文字が読めないということ

文字が読めないと悩む子どもに見られる症状には、様々なものがあります。
まず、単純に文字が読めないこと、単語が認識できないこと、文章をつなげて読むことができないこと、「っ」「ょ」などの小さい文字が読めないことなどです。

これらの文字を読む能力を養うにはどうすれば良いのでしょう。
こう考えた時、大半の場合には「反復練習をする」という結論に至ります。

しかし、それよりもまずすべきことがあります。
それは、「なぜ読むことができないのか」を知ることです。

文字を読むために何が必要なのかを知り、その上で子どもがどこで躓いてしまっているのかを明白にしましょう。

読むために必要な3つの力

文字を読むためには、3つの力が必要となります。
人は、「文字を認識すること」「音に変換すること」を処理して、これを連続させることによって文字を読んでいます。
これらを「視覚情報処理」「音韻処理」と言います。

このことを踏まえた上で、読むことを支える3つの力について見ていきましょう。

眼球運動

文字を読む上では、「文字を順番に追うこと」を表す「追視」の能力と、「視線を見ている場所から別の場所へ瞬時に移すこと」を表す「注視点移行」の能力が必要となります。

これらを司るのは眼球運動であり、目で追いかけることが難しい場合、文字を読むことが困難になります。

この眼球運動の能力を必要とするのは、文字を読むときだけではありません。
ボール遊びなど、対象物を目で追いかける動作が必要となる場面では、眼球運動の働きが求められます。

文字を読むことが困難なお子さんが普段遊んでいる様子をよく観察して、眼球運動の働きをチェックしてみましょう。

もしそこで眼球運動の働きが鈍いように見受けられたら、日頃から眼球運動を必要とする遊びを取り入れると良いトレーニングになります。

形を捉える力

文字そのものを読むことが困難な場合、形を捉える力が不足していると考えられます。
ひらがなには、「ぬ」と「ね」、「い」と「り」、「や」と「か」など、造形が似ているものがいくつか見られます。

これらを読み分けるには、形を捉える力が必要です。
似た形のものを別のものとして捉えることができないと、文字自体を覚えることが困難になり、結果として文字を読むことができません。

形を捉える力は、パズルゲームや型はめなどの遊びでも必要です。
簡単に完成させられそうなパズルを用意して一緒に遊ぶなどすることで、日常生活の中の遊びを通じて読む力を成長させましょう。

文字を音に変換する力

文字を目で捉えることができても、それを音韻処理できないことには文字を読むことができません。
音韻処理とは、一文字ずつ、音と文字を対応させる力のことです。

例えば、「たいよう」という言葉を読むには、一音ずつ分解することが必要です。
「ta/i/yo/u」といったように、文字と音を対応させることで、人は文字を読むことができるのです。

この「文字を音に変換する力」は、「しりとり」や「逆さ読み」などの遊びに必要です。
一文字一文字を認識することを要するこれらの遊びを日常の中に取り入れると、読む力を育むことにつながるでしょう。