療センター大森病院 メンタルヘルスセンター、NPO日本次世代育成支援協会、依存症対策全国センター
スマホ依存とは
スマホ依存とは、四六時中スマホを使っている状態が当たり前で、手放していると気になって不安やパニック症状が出るほどになり、他の物事に支障が出ることもしばしば見受けられるような状態のことです。
日本で2013年に行われた調査では、スマホ依存に該当する人は、成人でおよそ421万人、13~18歳でおよそ52万人と推計され、思春期や青年期の年代で特に依存傾向が高いということが分かっています。
原因となる事
ストレス社会といわれる現代においては、人間関係がデリケートかつ難しいので、より個人主義が目立って来ていて、つながりが希薄になっていと問題視されれていますが、人との関りは無くせませんから、そうしたジレンマがスマホ依存の原因や遠因になっていると言えるでしょう。
ストレス解消や現実逃避から
社会や人間関係の煩わしさやストレスを解消するための息抜きや、現実からしばし目を背けるために、ネットやゲームに没頭するのは誰もが取ったことがある行動ではないでしょうか。
しかし、気が晴れたら戻れるのなら何も問題は無いのですが、度を越えて離れられなくなり依存症になってしまう人が一定数いるのです。
承認欲求から
社会生活には、義務や責任やルールや暗黙の了解など様々な縛りがついてまわります。そんな中、誰もが褒められたり認められたいという承認欲求を持っており、SNSのイイネや友達登録にすがってしまう絆依存が指摘されています。
つながりを求めて
リアルの延長でも、ネット上だけのつながりにしても、誰かとつながっていたいと思い、関係を悪くしたり壊したりしたくない思いから、つながり続けることに強迫観念めいた感覚を持つ人もいます。
アクセスを切っていた合い間に、何か新たなトピックを聞き漏らしていないか、裏で自分の悪口を書かれていないかなどと心配をして、つながり続けていないと不安になり、自分だけでなく友達との手前からも依存し続けてしまうのです。
引っ込み思案などの性格から
他人や人とのコミュニケーションが苦手で、自分から社交的になれない性格や社会不安障害などがあると、ネットが唯一の他人との接点だったりするので、そうなるとスマホに依存せざるを得ない状況になってしまいます。
また、一つのことに夢中になると寝食も忘れて没頭したり、ものごとの切り替えが苦手な性格で、なおかつスマホ以外に興味が無かったりして、依存してしまっていることもあるようです。
症状と弊害
スマホ依存症の症状や生じる弊害には、次のようなものがあります。
- スマホが使えないとイライラして落ち着かない
- メッセージなどの着信が気になって不安になる
- すぐに返信することをマナー以上に囚われている
- 人とのつながりが苦手でスマホを通じた以外は極端に少ない
- 家族とも会話が減少している
- スマホを使っていると落ち着く
- つい時間を忘れて夢中になってしまう
- トイレや風呂にもスマホを持ち込む
- 食事中もスマホを手放せない
- 生活上の大切な物事への支障が出る
- 昼夜が逆転する
- 慢性的な睡眠不足
- 朝、起きられない
- キレやすくなる
- イライラすると人や物に当たる
- 注意力や記憶力の低下
- ヤル気や関心などの気力の低下
- 感情が乏しくなる
- 肥満、視力の低下、腰痛、頭痛やめまいの原因となる など
これらの症状は、脳への刺激や情報が多過ぎて、脳が疲弊し血流が悪くなったために起こる「スマホ脳過労」や、スマホでは使わない部分の血流が減り、使わなければ衰え萎縮する体の原則から起こるものと考えられています。
・自分や相手の感情の読み取りに関わる部分
・注意力、記憶力などの認知機能に関わる部分
などが萎縮するといわれており、脳の発達途上にある思春期・青年期では、更に影響が大きいと考えられています。
参考元:東京大学大学院情報学環教授・橋元良明氏の記事、東邦大学医療センター大森病院 メンタルヘルスセンター、NHKクローズアップ現代「スマホ脳過労」、東洋経済 ON LINE 記事
対策と治療
社会問題としては深刻なスマホ依存ですが、いきなり禁止したりスマホを取り上げたりするのはタブーといわれていますから、どのように対処するのが得策なのでしょうか?
