今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害の子供は本が読めないのか」についてです。
「あれ?うちの子、本が読めないのかな?」と気づくのは、小学校に入ってからかもしれません。
小学校の宿題には必ずと言っていいほど、「本読み」がありませんでしたか?
本が読めない子供にとっては、大変苦労する宿題です。
最初はひらがなやカタカナ、そのうち漢字も混ざって文章がより複雑になってきますね。
発達障害の子供が本が読めない、本を読むのが苦手というのは何が原因なのでしょうか?発達障害のどんな特徴が影響しているのでしょうか?
目次
なぜ本を読むことがいいのか?
なぜ本を読むことがそんなに勧められているのでしょうか?
それは本を読むときに、「脳」が活発に働くからです。特に声に出して本を読む、音読が勧められていますね。
目で見て、口を動かし、耳で自分の声を音として聞き、理解する。
つまり、色んな所の筋肉をしっかり使っているという事ですね。
発達障害は生まれつきの「脳」の機能障害と言われていますが、沢山の刺激を与える読書はぴったりのような気がします。
また語彙が増えたり、想像力が増しコミュニケーション能力が高くなるとも言われますね。
ただ発達障害の子供の場合、「本を読むのが楽しい。読書が好き。」とは言えない子が多い事も事実です。
本が読めない原因とは?
集中力が続かない
発達障害の方の中には、すぐに気が散り集中力が続かないという特徴を持っている方もいます。
本を読もうと思っても、外から聞こえてくる車の音や目の前を横切る猫などに気を取られてしまったり。字を目で追いかけながら、頭の中では他の事を考えていたり。
「あれ?どこまで読んだっけ?」
これは誰にでも経験はあると思います。でも読んだはずの内容も覚えていないとなると、がっかりしちゃいますよね。
発達障害の方の場合、そのケースもあるようです。
学習障害
本を読めない原因。もしかしたら学習障害が影響しているのかもしれません。
学習障害とは、読む・書く・計算するなどの特定の分野が特別出来ないという特徴があります。
例えば本を読むときに、こんな経験はありませんか?
- 1文字ずつ読む
- 同じ文章を何度も読む
- 行を飛ばして読んでしまう
- 読んでいる所を指で押さえないと読めない
- 本を読むのにすごく時間がかかるのに、内容を覚えていない
話す事には全く問題がないため、本読みの時に詰まってしまうと「わざとなの?」と思われてしまう可能性があるんですね。「ふざけないでちゃんと読みなさい」と怒られちゃったり。
本人はいたって真面目に本気で読んでいるのに、です。
ディスレクシア。
特に読んだり書いたりすることが苦手だという症状です。
ディスレクシアは、1896年に英国のMorgan先生が最初に報告した文字の読み書きに限定した困難さをもつ疾患です。知的能力の低さや勉強不足が原因ではなく、脳機能の発達に問題があるとされています。そのため発達障害の学習障害に位置づけられており、2013年に改定された米国精神医学会の診断基準(DSM-5)では、限局性学習症(いわゆる学習障害)のなかで読字に限定した症状を示すタイプの代替的な用語としてdyslexia(ディスレクシア)を使用しても良いことになりました。読字に困難があると当然ながら書字にも困難があります。
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター:ディスレクシアとは
見え方が違う
本を見た時に、私たちは何の抵抗もなく文字を読むことが出来ますよね。
でも、その「文字」の見え方が独特な方がいらっしゃるんです。
- 文字が2重に見える
- 中央から外側に丸く歪んで見える
- 文字の一部が欠けているように見える
- 文字が飛び出しているように見える
ちょっとイメージがしにくいでしょうか。
私達が見ている文章とはまったく違う見え方をしているので、スムーズに読むことが出来ないという事なんですね。
文字は読めるが意味が理解できない
読むことはスムーズに読めても、読んだ内容を理解できないというケースもあります。
読んだ内容が頭の中で整理されない、状況を想像できないという方もいらっしゃるでしょう。
「明日は運動会の練習です」と言われたら理解できるのに、プリントを配られて「明日は運動会の練習をするので体操服を持ってきてください」と書いてあったらどうでしょうか。
意味が分からないので、体操服を持って行かず先生に怒られてしまうかもしれません。
「以下の文を読んで彼女が感じた気持ちを15文字で書きなさい」
というような国語の問題があったら、これも困ります。内容を理解できないので嬉しいのか悲しいのか、悔しいのか全く想像できないんですよね。
また読書感想文も苦手な事が多く、本のあらすじを書いて提出してしまう場合もあります。
ビジュアルストレス
ビジュアルストレスとは、脳の「視覚野」が正しく働かない為に生じる症状です。
物を見る時に必要な光ですが、白い紙にはその光が反射してしまいます。
それが強い不快感を与えたり、脳への情報伝達を邪魔したりする場合もあるようです。
その結果文章を読むのが辛い、読むと疲れるから読まないという流れになるのでしょう。
対処法は?
