皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは、「発達障害の辛いこと」です。
発達障害者は症状によって、生活に支障が出る場合が多く、周りより「辛い」と感じる状況も多いですが、その家族も辛い思いをしながら生活しているのをご存じですか。
「発達障害」の認知度が増えてきているとは言え、現実にはまだまだ周りからの理解とサポートが少ないですよね。
発達障害を抱える本人と家族が経験する「辛い」ことへの理解を深め、どのようにサポートができるか考えていきましょう。
目次
発達障害は理解やサポートがない為に辛い
近年、メディアで「発達障害」について多く取り上げられているので、一昔前に比べて認知度が高くなっていますが、本当に理解しているのでしょうか。
政府は2016年に、「発達障害者支援法」を施行しました。その中で、国民に対する言及があります。
国民は、個々の発達障害の特性その他発達障害に関する理解を深めるとともに、基本理念にのっとり、発達障害者の自立及び社会参加に協力するように努めなければならない。
引用元:発達障害者支援法
周囲の身体障害者や精神障害者に対する支援は多くなっていますが、発達障害者に対する援助などはどうでしょうか。
どのような支援があるのか
公的な支援として、発達障害者には以下のものがあり、対象であれば申請することができます。まずは、役所や発達支援センターの窓口に相談してみてください。
- 療育手帳(知的障害者が支援を受けるために必要な手帳)
- 精神障害者保健福祉手帳(精神障害者の状態の程度を示す手帳)
- 特別児童扶養手当(障害のある未成年の保護者などが対象の手当)
- 障害児福祉手当(重度の障害のある未成年の保護者などが対象の手当)
しかし、このような支援を利用しても、気持ちの面での支援は追いついてるのでしょうか。金銭面での不安やストレスが減っても、気持ちの面で悩んでいる方は決して少なくありません。
上記にもあるように、発達障害という言葉は知っていても、実際にその方が困っていることや葛藤していることの理解はまだ追いついていない場合が多いです。
どのようなことに日々直面しているのか、周りにいる方はどのようなサポートできるのか、理解していきながら見ていきましょう。
子どもの発達障害
初めに、子どもの発達障害について考えていきます。
症状が顕著に目立たない場合、発達障害だと知らずに成長し、小学生や中学生になって診断される子どももいるでしょう。
子どもは大半の生活を学校や友達のコミュニティの中で過ごします。その場合、どのような「辛い」に直面するのでしょうか。
学校が辛い…
よく、「学校は辛いだけ、嫌な思いしかしない、よく怒られる(注意される)」と発達障害の子どもは言います。子どもが学校で感じる辛いことは、次のことが多いです。
- 机や椅子を動かす音が頭に響く、周囲の話し声で耳が痛くなる
- 努力しているのに授業の内容が中々覚えられない、テストの点数が悪い
- 自分の集中を邪魔されて抑えられずに物を投げたりしてしまう
- 空気が読めず友達付き合いが上手くいかない
他にもたくさん辛い思いをする場面はあるかも知れませんが、言葉をそのまま受け止めたり、音や気温に過敏であったり、パニックになったりして周りが驚く行動や発言をした時に、主に辛く感じるのでしょう。
そして、「自分は頑張っているのに周りに認められない、周りと同じようになろうとしているけどできない」という葛藤があって何のケアもしてもらえないと不登校で自分を守る行動に移ってしまいます。
学校や先生ができるサポート
発達障害の子どもが周りと比べてしまって思うようにクラスに馴染めない様子に気づいたらどのようなサポートができるでしょうか。
「発達障害 僕にはイラつく理由がある!」を参考にいくつか例を挙げたいと思います。
- まずは保護者と担任の先生またはスクールカウンセラーと、その子の発達障害の種類、症状、程度、性格などを細かく情報交換する
- その子の特徴、苦手なこと、反応の仕方などを理解した上で、教室で変えた方が良いことがあるかを考える(例えば、教室の明るさを調整したり、スピーカーの音量を下げたり、貼り物の位置を変えるなど)
- 子どもが負担に感じること(音や温度に敏感、プリントが多いなど)への対策を考え、必要であれば身につける物の許可を出したり学校で検討する
- 先生が指示する時は具体的に言うことで、はっきりと伝わるようにする
- 常に学校と家庭での様子を先生と保護者で共有する
発達障害 僕にはイラつく理由がある!posted with ヨメレバかなしろにゃんこ。/前川 あさ美 講談社 2019年08月08日楽天ブックスで探す楽天koboで探すAmazonで探すKindleで探す
本書の著者は、発達障害を持った息子が大人になって子どもの頃の経験などを話していて気付いたことをベースに、漫画を取り入れながら発達障害の子どもが学校で直面することを紹介し、解説しています。
わかりやすいく、大人では理解できなかったことや「あの時こうしてあげられれば良かったのか!」と気づかされることが多く紹介されているので、子どもの理解を深めるためにも、ぜひ手に取って欲しい一冊です。
大人の発達障害
続いて、大人の発達障害について考えていきましょう。
子どもの時に発達障害だと診断され、適切な療育や学習面でのサポートを受けた方は大人になっても、生活や仕事に支障が出る方は少ないです。
