今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは発達障害とサポートについてです。
「バイトでミスが多いし、空気も読めない。こんな自分は発達障害なのかもしれない。」
「発達障害者やグレーゾーンの人が受けられるサポートについて知りたい。」
「こんな自分でも、将来幸せな働き方ができるか不安だ…」
この記事では、このような悩みをお持ちのあなたの疑問にお答えします。
それでは、詳しく見ていきましょう!
目次
発達障害グレーゾーンの方のためのサポート制度
発達障害には、さまざまな類型がありますが、その障害の程度もまちまちです。
発達障害の定義などに関する詳しい解説は、こちらの記事にまとまっているので、ぜひご覧ください。
ハローワークの無料相談
「コミュ力が低くて今までしんどい思いをしてきた。
発達障害だと診断されてはいないけど、グレーゾーンに入ると思う。
就活をスムーズに進められる自信もないから、何かサポートを受けたいな…」
このような場合、ハローワークの無料相談の利用を検討されてみてはいかがでしょうか?
ハローワークでは、若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムというものを行っています。
若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムとは、コミュニケーション能力に困難を抱える若年の発達障害者等に向けた総合的な就活支援を行う事業です。
利用できる人
おおむね34歳以下の若年の発達障害者等です。
発達障害者「等」となっているので、発達障害者だけでなく、その疑いのある若年者も利用できます。
サポート内容
ハローワークの就職支援ナビゲーターという職員さんが、一人ひとりの担当となり、相談に乗ってくれます。
相談を進めるなかで、障害者向け専門支援を希望するかどうかを選択することになります。
障害者向け専門支援を希望する場合は、発達障害者支援センターなどの専門支援機関を紹介してもらえることになります。
障害者向け専門支援を希望しない場合は、そのまま担当の職員さんが個別にカウンセリングや求人開拓などの支援を続けてくれます。
「ハローワークインターネットサービス」のサイトで、最寄りのハローワークを検索できるので、ぜひ足を運んでみてください!
発達障害者支援センターでの無料相談
「もし発達障害の診断が出たら利用できる支援制度はしっかり利用したいんだけど、色々ややこしくてわからない。
まずどこかに相談したいな。」
こんなときは、発達障害者支援センターに相談してみてはいかがでしょうか?
発達障害者支援センターとは、発達障害者とその家族のための支援を総合的に行う専門的機関です。
サポート内容
発達障害者支援センターでは、発達障害者やその疑いのある人に対する相談・支援を行います。
発達障害者の日常生活に関する相談だけでなく、就労の相談も行っています。
そして、ハローワークや地域障害者職業センターなどの関係機関と連携し、発達障害者の就職から職場への定着までしっかりサポートしてくれますよ!
利用方法
発達障害者支援センターは、各都道府県と政令指定都市に設置されています。
なので、まずはお住まいの地域の発達障害者支援センターに電話してみると良いと思います。
注意点
発達障害者支援センターでは、発達障害の診断はしてもらえません。
なぜなら、医療機関でなされた発達障害の診断をもとに支援計画を組んでいくことはできますが、医学的な判定はできないからです。
発達障害者が利用できるサポート制度
発達障害の診断がされている方は、障害者総合支援法などに基づくさまざまなサポート制度を利用することができるようになります。
この章では、発達障害の診断を受けた方が利用できるサポート制度についてご紹介します。
就労移行支援事業
「発達障害があったとしても、やっぱり一般企業で働きたい。
でも、スムーズに就活を進める自信はないし、なにかサポートを利用したいんだけど…」
このような場合、就労移行支援事業所の利用を検討されてみてはいかがでしょうか?
就労移行支援事業所とは一般企業等への就職を希望する障害者に対する相談・支援を行う事業所で、厚生労働省から指定を受けた社会福祉法人やNPO法人等が運営しています。
有名どころの事業所としては、「LITALICOワークス」や「ウェルビー」などがあります。
利用できる人
就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる方が対象です。
また、就労移行支援事業所を利用するためには、市町村から発行される障害福祉サービス受給者証が必要です。
サポート内容
詳しいサポート内容は、以下のとおりです。
- 生産活動、職場体験等の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練
- 求職活動に関する支援
- 適性に応じた職場の開拓
- 就職後における職場への定着のために必要な相談等
1 生産活動、職場体験等の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練
一般企業への就職のための準備として、業務に必要な知識やスキルの習得のためのトレーニングを受けることができます。
例えば、ビジネスマナーから始まり、PCスキルやコミュニケーションスキル、農作業についても学ぶことができるようです。
ただし、トレーニングの内容は各事業所によってさまざまです。
場合によっては、希望の一般企業で現場実習を行うこともあります。
求職活動に関する支援
ハローワークや地域障害者職業センターと連携の上、利用者の求職活動をサポートします。
具体的には、履歴書の添削、模擬面接などを行ってくれます。
ただし、就労移行支援事業所が利用者に代わって職場を探すことはできません。
適性に応じた職場の開拓
ADHDやASDなど、発達障害にはさまざまな類型がある上、個々人によって少しずつ特性が異なります。
そこで、利用者にはどの業界や職種が向いているか、一緒に分析してもらうこともできます。
就職後における職場への定着のために必要な相談等
利用者にとっては、就職した企業で仕事を続けられるかどうかが大切ですよね。
そこで、就職した後に職場に定着できるように具体的アドバイスを受けることができます。
利用料金
各事業所により利用料は異なりますが、どの事業所でも利用者の自己負担割合は1割のみです。
また、利用者の世帯の収入により、自己負担上限額が決まっています。
具体的には、世帯年収がおおむね600万円以下の利用者の場合、自己負担上限月額は9300円となります。
住民税非課税世帯は自己負担は0円です。
就労継続支援事業
「一般企業で働くのは難しいと思う。
自分のペースで訓練しつつ、特性に合った仕事ができたらいいんだけどな…」
このような場合は、就労継続支援事業所の利用を検討されてみてはいかがでしょうか?
