今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害を認めない親は迷惑か」についてです。
「うちの子、発達障害かも?!」と思っても、すぐに受け入れられる親は多くありません。その気持ちは実際に経験した人ではないと本当の意味では分からないと思います。
そこで、今日の記事では、発達障害を見過ごしてしまう危険性や、認めることで得られるメリットについて触れていきます。
目次
発達障害を認めない親が迷惑とされるケース
わが子の発達障害を認めない親が迷惑とされるケースを具体的に見ていきましょう。
通常学級での明らかな問題行動がある(他者への迷惑)
文部科学省の調査によると、小・中学校の通常学級において発達障害の可能性のある生徒は6.5パーセント。
つまり40人学級で1クラスにつき2~3人の割合になります。
「ちょっと変わった子」という程度で、皆と同じように卒業していく子が殆どかもしれません。
しかし、中には明らかな問題行動があり実害が出ているにも関わらず、親が子どもの発達障害を認めていないが故に学校でトラブルになることがあります。
・授業中に暴れる、脱走する、奇声をあげる
・クラスメイトに暴力をふるう
・物を破壊する
でも、頻度と程度によっては特別な支援が必要になります。
周りからの理解とサポートが得られない(子どもへの迷惑)
親が子どもの発達障害について認めない限り、子どもは周囲から理解されずに孤立するほか、必要なサポートも受けることができません。将来的にうつ病や適応障害などの二次障害が出る可能性も高くなります。
知的障害がある場合は医師の診断を受けて、療育手帳を取得することができれば手厚いサポートを受けることができます。
サポート内容および取得条件、取得方法の詳細はお住まいの自治体の障害福祉相談所担当窓口にお問い合わせください。
また、療育手帳は必要がなくなれば返納が可能であり、本人が見せない限り所持していることを他人に知られることもありません。
・税金の控除や、さまざまなサービス・割引を受けられる(公共交通機関、動物園、映画館など)
・園や学校で補助の先生をつけてもらうための手続きがスムーズになる
・成人になれば就労支援が受けられ、障害者雇用枠での就職も可能になる
子どもの発達障害を認めない理由
障害に対する偏見によるもの
今でこそ発達障害について周知されてきていますが、昔は「ただの怠け者」「努力不足」「親の愛情が足りない」などと言われていました。
発達障害は、できる事とできない事の凸凹が大きいという脳の特性であるにも関わらず、「障害」という文字が入ってしまっていることで未だに偏見や差別的な考えを持つ人も多いようです。
親世代、祖父母世代と、時代が遡るにつれ、その偏見の度合いは大きくなる傾向があります。特に社会的な立場を気にする男性ほど受け入れが難しいと言われており、夫婦間の対立も多く見られます。
・いちど障害者のレッテルを貼られたら一生残る
・将来の結婚や就職に影響がある
・世間体が悪い、恥ずかしい
そもそも発達障害に気がついていない
発達障害をもつ子の親も、実は同じような脳の特性を持つ当事者であることが少なくありません。そのため、普通に育ってきた自分に似ている我が子をみても、何も違和感がないため気がついていないということがあります。
うすうすは気がついていたとしても「自分も昔はこんなんだった」「男の子はみんなやんちゃだよ」と、問題を直視するのを避けてしまうこともあります。
遺伝について詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧下さい。
知的障害がない、または軽い
知的障害があって明らかな学習面での遅れがあると、早い段階で発達障害に気がつくかもしれません。
しかし、次のような子どもたちは、一見すると定型発達の子どもと区別がつかないことがあります。
- 知的障害のない自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)
- 軽度のADHD
- 発達障害と定型発達のボーダーライン(グレーゾーン)
多少の違和感を感じることはあっても、その子の性格や個性である可能性もあるため、将来的には分からないけど、まだ認めていないという段階にいるケースです。
症状の程度と特性の傾向によりますが、特に大きな問題なく通常学級を卒業する子も多くみられます。そしてそんな子ども達の中には、大人になってから社会生活の中で生きづらさを感じ、自分で診断を受ける人もいます。
特別支援学級に入れたくない
障害に対する偏見も入っていると思うのですが、親がとにかく「人並みであること」「普通であること」に執着し、こどもを通常学級に無理矢理入れてしまうケースです。
授業についていけず学習面で遅れがでたり、それが原因で劣等感を感じるほか、クラスメイトとうまくコミュニケーションが図れず「いじめ」や「不登校」といった問題が発生することもあります。
