今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害と姿勢」についてです。
今回は、発達障害のある方が姿勢が悪くなりやすい原因とその対策についてお伝えします。
発達障害のある方が姿勢が悪くなりやすい本当の原因を知り、効果的な対策を練りましょう。
目次
発達障害者の姿勢が悪くなる原因
発達障害のある方が姿勢が悪くなる原因は、大きく分けて「環境面」と「身体面」の2つの側面から考えられます。
それぞれの側面から考えられる原因は次のとおりです。
(1)机といすの大きさが身体に合っていない
(2)いすの高さが高すぎて足がぶらぶらしている
(3)集中力が続かない環境である
(4)生活リズムが乱れている
(1)発達性協調運動障害(DCD)
(2)低緊張(筋緊張低下症)
これらの原因は、発達障害の有無に関係なくすべての方に当てはまる可能性がありますが、発達障害のある方により一層生じやすい傾向があります。
特に、身体面での原因である発達性協調運動障害と低緊張は、発達障害の方が併発しやすい障害です。
どの原因に当てはまるかによって、とるべき対策は異なります。
また、いくつかの原因が複合的に当てはまる方もいらっしゃいます。
改善をするために大切なのは、ご本人がどれに当てはまるのかをしっかりと見極めることです。
理学療法士の方が発達障害児の姿勢について解説した動画がありますので、ぜひご覧ください。
では、それぞれの側面について原因と対策をくわしくみていきましょう。
環境面の原因と対策
まずは環境面です。
いすに座ったり、まっすぐ立つときの環境が身体に合っていない場合、姿勢が悪くなる原因になる可能性があります。
それぞれについてくわしくみていきましょう。
(1)机といすの大きさが身体に合っていない
机といすの大きさが大きすぎたり小さすぎたりすると、正しい姿勢を保ちにくくなります。使いにくい大きさの机や座りにくいいすに座っていると、姿勢がくずれ、腰痛の原因にもなる場合があります。
まずは机といすが身体の大きさに合っているか、確かめてみましょう。
(2)いすの高さが高すぎて足がぶらぶらしている
いすの高さが高すぎて足が床につかない場合、足がぶらぶらして落ち着かず、正しい姿勢を保ちにくくなります。
ぶらぶらすることで集中力の低下にもつながり、座り続けることが苦痛になる場合もあります。
いすを選ぶ際は、身体の大きさに合わせて高さや足台を調節できるものがおすすめです。
(3)集中力が続かない環境である
余計なものが視界に入ったり、雑音が聞こえている環境だと、目の前のことに集中できずに姿勢がくずれてしまう場合があります。
まずは目の前のことだけに集中しやすい環境を整えましょう。
(4)生活リズムが乱れている
夜更かしをしたり家にこもりがちな生活をしていると、生活のリズムがくずれ、正しい姿勢を保つための集中力が続かなくなります。
早起きをし、日中に外で太陽の光をしっかりと浴びることで、夜にぐっすりと眠ることができます。
毎日の生活を見直し、生活のリズムを整えることを意識してみましょう。
このように、環境面の原因は正しい姿勢を保つことに大きな影響を与えます。
生活のリズムを整え、集中しやすい環境を整えることで、正しい姿勢を保つことができるようになるかもしれません。
参考:からだの“おかしさ”を科学する
出版社:かもがわ出版
著者:野井真吾
価格:1,760円(2020年12月現在)
続いて、身体面の原因と対策についてくわしくみていきましょう。
身体面の原因と対策
続いて身体面です。
発達障害のある方は、次のような障害がみられる場合があり、姿勢が悪くなる原因になる可能性があります。
それぞれについてくわしくみていきましょう。
(1)発達性協調運動障害(DCD)
発達性協調運動障害とは、DCD(Developmental Coordination Disorder)とも呼ばれる発達障害のひとつです。
身体の機能に問題がないにも関わらず、脳の機能の障害により、身体を動かすことがうまくいかない障害のことをいいます。
発達性協調運動障害の特徴は次のとおりです。
・全体の6〜10%が発達性協調運動障害といわれており、クラスに2〜3人は該当する計算になる
・身体を動かす際の空間的な位置関係の把握や、力加減、バランス感覚などさまざまな情報を連動させるのが困難である
・「正しい姿勢を保つ」「字を書く」「ハサミを使う」「着替える」「走る」「縄跳びをする」などさまざまな場面で困難が生じる
発達性協調運動障害は脳の影響によるものなので、どんなに努力をしても、できないことがあるかもしれません。
その結果、「努力がたりない」「なまけている」などと誤解を受けてしまうこともあります。
