今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「子育てと適応障害」についてです。
この記事は「子育てが原因で不調を感じている」保護者の方々に向けて執筆しています。
「疲れている」「イライラする」「眠れない」
こんな不調を感じている方、そのサインは適応障害の症状かもしれません。
この記事では子育て期の適応障害とセルフケア方法についてまとめています。
「最近疲れているな」と感じている保護者の方はぜひ読んでみてください。
目次
子育てと適応障害の深い関係
子育て期に限らず、適応障害はさまざまな場面で発症する可能性があります。
ここでは適応障害の基礎知識と、子育てとの関連性についてまとめました。
適応障害ってなんだろう
適応障害(てきおうしょうがい)
日常生活の中で、何かのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて社会生活に支障が生じたもの。原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こった状態をいう。
引用:厚生労働省「e‐ヘルスネット」
適応障害は「ストレスに対する心の拒否反応」で何らかの強いストレスが原因となって発症します。
子育て期に発症しやすい病気のひとつとして「うつ病(育児うつ)」があります。
適応障害としばしば混同されがちですが、「ストレス要因が特定できない」「感情や意欲を司る脳神経の不調が原因とされる」という点で適応障害とは区別されます。
子育て期と適応障害の関連性
イレギュラーばかりの子育て期はストレスが多いため、適応障害の発症原因になりうるポイントがいくつも潜んでいます。
慣れない子育てで気が休まらない
特に第一子の場合は子どもの健康状態や成長スピードに対して過剰反応を起こしがちです。
同じ月齢・年齢の子どもと比較して一喜一憂して心が不安定になりやすい状態にあります。
仕事との両立が想像以上に大変
子育てと仕事の両立は心身とも負担が大きくストレスを感じやすい状態にあります。
- 残業ができず仕事がたまる
- 預け先からの呼び出しにいつもビクビクしている
- 突発的な休みが多く肩身が狭い
保護者との付き合いでストレスがたまる
保護者間のコミュニティではストレスを感じる側面が多いといわれています。
- 子どもの育て方や教育方針の違いで困惑する・モヤモヤする
- マウントをとられる
- 関係が悪くなることを恐れてお願い事やお誘いを断れない
子どもがもつ病気や障害で育てにくさを感じる
お子さんのケアで心身とも負担が大きく、ストレスを溜めこみやすい状態にあります。
この記事をみてくださっている方は、発達障害のお子さんを育てる方が多いとお察しします。
- 定型発達のお子さんと比較して配慮事項が多い
- 医療機関に通わせる金銭的負担が大きい
- お子さんの将来に漠然と不安を感じる
今すぐできる!適応障害のセルフチェック
この記事を読んでいるあなたは「この症状は適応障害?」と感じているのではないでしょうか。
そのような方向けに簡易的なセルフチェックができる動画を紹介します。
精神科医がこころの病気を解説するCh↓↓
早稲田メンタルクリニック 益田裕介院長の動画シリーズです。
ピックアップした動画では適応障害・うつ病のチェック項目を解説しています。
初期症状・診断・重症化それぞれのステージの病状が具体的に説明されておりとても分かりやすい内容です。
なお、本動画はうつ病を主軸に説明されていますが、益田院長が仰る通りストレスの原因が「子育て」とはっきりしている場合は適応障害と判断されることもあります。
冒頭でご説明した通り適応障害とうつ病は根本的に異なりますが、症状は重なる部分が多いようですね。
自宅でできる適応障害のセルフケア
適応障害の原因には「環境面(外部要因)」「精神的弱点(内部要因)」があります。
子育ての場合は「外部要因=子育て環境」「内部要因=子育てに対する考え方」となります。
適応障害は症状が強く続くとうつ病に移行しやすい病気です。
また他の精神疾患が隠れている可能性もあるため、できるだけ早めに受診する必要があります。
とはいえ、まだ精神科を受診する決心がつかない方もいるでしょう。
そのような方に向けた応急処置として、セルフケアの方法をまとめました。
参照:おりたメンタルクリニック.「適応障害(心療内科・精神科)」
子育ての環境を変えよう
適応障害の原因となる外部要因を改善してストレスの軽減を図ることが目的です。
