今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「高校生の発達障害」についてです。
今回は高校生の発達障害についてお伝えします。
高校生ならではの悩みに焦点をあて、その対策について考えていきましょう。
目次
発達障害の高校生が抱える悩み
発達障害のある高校生は、中学生までとは違う内容の悩みを抱えている場合があります。
また、高校生になって初めて自分が発達障害者であることに気がつく場合もあります。
当事者である発達障害のある高校生がどのような悩みを抱えているのか、実際の声を聞いてみましょう。
【友達関係】
・友達の会話についていけない
・空気が読めない
・冗談が理解できない
・止まられるまで話し続けてしまう
・被害妄想が激しい
・クラスメイトの声がうるさく聞こえてしまう
・クラスメイトと自分を比較して落ち込んでしまう
・友達に発達障害であることを打ち明けたいが反応が怖い
【授業関係】
・先生の指示が理解できない
・特定の授業についていけない
・体育のルールが理解できない
・スケジュールの調整ができない
・移動教室が覚えられない
・忘れ物が多い
【進路・その他】
・普通の大学に進学したいが、発達障害をカミングアウトするべきか悩んでいる
・進路を決めなければいけないというプレッシャーがある
・親に発達障害を理解してもらえない
・他の人にとって当たり前のことができずに悩んでいる
・自分のことが好きになれない
・恋愛がうまくいかない
参照:NHK バリバラ
このように、高校生は中学生の頃よりも自分と周りとの違いに気がつきやすくなるため、友達関係や授業関係、進路関係などさまざまな場面で悩みが生じやすくなります。
今まで自分が発達障害を持っていることに気がつかなかった人も、高校生になってから初めて気がつくケースがあります。
青年期ならではの友人関係や、進路を考えなければいけないプレッシャーなど、複雑な心境がからみあっている状態です。
では、この複雑な時期に発達障害とうまくつきあうためにはどのような対策ができるでしょうか。
くわしくみていきましょう。
高校生が発達障害とうまくつきあうための対策
発達障害に悩む高校生が対策をするには、まずは自分自身をよく知ることが大切です。
自分自身をよく知るためには、これまでの自分を振り返り、今の自分にとって得意なことと苦手なことをはっきりさせることが重要です。
自分の得意なことと苦手なことをはっきりさせることで、これからの対策がみえてきます。
実際に発達障害を抱える方は、次のように対策をして発達障害とうまくつきあっています。
・周りにあらかじめ周知して理解を得ておく
・具体的に指示をしてもらえるようお願いしておく
・タイマーをセットして時間を意識する
・感覚過敏(視覚や聴覚など)の場合は、対策グッズを使用したり、感覚を刺激しないように環境を整えておく
・得意なことにとことん打ち込む
・苦手なことにこだわり過ぎない
・PCやスマホのアプリなど、便利なアイテムを利用する
・本やインターネットなどで同じ悩みを抱える人の意見を知る
このように、発達障害とうまくつきあうためには、自分の得意なことと苦手なことをしっかりと把握することが重要です。
苦手なことを努力して克服しようとするのではなく、苦手なことは周りの人に相談して補ってもらえるような関係性を作ることも大切です。
そして、自分の得意なことに集中して取り組むことで、自信が持てるようになるかもしれません。
自信が持てるような得意なことがある場合は、将来の進路選びの際にも大きなポイントになります。
では、発達障害のある高校生は、高校卒業後の進路についてどのように考えればよいのでしょうか。
発達障害の高校生の進路
発達障害のある高校生が高校を卒業した後の進路は、大きくわけて「進学」「就職するための準備」「就職」の3つにわけられます。
それぞれの内容についてくわしくみていきましょう。
進学
進学先は、主に次のような場所が考えられます。
・大学
・専門学校
・海外留学
それぞれ自分自身の特性ややりたいことにより、選ぶ先が決まります。
学問の研究に励みたい方は大学へ、何かの専門性を極めたい場合は専門学校へ、語学を極めたり海外での体験を積みたい方は海外留学へ進むという選択ができます。
また、まだ極めたいことが見つかっていないけれど、これからの学生生活をとおして見つけたいという理由で大学へ進む方もいます。
自分に向いている職業を探すのは、大学に入学してからでも遅くはありませんが、どの大学を選ぶかによって将来の選択肢も変わってきます。
大学を選ぶ際は、自分の得意なことが活かせそうな大学かどうか、しっかりと見極めましょう。
就職するための準備
就職するための準備をする場所は、主に次のような場所が考えられます。
・自立訓練(生活訓練)
・就労移行支援
・職業能力開発校
それぞれの内容については次のとおりです。
自立訓練(生活訓練)
【対象者】就職する前の段階で、地域で生活をする上で、生活能力の向上などのために支援を必要とする障害者
【内容】日常生活において自立するために必要な訓練、生活などについての相談や助言、支援など
就労移行支援
【対象者】通常の事業所での就労が可能と見込まれる65歳未満の障害者
