見る力が弱い場合の原因は?

眼球運動、視空間認知、目と体のチームワークの3つの見る力の全てがスムーズに行われることで、人はものを見て体を動かすことができます。
このうち一つでも力が欠けていたり足りなかったりすると、生活に支障をきたしてしまうことがあります。

見る力が弱い時に抱える困難は人それぞれ違います。
ものが二重に見えたり反転して見えたり、見たいものに素早くピントを合わせられないなど、困りごとは様々です。

「見る力」を育てる機会が少ない

日常生活の中で見る力を育てる機会が少ないことも、見る力が弱いことによる困難の原因と考えられます。
室内でできるテレビゲームなどの普及により、近くと遠くを見たり動くものを目で追ったりする機会が減ってしまっているのです。

自覚がある場合には、見る力を育む経験として鬼ごっこやボール遊びなど外でできる遊びや、自然の中で空を見上げることなどを取り入れて見る力を鍛える機会を作りましょう。
このように、発達障害がなくても見る力に問題が及ぶ場合があることも理解しておいてください。

発達障害

見えにくさの背景に発達障害があることも考えられます。
発達障害とはなんらかの要因で脳の機能の一部に機能不全が見られ、発達が遅れたり偏ったりすることです。

発達障害の中でもLD(学習障害)やADHD(注意欠陥性多動性障害)などの子どもは見えにくさを抱えることが多く、学習面で「読み書きができない」という問題として表れます。

視空間認知能力を測るためには?

視空間認知能力を測る方法には、専門機関に診てもらう方法と自分でセルフチェックをする方法があります。
チェックリストの中で当てはまる項目が多いほど視空間認知に問題があると予測できます。
専門機関を受診する前に、まずは以下のチェックリストを参考にセルフ診断を行ってみましょう。

セルフチェック

・漢字やひらがなをよく書き間違える
・覚えた漢字やひらがなを思い出すのに時間を要する又は思い出せない
・左右が反転した鏡文字を書く頻度が高い
・上手に描けない図形がある
・描いた絵が何をモデルにしたものなのか他人に伝わらない
・文字を書くときマスや行からはみ出したり認識困難なほど形の崩れた文字を書く
・筆算で桁を揃えて書くのが難しく次第に位がずれてしまう
・ハサミを使って工作したりボタンをとめたり、紐を結ぶなどといった手を用いる作業が苦手で不器用
・ボールを投げたり受け止めるのが苦手で球技が不得意
・ラジオ体操やダンスのお手本を見て真似したり覚えることが苦手
・鍵盤ハーモニカやリコーダーの運指を間違えることが多い
・右と左を覚えられず間違えることがある
・歩いていると物や人によくぶつかり躓くことがある

これらのチェックに当てはまるこいう木が多いと、空間認知の弱さがあると考えられます。
一方チェックにあてはまらないものの子どもの見る力に問題があるのではないかと思われる場合は、眼球運動や目と体のチームワークの領域に課題が隠されていることがあります。