今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害 受け入れ高校」についてです。
最近は発達障害という言葉が広く浸透し、社会的な支援が行われるようになりました。
しかし中学卒業後の進路に関する情報は少なく、困惑される保護者の姿が目に移ります。
そこで今回は、発達障害の子どもの高校進学の状況やその他の選択肢、そして高校選びにあたり検討した方がよい点を解説するので、選択時の参考にしてください。
目次
受発達障害を受け入れてくれる高校の実態
結論から言うと、発達障害を受け入れる高校は存在します。ただしすべての高校が発達障害を受け入れる体制を整えているわけではありません。
保護者の方は、事前に受け入れ態勢の有無を確認する必要があります。
参考元:発達障害・グレーゾーン受け入れ私立高校(全国)|発達障害・グレーゾーン専門塾「個別指導のコーチング1」
中学卒業後の進路率は高等学校が98%以上を占める
平成21年度の文部科学省の調査で発達障害等困難のある生徒の75.7%が高校進学しているというデータがあります。
参考元:文部科学省|高等学校における特別支援教育の 現状と課題について
平成26年全体の高校進学率は通信制高校も含めると98.4%、令和3年度は98.8%です。
発達障害児であろうがなかろうが高校進学を望む人が多いと分かりますね。
高校の区分けは主に3つ
高校には主に全日制・定時制・通信制かどうか、公立もしくは私立という区分で分けられています。
- 全日制(公立、私立)
- 定時制(公立、私立)
- 通信制(公立、私立)
全日制であっても定時制を併設している場合もあるので、気になる学校がある場合は学校へ問い合わせてみる必要があります。
次項でそれぞれの特徴をお伝えしますので、お子さんがどの形態を望むのか参考にしてみてくださいね。
(補足)発達障害の高校生の悩みの向き合い方をまとめた記事があります。高校進学時の参考になれば幸いです。
全日制(公立、私立)
全日制高校は全国に4,234校(令和3年度現在)存在し、全体の84%と一番多占めています。(参考元:高等学校教育 | 文部科学省)
全日制の特徴を一覧表でご覧ください。
全日制の高校では単位制と学年制の2種類があり、公立・私立共に単位制の場合は卒業までに必要な単位は74単位以上となっています。
公立 | 私立 | |
入試教科 | 5教科(英・数・国・理・社) | 3教科(英・数・国) |
受験日程 | 2~3月ごろ | 1月~2月ごろ |
学科 | 普通科・専門学科・総合学科 | 普通科・専門学科・総合学科 |
学費目安(1年間) | 45万 | 96万 |
全日制を選ぶポイントは?
全日制を選ぶ上で大切なポイントは、集団行動や毎日通学できるかどうかです。
- 学年制の場合…毎日5~6時間の授業があり、週5日通学
- 単位制の場合…74単位以上必要
となるので、集団での授業や行動が必要になってきます。
発達障害を抱える子どもの高校進学の際に懸念されるのは、発達障害による困りごとにに対して継続した支援ができない可能性があるという点です。
高校進学を決めたら発達障害児受け入れ態勢について早めに調べておいた方がいいかもしれません。
【発達障害児受け入れ態勢一例】
- 高校入試における発達障害の特性への配慮や支援
- 高校が発達障害についての理解があるか
- 心理士やスクールカウンセラーの配置
- 個別計画の作成や個別支援の実施状況
定時制(公立、私立)
定時制は全国に640校(令和3年現在)存在し、全体の11.4%を占めています。(参考元:高等学校教育 | 文部科学省)
本項では定時制の特徴をまとめました。定時制は夕方や夜から授業が始まり、1日4時間と全日制より短いので、卒業までに3年以上かかります。
しかし近年は3年で卒業できる単位制の定時制高校も増えてきています。
公立 | 私立 | |
入試教科 | 国・数・英・面接 | 国・数・英・面接 |
受験日程 | 2月下旬ごろ | 2月下旬ごろ |
学科 | 普通科・専門学科・総合学科 | 普通科・専門学科・総合学科 |
学費目安(1年間) | 3万 | 35万 |
定時制を選ぶポイントは?
