今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害で手帳を取得するメリット」についてです。
”手帳”と一口に言っても、発達障害の方が取得できる手帳はどのようなものがあるのでしょうか。
また、手帳を取得することによってどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。
そのほか手帳の取得方法や、使用する場面などをまとめましたので、そちらもぜひ確認してみましょう。
目次
発達障害の方が取得できる「手帳」とは?
【精神障害者保健福祉手帳】 という手帳です。
また、知的障害を伴う場合は、【療育手帳】の取得ができます。
発達障害がある人は、必ずしもこの手帳を申請しないといけないということではありません。任意です。
発達障害の方の中で、社会的な制約がある方が申請できるようになっています。
それでは、この【精神障害者保健福祉手帳】と【療養手帳】について詳しくみてみましょう。
精神障害者保健福祉手帳とは?
精神障害や発達障害などにより日常生活や社会生活に支障があると判断された場合に公布されます。障害の重さによって1級から3級まで分類され、申請には初診から6か月以上経過していることが必要となります。
取得の対象となる精神疾患や発達障害は以下の通りです。
- 統合失調症
- うつ、躁うつ病
- てんかん
- 薬物やアルコール依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害)など
所得税や住民税の減税のほか、公共交通機関の割引サービスを受けることができます。メリットの詳細については後述いたします。
療育手帳とは?
また、知的障害がある場合は、別途、療育手帳制度があります。
知的障害と上記の精神疾患、発達障害など、両方を有する方については精神障害者保険福祉手帳、療育手帳両方の取得が可能です。
自治体によって、「愛の手帳」、「みどりの手帳」などの名称がつけられています。
愛の手帳(東京都療育手帳)は、東京都愛の手帳交付要綱に基づき、知的障害者(児)の保護及び自立更生の援助を図るとともに、知的障害者(児)に対する社会の理解と協力を深めるために交付し、知的障害者の福祉の増進に資することを目的としており、障害の程度によって、1度から4度に区分されます。
東京都福祉保健局 愛の手帳について
認定の区分やIQ(知能指数)の基準は自治体によって異なるので注意しましょう。
保育や教育面での援助の検討、各種手当の支給などのメリットがあります。
援助内容も各自治体によって異なるので、まずはお住まいの自治体の情報を確認してみることをおすすめします。
精神障害者保健福祉手帳を取得するメリット
今回は、精神障害者福祉手帳を取得するメリットについて知りたいです!
それでは、精神障害者保健福祉手帳を取得することによって得られるメリットについて確認してみましょう。
税金の控除・減免を受けることができる
精神障害者保健福祉手帳を取得することによって、以下の税金の控除、減免を受けることができるのです。
- 所得税、住民税の控除
- 相続税の控除
- 自動車税・自動車取得税の軽減(1級の方のみの場合が多い)
- 配偶者控除、扶養控除の加算(1級の方のみの場合が多い)
所得税は障害者控除(精神障害者保健福祉手帳2級~3級)として27万円、特別障害者控除(精神障害者保健福祉手帳1級)の場合は40万円の控除が発生します。
住民税についても等級によって一定の控除を受けることができますが、自治体によって控除額が異なりますので確認してみましょう。
その他にも、相続税や自動車税の控除を受けられることがあります。
参考 国税庁 障害者と税
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/03_2.htm
公共料金などの割引を受けることができる
精神障害者保健福祉手帳を取得することによって、 以下の割引サービスを受けることができます。
こちらは自治体によってサービスの内容が異なる場合がありますので、利用する場合は各地域・事業所に確認してみましょう。
- NHK受信料の減免
- 鉄道・バス・タクシーなどの運賃割引(JRを除く)
- 携帯電話料金の割引
- 上下水道の割引
- 公共施設の入場料の割引など
昨今では精神障害者保健福祉手帳で受けることができる割引サービスが増えてきています。
たとえば、NHKの受信料については等級や家族構成によって異なりますが、半額または全額割引になるなど、割引が適用されるのです。