大切なことは、発達性協調運動障害という障害をご家族だけでなく周りの方にも知ってもらい、ご本人の状況を理解してもらうことです。
できないことを否定するのではなく、できないことを受け入れ、ご本人が自信を持てるような支援をしていきましょう。
(2)低緊張(筋緊張低下症)
低緊張とは、筋肉に持続的に生じている緊張状態が低いことを言います。
通常、筋肉の緊張状態は姿勢を保つために常に無意識にコントロールされていますが、低緊張の場合は意識的にコントロールする必要があり、姿勢を保つために努力が必要になります。
よって、低緊張の方は姿勢を保つのが難しく、くずれてしまうことがあります。
低緊張の場合は、正しい姿勢を保つ以外にも、「転びやすい」「疲れやすい」「手先が不器用」「じっとしていられない」などの症状がみられる場合があります。
低緊張を改善するには、次のような筋肉の緊張状態を高められる遊びが効果的です。
・ジャングルジム
・ターザンロープ
・すもう
・つなひき
・斜面をボードですべる
・トランポリン
・バランスボールではねる
筋肉の緊張状態を高めることは、筋力を高めることとは異なります。
このような遊びをウォーミングアップとして取り入れることで、姿勢を保ちやすい状態に繋げることができます。
このように、発達障害のある方が姿勢が悪くなる原因は、さまざまです。
ひとつの原因に対する対策をするだけで改善できるケースもありますが、いくつかの対策を複合的に実施する必要がある場合もあります。
また、どんなに対策をしても必ず効果があるとは限りません。
大切なのは、姿勢が悪いことにより周りに誤解を与えることのないよう、ご本人の状況をあらかじめ周りの方にも説明しておくことです。
あらかじめ理解を得られれば、ご本人が誹謗中傷を受けることもなく、傷つく必要もありません。
周りの方への周知も含め、ご本人にとってプラスとなる対策を考えていきましょう。
発達障害者の姿勢を改善するためのオススメグッズ
発達障害の方が姿勢の改善を目指す上で効果的なグッズを紹介します。
ピントキッズ
こちらは、作業療法士が開発した正しい姿勢環境を生み出すクッションです。
背筋を伸ばすことを強制せず、楽な姿勢から正しい姿勢へ導いてくれます。
勉強や読書、食事などさまざまなシーンで活躍し、「学習力」「身体力」「創造力」を育てます。
発達障害のお子さんだけでなく、学習の効率をアップさせたい方などにもおすすめの商品です。
メーカー:株式会社ピーエーエス
価格:12,650円(2020年12月現在)
・読書をする際に、本が目から30㎝以上離せるようになりました
・ゲーム中の姿勢がよくなり、注意する回数が減りました
・娘の猫背が少し改善されました
・子供用ですが、小学6年性の娘には小さかったです
・促さないと好んで座ってくれません
ハートリーフクッション
こちらは、親御さんや教育現場の声を反映させて作業療法士の方が開発した座位保持能力を調整するクッションです。
座面形状の工夫により、自発的に姿勢を保ち、集中力のアップや作業効率の改善が期待できます。
いすにもたれかかったり、姿勢がくずれてしまいやすい方におすすめの商品です。
メーカー:パシフィックサプライ株式会社
価格:9,500円(2020年12月現在)
・クッションの内部を成長に合わせて調整できるので、長く使えます
・クッションを外した後も、良い姿勢が保てる時間が長くなりました
・自然とシャキーンとします
・長時間は疲れます
どこでも学習台
こちらは約10°の傾斜がついた収納付きの学習台です。
角度があることにより正しい姿勢を保ちやすいので、疲れにくく、集中力を持続することができます。
持ち手つきで持ち運びもできるので、さまざまな場面で活躍します。
メーカー:アスカ
価格:2,420円(2020年12月現在)
・持ち運びできてリビング学習に最適です
・子どもの姿勢が劇的によくなりました
・傾斜が絶妙で、姿勢がよくなり集中力が上がりました
・台の安定が悪い時があります
・もう少し大きくしてほしいです
このように、正しい姿勢を保つためにさまざまなグッズが開発されています。
ご本人の状況に合わせて、使いやすいものを上手に取り入れてみてください。
姿勢改善の助けとなるかもしれません。
まとめ
今回は、発達障害のある方が姿勢が悪くなりやすい原因と対策についてお伝えしました。
大切なことは、「姿勢が悪い原因は何か」をしっかりと見極めることです。
原因によってはどんなに環境を整えて努力をしても、改善できない場合もあります。
姿勢が悪いのは、決して「やる気がない」とか「態度が悪い」といったことではありません。
発達障害のある方に多くみられる症状であることを、周りの人にも知ってもらい、理解を得られるようにしましょう。