今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害と片付け」についてです。
皆さんは片付けが得意ですか?
「どうしていつも部屋が散らかりっぱなしなの?片付けなさい!」
「またなくしものしたの?カバンの整理をしないからよ!」
お子さんがいる家庭では、どこでも聞こえてきそうなこのセリフですが、言われているお子さんは、単に片付けを後回しにしているのでしょうか?それとも片付けや整理をしたくても、できないのでしょうか?
片付けや整理整頓は、得意な人もいればそうでない人もいるでしょう。
片付けが苦手な人は、どうして片付けられないのでしょうか?片付けが苦手な人でも片付けられるコツがあったらいいですよね。
一緒にみていきましょう。
目次
片付けができない理由は?
片付けが苦手な人は多くいます。片付けができないと言っても、ついものを出しっぱなしにしまう人、部屋中ものでいっぱいの人、部屋は片付いているけれど机の上が散乱している人など程度も様々です。
片付けができない理由も人それぞれ違います。
- 片付けができない性格や、育ってきた環境によるもの。物を捨てられない、つい片付けを後回しにしがちな人は、身の回りが散らかってしまうことが多いです。出したらしまうということが小さい頃から身についていない人も。
- 忙しくて時間的な余裕がない人は、片付ける時間を確保できないので物が散らかっていきます。散らかれば散らかるほど、益々片付ける時間も気力もなくなってしまうでしょう。
- 発達障害による性質により、片付けることが難しい人もいます。
片付けられなくて困っている人は、ご自分やお子さんの片付けができない理由を知ると、片付けるヒントにもつながりますよ。
発達障害の人は片付けが苦手?
発達障害を抱えた人全てに当てはまるワケではありませんが、ADHDを抱えている人は片付けが苦手な傾向にあるようです。
ADHDの人はなぜ片付けが苦手なのでしょうか。片付ができないと、どんなことに困るのでしょうか?
発達障害の特徴と片付けの関係性
発達障害の中で、ADHD(注意欠如多動症障害)の人は片付けが苦手な人が多いと言われます。ADHDの人は注意散漫になりやすかったり、色々な事を計画通りに実行することが難しいため、片付けや整理に関して苦手意識をもってしまいます。
ADHDの特徴を見てみると
- 集中力が続かず気が散りやすく、物事を順序立てて行うことが難しい
- じっとしていることが苦手で、落ち着いて座っていられない
- 忘れっぽく、ものをなくしやすい
- 思いつくとすぐに行動してしまう
このようなADHDに特徴があるのは、脳の機能の一つ・ワーキングメモリーが十分な働きをしていないためという考え方もあります。ワーキングメモリとは、優先順位をつけて情報を処理したり、記憶を一時的に保持する能力です。
片付けをする時、何をどこに置くかを判断したり、しまうのか捨てるのかを頭の中で優先順位をつけて判断し、決定しなければなりません。そのためADHDの人は片付けの最中の様々な判断が難しくなってしまうと言えるでしょう。
片付けができなくて困る事
実際に片付けができないと、何に困るのでしょうか?片付けができなくても、大した問題はないのでは?と思う人もいるかもしれません。しかし片付けができないと、それによる影響が色々と出てくるのです。
- 部屋中に物があふれかえり、足の踏み場がなくなる
- 大事なものをなくしてしまう。いざ必要な時に物が出てこない
- 学校や職場の机が整理できず、周りからだらしがないと言われてしまう
子どもの時から片付けができなくて、大人になっても困っている人もたくさんいるようです。
片付けができないことを責めないで
片付けたくても、発達障害の特徴ゆえに、どうしても片付けられない場合があるのです。
子どもが部屋を散らかしっぱなし、机の中も物が入り切れないほどの状態になってしまっているのを見たら、親として何とかしないと!と思い片付けなさいと叱ったり、イライラと怒ってしまうこともあるかと思います。
でも、お子さんを責めることはしないでくださいね。自分でもどうにもならないことをダメダメと責められてしまった子は、自信をなくしてしてしまいます。
発達障害で一番気を付けなくてはならないのは、二次障害です。注意されたり叱られてばかりだと、自己肯定感が低くなります。その結果自分をダメな人間だと思い込み、周りの人とトラブルを起こしたり、精神的に不安定になってしまいます。
そして、ひきこもりや不安障害などの二次障害を起こしてしまうことがあるのです。
片付けで困らない工夫
片付けが苦手の人は、どうしたらよいのでしょうか。片付けができないままあきらめてしまうのは簡単ですが、色々と困ることもあります。
物が散らかっていると過ごしにくくなるのはもちろんですが、大切なものをなくしてしまうこともあります。
片付けと一言で言っても、やり方は様々です。その人その人に合うやり方を見つけてみましょう。
