着替えに必要な要素

着替えは日常的に行わなければならないということもあり、一見すると出来て当然の行為に思えます。
しかし、本当は複数の要素が絡み合う、難解な動作です。

とはいえ、着替えができるようにならないと、親の負担が増えることはもちろん、本人も至る場面で困ってしまうでしょう。

そこで、着替えに必要なポイントを3つにしてご紹介します。

姿勢バランス

姿勢を一定に保つバランス力がないと、着替えをすることは困難です。
例えば、靴下を履いたり脱いだりするときのことを思い浮かべてみてください。

このとき、たとえ座った状態であっても、手や足を自由に動かすことができないと、スムーズに靴下を着脱することはできません。
バランスを保つ力がないと、体を一定の状態に保つことばかりに意識が向くこととなり、自在に手足を動かせなくなります。

立ったままズボンを脱いだり履いたりすることを考えると、より一層姿勢バランスは必要となるでしょう。

着替えができない子どもを目の前にすると、反復練習をさせることで技術を取得させようとしてしまいがちです。
しかしそれでは、根本の問題が解決できないため、十分な成果を得られないことがほとんどです。

姿勢バランスがとれていない段階で躓いているように見受けられたら、バランスボールを用いるなどして、日々の遊びの中にうまくトレーニングを取り入れましょう。

ボディイメージ

着替えをするには、ボディイメージの力も必要です。
ボディイメージとは、自分の身体がどのように動いているのか、どんな格好になっているのかを想像する力のことです。

着替えをする際には、自分の身体を直接見ずに動かすスキルが必要となります。
ボディイメージができていない段階では、着替えをする際頭が混乱して上手く手足を動かすことができなくなってしまいます。

ではこのボディイメージとはどのように発達するのかというと、「触覚」「固有受容覚」「前庭覚」を統合させることによります。
これらを統合させるためには、自分の身体がつながっているという自覚を持つことが肝心です。

そこで有効なのが、身体の部位をなぞることで1つ1つが繋がっているという意識を持たせることのできる「タッチング」という遊びや、ハードルなど背の低いものをくぐり抜ける遊び、公園の遊具を使ったターザンごっこなどです。

おんぶや抱っこをするとき、親が子どもの体を必要以上に支えずにしがみつかせることも、ボディイメージを育てるのに有効です。

協調動作

例えばTシャツを着るときには、手と頭の協調動作が必要です。
手はTシャツを持って上から下に動くことになりますが、頭はその反対に下から上へと伸び上がることになります。

また同じくTシャツを脱ぐ時も、片方の手を袖から抜くため身体に引き寄せ、もう片方の手は袖を持って身体からTシャツを遠ざけようとすることになります。

Tシャツの着脱だけでもこれだけの協調動作が必要となることからわかるように、着替えには協調動作が欠かせません。

この協調動作の力を養うには、穴に紐を通す遊びや、ブロック遊びなどが有効です。
子どもが無理をすることなくできる範囲から少しずつ取り入れるようにしましょう。