家庭環境が基本です
人間関係が問題の中心ですから、まずは基本となる家庭環境を見直してみましょう。
家庭が安心してくつろげる場所になっていることが重要で、日頃から家族でお互いの状況や心境を把握し理解し認め合えるよう、心の風通しが良い環境を意識的に整えておくことが大切です。
家族の対話が活発な家庭からはスマホ依存が出にくく、逆に忙しく関係が希薄な家庭からスマホ依存が出やすい傾向が見られます。
ルール作りを
スマホ依存に陥りやすいのには、自己管理ができないことが含まれますので、家庭内でルールを設けて、みんなで共有して守れるよう助け合うのはどうでしょう。
本人だけの問題にするのでは解決になりませんから、家族の課題として全員で取り組み、強制するのではなく励まし認め、出来たら褒める共同体となれば、家族の絆も強められるのではないでしょうか。
デジタル・デトックス
脳科学の研究では、脳はボンヤリしているときに活性化する回路が情報の整理をしていることや、スマホを1日1時間以上使う人達の脳機能が低下していることがわかっており、少しでもスマホを手放す時間を設けるデジタル・デトックスが推奨されています。
スマホのメーカーからも、使い過ぎを防ぐための対策として、iPhoneの「スクリーンタイム」、アンドロイドの「デジタル・ウェルビーイング」という使用時間の制限を設定できる機能が搭載され始めています。
スマホ以外にも興味を持とう
スマホ以外に興味や趣味を持っている場合、依存にはなりにくい結果が出ていますから、ネットやゲーム以外に興味を引くものを開拓しましょう。
地域の趣味サークルなどに顔を出して見学するのも良いでしょう。役所や商工会議所のホームページにも紹介ページがあります。
治療は専門機関で
身近になったスマホは、簡単に楽しみが得られ、興味や関心が刺激され続ける状態となり、更に刺激を求め長い時間使用したくなり、やがて自分の力ではやめられなくなってしまうことから依存状態に至ります。
依存状態が長引くと深刻な引きこもりに至ることがあり、このためスマホ依存は速やかな治療が必要ですし、加えて、発達障害を伴う場合は、その治療も行わなければなりませんので、専門機関での治療と成ります。
専門機関の紹介
発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした、頼れる専門的機関で、関係機関と連携する総合的な支援ネットワークを構築しており、さまざまな相談に乗ってくれて、指導や助言もしてくれます。
NPO日本次世代育成支援協会は、子育てやネット・スマホ・ゲーム依存対処、いじめやハラスメントの予防、また人間関係やコミュニケーション・スキルなどについて支援を行っている団体です。
放課後デイサービス アレッタの紹介
放課後デイサービス アレッタは横浜市を拠点とし、子どもたちの自立や健全な育成のために、障害児と保護者をサポートしています。
「自分の意思で行動する子」を育てようと、指導員はキッカケを与える助け手として接しながら、子供たち自らが選択し、学べる環境を提供しています。
「自分でできる」という自信を持たせ、将来に安心して暮らすことができるようになるための、創意工夫を込めたお手伝いをしていますので、是非上記リンクよりご覧ください。
まとめ
発達障害は健常者よりもスマホ依存になりやすいのかという疑問を調べてみたところ、ASDやADHDなど一部の発達障害においてはYESという結論でした。
もはや社会現象でもあるスマホ依存とは、機能が上がりSNSやゲーム、動画視聴などが、いつでもどこでも手元で気軽に行えるようになったスマホの魅力にはまり、生活に支障を来しても精神的に四六時中手放せなくなってしまった状態のことを指します。
人付き合いを苦手としたり物事に没頭しやすい性格の人がなりやすい傾向ですが、専門機関のサポートを含めて、生活環境を家族や関係者と協力して改善することで、治療や対処が可能です。