海外ではインクルーシブ教育が進んでいるところもあり、障害のある子とない子が一緒に学べる工夫や体制が整えられていますが、日本では2013年に文部科学省が推進しているものの、ほとんど進んでいないのが現状です。
インクルーシブ教育とは
人間の多様性の尊重等を強化し、障害者が精神的および身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能にするという目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組み
引用:Wikipedia
・視覚的な支援(一日のスケジュールを視覚化するなど)
・注意力散漫なADHDの子は前列の席に配置する、掲示物をベタベタ貼らない
・板書はタブレットでOK
・補助教員、セラピストを配置
インクルーシブ教育のメリットとデメリット
・障害のある子どもの自信や達成感を深め、協調性を育むことができる
・障害のある子どもと接することで、多様性や共生社会への理解を深め、偏見や差別を減らすことができる
・教師たちの仕事が増えて大変になる
・授業が遅れる可能性がある
体制を整えるのは安易ではありませんが、インクルーシブ教育が進めば将来的に、障害のあるなしに関わらず皆が同じ学校で学べるようになります。
特別支援学級に入れるメリットとデメリット
公立の特別支援学級の例
・学習面で個々のサポートが厚く、授業についていきやすい
・専門的な知識をもった指導者がいるので心強い
・自分のペースで過ごせる
・普通学級の子どもとの交流が少ないく、小さなコミュニティーで過ごすことになる
・進学先が限られてしまう可能性がある
発達障害の特性が強すぎなければ「通常学級」に行く人もいます。他にも「私立校」「特別支援学校」という選択肢がありますが、子どもがどうしたいか、本人の意思を尊重することも重要です。
学校選びについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧下さい。
子どもの発達障害を認めない親に気づいてもらうには
発達障害を認めない親を説得するのは簡単なことではありません。言い方によっては相手を傷つけてしまったり、怒らせてしまうこともありますので、伝え方には注意が必要です。
どれだけ言葉の限りを尽くしても分かってくれない人もいることを理解した上で、伝えてみましょう。
具体的に説明する
「大変だ」「辛い」などと訴えても、「みんな大変だよ」「辛いのは誰でもそうだよ」と、聞く耳をもってくれません。どういったときに、どんな症状があるかなど、曖昧さを避け具体的に話すことが大切です。
家族の誰かは認めている場合(たとえば母親は認めているが父親は認めていないケースなど)は、医師の診断結果や、知能検査の結果など、証明できるものを提示するのが効果的です。
権威性のある第3者から話してもらう
人は権威性のある人の話は受け入れやすいと言われています。
医師(専門医)、カウンセラー、先生など、第3者を通して話してもらいましょう。書籍や動画をみてもらうのもお勧めですので、ご紹介します。
おすすめ書籍
「発達障害を見過ごされる子ども、認めない親」
発達障害を克服して医師になった著者が、発達障害児の現状から治療法までを、わかりやすく解説しています。発達障害を見過ごされた子どもが将来的に直面する問題についても触れられています。
おすすめ動画
「我が子の発達障害を認めない父親たちへ」
発達障害は劣った存在ではなく、出来ることと出来ないことの凹凸の差が大きいだけ。父親が子どもの発達障害について認めにくい理由を挙げていきながら、自身もアスペルガーの症状に悩まされてきた、発達障害カウンセラーの吉濱ツトムさんが誤解と偏見を解いていきます。
まとめ
今日の記事をまとめると次のとおりです。
- 発達障害を認めない親が迷惑とされるケースを解説
- 通常学級での明らかな問題行動がある(他者への迷惑)
- 周りからの理解とサポートが得られない(子どもへの迷惑)
- 子どもの発達障害を認めない理由について
- 障害に対する偏見によるもの
- そもそも発達障害に気がついていない
- 知的障害がない、または軽い
- 特別支援学級に入れたくない
- 子どもの発達障害を認めない親に気づいてもらうには?
- 具体的に説明する
- 権威性のある第3者から話してもらう
発達障害を認めない親が迷惑だと言われるのは、明らかに支援が必要な子どもに対して何もしていないケースです。
多様性が求められる現代において、人の障害や特性を理解し、気持ちに寄り添うことは大切なことです。また、そうすることで偏見や差別が減っていくのではないでしょうか。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。