今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「特異的言語発達障害(SLI)」についてです。
発達障害とは、先天性の脳機能障害が原因と考えられ、この影響により生活に支障が生じる障害の総称を言います。
この特異的言語発達障害も大きくは発達障害に含まれるのです。
目次
特異的言語発達障害ってどんな障害?
特異的言語発達障害はSLI(Specific Language Impairment)と呼ばれ、文字や文章の読み書きや計算など「学習」の環境において、特異な偏りや遅れがある学習障害を言います。
この障害のポイントは、知的障害による精神遅滞が無いのに、学習面に困難があることです。
- 本や教科書などの朗読が困難
- 単語、文章の書き取りが困難
- 簡単な計算が困難 など
一方で、文法や助詞の付け方など、話し方にも特異な偏りや遅れがある場合があります。これにより聴覚障害を患っていると判断されがちですが、SLIに関して聴覚による障害はありません。
これには先天性の脳機能障害が原因と考えられています。ですが、根本的な治療方法が見つかっていないのが現状です。
言葉が読みづらい・書きづらい・覚えづらい
「知らない言葉」「まだ習っていない漢字」などに関係無く、読み書きに困難があります。
例えば、難読漢字の問題を出されたとしても、知らないと読んだり書いたりすることは誰でもできませんよね。
しかしSLIは、習っている言葉や単語の書き取り、読みすら困難になる場合があります。見えている言葉や文章の情報を、正しく処理するのに時間が必要なのです。
症状は抱えている人により様々です。「単語」は読めても、「文章」になると読めない場面もありえます。
さらに、読める言葉も声に出すのに時間が必要になってしまいます。スラスラと流れる様に朗読することは困難なのです。
この結果、文字の読み書き、朗読などが困難な為、「学び」に対して消極的になってしまいがちです。
成績が伸び悩む子供は少なくありません。
他の障害を併存している場合も
SLIは主に学習面での障害ですが、ASD(自閉症スペクトラム障害など)やADHD(注意欠陥・多動性障害)を併存している子供は多くいます。
複数の障害を抱えることは精神的負担も計り知れません。精神障害を患う二次障害を併発してしまうことも少なくないのです。
特異的言語発達障害の特徴の実際とは?
難しい言葉も多く実際にはどんな特徴があるのかわかりにくいですよね。
そこでもっと具体的に実際はどのような話し方をするのかご紹介したいと思います。
一般的な幼児期の子どもの言語や会話について
子どもは3歳前後で語彙の800~2000語を覚えていると言われており、4歳頃になると子どもの言葉はいよいよ「会話」へと成長します。
5歳になると日常生活に必要な言葉をほぼ身に着けて、語彙数は1700~2000にもなり、接続詞が会話の中に出てくるのもこの頃だと言われています。
特異的言語発達障害の子の言語や会話
一般的な子どもに対し、特異的言語発達障害がある子では言葉の表出が遅く、新しい言葉を教えても覚えらない傾向にあります。
そのため、「あれ」「これ」「それ」と言って、具体的な名前を言えずジェスチャーを多く交えてコミュニケーションをとることも特徴的。
格助詞(主に主語に付いて、文節同士の関係を表す。「が、を、の、に、で」など)や受動態の(「れる、られる」の表現)が苦手であるとも言われおり、話すだけでなく作文を上手に書くことも苦手とします。
特異的言語発達障害の治療に関して
「言語聴覚療法」という治療法があり、言語聴覚士(ST)が言語障害の評価・訓練・アドバイス・支援を行うことがあります。
言語聴覚士(ST)とは、言語や聴覚、音声だけでなく、食べることや飲み込むことにも不自由がある人に対しても、専門的な機能評価やリハビリテーションを行うことができるスペシャリストです。
SLIは知的障害を伴わない障害です。根本的な治療はできませんが、言葉の読み方、書き方、話し方を特訓することで、症状の改善が見込める場合があります。
言語聴覚療法とは?
言語聴覚士(ST)がまずは、どんな症状がありどこを強化すればいいのかなどを発達段階に応じて評価し、その子どもが抱える問題や原因を考えます。
そしてその子にあったプログラムを作成し、例えば文字やイラストを使って言葉を引き出したり、音の単位や文章を作る練習をして言い回しの数を増やすことなどをしていきます。
家族に対するサポートは大切
まずは、子供の発達状況や特性について理解ができるように、検査結果や発達段階などをしっかりと説明を受けることが重要です。
子どもと関わる時に気を付けるべき点が分かり、何よりトレーニングを通じて子どもの言葉の変化や成長できた点を知るととても嬉しいですよね。
また、言語聴覚士だけでなく日常生活の中でも親子でできるトレーニング方法など、子どもの発達を伸ばす工夫を教えてもらえます。
放課後等デイサービス・アレッタでは発達障害だけではなく心身に障害のある児童(小学校1年生~高校3年生までを対象)にサービスを行っております。子どもだけでなく障害に関するお悩み相談もできたり支援を受けられる場所で、親御さんにとっても心強い味方です。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
また、アレッタサイト内には「発達障害お役立ちトピックス」として、発達障害に関する様々な情報を発信しています。ぜひ参考にご覧下さい。
まとめ
特異的言語発達障害では言語に関する障害がやはり特徴的です。しかし、自閉症スペクトラム障害やADHDに比べ、重症度によっては自然に治ることもあり、トレーニングによってその可能性がもっと高くなることがわかりますね。
「うちの子なんだかおかしいかも」という悩みは発達障害を疑う子を抱えている親御さんであれば、誰もが思うことだと思います。
子どもの話し方や言葉に関して不安や疑問があれば、まずは専門の医療機関を受診してみることをお勧めします。
そして、子どもが持つ障害の特性を理解し、特異的言語発達障害の治療に心強いエキスパートと一緒に親子で少しずつトレーニングに励んでいきましょう。