定時制を選ぶポイントは2点あります。
1点目は4年間通えるかです。通常定時制の1日の授業時間は4時間であるため、すべての強化を習うのに4年間かかる計算になります。
2点目は定時制高校には不登校や中途退学の割合が高い点です。
以下の表は平成30年度東京都のデータを表で表現しました。
不登校や中途退学の率が、全日制よりも定時制の方が高いと分かりますね。
出現率 | 定時制 | 全日制 |
不登校(長期欠席) | 30.9% | 1.6% |
中途退学 | 8.7% | 1.0% |
通信制
通信制は全国に257校(令和2年現在)で、全体の4.6%となっています。(参考元:高等学校教育 | 文部科学省)
通信制の特徴をまとめてみました。
公立 | 私立 | |
入試教科 | 書類審査・作文・学力試験・面接 | 書類審査・作文・学力試験・面接 |
受験日程 | 3月・9月 | 3月・9月 |
学科 | 普通科・専門学科・総合学科 | 普通科・専門学科・総合学科 |
学費目安(1年間) | 3万程度 | 30万~50万 |
高等学校学習指導要領の定めるところにより、74単位以上を修得します。修得年限は3年以上です。
通信制の入学時期は4月で、10月に入学できる高校もあります。
そしてまた、学力試験がありますが「国・数・英」の3教科合わせて60分~70分の入試を設けている学校が多く、学力試験の難易度はそれほど高くありません。
通信制の授業内容
通信制は、基本的には自宅で教科書の内容をまとめたようなレポートを郵送などで提出し、添削されたレポートを復習します。
学校に通って授業を受けることを「スクーリング」と言って、高校卒業条件を満たすために、必ずスクーリングに出席しなければなりません。
スクーリングは高校によって週数回や年数回などが異なります。自分のペースで学習を進められるので安心してください。
通信制を選ぶポイントは?
通信制を選ぶポイントとして、スクーリングがどの程度の頻度なのか?授業の時間帯はいつなのか?というところです。
先ほどもお伝えしたように、スクーリングの頻度は学校によって様々で、週数回のところもあれば、年数回のところもあります。
そしてまた、スクーリングの時間帯も午前から開始のところや午後から開始など様々です。
例えば、人混みが苦手な子供の場合、出勤の時間帯を避けて通える学校を選ぶなど、スクーリングが苦にならないようにする必要があります。
社会的なニーズもあり、通信制高校の学校数や生徒数も増えています。
それぞれの高校には通学コースの充実、施設の設置やサポート施設、進路相談、教育相談や発達障害などで特別支援を要する生徒に対する支援・サポートに力を入れているなど高校によって特色があります。
高校進学以外の選択肢
平成21年度の文部科学省の調査で発達障害等困難のある生徒の75.7%が高校進学しています。(参考元:文部科学省|高等学校における特別支援教育の 現状と課題について)
高校進学以外に以下の進路もあります。
- 特別支援学校高等部
- 専修高等学校
- 職業訓練(ハローワーク)
下記は特別支援学校高等部に行くことにした発達障害のお子さんを持つ親御さんのツイートです。
特別支援学校高等部
特別支援学校では高等部の設置もあります。特別支援教育については以下をご覧ください。
「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。
引用元:文部科学省 特別支援教育について
特別支援学校では身体障害や知的障害、発達障害も含めて障害を持つ子どもへの専門的な対応や支援を提供できる点が、全日制などの他学校にない強みです。
特別支援卒業後の進路は?