子どもと離れる時間をつくる
少しでも赤ちゃんと離れる時間を意識的につくりましょう。
自分の好きなこと・気晴らしになることをマイペースにおこなうことで感情が安定します。
パパとの負担割合を見直す・親のフォローに頼る
協力体制に関しては既に実践している方や「難しい」と諦めている方も多いと思います。
- まわりに遠慮してあなたの負担を大きくしていないか
- 「説明しても理解してくれない」とあきらめていないか
改めて考えてみましょう。
子育てサポート制度を利用する
各自治体には独自の子育てサポート制度がたくさんあります。
「何を利用したらいいのか」自己判断が難しいときは「子ども家庭センター」を利用しましょう。
「子ども家庭センター」は妊産婦や子育て家庭・子どもに対する相談全般の受付とその支援しています。
各自治体に設置されており、相談者のご家庭に合わせたサービスを紹介してくれます。
参照:厚生労働省.「児童福祉法改正法案による子育て支援について」
ストレス発散の環境をつくる
「ためているものを吐き出すことで気持ちが軽くなった」そんな経験は誰にでもあると思います。
とにかく誰かに話すこと、悩みを共有して「悩んでいるのは私だけではない」と思うこと
それだけでも気持ちが和らいで、少し前を向く余裕ができるかもしれません。
感情のバランスをとるためにも意識的にまわりとつながるようにしましょう。
「子育て期に感じる孤独感」正体を知りたい方はこちら↓↓
仕事との付き合い方を変える
子育てと仕事の両立がストレス要因になっている場合は、仕事との付き合い方を見直しましょう。
- 無理しないように「割り切って〇〇する」とあなたの中でルールを決める
- 上司に業務調整をお願いする
- 思い切って休業する
これまでのやり方を続けていると症状が悪化する可能性があります。
今の段階で早めに手を打っておきましょう。
信頼できる情報以外は遮断する
「心が不安定な状態でネガティブな情報をみたらさらに不安になってしまった・・・」
そんな経験はありませんか。
心が弱っているときはネガティブな情報に引きずられる傾向にあります。
私たちを取り巻く膨大な情報の中には誤情報も多く含まれています。
しかし正常な判断能力に欠けた状態では情報の信ぴょう性をジャッジできません。
必要最低限の情報以外はシャットダウンする勇気をもつことです。
「認知行動療法」今すぐできるセルフケア
自宅ですぐにできるセルフケアとして「認知行動療法」をおすすめします。
認知行動療法は、適応障害やうつ病などの治療において医療機関で実際に用いられる手法です。
あなたの考え方のクセを発見・修正することで「ストレスと上手に付き合う思考方法」が身につきます。
ストレスを感じたときに以下「思考記録法」の①~⑥項目を書き出してみましょう。
「具体例」をもとに考えるとわかりやすいですよ。
①ストレスを感じたできごとは何か
②できごとから生じた感情(「不安」や「焦り」などを0~100%で表す)
③そのできごとで感じたネガティブな考え
④ネガティブな考えの根拠(なぜ③と感じたのか)
⑤ネガティブな考えの否定(「もうひとりの客観的な自分」が④の考えを否定、③と考えた別の理由を提示する)
⑥否定することで生じた感情の変化(②の感情がどのように変化したか0~100%で表す)
否定の考えをスムーズに受け入れやすくなります。
①子どもがごはんを食べてくれない
②イライラ度70%
③今日やらなければいけない家事ができない
④大人用の夕飯をつくる時間がない、お風呂も洗っていない、洗濯する時間もない
⑤「今日」「ひとりで」やらなければいけないと思い込んでいる
⑥イライラが70%から30%になった
⑤の考えをもとに心のバランスの取る方法を考えてみましょう。
参照:NHK健康ch.「【セルフ認知行動療法のやり方・ポイント】自分の考えを見つめ直し、心を軽くする」
まとめ
以上、子育て期と適応障害の関連性についてまとめました。
・適応障害は「ストレスに対する心の拒否反応」、何らかの強いストレスが原因で発症する。
・子育て期は適応障害を発症しやすい条件が揃っている。
・「適応障害かも」と感じたら早めに医療機関を受診する。
・受診に抵抗がある方はまずはセルフチェックとセルフケアを試してみる。
・セルフケアの方法としては「認知行動療法」がオススメ。
パパとママの笑顔はお子さんに伝染します。
お子さんの笑顔を守るためにも、あなた自分を大事にしてあげてくださいね。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。