今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「6歳児の言葉の遅れ」についてです。
「来年は小学校だね。ランドセル何色にする?」
最近は1年以上前からランドセルを買いに行くそうですね。
昔は赤と黒が主流で、転校生のグレーのランドセルを見た時には「オシャレ!」と感じたものです。
今は色鉛筆の色の種類くらいはあるのではないかと思うほど、ランドセルの色は選び放題ですね。
「先生の言う通りに出来るかな?」・「お友達と仲良くできるかな?」
楽しみが増える半面心配なことも増えますよね。
特に「言葉が遅いかな?」と感じていたらなおさらです。
言葉が遅い原因は何でしょうか?小学校入学までに出来ることはあるでしょうか?
目次
言葉を話すことはなぜ必要?一般的な発達とは
それはコミュニケーションを取るためです。人は1人で生きているのではなく、多くの人と関わりあって生活しています。そのため自分の考え・意思を相手に伝えることが、どうしても必要です。
例えば自分が通りたい道をふさいでお話に夢中になっている人に、「通りますね。」と伝える必要があります。
もし何も言わずに通ろうとしたらどうなるでしょうか?
そうです。ぶつかります。相手はどう思うでしょうか?
その通りです。「何この人?」で終わればいいですが、けんかになるかもしれません。相手がどんな人なのかわかりませんからね。
そして、道を譲る時に「どうぞ、お通りください。」と言ってもらえたらどうでしょうか?
言葉で伝えるって、本当に大切なことなんですね。
年齢別言葉の発達度合い
成長に応じて少しずつ話せるようになります。しかし、子供の発育は個人差が大変大きいということは覚えておきましょう。
赤ちゃん
生まれたての赤ちゃんは言葉を話せません。しかし、自分の意志は伝えようとしています。
オギャー(おなかが空いた。ミルク飲みたい!)
オギャー(おむつが濡れて気持ち悪い。早く替えて!)
オギャー(抱っこして!)
といった具合です。
同じ泣き方・泣き声に思えますが、お母さんには聞き分けられるというのですから本当に驚きます。
1歳ごろ
「あー、あー」と言ったり、「ママ、パパ」など簡単な単語を話し始めます。
名前を呼ばれたら振り向いたり、首や手を動かしながら「バイバイ」・「イヤイヤ」などの言葉を発するようになります。
2歳~3歳ごろ
単語だけではなく、2つから3つの単語を続けて話が出来るようになります。
例えば、「これ、ほしい」「くつ、はく」といった2つの単語を並べて会話します。
「なんで?どうして?」といった質問するようにもなるでしょう。
正確に発音できなくても大人のまねをして同じように言おうとします。
4歳~6歳ごろ
発音が明確になり、文法でお話が出来るようになります。
大人とのコミュニケーションもスムーズになり、自分のしたい事やしたくない事をはっきりとした言葉で表現できます。
個人差がある
「言葉が遅い」という事は発達障害の特徴としてよく言われています。
1歳半検診や3歳検診で「言葉の遅れ」を指摘されることが多いようです。しかし、個人差があるので一概には言えません。
それまでどの健診でも指摘されなかったのに、小学校の入学前に「発達障害」だったと分かるケースもあるようです。
実際に小学校入学前に発達障害と分かった方のYouTubeがありますので興味がある方は見てみてください。
言葉が遅い原因とは?
難聴や精神疾患がなく、言葉が遅い原因には下記が考えられます。
・特異的言語障害(表出性言語障害・受容性言語障害)
・自閉症スペクトラム障害(ASD)
特異的言語障害とは難聴や精神疾患、自閉症スペクトラム障害(ASD)等の原因がなく、運動や言葉以外のコミュニケーションには問題が見られないのに「言葉の発達だけが遅れる」状態のことです。
特異的言語障害の中には、「表出性言語障害」と「受容性言語障害」があります。
以下の記事で詳しく説明していますのでご参照下さい。
1.表出性言語障害
表出性言語障害とは、言葉の意味は理解できるけれど話すことが遅れている状態です。
名前を呼ぶと振り返り「リモコン取って」といえば取ってくれるという場合は、こちらの言った内容をきちんと理解できています。
しかし、自分が思っていることを話そうとすると難しいのが表出性言語障害の特徴です。
頭の中には言いたいことが沢山溜まっているのに、言葉となって出てこない。
言いたいこと、したいことが伝わらないとストレスになります。
外国の方と話す時、言葉が出てこなくて困った経験ってありませんか?
