今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なるとを願って投稿させて頂きます。
今回のトピックスは「発達障害の人がピアノを習うことで得られる効果」ついてです。
発達障害の子がピアノを習うと得られる効果は何か、そしてピアノを習う時にどう配慮すれば良いのかをお伝えします。
発達障害の子を持つ保護者の方へ参考にしていただけると幸いです。
目次
ピアノを習う事でもたらす効果3選
ピアノが弾けると趣味として楽しめることはもちろん、脳や心の成長にも、良い影響があるとが分かってきているからです。
本項ではピアノを習うことで得られる効果を3つ確認していきます。
脳の働きをよくする
ピアノを練習するという日々の行動の中で、脳の機能の発達によい影響を与えていきます。
【脳機能へのよい影響】
- 左脳と右脳をつなげる脳梁と呼ばれる神経束が太くなり、この部分が太くなることで、言語力や情報伝達力のアップにつながる
- 記憶に関係する脳の一部である、海馬の機能がよくなる
- HQ(人間性知能)が伸びることで、創造性や社会性の発達が促進される
発達障害は海馬の発達に問題があるというデータがあり、海馬のように弱い部分の機能向上を続けていけば、発達段階で効果があるとされています。
ピアノは脳トレーニング
ピアノで演奏する時にどれだけ多くの動作をこなしているのかを確認してみましょう。
【ピアノを演奏する際の動作】
- 指をピアノに置く
- 楽譜をよむ
- 指を動かして弾く
- 自分の奏でる音を聞く、音が合っているかどうかなどを考える
- 音の強弱、弾き方などを調整する
ピアノ演奏中は様々な行動をこなしながら、脳の機能は忙しく働いていることがわかります。
楽譜を読むことで目から入った「視覚情報」が「作業記憶(ワーキングメモリ)」に蓄えられ、弾く時に「実行機能」が働き、弾いた時に指をどこに置くかなどの「空間認知」を行います。
そしてピアノを弾いている時には、指先や肩や肘、体幹などの身体の様々な部分に脳から指令がきているのです。
音が出てからも、その音が合っているかどうか、強弱を調整するなど、脳の中の様々な領域が働いています。
子どもの頃にピアノを習うのが最も良いですが、大人になってからでも効果が期待できます。
ADHD(注意欠損・多動性障害)の方にもピアノがおすすめ
ADHD(注意欠損・多動性障害)とは自分自身をコントロールする力が弱く、それが行動面の問題となり現れる障害です。
ピアノ演奏を行うには自分自身をコントロールせざるを得ないため、習得は難しい一方でトレーニング効果も期待できるかもしれません。
現在でもピアノ演奏によるADHD(注意欠損・多動性障害)など発達障害の症状改善について研究が進んでいます。
ADHDに関する記事は別に取り上げています。詳しくは下記の記事を参照してください。
3つの精神的な効果
ピアノは2つの動作(鍵盤をたたく、楽譜を見る)が同時進行するため、気持ちを落ち着かせないと上手に弾けません。
ですがピアノを気持ちよく弾けると精神的にプラスとなる効果3点があります。
1.日々の練習で、精神的にも鍛えられる
ピアノを習うことはもちろん楽しいですが、先生のところで週に1度弾くだけでは当然上達しません。
ピアノは日々の練習があって続けていかれるものです。
日々の練習によって集中力を養い、日々の練習の積み重ねで精神的にも鍛えられます。
2.発表会、イベントの経験が成長に繋がる
ピアノのお教室では、発表会を開催しているところが多いですよね。
発表会に向けて日々練習を積んだり、大勢の前で緊張しながら弾いたり、この発表会の経験を通しても、成長することができるでしょう。
3.ストレス発散にもなる
また一つ一つの曲を仕上げていくので、達成感も生まれます。
ピアノを弾くのが好きになってくると、ストレスを発散することができたり、自信も生まれてきます。
精神的な成長につながる効果が高いのも、ピアノの特徴です。
音感やリズム感の向上
ピアノの音を聞いて何の音か判断していくうちに、絶対音感ついてきます。
絶対音感とは音を聞いただけでそれが何の音か分かる能力で、音感は歌を歌ったり、他の楽器を演奏するときにも役に立ちます。
