今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害と疲れ」についてです。
会社や学校から帰ってきても何もする気が起きない…。何もしていないのに疲れた…。
発達障害のある人は、ほかの人よりも疲れやすいといわれています。
それは本人の体力の問題や気力の問題ではなく、発達障害特有の感覚器の鋭さや多動による活動量が多いためと考えられています。
疲れやすさは特性によるものなので、気合と根性でどうにかなるものではなく、適切な対処が重要です。
今回は疲れやすさの原因と、それを踏まえた対処について解説していきます。ぜひ参考にして下さい。
目次
発達障害の人は特性により心身とともに疲れやすい
疲れやすさの理由を知ることで、対処法が考えやすくなりますので、対処の前に理由・原因を探っていきましょう。
発達障害を抱えると疲れやすいと言われていますが、性・年代による差はあるのでしょうか?下記のツイートをご覧下さい。
ご覧の様に、年齢に関わらず発達障害を抱えることによって、疲れやすいと言えそうです。
1.ものの見方、感じ方がほかの人と異なるため神経をすり減らしている
発達障害は先天性の、脳機能障害が原因と言われています。これにより定型発達と比べて成長に差があり、生活に支障が生じるほどの障害の「総称」です。
周囲の環境に合わせることや、他人とのコミュニケーションが「苦手」という人は多く、想像力があまり働かないという理由で、集団の中でどのように対処すればよいかわからず常に神経をすり減らしています。
特に、自閉症スペクトラム障害の方はこだわりが強く、ものごとを適当に終わらせられず体力の限界まで頑張ってしまうこともあります。
また、本人が自分自身の疲弊に気付いていない場合もあり、食欲不振や睡眠障害などの体調不良につながる可能性もあります。
これらは“脳”や“心”の疲れのため、どんなに体力があっても疲弊してしまうのです。
身体の体力とは、別のところにある疲れなのです。
2.感覚器が鋭すぎる
発達障害の人はほかの人よりも聴覚、視覚、嗅覚、皮膚感覚などの感覚器が敏感であるケースも多いことが分かっています。
突然の物音に驚いたり、人よりも匂いに敏感であったりと周囲の人と感じかたが大きく異なるのです。
そのため、音や光などから強い刺激をうけ、それに耐え続けて疲れてしまう場合もあります。
これらの感覚を不快に思いながらも幼少期に親や先生などから「これぐらい我慢しなさい」などと言われたりしていると、「我慢しなければならない」「自分だけがおかしいんだ」と思い込んでしまい、それがまた疲弊の原因になってしまうケースもあります。
3.多動性や衝動性のため活動量が多い
発達障害の中でもADHDの方は、特徴である多動性や衝動性のため、ほかの人よりも費やしているエネルギーの量が多いといわれています。
多動性というのはじっとしていられず、落ち着きがない特徴があります。
衝動性は、順番を待てなかったり、相手の話をさえぎって話してしまったりすることです。
これらの特徴を持つ方は、多動性や衝動性を抑えるためにエネルギーを使っていることもあるため、疲弊しやすい傾向にあります。
(逆に自閉症スペクトラム障害の方は、ほかの人と異なると自覚していて、集団からはずれまいと外にいるときは四六時中緊張状態になっている人もいます)
これでは外に出ているとき、心が休まる時間がありません。
このようなほかの人と異なる身体感覚が疲れにつながってしまうのです。
4.睡眠障害
発達障害を持つ子供の中には睡眠障害を抱えている子もいます。
「眠れない」・「夜中に目が覚める」・「朝起きられない」といったことから、眠りの質が浅く前日の疲れが取り切れておらず疲れやすい状態になるのです。
授業中に寝てしまうこともあるので、日頃から早く寝る習慣や眠りやすい環境を作ることが必要になります。
発達障害と睡眠の関係についての記事は下記になります。
そのほかの疲労が症状の病気について
発達障害が原因の疲労のほかに、疲労が症状として出る病気もあります。
実は下記の病気だったり、発達障害の人の疲労と併発したりと区別が難しく診断がおりにくいといいます。
また、健康診断で全く異常がなくても、以下の病気になっているケースもあります。
疲労が、症状として出る病気についてみてみましょう。
1.副腎疲労
ストレスで副腎(抗ストレスホルモンであるコルチゾールを分泌している器官)が疲弊してくるとホルモンの分泌が悪くなり、ストレスを強く感じたり、鬱のような症状がでたり、ひどく疲れたりします。
ビタミンCなどのビタミンを摂取することによって、症状が緩和するケースもあります。
2.慢性疲労症候群
慢性疲労症候群とは、寝てもひどい疲れが取れない状態が、6か月以上続く状態のことをいいます。
20代~50代にかけて多くみられ、風邪や熱が出た時のような病的なだるさが症状として現れることが特徴です。
