今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害と漢字」についてです。
今回は、発達障害の中でも特に漢字の読み書きが苦手という学習障害(LD)について紹介します。
漢字の読み書きが困難な方の実情を知り、どのような対策をすることができるか一緒に考えていきましょう!
目次
学習障害(LD)とは
学習障害(LD)とは、発達障害の種類のひとつで、「読む」「聞く」「話す」「書く」「計算する」などのうち特定の学習が極端に苦手という発達障害です。
学習障害(LD)の中にも種類があり、代表的なものは次の3つです。
読字障害(ディスレクシア)
文字を読むことが困難な学習障害です。
形の似た字を読むのが難しかったり、小さい文字を認識できなかったりします。
文章をすらすら読むことが難しく、途中でどこを読んでいるかわからなくなることもあります。
書字表出障害(ディスグラフィア)
文字を書くことが困難な学習障害です。
文字を正しく書いたり、文字を写したりすることが困難です。
鏡文字になってしまったり、大きさがバラバラになってしまったり、文字を書くのに時間がかかったりします。
算数障害(ディスカリキュリア)
計算することが困難な学習障害です。
数字を認識したり、数の大小を認識することが困難です。
計算式や図形、グラフなど、数字にまつわることが極端に苦手です。
このように、発達障害のひとつの種類である学習障害もさらにいくつかの種類に分かれています。
漢字を読むことが困難な学習障害は読字障害(ディスレクシア)と呼ばれており、漢字を書くことが困難な学習障害は書字表出障害(ディスグラフィア)と呼ばれています。
この中のひとつの種類だけ当てはまる場合もあれば、数種類が複合的に当てはまる場合もあり、ひとりひとりの状況に合わせた対応が必要となります。
では、漢字の読み書きが困難な発達障害は具体的にどのような症状なのでしょうか。具体例をいくつかみてみましょう。
漢字が特に苦手な発達障害の具体的な症状とは
漢字の読み書きが苦手な発達障害は、読字障害(ディスレクシア)と書字表出障害(ディスグラフィア)に当てはまります。
それぞれの具体的な症状は次のとおりです。
読字障害(ディスレクシア)
・漢字に興味がない
・漢字を覚えようという意欲がない
・スラスラ読むことができない
・文章の途中で区切ってしまう
・音読だけでなく黙読も苦手である
・文末を勝手に変えてしまうことがある
・漢字を読むと疲れやすい
・形の似た文字を認識することができない
・文章を読みとばしてしまうことがある
参照:e-ヘルスネット
書字表出障害(ディスグラフィア)
このように、漢字を読むことと書くことそれぞれに苦手になりやすいポイントがあります。
どちらにも共通して言えるのは、漢字を正確にとらえることが難しいということです。
漢字を正確に認識することが困難なため、読むことや書くことが困難になりやすいと考えられます。
では、実際にこれらの発達障害とむきあう方たちはどのような状況なのでしょうか。実際の声を聞いてみましょう。
発達障害の影響で漢字が苦手な方の実際の声
このように、漢字を読むことはできるけど書くことができないというケースもあれば、読むことも書くこともどちらも難しいというケースもあり症状はさまざまです。
みなさんに共通して、漢字の形を正確にとらえることが困難な様子です。しかし、その症状は個人差がとても大きいため、周りの人が症状を正確に理解することも簡単ではありません。
では、苦手な漢字に対処するために、どのような対策ができるのでしょうか。実際に苦手な漢字とうまくつきあっている方の対応方法をみてみましょう。
苦手な漢字とうまくつきあっている方の実際の声
苦手な漢字とうまくつきあうにはどのような方法があるのでしょうか。
まずは実際に対策をしている方の声を聞いてみましょう。
このように、それぞれの症状にあわせてご自身にあった方法を工夫されています。
みなさんに共通して言えるのは、漢字が苦手だということを受け入れるということです。
漢字が苦手なのはあくまで発達障害の影響であり、決してご本人の努力が不足しているわけではありません。
どんなに努力や訓練をしても、そこには限界があります。
大切なのは、発達障害であることを理解し、その上でどのように漢字とつきあっていくのかを考えることだと言えます。
漢字の学習を支援する動画
苦手な漢字とつきあう中での考え方や、便利なアイテムに関する動画を紹介します。
どちらも漢字を読み書きする上で役立つ内容なので、ぜひ参考にご覧ください。
まずはこちらです。
続いて、こちらです。
困難なことを自力で克服するのも素晴らしいことですが、発達障害は脳の影響によるものなので、限界があります。
適度に力を抜いて、考え方を変えることも大切です。
現代は、生活を楽にするためのさまざまな便利な商品が発売されています。ご本人にあう便利なアイテムが見つかったら、どんどん活用していきましょう!
