今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害と水泳」についてです。
発達障害児におすすめな習い事の一つに水泳があります。お子さんがやる気を出している習い事は続けてあげたいですよね。
しかし「発達障害児という理由で断られたらどうしよう」と不安になる保護者の方はいませんか?
今回は、発達障害児でも水泳教室に通えるのか、水泳が発達障害児に向いている理由とメリット、保護者の方にできるサポートなどをお伝えします。
目次
一部の水泳教室では発達障害児を受け入れている
結論から申し上げますと、発達障害児を受け入れている教室はあります。
もちろんすべての水泳教室には当てはまらず、地域によっては水泳教室が見つからない可能性はあるでしょう。
実際に水泳教室へ話を聞きに行っても、発達障害児であると伝えると水泳教室を断られてしまったという事例はあります。
ゲンダイエージェンシー株式会社が運営するスイミング情報ネットというサイトでは、全国の水泳教室を検索できます。(登録されている教室のみ)
今後の検索品質の向上に期待したいところですね。
発達障害児だと水泳教室を断られてしまう理由とは
「我が子は発達障害児だと伝えたら態度を一変させ入会を断ってきた」という報告は一定数存在します。
原因の一つは「落ち着きがない、集団行動が苦手」といった発達障害の特性が関係していました。
個人授業や少人数であれば、多少の行き違いが発生しても先生がカバーできます。しかし十数人以上で行う場合、自分勝手に行動する生徒がいると、授業が進みにくくなる上に他の生徒にも迷惑がかかります。
もう一つの原因として、水泳教室側の受け入れ態勢が整っていない可能性が挙げられます。
水泳は補助道具を使用していても、溺れる可能性は否定できません。危険と隣り合わせのスポーツです。落ち着きがない、集団行動が苦手な生徒がいると、教室側が生徒の安全を担保できないと考えるのでしょう。
「落ち着きがない、集団行動が苦手」な特性はADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)の可能性を示唆しています。
ADHDやASDについて詳しく解説している記事がありますので、興味があればご覧ください。
発達障害の方に特化した横浜の水泳教室
アダプテッドスポーツクラスは、元々LD発達相談センターの運動クラスとしてスタートしました。そして2022年5月現在、発達障害の方に特化した運動教室で、神奈川県内に2か所(市ヶ尾校、相模大野校)の水泳教室があります。
校舎名 | 市ヶ尾校 | 相模大野校 |
住所 | 横浜市青葉区市ヶ尾町1155-10 | 相模原市南区相模大野3-2-1 ボーノ相模大野5F |
開催曜日 | 毎週火曜日 | 毎週金曜日 |
問い合わせは電話ではなくお問い合わせフォームで受け付けており、参加費は一律(13,200円/月4回、7,700/月2回)です(税込)。
発達障害児向けの水泳教室とは
発達障害児向けの水泳教室とは、発達障害児の特性を理解して正しい対応が取れる体制を整えている教室です。
水泳教室といっても、教室によってはいくつか分かれています。
- 水泳教室
- 障害者コースがある水泳教室
- 個人指導など
一般的に発達障害児は集団での指示を理解したり行動するのは苦手なので、大人数での指導はなるべく避け、少人数やマンツーマンが適しているでしょう。
水泳教室側が発達障害に対して理解がある場合でも、その特性上親御さんの付き添いが入会の条件になっている場合もあるようです。(後述参考)
親御さんはこれを想定しておく必要があります。
水泳教室への関心は高い
2人の男の子を持つかぽす(@kabos99percent)さんのツイートで、お子さんにどんな習い事をしていますか?というツイートに対し、多くのリプライが集まりました。
体を動かす習い事として挙げられた数が多かったのは水泳教室です。そして、特性が判明しているのであれば事前に教えて欲しいという現役トレーナーの方のリプライも見受けられました。
水泳は発達障害児に向いているとよく言われています。正しい泳ぎ方を身に付ければ継続しやすい点が、理由の一つでしょう。
発達障害の子どもたちの水泳チームというものもあるようです。
水泳がもたらすメリット
水泳を習うにあたり注意したいこともありますが、それ以上に水泳によるメリットもあります。
- 身体的に良い影響
- 精神的に良い影響
- 発達障害の特性があっても継続しやすい
身体的に良い影響
水泳はスポーツのため体の一部だけではなく全体的に体を動かすので、体が鍛えられて丈夫になります。
また、サッカーや野球よりも足の負担が少ないのでケガをしにくいメリットがあります。
精神的に良い影響
発達障害児は不安やストレスを感じやすい場合が多いため、体を動かすことによってストレス発散への効果が期待できます。
また、水泳は個人競技の側面が強いので、規模が小さくても成功体験を積み上げやすい点が魅力です。
よって継続して水泳教室に通ったり、検定を受験したりなど新たな経験を少しずつ積めます。
発達障害の特性があっても継続しやすい
水泳が好きでも、時にはお子さんが水泳をしたくないこともあるかもしれません。そんなときは保護者の方が話を聞き、お子さんと一緒になって解決の糸口を見つけてください。
発達障害児が水泳を習うにあたり注意する点
水泳は、発達障害がある子どもにとってはおすすめの習いごとの一つですが、ここの特性を考慮した上で水泳を始めた方がいいですね。
発達障害を持つ子どもさんは全員ではありませんが、発達障害の子どもさんの場合は感覚過敏や協調性運動の苦手さを持ち合わせている場合があります。
その場合は指導者とコミュニケーションをしっかり行いお子さんの特性を説明しましょう。そして、指導に生かしてもらうようにしましょう。
▼その他オススメの習い事はこちらの記事で紹介しています。