片付けやすい環境をととのえよう
片付けようと思った時に、みなさんはどんな風にしていますか。
例えば一度に沢山の書類を分類しようと思った時は、どうでしょうか。ファイルに入れる、ボックスを使う、壁にはっておく、など人それぞれやり方は違います。
片付けが苦手な人は、まず片付けをしやすい環境づくりから始めてみましょう。
ものを少なくする
部屋にたくさんのものがあふれている環境での片付けほど、大変なことはありません。まずは思い切って、必要のないものを捨ててみましょう。ただ捨てると言っても、何を残して何を捨てればいいのかどうか、迷ってしまうこともありますね。
断捨離のやり方を紹介します
- 壊れているもの、使用期限がきれているものから捨てる
- 今使っているか、使っていないかで分ける
- 着たいと思って買ったけれど着る機会がない洋服、使いたいと思って買ったけど使っていないものは、思い切って捨てる
物が少なくなると、だいぶ片付けがしやすくなります。気持ちも頭もスッキリしますよ。
目で見て分かりやすく、分類しやすくする
どこに何を片付けたらいいのかを、目で見てすぐにわかるようにすると片付けが断然楽になります。
まず棚やボックスを用意しましょう。そこに何を収納するのかを決めます。それぞれにテプラやメモを貼ったり、写真を撮って貼るのも、見てすぐ分かるのでおすすめです。
ものの場所を決めてしまえば、あとはそこに入れるだけ。片付けがとても簡単になります。
分類する種類は、あまり細かくすると片付けが大変になってしまうので、大きく分けるのがポイントですよ。
発達障害アドバイザーのずっちーさんの解説によると
- 分ける片付けが有効
- ASDを持つお子さんは自分が納得しないと動かないので、一緒にどこに分けるのかを探していく
- 片付けのトレーニングが大事。次の行動に移る前に片付けをしなさいと伝える。
自閉症スペクトラム障害のことをASDと言います。ASDの人は決まった順序でやらないと気がすまなかったり、1つのことに熱中しやすいという特徴があります。
それゆえに親が一方的に仕切るのではなく、子どもの意志を尊重しながら片付けも進めていきましょう。
片付けができた時は、たくさん褒めてあげてくださいね。子どもは褒めてもらうことで自己肯定感がぐんと上がります。
使ったら元の場所に戻す、床に物を置かないようにし、散らかりすぎないように普段から心がけると良さそうですね。
日頃からのちょっとした気遣いで、なくしものもぐんと減ります。
家族の助けや支援をたのもう
片付けができなくてどうにもならない時、一人で抱え込むのはやめましょう。周りの人の助けはとても大切です。
お子さんが片付けができなくて困っている時、「自分のことは自分でやりなさい」と子ども一人に任せるのではなく、親御さんも手伝ってあげましょう。一度片付けのやり方を覚えれば、だんだん一人でもできるようになります。
お子さんが学生でしたら、先生や支援員の人に相談してみてください。学校で配られるプリントやテストなど、一緒に整理してもらいましょう。
机、ロッカー、かばんの中に何を入れればいいかなど、アドバイスを受けると子供も分かりやすく片付けることができます。
また、ヘルパーさんに頼んで片付けをしてもらうという方法もあります。
民間の家事代行の業者も色々とあるので、たのんでみてもいいですし、厚生労働省が管轄の「障がい福祉サービス制度」を使うこともできます。
身体・精神・知的の障害種別を問わず福祉サービスが受けられる制度です。障がい者手帳を持っている持っていないに関わらず、ヘルパーのサービスを受けることができます。
住んでる市区町村の役所の障がい者福祉窓口で、福祉サービスの申請をします。自治体ごとに運用が異なりますので、まずはお近くの役所に問い合わせてみてくださいね。
発達障害について相談できる場所を持つことは、親にも子どもにとっても良い影響を与えます。
放課後等デイサービス アレッタは、主に発達障害のある子どもたちの未来に選択肢が増えるように、子どもはもちろん親のサポートもしてもらえる施設です。併せて利用してみてください。
まとめ
片付けが苦手でも、快適に生活する方法が沢山あります。まずは本人にとって、楽に片付けできる方法を選んでやってみましょう。
どこから手をつけていいのかと悩んでいる人は、一度家族やヘルパーさんに片付けてもらうのもいいかもしれません。その後は出したものはしまうことに気を付けて、なるべくそのきれいな状態をキープできるようにしましょう。
きれいに部屋は気持ちがいいものです。また片付けをすることで、何かを探したりする手間も省け、なくしものもなくなります。
お子さんが片付けができないと悩んでいる親御さんは、目で見て分かりやすい片付けができるように、導いてあげましょう。
片付けができないことを難しく考えず、できるところから始めると毎日を快適に過ごすことができますよ。