続いて、漢字が苦手な発達障害の方のために発行された本をいくつか紹介します。
漢字が苦手な発達障害者のための書籍の紹介
漢字が苦手な発達障害者の対策のために、いくつか本が発行されています。
支援をする人向けの本や、ご本人向けのワークブックなど、さまざまな種類がありますので、ご自身にあった本を見つけてみてください。
まずはこちらの支援者向けの本です。
LD児の漢字学習とその支援posted with ヨメレバ小池敏英 北大路書房 2002年09月 楽天ブックスで探すAmazonで探す
続いて、漢字の読み書きが苦手なお子さんのための、ワークブックです。
読み書きが苦手な子どもへの〈漢字〉支援ワーク(1〜3年編)posted with ヨメレバ村井敏宏/竹田契一 明治図書出版 2011年08月 楽天ブックスで探すAmazonで探す
そしてこちらは、ゲーム感覚で取り組むことのできる漢字イラストカードです。
意味からおぼえる漢字イラストカード1年生posted with ヨメレバ山田充 かもがわ出版 2008年04月 楽天ブックスで探すAmazonで探す
このように、専門的な内容の本から、お子さんが楽しんで取り組めるワークブックまで、さまざまなタイプの本があります。
周りにいる支援者は、専門的な書籍を読むことで、苦手な漢字に苦しんでいるご本人の気持ちをより一層理解することができます。
そして、今後どのようにサポートするのがご本人のためによいのか、効果的な支援方法の参考にすることができます。
また、ご本人はワークブックやカードなどを使って楽しく漢字とふれあうことで、自然と漢字への苦手意識が薄れていくかもしれません。
ここで紹介した以外にも、漢字に関する参考になる本はたくさんあります。ぜひ、ご本人にとってプラスになる本と出会えるよう、探してみてください。
発達障害者の苦手な漢字との上手なつきあい方
ここまで、漢字が苦手な発達障害の実情とその対策についていくつか紹介しました。
発達障害の症状は個人差が大きいため、それぞれの状況に適した方法を見つけることが大切です。
ここでは、それぞれの状況に応じた2つの視点からの対処方法について整理していきます。
- 発達障害者むけのワークブックなどを利用して練習する
- イラストつきのカードなどを利用して意味を連想しながら学習する
- ゲーム感覚で遊びながら漢字とふれあえるツールを利用する
- 書くことにこだわらず、「読み」と「意味」を理解することを意識する
- アプリなどを使って楽しく漢字を学習する
- 漢字を書きやすいよう、マス目のあるノートを使用する。
- パソコンやスマートフォンなどを使って、文章を作成する
- 音声認識機能を使って、声で入力する
- 発達障害の影響により漢字が苦手であるということを、周りに理解してもらう
- 周りの人が代わりに読み書きするなど、苦手な部分をフォローする
- 漢字にこだわらず、ひらがなやカタカナを使用する
このように、「漢字を練習して苦手を克服する」という方法と、「漢字が苦手だということを受け入れてそれを補っていく」という方法があります。
どちらも漢字とつきあう上で大切な視点です。
さまざまな方法を駆使して漢字を練習することで、苦手な漢字を少しづつ克服されている方もいらっしゃいます。しかし、どんなに練習してもどうしても読み書きすることができないという方もいらっしゃいます。
どちらかにしぼる必要はなく、ご本人の状況や場面に応じて、適した方法をとりいれてみましょう。
まとめ
今回は、漢字の読み書きが困難な発達障害についてとりあげました。
その症状は個人差が大きいため、周りに悩みを共有できずに、ご家族だけで抱え込んでしまう場合もあるかもしれません。
しかし、ありのままの状況を周りに伝えることで、周りの人もその方にあった方法でサポートすることができます。
そして、現代はさまざまな便利なアイテムが身近にあります。ご本人にあうものがあればどんどんとりいれていきましょう!
ぜひ、ご本人ならではの「漢字とうまくつきあうための効果的な対策」をみつけてみてください。