発達障害の子供が本を上手に読めないのは、怠けていたりふざけている訳ではありません。
「なんであなたは出来ないの?みんなは出来るのに、どうして?」ってつい言ってしまいそうになるのを、グッと我慢しましょう。
何より本人が、1番辛く思っているのですから。
でも親として本を読んで知識を増やし成長していって欲しい、と思いますよね。音読すると脳が鍛えられると言いますし。
何か対処方法はあるのでしょうか。親に出来るフォローは何でしょうか?
まずは親が読んであげる
赤ちゃんの誕生祝いに「本」を頂くことがありますよね。
まだ字は読めませんけど?って思いますが、小さいころからの本の読み聞かせは子供の成長に大きく影響を与えるようです。
読むのはとっても苦手だけど、話を聞いたり話したりするのは大好き。
そんな子供には、親がまず本を読んであげましょう。
本を読むことが、親子の楽しい時間になるといいですよね。
まず耳から音として本の内容を予習し、楽しい内容だと思えばその本に興味がわくかもしれませんよ。
好きな事に関連付けてみる
個人差はありますが、発達障害の方の中には自分の興味のあること好きな事にはびっくりするような集中力を持ってる方がいらっしゃいます。逆に興味がわかないものには、まったく取り組む気にならない。
その特徴を利用できるといいですよね。
その本に興味を持てる、何かを探してみましょう。
電車好きな子供は1日中でも電車の図鑑を見ていられます。
その本に興味を持てるように、好きな事に紐づけ出来るような何かを見つけてみましょう。
「この本を読んだら何が分かるんだろう?」ってワクワクしてくれば、読みたいって思えるかもしれませんね。クイズの答え探しのような感覚で。
短い完結編の本から始める
最初から分厚い本を読める子供は、ほとんどいないでしょう。大人でもそうですよね。
本を読むのが苦手。本を読むのは嫌い。本を読みたくない。
これではいつまでたっても本を読めません。
まずは薄い本から始めてみましょう。「1冊読み切った」という達成感は次につながるかもしれません。
挿絵や写真が沢山あって、文章が少ないおしゃれな絵本もありますよね。
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親子で一緒に声に出して読んでみましょう。
電子機器を利用する
人にもよりますが「紙に書いてある文字を見ると読めないけれど、電子書籍の文字は問題ない」という場合があります。
そうであれば、紙にこだわる必要はないでしょう。
画面の表示も変更できるというのは便利な機能ですよね。
白い背景に黒い文字だと読みにくいという子もいますよね。その場合、黒い背景にして文字を白色に変えてみましょう。自分が読みやすい、色が見つかるといいですね。
また、文字のフォントを変えるのはどうでしょうか?
明朝体、ゴシック、メイリオ。人によって読みやすい「字体」ってありますよね。
音声で読みあげる機能も活用できるかもしれません。
アイテムを追加
読んでいる所が分からなくなったり、指で文字を押さえないと読み飛ばしてしまったりする場合に、一度使ってみてはいかがでしょう。
白い本を読んでいると反射するような感じがして、まぶしい。ビジュアルストレスの方にも、役に立つかもしれません。
1ページ全体をカバーできるサイズのものや、ガイドラインが入っているものもあるようですよ。色も沢山あるようですので、自分に合った色を見つけてみて下さい。
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まとめ
子供の頃ディクレシアで、人前で本を読む時にどもってしまったという経験のある方が、今は「脳」の研究者になっておられます。
脳を番地に分けて、それぞれのトレーニング方法をまとめた本も出しておられます。気になった方はこちらをどうぞ。
「脳」は鍛えれば、成長していくんですね。ただ、それにはやはり時間と努力が必要になるでしょう。
漫画に小説にポエム。いろんな種類の「本」が沢山ありますね。しかも今はスマホやタブレットで読める、電子書籍もあります。音声書籍も。
自分の好きな、気分が上がる本。読むと元気になれる本。
本を読む目的は、自分の人生にプラス1の情報を得る事だと思うんです。
新しい発見、感動、新しい知識。
そんな1冊に出会えると、人生はきっと豊かになり世界が広がっていくことでしょう。
ご拝読いただきありがとうございました。
放課後等デイサービス・アレッタでは、心身に障害のある小学校1年生〜高校3年生までの児童を対象にサービスを行っています。「こんな時はどうしたらいいんだろう?」1人で悩まないでご相談下さい。一緒に考えていきましょう。