主に免疫異常で体内のウイルスが活性化することが原因とされています。
このように、疲れやすくなる病気が隠れているケースもあります。「そうはいってもただの疲れでしょ…」などと甘く見ず、しっかり対処したいですね。
発達障害と慢性疲労になる病気の関連性に関して詳しくお尻になりたい方は、こちらの記事もご参考になさってください。
疲れにくくなるための、4つの対処法
1.まずはめいっぱい頑張っている自分を褒める
まずはこんなに疲れて頑張っている自分を、褒めてあげることから始めましょう。
「どうしてこれぐらいで疲れるのだろう。自分はダメだ」と考えるのではなく、「今日はここまでできた」など前向きに考えることで、自己肯定感を上げて脳や心を安定させることが大切です。
また、「もう疲れすぎて頑張れない」ではなく、「今は疲れているだけなので少し休んでまた頑張ろう」のように、考え方やとらえ方を変えてみることも有効になります。
脳や心の疲れを癒すのに最も大事なのが、自分の気持ちのケアです。
2.どの程度活動すると疲弊するか理解する
感覚が過敏で疲れやすさに気付かない場合もありますが、なんの作業をどのぐらいすると疲れるのか具体的に把握することが大事です。
自分の疲れに、いつも以上に敏感になってみることから始めてみましょう。
3.時間を決めて強制的に休む
発達障害を抱えている人は、こだわりが強いという特徴が多くあります。好きな物事に取り組む時は、時間を忘れて取り組んでしまう場合もあるのです。
この必要以上の集中力は「過集中」と呼ばれ、疲れの原因としても考えられます。
この一方で、些細な物音や環境によって、全く集中できずに疲れてしまう場合もあります。
仕事でも、勉強でも、決めた時間に休憩をとることもオススメです。大体1時間に1回、10分~15分休憩を無理やりにでもとってみましょう。
4.職場や学校での環境調整を依頼する
感覚過敏がある場合は職場や学校で環境を変えてもらう、器具の使用を認めてもらうなどの対処も必要になるかもしれません。
たとえば音に敏感なのであればヘッドホンの着用を認めてもらう。
一人になれる会議室や張り紙などをあまり張っていないシンプルな部屋で作業させてもらうなどが挙げられます。
もしかして発達障害かな?と感じたら
ここまで記事を読んでいただいて、「自分の疲れ方と一緒だ…」とか、「わが子もそんな感じの疲れ方をしているかも」などと思われた方もいるのではないでしょうか?
こんな疲れ方は発達障害かな?と感じたとき、どこに相談すれば良いのか不安になった方も居られるかもしれません。
発達障害は診断に時間が必要です。初診で軽い問診して結果が出る様なことはありません。発達障害の診断は難しく、素人では判断が難しいのです。
また、先ほど病気の例もあったように、疲れやすい=発達障害とは限りません。
下記の相談センターなどは、生活に関する悩みや不安、必要に応じて病院の紹介なども対応してくれますのでおすすめです。
- 発達障害者支援センター
- 子育て支援センター
- 児童相談所
全国に展開していますが、各機関によって支援内容が異なる場合があります。事前にチェックしておきましょう。
発達障害の知見を深めよう
発達障害には様々な障害が含まれています。急に子供が泣き出したり、大声を出したり、「なぜ…?」と困ってしまう保護者は少なくありません。
発達障害の知見を深めることで、回避できる部分や考え方が変わるかもしれません。下記に発達障害に関する書籍をご紹介します。
発達障害 僕にはイラつく理由がある!posted with ヨメレバかなしろにゃんこ。/前川 あさ美 講談社 2019年08月08日頃 AmazonKindle
「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解するposted with ヨメレバ田中 康雄 SBクリエイティブ 2019年12月07日頃 AmazonKindle
デイサービスも選択肢として
発達障害は判断が難しく、人それぞれに特徴があり、育児や対応は簡単ではありません。
発達障害等デイサービス・アレッタでは、発達障害を抱えた児童を対象にデイサービス事業を行っています。
また、サイトには発達障害をテーマにした様々な情報を「発達障害・お役立ちトピックス」で発信しています。よければ参考にご覧下さい。
まとめ
発達障害のある人の疲れは、“身体”ではなく、発達障害の特徴の「多動性、衝動性」や「感覚の異常」が原因で起こる”脳“や”心“の疲れであり、体力がないから、気力がないから起こるものではないのです。
「これぐらいのことですぐに疲れる自分はダメだ」と自分を責めないことが大切です。
自分自身でケアすることが、脳や心の疲れを癒すことにつながります。
また、副腎疲労など、発達障害の疲れと似たような症状を持つ病気もあるので、そちらも疑ってみることも大切です。