【内容】職場体験などの機会の提供、就労に必要な知識の習得、能力向上のための訓練、求職活動の支援、就職後の定着のための支援など
職業能力開発校
【対象者】就職への意欲があり、職業的自立が見込まれる障害者
【内容】就職に必要な専門的な技術(IT、調理、ものづくりなど)の習得
このように、それぞれの障害の状況により、必要な訓練を受けることができます。
将来的に就職して自立したいけれど、その前にじっくり準備したいという方は、このような訓練を検討してみるのも選択肢のひとつです。
就職
高校を卒業してすぐに就職する場合、主に次のような場所が考えられます。
・一般企業(一般雇用・障害者雇用)
・福祉就労(就労継続支援A型事業・就労継続支援B型事業)
・起業(フリーランス)
それぞれの内容については次のとおりです。
一般企業
【一般雇用】
企業の提示する条件に当てはまれば、一般雇用で働くことが可能です。
自分の強みを活かせる職業であれば、障害のない人と同じ業務につくことも可能です。苦手な分野の業務で苦労する可能性があるので、事前に対策を考えておきましょう。
【障害者雇用】
障害者手帳を提示し、障害の特性にあわせて働くことが可能です。
苦手なことをオープンにし、職場の人の理解を得ながら自分らしく働くことができます。
福祉就労
【就労継続支援A型事業】
雇用契約に基づく就労であり、平均労働時間が長いほど高収入になります。
【就労継続支援B型事業】
雇用契約はなく、行われた作業に対する賃金が支払われます。
起業(フリーランス)
新しい事業を立ち上げたり、個人で仕事を請け負ったりしながら働く方法です。
エンジニアやデザイナーなど、特別なスキルのある方に限られた働き方です。
このように、高校卒業後に働く方法はさまざまです。
ご自身の障害の特性を理解し、無理のない働き方を選択することが、長く働くために必要なことです。
将来的にステップアップをすることも可能なので、まずはご自身の現在の状況と照らし合わせて最適な働き方を見つけましょう。
参照:厚生労働省
発達障害の高校生にオススメの書籍
これからの高校生活に漠然とした不安があったり、現在の高校生活で悩みがあったりする場合は、本を読んでみてはいかがでしょうか。
専門家の方が、当事者の目線に立って親身にくわしく解説した本がいくつかあります。
将来の進路についてのヒントにもなりますので、ぜひ手にとってみてください。
高校生の発達障害
こちらは、充実した高校生活を送るための心構えや、高校の支援態勢について徹底解説した本です。
高校選びをしている中学生や、高校に入学したばかりの高校生にとって参考になる一冊です。
当事者だけでなく、保護者や先生が読むことで、支援に活かすことができる内容です。
出版社:講談社
著者:佐々木 正美、梅永 雄二
価格:1,430円(2020年12月現在)
・入学前に読めば、充実した高校生活にするために活かせそうです
・この本を読むと高校生活への期待が持てて、不安が軽減できます
・本人と家族と学校の連携について強く訴えている本です
・もっと突っ込んだ内容を書いてほしかったです
発達障害の子どもたちの進路と多様な可能性
こちらは、発達障害のある中高生の可能性を広げる進路や教育環境についてくわしく解説した本です。
発達障害のある学生にとって学びづらさを感じている今の教育環境に対し、学びやすい教育環境を提案しています。
当事者だけでなく、保護者や教育関係者、福祉関係者にも参考になる一冊です。
出版社:WAVE出版
著者:日野公三
価格:1,650円(2020年12月現在)
・子どもに対する考え方がシンプルで、愛が詰まっています
・全てのお母さんに読んでもらいたいです
・不安が希望に変わる本です
なし
発達障害の子のためのハローワーク
こちらは、160種類もの仕事が一挙に紹介された本です。
発達障害の子どもの就労支援を行っている著者が、子どもの特性に即して具体的にアドバイスをつづっっています。
先輩の就労体験談やリアルな就職事情もあり、当事者だけでなく保護者も必読の一冊です。
出版社:合同出版
著者:鈴木慶太、飯島さなえ
価格:2,750円(2020年12月現在)
・強みだけでなく、弱みとどう向き合っていくかまで書いてくれています
・障害者雇用の実情まで大変くわしく書かれています
・読んだら希望が持てるようになりました
・予想とは違った内容でした
このように、発達障害のある高校生に向けた本を読むことで、今抱えている漠然とした不安が、希望に変わる可能性があります。
将来に向けて取るべき行動のヒントになる場合もありますので、ぜひ手にとって読んでみてください。
そして、当事者だけでなく、保護者や教育者も一体となって支援できるような関係づくりの参考にしてみてください。
まとめ
今回は、発達障害のある高校生が悩みやすいポイントと、その対策についてお伝えしました。
高校生は子どもから大人に変わる境目でもあり、生活のあらゆる場面で不安を抱きやすい時期です。
悩みごとがある場合は、ひとりで抱え込まずに周りの人に相談してみましょう。
もしも相談しにくい場合は、本やインターネットなどで同じ悩みを抱える人の言葉を参考にしてみるのもいいかもしれません。
将来に向けて進路を考えるこの時期に、まずは自分自身の特性とじっくり向き合ってみましょう。