今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害とメモの取り方」です。
皆さんは「頑張ってメモをするけど、どこに書いたか忘れた」「見返してもどこに何が書いてあるかわからない」、、と悩んでいませんか?
メモを取れないと、聞いたことを忘れて何度も同じ質問をしてしまったり、最悪相手に不真面目・信頼できないというイメージを与えてしまいかねませんよね。
逆に上手にメモできれば、仕事のミスも減り、相手に信頼してもらえます。
今回は、発達障害があるとどうしてメモを取るのが苦手なのか、その理由と対処法をご一緒に探っていきましょう!
また、後半にはメモ以外の代用法や、周囲の人ができる配慮についても見ていきます。
目次
発達障害がある人でメモの取り方が苦手な人が多いのはなぜ?
発達障害があるとなぜメモを取ったり活用するのが苦手になるのでしょうか?
その理由を見てみましょう。
ADHDの場合
同時に二つのことができない
これは、ワーキングメモリが低いとも表現されます。
脳の作業机。作業机が大きいと机の上で複数の作業ができる。
ASDがある人はワーキングメモリが低いことが多く、一つの作業しかできない。
同時並行での作業が苦手。
例えば「話を聞きながらメモを取る」という2つの作業ができません。
聞いているときは書けないし、書いているときは相手の話が入ってこない、、、となってしまいます。
以下の記事では、ワーキングメモリの役割とそれが低いとどんなことに難しさを感じるかがまとめられています。
集中力が長く続かない
他のことに気をとられて、気づけば相手の話が終わっていた、、、ということも。
こちらの動画では、ADHDの方がメモを取るのが苦手な理由が簡単に説明されています。
ASDの場合
耳からの情報処理が苦手
指示が聞き取りにくい、聞き間違える、長い説明が途中で分からなくなる、、などの理由でメモを取りにくいかもしれません。耳で聞いて理解するのは苦手でも、目で見て理解するのは得意、という場合もあります。(視覚優位)
コミュニケーションが苦手
会議の時など複数の人が同時に話すと、声を聞き分けたりするのが苦手な傾向があります。
こだわりが強い
いつも同じ仕事をすることはそんなに負担が少ないのですが、新しい仕事をする時には強い不安を感じます。
それで、指示や説明を受ける際必死になって
「言われたこと全て書き留めなくては。」とメモを取るのです。
メモを取ることにあまりに集中しすぎて内容を整理するのが難しく、結果びっしり文字だらけのメモになる、、、というわけです。
LDの場合
読み書きが苦手
文字が全く書けない、漢字だけ書けない、鏡写しになってしまったり、、と様々です。
この場合は、後で挙げるメモを取る以外の方法も試してみてください。
上手にメモを取るポイント
では、メモを取る時に大切なポイントを具体的に見ていきましょう。
メモの書き方
一番上に日付とタイトルを書く
これは、後で見返したり探したりするときの助けになります。
タイトルは目立つように大きな字で書き、色を変えたりラインを引いたりすることもできます。
また日付を書くことで、そのメモが必要か必要でないかを区別できます。古くなったものを整理しやすくなりますね。
5W1H
5W1H
WHO(誰が)、WHEN(いつ)、WHERE(どこで)、WHAT(何を)、WHY(なぜ)、HOW(どのように)
この6つをなるべく埋められるように、次に挙げるフォーマットを準備するのもおすすめです。
あらかじめフォーマットを決めておく
電話などの伝言メモ、業務指示メモ、会議メモなどは前もってフォーマットを決めておきましょう。
話を聞きながら何が重要かを考えるより、こういう場合はこれをメモする、と決めてある方が楽ですよね。
フォーマットに書き込むときは、全ての欄を埋めるように意識しましょう。
また、書き終わったら、指示した人に確認してもらうのもいいですよ。
修正する点や、追加する点を言ってくれるので安心です。
<業務指示メモのフォーマットの例>
- メモを書いた日付
- メモのタイトル:「○○を作成」「○○を発注」など
- 何をどれだけ:「A社・B社の見積書を2部」「コピーを5部」など
- いつ:締め切りを書く
- どこで:業務を行う場所「会議室」「自席」など
- 誰と/誰に:一緒に業務を行う人や、提出する相手
- どうやって/何を使って:「見積書テンプレートAで作成」「メールで提出」など
無理して漢字やスペルを書かなくても大丈夫
画数が多い漢字や、難しい漢字、英語の単語などを書こう・思い出そうとすると、それだけで書く手が止まってしまいます。
後で読み返した時に自分で分かれば、ひらがなやカタカナで書いても大丈夫です。
文字を簡単に書ける工夫をしましょう。
色ペンを使って見やすく
色分けすると見やすくなりますが、色が増えすぎるとかえって見にくくなりますし、ペンを持ち変えるのも大変です。
3色くらいまでにするといいですね。3色ボールペンを活用する方法もあります。