感覚過敏
感覚過敏は、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚のいずれかが過剰に刺激を受け取ってしまい、本人がその刺激を苦痛に感じている状態になります。
今回のテーマである水泳では、指導や安全のために急に体を触ったりする場合もあります。そして子どもさんは、その触られる刺激に驚いてパニックになってしまったりする場合もあるようです。
また、顔が水に濡れる感覚のを極端に嫌がる場合や塩素の匂いが気になって水泳に気持ちが向かないという場合もあるようですね。
そして、指導者の方にお子さんの過去の経過や今の状況を説明して適切な対応を取ってもらう必要もあります。
協調性運動が苦手
発達障害がある子どもさんの場合、運動の協調性が低い場合もあります。下記をご覧ください。
発達障害児は定型発達児よりも運動の協調性や運動イ メージの能力が低下していることが指摘されている 5)。
自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder: 以下,ASD)の79%に明らかな協調運動が,10%に境界級の問題が認められた 6)。さらに,ADHD児の55.2%にDCDが認められた 7)。
引用元:幼児期における運動の協調性と感覚異常の関連性の検討 松田雅弘 新田收 古谷槇子 楠本泰士 小 山貴之 2018
感覚や動作など連動して行う運動のこと
例)縄跳び
運動の協調性やイメージが低い場合では、水泳などの全身運動と感覚を組み合わせたスポーツは難しかったり時間が必要です。
感覚を掴むのも大切ですが、時間をかけて動作に慣れることをおすすめします。
お子さんの様子を見ながら、指導者に子どもさんの特性を伝えて、お子さんにあった教え方をしてもらえるよう意思疎通を図りましょう。
水泳を長く続けるために保護者がサポートする点
発達障害を持つお子さんは疲れやすかったり、疲労の自覚が乏しく限界まで頑張ってしまいます。他の子どもと比べたりしたり、自己評価が低く自信を持てなかったりするからです。
そのため療育している保護者の方は、子どもさんの状態を見てサポートしていきましょう。保護者がサポートするべきポイントをまとめてみました。
- 体調管理
- 頑張ったこと(プロセス)を褒める
- 他の子どもと比べない
体調管理
身体面と精神的、両面でケアが必要です。
ケガをしたなどのように身体面のSOSだけではなく、見えない部分のSOSにお気づきですか?
少しのゆがみが後に影響するので、問題が膨れ上がる前に手を差し伸べてください。
ただし、解決の糸口が掴めずに、水泳が子どもさんのストレスにしかならない場合は子どもさんの気持ちを考慮して無理をしない方がいい場合もありますのでゆっくり検討してみてください。
頑張ったこと(プロセス)を褒める
水泳などの習い事は、継続することによって成功体験を積み重ねて自信がつき、次のステップへ踏み出せます。
小さな成功体験だとしても、お子さんだけではなくサポート側の保護者にとっても嬉しい気持ちになれる点が良いですね。
他の子どもと比べない
あくまでも過去と今のお子さんを比べてください。できなかったことをできるようになったら成長している証拠です。
他人と比べられてしまうと、自尊心の低下を招く原因となります。
相談窓口について
発達障害児や保護者の方は、日々の日常生活のことや習い事のことなども含めて、悩みことも多いのでないのでしょうか。
そこで発達障害について相談ができる窓口を紹介していきます。以下の窓口をご覧ください。
- 市町村の相談窓口
- 発達障害情報支援センター
- 保健所
- 児童相談所
- 放課後等デイサービス
上記の窓口ではお住まいの地域に設置されている場合がありますので、問い合わせしてみてください。
今回紹介するのは放課後等デイサービスについてです。内容は下記をご覧ください。
放課後等デイサービスは、支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図るものである。
引用元:厚生労働省放課後等デイサービスガイドライン(本文).pdf
放課後デイサービスでは発達障害を持つ子どもさんの発達支援と共に、障害を持つ子どもを持つ親御さんを支援するという側面も持っています。
具体的には子育ての悩みや養育などに対して相談したり、子どもさんをケアすることによって親御さんの時間を一時的に保障することです。
そのため、こちらの窓口に子育ての悩みや習い事に関して相談してみてはいかがでしょうか。発達障害を持つお子さんが利用することもあるため、親御さんの参考となるアドバイスを受けられる場合もあるかもしれません。
親御さんは悩まれることも多くあると思いますので、このような機会を利用し相談してみてはいかがでしょうか。
施設紹介
放課後等デイサービス・アレッタでは放課後等デイサービスで横浜市を中心に、小学1年生~高校3年生の子どもさんを対象に事業を展開しています。
発達障害を持つ子どもさんやそのお子さんを支える親御さんの負担は計り知れません。アレッタはお子さんのお気に入りの場所、親御さんにとって安らげる場所を目指しています。
子どもさんとのコミュニケーションや関わりで悩まれてはいませんか?どうぞ、アレッタにお気軽にお問い合わせください。
また、発達障害お役立ちトピックスでは発達障害に関する様々な情報記事を公開しています。ぜひ参考にご覧下さい。
まとめ
今回は、発達障害児は水泳教室に受け入れてもらえるのか、そして保護者の方が注意したいこと、発達障害児に対して水泳はどのようなメリットがあるのかをお伝えしました。
水泳は、発達障害児のおすすめの習い事の一つです。水泳に限らず親子で楽しく取り組めることを見つけられたらいいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。