また、鉄道、バスなどは精神障害者保健福祉手帳を見せることによって運賃の割引が適用される場合があります。
現在JRや航空各社は対象になっておりませんので注意が必要です。
そのほか、携帯電話料金について、基本料金などは割引が適用される場合が多いです。
各会社によってルールが異なりますので、お使いの携帯電話各社に確認してみましょう。
また、映画館や美術館などの公共施設の多くで、精神障害者保健福祉手帳を見せることで入場料の割引を受けることができます。
障害者雇用枠で就職することができる
精神障害者保健福祉手帳を取得することによって、障害者雇用枠で働くというという選択肢を得られるというメリットがあります。
一定数の従業員を雇っている企業では、国が定めた割合で障害のある方を雇用することが義務付けられています。
そのため、障害のある方の雇用を望んでおり、障害者雇用枠を設けている企業は多いものです。
この障害者雇用枠で就職できるのは、「障害者手帳」を取得している方のみが対象となります。
精神障害者保健福祉手帳も障害者手帳に含まれますので、一般採用だけでなく障害者雇用枠での就職が可能です。
障害者であることを前提とした雇用枠なので、無理なく、自分の障害に配慮してもらいやすい環境で働くことができるケースが多くあります。
参考: 精神障害者保健福祉手帳を使用するタイミング
特別支援学校入学時
発達障害をお持ちのお子さんの場合、進路選択の際、必要なサポートの証として精神障害者保健福祉手帳を提出することができます。
ただし、特別支援学校は障害者手帳がなくても支援が必要であることが認められれば入学できる場合ももあります。
逆に言えば精神障害者保健福祉手帳を持っているからといって、入学が約束されるわけではありませんので、その点は注意しましょう。
障害年金取得時
障害年金を申請したいときに、自身の状況や障害の状態を確認する書類として精神障害者保健福祉手帳を提出することができます。
ただ、こちらも注意したいのは、 精神障害者保健福祉手帳と障害年金は全く別の制度になりますので、障害者手帳を持っているからといって、障害年金がかならずしも支給されるわけではありません。
あくまで、 障害状態を確認するための補足資料として使用することができます。
参考 日本年金機構 障害年金
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html
精神障害者保健福祉手帳を取得するデメリットは?
精神障害者保健福祉手帳を取得することのデメリットはほぼありません。
この手帳が不要になった場合は返却することも可能です。
ただし、手帳を取得する本人が自身の障害を自分自身で認められていない場合、手帳を取得することによって発生するサービスなどを受けるのに、後ろめたさや申し訳なさを感じてしまうケースがあります。
先述のとおり、発達障害と判断されても必ずしも手帳を取得する必要はありません。
自分の人生のうちに必要になったときに、納得して手帳を取得することをおすすめします。
精神障害者保健福祉手帳の取得方法とは?
こちらはどのように取得するのか、手順を見てみましょう。
精神障害者保健福祉手帳の申請については、以下の手順で行います。
- 精神科・心療内科受診
- 診断書を作成してもらう
- 申請書を作成する
- 審査
- 交付
まずは、初診から6か月経過してから、精神保健指定医(または、精神障害の診断書または治療に従事する医師)が記載した診断書を用意しましょう。
そして、指定の申請書に必要事項を記入し、上記の診断書、本人の写真、官製はがきを添付し、それぞれの市町村の担当窓口(保健福祉課など)に提出します。
診断書や申請書の書式は市町村の担当窓口にて配布されることが多いです。まずは各自治体のHPなどを確認してみましょう。
申請すると、各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターにおいて審査が行われ、申請が認められると通常2~3か月で手帳が交付されます。
申請は家族や医療機関関係者などが代理で行うこともできます。
なお、この精神障害者保健福祉手帳が交付されると、2年に1度更新が必要になりますので、覚えておきましょう。
まとめ
発達障害のある方が取得できる手帳は、知的障害を伴わない場合は「精神障害者保健福祉手帳」になります。
こちらは取得すると税金の控除や減免、公共料金の割引、公共施設の入場料割引などのサービスを受けることができます。
また、障害者雇用枠で就職することも可能です。
このメリットに納得して、必要なサービスを受けたい場合には「精神障害者保健福祉手帳」の取得がおすすめです。