メモ帳の使い方
メモは1件に1枚使う
用紙に空白があると、もったいないので続きに書きたくなりますが、同じページに複数のメモを書くと、見返した時に何をどこに書いたかわからなくなってしまいます。
1ページ1件としましょう。
メモ用のノートは1冊だけにして、持ち歩く
色々なところに分けて書くと、肝心な時にどこに書いたか見つからない、、ということに。
特に小さな紙に書いたら紛失したり、間違って捨ててしまうこともあるかもしれません。
メモするノートは一冊に絞るようにしましょう。
自分にあったメモ帳を見つける
メモには色々な大きさ、行、罫線、幅、方眼があります。
自分が書きやすいものを見つけてください。
例えば、白い紙だとほかの用紙に埋もれてしまい探せない、、そんなときは色付きのノートをあえて選ぶ、という方法もありますね。
お勧めの本
こちらは、「ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に働くための本」という本です。
第4章「物忘れ」を何とかしたい!-メモ取り編にヒントが掲載されています。
発達障害ゆえに働きづらさを感じている方にぜひ見ていただきたい一冊です。
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- 発達障害あるあるの悩み→その原因→具体的な解決アイデアの手順で解説されている
- 良い口コミ⇒当事者が苦手な部分を熟知しており、対処法も明確
- 悪い口コミ⇒事務職の就く方には大変便利ですが、サービス業の方には十分でないと思う(Amazonレビュー)
メモ以外の方法は?
どんな方法を試しても、やっぱりメモを取るのは無理、、、ということもあります。
そんな時は、メモを実際に取る以外の代用法を見つけましょう。
また、メモを取ることと組み合わせて行うのも効果的です。
ボイスレコーダー
スマホのアプリや専用のボイスレコーダーを活用することができます。
ただし、事前に録音してもいいか確認してくださいね。
写真を撮る
携帯で写真を撮ったり、デジカメで撮影するのも一つの方法です。
でも会議中に音を立てて撮影するのは難しいので、会議が終わった時に「消しておきますよ」と言っておき、撮ってから掃除をする、もしくは休憩時間の時に見計らって撮ったりできるかもしれません。
こちらは、ADHDがある方が紹介する「効果的なメモの取り方」の動画です。
どんな時にボイスレコーダーを使ったりスクリーンショット・写真を撮っておくかなども具体的に紹介されていて、参考になりますね。
周りの人ができる配慮とは?
発達障害がある人自身が工夫するほかにも、周囲の人が配慮できることもたくさんあります。
メモをあえて取らない人もいることを理解する
発達障害がある方の中には、どんなに工夫してもメモは取れないので「メモを取らないことを選択する」人もいます。
まずはそれを理解していただければと思います。
こちらのツイッターでもそのことが述べられています。
指示する前後に、同じ内容のメールを送る
先ほど挙げたように、メモを取ることは、「聞きながら・情報を取捨選択し・記録する」というマルチタスクなので、発達障害のある人にとってはとても難しいことです。
それで、口頭で指示する前か後に、同じことをメールで送っておくことができます。
確実に理解してもらいやすくなりますし、本人の安心にもつながります。
図や絵を描いたり、ホワイトボードを活用する
これは耳からの情報を理解するのは苦手、でも目から入る情報を理解するのは得意(視覚優位)という場合、特に有効です。
口頭で説明するときに図を描きながら、またホワイトボードを活用しながら視覚に訴えることができます。
メールを送ってもらったり、図や絵を描いてもらったりすることは、発達障害がある人自身から周囲にお願いすることもできますね。
曖昧な表現を避け、簡潔明快に話す
発達障害があると、空気を読んだり、曖昧な表現(あれ、それ、今度、ちょっとなど)を理解するのが難しいことがあります。
説明や指示をするときは、簡潔明快に、でも具体的な話し方を意識してみましょう。
例えば、「あと1時間以内に」や「5部コピーしてください」などはっきりとした表現や数字が伝わりやすくなります。
まとめ
実践できそうなものは見つかりましたか?
今回ご紹介した、発達障害の方が工夫できるメモの取り方は、
- メモの一番上に日付とタイトルを大きく書く
- 5W1Hを意識して書く
- 決められたフォーマットを用意して、それを埋めるようにする
- 無理に漢字や英語を使わなくてもいい
- ノートは一冊に決めておく
などでした。
試行錯誤しながら、自分に合ったメモの取り方を見つけていきましょう。また自分なりの方法をアレンジしてみてください。
この記事を参考に、少しでも快適に仕事ができればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。