また外国語の取得にも良い影響があるという話もあり、耳が良いと外国語も音として聞け、自然と発音もよくなるようです。
ピアノの演奏は様々なリズムや曲調を弾き分けていくので、リズム感も培われていきます。
リズム感はダンスや運動をする時にも、役に立ちそうですね。
子どもの特性に合わせたピアノ教室の選び方
ピアノを習う際は教室選びも重要と言えるため、個性を伸ばせる場所を見つけましょう。
ピアノのレッスンには大きく分けて「個人レッスン」と「グループレッスン」の2種類があります。
個人レッスン|その子の進度に合わせて学ぶ
個人レッスンとは一人一人の進度に合わせて指導を行うもので、色々なタイプの先生がいます。
よって厳しい先生、優しい先生、使う教材は多種多様です。
まずはお子さん自身が体験をした上で、お子さんとレッスン内容との相性を確認してください。
レッスンを受ける前の事前準備
ずっと座っていなければならないピアノの教室は、発達障害児にとって窮屈な場所になるかもしれません。
ですから保護者の方から特性をよく説明して、先生が理解した上で受け入れてもらえる教室を選んでください。
発達障害児の中でもADHDを抱える子は長時間同じ作業を続けるのは苦手。
しかしピアノのレッスンは30分単位、教室へ向かう移動時間を含めると30分以上かかる場合が多いので、時間には余裕を持って行動しましょう。
教室に向かう以外に先生が自宅に訪問してくれるレッスンもあるので、子どもの様子やライフスタイルに合わせて選ぶのがおすすめです。
先生との相性も確認しよう
先生との相性確認する目安として、子どもが楽しくピアノを弾いているかに着目してください。
特に発達障害の子は自己肯定感を高める必要があるので、厳しすぎる先生は向いてないかもしれません。
子どもの良さを認め、引き出してくれる先生に教えてもらいましょう。
SNSでは発達障害に理解のある先生や、独自のスタイルを貫き、生徒が続けやすくするために工夫を凝らす教室があるのが分かります。
野口さんのお教室のようなところがあれば、長く続けられそうですね。
ピアノというと、とにかく弾いて練習というイメージがありますが、弾かなくてもOKというマインドには目からウロコです。
型にはめない考え方は、発達障害の人がピアノを続けていく為の助けになるでしょう。
グループレッスン|仲間の中で成長する
グループレッスンは2人以上で行われるレッスンで、7、8人と大人数のクラスもあります。
部屋にピアノやエレクトーンなどが何台も置いてあり、子どもたちは一つの曲を同時に演奏したり、一人一人発表をすることもあります。
ピアノだけではなく歌をみんなで歌うことも多いようです。
グループレッスンのメリット・デメリット
グループレッスンのメリットは、グループの子と仲良くなって一緒にレッスンを楽しむことができたり、またお互いに刺激し合える点です。
友達が頑張っている姿を見て自分も頑張ろうと思えたり、時に焦ることもあるかもしれません。
デメリットはグループである以上、周りの子に合わせないといけない場面がある点です。
特に発達障害を持つお子さんには少し厳しい面もあるかもしれません。
でも先生や周りの子の理解があれば、グループレッスンでも恐れずに参加できます。
合わせられるところだけ合わせたり、多少周りと違いがあっても極端に遅れなければ一緒にレッスンを受けることができます。
ピアノを弾くのが苦手な人への対処法
ピアノを弾く時は、楽曲によっては指の複雑な動きを要求されたり、右手と左手で違う音を出す必要が出てきます。
複雑な動きを要求されてしまうと複雑な動きについていけず、ピアノに対して苦手意識を持ってしまうかもしれません。
中でも以下に該当する方は注意が必要です。
- 発達性協調運動障害
- 感覚過敏
発達性協調運動障害
発達障害の人の中には、発達性協調運動障害を持つ人が多いとされています。
発達性協調運動障害とは年齢や知能から期待されるより協調運動が難しかったり、ぎこちなさのある障害です。
協調運動とは別々の動きを一緒に行う動作のことで、私たちの日常の様々な動作や行動にも関わってくる能力です。
おはしを使って食べる、靴紐を結ぶ、ボールを投げる、楽器を弾くなど多くの行動や運動に影響します。
発達性協調運動障害への対処法
ピアノを始めて少しずつ難しい動きになってくると、指を思うように動かせずイライラしたり、やりたくないと言うお子さんもいるでしょう。