就労継続支援事業とは、一般企業での就職が困難な障害者に対して相談・支援を行う事業です。
就労継続支援には、A型とB型があり、その主な違いは雇用契約を結ぶ(A型)か、結ばない(B型)かです。
「LITALICO仕事ナビ」のサイトで全国の就労継続支援事業所を検索できるので、ぜひ活用してみてください!
就労移行支援との違い
就労移行支援との違いは、一般企業での就労が可能かどうかです。
利用できる人
A型は、一般企業で雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である方(ただし、65歳未満に限る)です。
B型は、一般企業で雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である方です。
その中でも、雇用契約を締結して就労することが可能な方は、就労継続支援A型により事業所と雇用契約を結び、そこで経験を積んで就労移行支援へと移行することを目指します。
また、年齢や体力などの理由から雇用契約を結ぶことができない方は、就労継続支援B型を利用して工賃を得つつ、経験を積んで就労継続支援A型や就労移行支援へと移行することを目指します。
サポート内容
就労継続支援のサポート内容は、以下のとおりです。
- 就労の機会の提供
- 生産活動の機会の提供
- 就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練
- その他の必要な支援
A型とB型どちらも、就労継続支援事業所での就労を通じて訓練を行います。
利用料金
利用料金は、就労移行支援と同様、利用者の自己負担割合は1割のみです。
詳しくは、厚生労働省「障害者の利用者負担」のページをご覧ください。
発達障害があっても結構幸せに働ける話
「発達障害があっても、色々なサポートを受けながら働けそうなのはわかったよ。
でも、本当に自分にとって幸せな働き方ができるのかな…?」
このように思われるかもしれません。
「特性」に合った「環境」選びが大切
断言します。
発達障害があっても、適切なサポートがあれば、必ず幸せな働き方は見つけられます。
なぜなら、発達障害というのはただの「特性」であり、「環境」次第でその特性を十分に活かすことができるからです。
Aさんの事例をご紹介
ADHD(注意欠如・多動症)の傾向を持ちながら保育士として活躍されている、Aさんに話を伺いました。
Aさん:「私は現在、保育士として働いていますが、前職は公立小学校の学校事務職員でした。
もともとADHD傾向の強かった私は、ミスも多く、優先順位を付けることが苦手で、毎日怒られていました。
『私はホントにダメな人間だ…』
感受性が強く繊細な性格の私は、毎日そんなことを思っていました。」
ところが、ハローワークに相談に行ったことがきっかけで、その後の人生が大きく変わることになったそうです。
Aさん:「ハローワークでは、私の思いや過去の苦労をしっかりと受け止めてくださり、ごちゃごちゃだった頭の中がスッキリとクリアになりました。
そこから私の性格やADHD傾向をもとにしっかりと適職分析をしていただいた結果、保育士に興味を持つようになりました。」
保育士の職場体験を経て保育士への転職を決意したAさんは、学校事務職員を退職。
半年間の独学を経て、保育士資格を取得したそうです。
Aさん:「現在では、私の「特性」である「人当たりの良さ」や繊細さんならではの「きめ細やかな配慮」を存分に発揮しつつ保育業務をこなせていると自負しています。
本当に、特性に合った職場環境を選ぶことの大切さを実感しています。」
まとめ
いかがでしたか?
この記事でご紹介した発達障害者のための就職サポート制度をまとめると、以下のとおりです。
- ハローワークの無料相談
→発達障害者やその疑いのある方で、できるだけ早く就職したい方 - 発達障害者支援センターの無料相談
→発達障害者やその疑いのある人で、就労支援も含めた総合的な支援を利用したい方 - 就労移行支援
→一般企業での就労が可能な18歳~64歳の発達障害者の方 - 就労継続支援
→一般企業での就労が困難な発達障害者の方
発達障害といっても、広汎性発達障害、ADHD、限局性学習障害などなど……
色々な分類がありますが、あなたの「特性」が発揮できる必ず働き方はあります。
あなたの「特性」が十分に発揮できるよう、この記事でご紹介したサポート制度を利用しつつ、幸せな働き方を見つけてくださいね。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!