お子さんによっては特別支援学校の高等部が合う場合もあるので、卒業後の進路も気になりますよね。
平成24年度3月の特別支援学校高等部(国・公・私立)の卒業後の進路は以下のようになっています。
特別支援学級卒業者 17,707人中
進学者 471人(全体の2.7%)
教育訓練機関等入学者 445人(全体の2.5%)
就職4,420人(25.0%)
社会福祉施設等入所・通所者11,801人(66.6%)
その他570人(3.2%)
そして補足になりますが、特別支援学校の高等部を卒業しても学歴としては高卒資格にならないので注意しておく必要があります。
しかし、大学への入学についてはどうでしょうか。以下の引用をご覧ください。
第五十六条 大学に入学することのできる者は、高等学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)
引用元:文部科学省 学校教育法(昭和二十二年三月二十九日法律第二十六号)
大学(短期大学を含む。大学院を除く。)の入学資格についての引用はこちらです。
2.特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了した者(法第90条第1項)
引用元:文部科学省 大学入学資格について
専修高等学校
学校教育法の中で専修高校は「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図る」ことを目的とする学校とされています。
その職業に関しての職業教育、実践、専門的な技術の教育をしていて様々な分野でスペシャリストを育成している学校です。(参照:文部科学省 専修学校とは)
専修学校は高校を卒業後に入学する専修学校と中学卒業後に入学できる高等専修学校があります。
高等専修学校では、様々な職業に必要な知識を身につけるために専門科目を中心に勉強してます。
ある程度就職を意識したカリキュラムを組んでいます。
進路
専修高等学校卒業後の進路は就職以外には専修学校への進学もできるようです。
そして、①修学年限3年②卒業に必要な総授業時間数が 2,590時間(74単位)以上を満たしている場合は、大学入学資格付与指定校制度を利用して大学進学できる場合もあるようです。
(参照:文部科学省 高等専修学校とは)
職業訓練(ハローワーク)
厚生労働省では発達障害者の就労支援も行なっています。相談窓口はハローワークになります。(参照:厚生労働省 発達障害者の就労支援)
ハローワークでは、すぐに就職したい場合でも、じっくりと相談に乗って欲しい場合や少しずつ就職に向けた準備を進めていきたい場合でも対応しています。
発達障害の特性やその状態によって専門機関(発達障害者情報支援センターなど)への誘導や様々な職業訓練やプログラムが用意されています。
下記の動画では職業訓練校について説明されてます。
発達障害児の受け入れ先を相談するべき相手とは
発達障害の特性を持つ子どもさんで通級や特別支援学級に在籍しているのなら、担当の先生など身近な人に相談してみましょう。
- 通級の先生
- 担任の先生
- 特別支援学級の先生
- 特別支援教育コーディネーター
- スクールカウンセラー
- 発達障害情報支援センター
- 放課後等デイサービス など
心配しなくても相談先は全くゼロではないはずです。
普段から発達障害児を見ている先生ならば、発達障害の特性がある生徒の進路を見届けた経験を持つ人もいるでしょう。
そして普段の様子を知っている先生であれば、子の特性にあった提案が可能な場合はあるので、悩まずに相談し色々と検討してみてくださいね。
下記のツイートでは、発達障害の子どもをたくさん見てきた方のつぶやきです。気が向いた方は相談してみるのもいいかもしれません。
施設紹介
放課後等デイサービス・アレッタでは放課後等デイサービスです。横浜市を中心に、小学1年生~高校3年生の児童を対象に事業を行っています。
発達障害を持つ子どもさんやその子どもを支えるご両親の負担は計り知れません。
アレッタはお子さんにとってお気に入りの場所、親御さんにとって安らげる場所を目指しています。
中学卒業を前にして大変悩まれている親御さんやお子さんも多いと思います。些細なことでも、どうぞお気軽にお問い合わせください。
まとめ
今回は「発達障害を受け入れる高校はある?そして他の選択肢は?」というお題で話を進めました。
文部科学省の統計データを見れば分かる通り、発達障害児であっても過半数の子どもは高校へ進学しています。
全日制の他、定時制や通信制の学校もあります。見栄や希望的観測ではなく、発達障害の特性に合わせての高校選びが必要です。
保護者の方もお子様も、進路決定までにはお子様や親御さんも大変悩まれると思いますが、思い詰めすぎずにいろいろな人に相談してみてください。
お子さんがより良い進路を進めるように願っています。最後まで読んでいただきありがとうございました。