大人の発達障害者は、適切なサポートを受けられなかった方や、子どもの頃は傾向はあっても何とか人並みにできてしまい診断されなかったり、発達障害だと疑わずに大人でやっと診断された方を見ていきましょう。
仕事が辛い…
子どもが一日の大半を学校で過ごすのであれば、大人は職場で一日の大半を過ごします。そして、職場では仕事内容に対する時だけでなく、上司や同僚との関係においても、辛いと感じる時があります。
大人の場合、職場で「辛い」と感じるのは次のことが多いです。
- 仕事の内容が不規則でついていけない、指示の意味が伝わらない
- 中々仕事が覚えられない、忘れ物をしてしまう、効率が悪い
- 上司や同僚に言われたことは文字通りにしか理解できない
- 同僚や先輩との距離がわからず、関係が上手く築けない
もちろん、職場では臨機応変が必要な場合もあり、さらに対応することが難しく、辛いと感じてしまいます。障害者枠で採用された職場でも、仕事内容についていけても今度は人間関係で辛い場面が出てきます。
職場でできるサポート
では、職場でどのようなサポートができるのでしょうか。
札幌市では、職場で発達障害の方への支援の方法として「虎の巻」を作りました。札幌市だけでなく、様々な地域から「わかりやすい、理解してあげられるようになった」などと好評です。
イラストとわかりやすい解説が載っているので、発達障害者の困っていることを理解でき、どのように改善していけばいいかが明らかになるでしょう。今回はその中の一部を紹介します。
- 見本を見せる(「適当に」「しっかり」などの程度があいまいな言葉ではなく、「見本の通りに行ってください」の方が伝わりやすい)
- 優先順位を明らかにする(「いつまでに」「先に」など期限を示す)
- 次の指示をもらいたい時や困った時に誰に聞くかを教える(教育担当の方や上司など)
また、札幌市のホームページにはこのように書いてあります。
虎の巻に記載している事例、対応方法は、一例です。虎の巻をきっかけに、発達障がいがある方と周りの方が、その方にあった方法を考える、コミュニケーションをとるツールとして活用いただけると幸いです。
引用元:札幌市 発達障がいのある人たちへの支援ポイント「虎の巻シリーズ」
「虎の巻」はダウンロードもできるので、ぜひ社内で活用していき、さらに障害者も一緒に働く方々も協力し合える環境作りを目指していきましょう。
発達障害者の家族
最後に、発達障害者の家族についても触れていきます。
「一番辛いのは本人だから家族が辛いと言うのはおかしい」「家族が辛いって言うな」などの意見をしばしば見るでしょう。
しかし、実際は発達障害者と同様にその家族も辛い思いをしています。
完全に理解できないこともある
ほとんどの家族は発達障害を持っていても一生懸命に支え、個性を伸ばしたり、生活で必要なことを助けていますが、どうしても周囲の健常者たちと比べてしまいます。
思うように支えて上げられない、本当に理解してあげられているのかという気持ちと毎日、一日中葛藤しているでしょう。
このような場合、どうすればストレスや負担を軽減することができるでしょうか。
家族ができること
こちらもいくつか実践しやすいことをまとめてみました。
- お父さんや兄弟、その他の親族に、日々どのようなことに直面しているのか、どのような助けが必要かを話してみる(休日に子どもの面倒をみてもらう、いくつかの家事を手伝ってもらうなど)
- 療育ママ友など似たような環境にいる方とつながる(療育センターが実施している保護者向けのセミナーやサークルに参加するなど)
- 発達障害を持っている家族と相談して、生活のルールを決めておく(身の回りの物を戻す特定の場所を作る、こだわりの食器を見つけるなど)
やはり一番理解して欲しいのは家族ですので、お母さんなど一人に任せっきりにするのではなく、家族全員で発達障害の知識を深めて、支えあうことが一番理想ですよね。
しかし、共感できる人が周りにいない場合、発達障害の子どもの保護者向けのコミュニティがあります。療育センターや役所の福祉窓口で聞いてみると様々な情報を教えてくれます。
同じ環境にいるからこそ理解し合えて、気持ちを入れかえられる場所としてもおすすめですので、一度勇気を出して参加してみてください。
もし、発達障害を持っている方が大人だったり、話が通じるぐらいの年齢でしたら、症状に合わせて家の中でのルールを決めるのもいいかも知れません。
まとめ
- 発達障害の認知が上がり、金銭面で公的な支援はあるが、気持ちの面での理解やサポートがまだ追いついていないので、辛いと感じてしまう
- 子どもの発達障害の場合、家庭と学校の連携が重要であり、情報共有をすることで理解が深まり、適したサポートの方法を見つけられる
- 大人の発達障害の場合、職場の理解が重要であり、指示の出し方や仕事内容の教え方を工夫してサポートができる
- 発達障害者の家族の場合、家族全員で助け合ったり、同じ環境にいる方とつながったり、家庭内のルールを決めることで、辛い思いを減らせる
発達障害の症状がそれぞれ異なるようにサポートの方法もそれぞれ異なるので、最初は模索しながらになるかも知れませんが、焦らず挑戦してみましょう。
周りに合わせるためのサポートではなく、発達障害を持っていても生活に支障が出ないようなサポートが必要だということですね。
参考にできる本や動画もあるので、どんどん取り入れて、発達障害を持っていても生活しやすい環境づくりをみんなで作っていけることを願います。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。