怒ったり無理にやらせようとすることは逆効果で、次第に自信をなくしていまいます。
保護者の方はお子さんがピアノを楽しく前向きに弾けるよう声をかけましょう。
声をかけても前向きになれない場合は、練習を無理にやらせないことも大切です。
上手に続けることが出来ると協調運動自体のトレーニングになるとも言われているので、本人が嫌がらなければ続けさせてあげたいところ。
お家での練習方法についても、先生と相談してみるといいですね。
感覚過敏
発達障害と併せて、感覚過敏にも意識を向けておきましょう。
感覚過敏とは視覚や聴覚、触覚など人間にある五感に「生活に支障が生じるほど過敏に反応してしまう感覚」がある状態です。
感覚過敏の人がピアノを弾く場合に、次のような症状が考えられます。
- 視覚過敏:ピアノ教室の部屋が眩しい
- 聴覚過敏:ピアノの音、物音が煩く感じる
- 触覚過敏:鍵盤やピアノの椅子などの感触が嫌い
感覚過敏への対処法
感覚過敏と発達障害を併存している子供はよく見られます。
仮にピアノ教室に通い出してから感覚過敏があると知ったら、有意義なはずの習い事が苦痛の時間になるでしょう。
保護者の方は、お子さんの特性を見極めた上でレッスンに通ってください。
万が一習い始めてから感覚過敏であると判明した場合は、お子さんのことを考え対処法が見つかるまでレッスンを中止しましょう。
できたことを褒める
せっかく始めたピアノを長く続けてもらうにはお子さんの良いところ、できた事を見つけてよく褒めてあげましょう。
褒める内容は何でも構いません。
例えば練習やレッスンの時間を頑張って過ごした、練習の成果が出た、先生の話をきちんと聞けた、レッスンから帰ってきた、など何でも良いのです。
些細なことでも、褒めてもらうことで子どもの自己肯定感は上がります。
自己肯定感は毎日を幸せに過ごすためにとても大切であり、親御さんの肯定的な声掛けは、お子さんの頑張る力の原動力になります。
日々の訓練も効果的
ピアノのレッスン以外にも日常的に手先を動かす機会を持つと発達の助けになります。
家でのお手伝いも手先動かす訓練に最適です。
例えば洗濯物を畳んだり、雑巾がけをしたり、料理をなどをしたりすると訓練になります。
特に料理は子どもと楽しみながら取り組んでみましょう。
例えば野菜やお肉を切ったり、粉をこねたりという動作は、手先を動かす訓練に良い効果をもたらします。
家の手伝い以外にも遊びながら訓練する方法があります。
例えば折り紙やあやとりなどが該当します。可能であれば親子で一緒にやるといいでしょう。
中にはうまくできなくて余計にイライラを募らせてしまう子もいるので、簡単に楽しくできる手遊びを活用するのもおすすめです。
子どもと簡単にできる手遊びの本を紹介します。
【楽天市場レビュー一部抜粋】
- 実践しやすそうな内容がふんだんに書いてある
- 基本的な事をしっかりわかりやすく書かれているので、入門書としては十分
入門者でも実践できる遊びを紹介しているので、子供と一緒に実践してみてくださいね。
ピアノ教室でふざけてしまったら
習い事でふざけてしまうのは、特有の心理と発達の特性によるものと言われています。
例えば以下のような場面を見たことはありませんか?
- ピアノ教室に行っているのにふざけていて全然弾かない
- グループレッスン中に抜け出そうとしている
よくある理由として注目されたいもしくは失敗を恐れあえて目立つ行為をするなどが挙げられます。
ふざける行為をやめる気配がない場合は、ピアノ教室を変えてみるのも一つの手ですよ。
習い事でふざけてしまう記事は下記に詳しくまとめているので、困ったときは是非参考にしてください。
まとめ
今回は発達障害の人がピアノを習った時の効果や、習う時のポイントについてお伝えしました。
- ピアノ習得することで得られる効果
- 個人/グループレッスン両方にメリットデメリットがある点
- 長くピアノを習うために保護者ができること
ピアノを習う事で楽しみながら脳にも精神的にも良い効果が生まれるなんて、良いですよね。
ピアノを習う事でお子さんの可能性を広げてあげましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。