英語の文章だったら読めて意味も理解できるのに、言いたいことを伝えられない。
「どのように言うんだったっけ?」
そんな感じかもしれませんね。詳しくは下記クリニックの記事も参考にしてください。
2.受容性言語障害
受容性言語障害とは、「言葉の意味を理解すること」と「言葉を発すること」が遅れている状態です。
言葉の意味を理解できないので、どのタイミングでどの言葉をどういう順番で使えばいいのかが分からなくなってしまいます。そのため、言葉が遅いと思われてしまうのですね。
先生に言われたことが分からなくて、ちゃんと動けなくて怒られる。
本人にしたら何がなんだかわか分かりませんよね。
例えば、旅行中に英語のアナウンスを聞いたとします。
”Don’t touch ”
音としては聞き取れたとしても、その単語の意味(touch=触る)を知らなければどう行動したらいいのか分かりませんよね。
触ると当然ですが、怒られます。
それが母語で起きているのが、受容性言語障害です。
詳しくは下記クリニックの記事も参考にしてください。
3.自閉症スペクトラム障害(ASD)の可能性
自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴として、以下があります。
・言葉が遅い
・1人で遊ぶことを好む
・人に関心を払わない
・耳から入る情報より目で見る情報に興味を持つ
人との関わりが少ないと、必然的に言葉を覚える機会が減りますよね。
外国語を勉強している時、留学しても全然話せるようにならない人と話せるようになる人の違いは何でしょうか?
それは外国語を話す人と積極的に話す機会を持つことです。
また最初は全く話せなくても、ある一定の時期を過ぎると急にペラペラになるということも良く聞きますよね。
それは、頭の中で外国語の単語や知識がある一定程度溜まったからだと言われています。
言葉を話すようになるというのは、「容器がいっぱいになったら話せるようになる」とよく表現されます。
自閉症の子供の場合、「容器に入れる機会が少ない」ことに加え、「入れるためにもコツがいる」という事が「言葉の遅れ」につながるのかもしれません。
自閉症スペクトラム障害(ASD)について詳しく知りたい方は下記の記事をぜひご参照ください。
小学校入学までにできる改善方法とは?
言葉の遅れが気になった場合、「療育」を利用しましょう。
その子のハンディを完全に解決することは難しいかもしれませんが、本人が出来るだけ苦労しないで済むように、早めに始められるといいですね。
得意なことは伸ばしてあげて、苦手なことは上手に対処できるように。
子供によっては紙に書いてある文章は読みにくいけれど、PCの画面に書いてある文字は大丈夫といったケースもあります。
特性が早く分かるとどんな工夫をしたらいいのか、その子にあった対応が出来ますよね。
小児科の先生が書かれた言葉を伸ばす本もあります。
こちらは3歳くらいまでの対応が多いですが、それ以上の年齢でもためになることも多いと思いますよ。
言語聴覚療法(ST)
国家資格である言語聴覚士がマンツーマンで教えてくれます。
子供の成長は個人差が大きいですから、1対1でも練習はとても効果的だと思います。グループでのクラスもあるようです。
子供が楽しく練習出来るように、絵やカードやおもちゃを使ってくれます。
時間は大体1時間以内が多いみたいですね。実際にどんなことをしているのか、参考になるYouTubeがあるのでぜひ見てみてください。
療育を利用する方法
まずは相談に行きましょう。
- 保健センター
- 子育て支援センター
- 児童発達支援センター など
相談は無料ですし、子供の特性にそってどんなところがいいのか紹介してくれるかもしれませんよ。
いつでも見学に来てください。
放課後等デイサービス・アレッタでは、心身に障害のある小学校1年生〜高校3年生までの児童を対象に支援しています。ちょっとだけ先輩の様子をのぞいてみませんか?
「発達障害って何?」「発達障害の子供を育てるどんな工夫しているの?」といった疑問に答えるトピックを準備しています。良かったら、参考にしてくださいね。
お家で出来ること
お家の中でも出来ることがあります。
今までもされているとは思いますが、続けていきましょう。
- ゆっくり、はっきり、簡単な言葉で話しかける
- 本人が話したときに褒めてあげる
- 一緒に本を読んだり、歌を歌ったりする
- 興味があることをしている時、色や形、数などを教える
- 言い間違えても訂正しない、笑わない
言葉の遅れがある場合の小学校の選び方は?
学区内の小学校に行かせるか、支援学校に行かせるか悩むこともありますよね。
最近の小学校には通常クラス以外にも、通級指導教室や特別支援学級があるところも増えてきました。
近所の友達と一緒に学校に行って、少人数でフォローしてくれるクラスに行くのもいいかもしれませんね。
また、支援学校ではその子供の特性に応じて専門の方がフォローしてくれるという安心感があるかもしれません。
こちらのtwitterの方も色々あると紹介してくれています。支援については各自治体・学校ごとに異なる部分が大きいので住んでいる自治体にまず問い合わせてみるのが良いかと思います。
その子にとってベストは何なのか。幼稚園の先生や療育の方、保健センターの方やかかりつけのお医者様等色んな人の意見をお聞きすることも助けになるかもしれませんね。
まとめ
言葉を話すことは、コミュニケーションを取るために必要不可欠です。
人知れず「話したいのに話せない」と思っている場合もあるんですよね。
みんな自分と同じだと思わずに、どうして欲しいんだろうと気遣える余裕があるといいのですが…
発達障害は「脳」の機能障害だと言われます。
しかし、脳は鍛えれば成長します。
時間はかかっても、訓練し練習すれば問題なくコミュニケーションを取れるようになるかもしれません。
その子に合った方法で自由にコミュニケーションが取れる、その日が早く来ますように。
ご拝読いただきありがとうございました。