今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害保育士」についてです。

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静江
保育士はお子さんの様子を集団生活の中でみているため、家庭では気づきにくい発達障害に気づくことがあります。
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浩二
家庭で気づけなかった発達障害を指摘されたら、動揺してしまう保護者の方もいらっしゃるかもしれませんね。
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静江
そうですね。しかし、発達障害を早期に発見することは、最適な支援につなげることができるので、お子さんにとってもプラスになるんです。

今回は、発達障害を早期に発見しやすい保育士の役割について紹介します。

家庭ではなかなか気づきにくい発達障害を発見してくれる保育士は、ご家族にとって心強い味方です。

発達障害のあるお子さんにとっての保育士の役割について、くわしくみていきましょう。

発達障害者にとっての保育士の役割

発達障害に気づくことが保育士の重要な役割

保育士は、その名の通り保育園や託児所、各種施設などで子どもの保育をする職業です。障害の有無にかかわらず、さまざまなお子さんの保育を担っています。

そんな中、集団保育をしている最中に、発達が気になるお子さんが見つかる場合があります。

他のお子さんに比べて「落ち着きがない」「話がかみ合わない」「話が聞けない」など、集団行動をする際に支障をきたす場合、保育士は発達障害の可能性を疑います

この「発達障害に気づくこと」がとても大切な保育士の役割です。

発達障害は目で見てわからないため、行動を観察することにより発見できます。しかし、家庭での1対1の場面では、その特徴があらわれないことがあります。

集団生活の場面であらわれた発達障害の特徴に気づき、見落とさないことが保育士の重要な役割であるといえます。

保育士が発達障害を早期発見するポイント

保育士が発達障害を早期発見するには、あらかじめ発達障害の特徴を知っておく必要があります。

集団生活の中で、次のような特徴が見られた場合、保育士は発達障害の可能性について検討しています。

発達障害に気づくポイント

・言葉が遅れている
・会話がかみあわない
・こだわりが強い
・光や音に敏感
・注意散漫
・じっとしていられない
・感情をおさえられない
・順番をまてない
・ほかの子どもに関心がない
・ほかの子どもとうまく遊べない
・予定の変更が苦手 など

参照:みんなのメンタルヘルス総合サイト

このように、発達障害には集団生活の中でのみ気づくことができる特徴があります。

人数の少ない家庭の中ではなかなか気づくことができない発達障害を、保育士は発見して報告してくれます。

発達障害を早期発見するには、保育士は欠かせない存在であることがわかります。

発達障害の見極めが難しい場合は、下記のツイートにあるように、他の専門機関と連携し、助言をもらいながら対応をしています。

発達障害の見極めが難しい場合に、専門機関と連携し助言を求めているという例です。

しかし、いざ発達障害の可能性を見つけた場合、保育士から保護者に伝えることは簡単なことではありません。

発達障害の可能性をどのように保護者に伝えるべきか、参考になる動画がありますので、紹介します。

こちらは、発達障害の可能性を保育士が見つけた場合、保護者にどう伝えるべきかを簡潔に説明した動画です。

では、実際に保育士からお子さんの発達障害の可能性を指摘された場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

次にとるべき行動について、くわしくみていきましょう。

保育士に発達障害の可能性を指摘されたら

もしもお子さんに発達障害の可能性があると保育士に指摘されたら、すぐに受け入れることはできないかもしれません。

家庭の中で全く気づかなかった場合、「まさかうちの子が…。」と、信じられずに取り乱してしまう親御さんもいらっしゃるかもしれません。

しかし、発達障害を早期発見することは、お子さんにとってもプラスになります。

発達障害であることがわかれば、保育士はその状況に応じた対応をとることができます

とまどうのは当然のことですが、もしもお子さんに発達障害の可能性がある場合には、発達障害の専門機関に相談してみましょう。

専門機関に相談する

保育士に発達障害の可能性を指摘されたら、まずは発達障害の専門機関に相談しましょう。

発達障害に関して相談できる専門機関は次のとおりです。

発達障害に関して相談できる専門機関

・自治体の発達相談窓口
・発達障害者支援センター
・保健センター
・療育センター
・小児科
・児童精神科 など

参照:こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」

どの機関を選べばよいかわからないという場合には、まずは自治体の発達相談窓口に問い合わせましょう

自治体の発達相談窓口では、お子さんのことのみならずご家庭のことも含めて総合的に相談をすることができます。

また、必要に応じてほかの専門機関と連携して、適切な支援方法を考えてくれます。

では、もしも発達障害の発見が遅れた場合、どのような影響があるのでしょうか。発見が遅れた場合に生じる問題についてくわしくみていきましょう。

二次的な問題をふせぐ

発達障害の発見が遅れた場合、発達障害による二次的な問題が発生する場合があります

二次的な問題とは、次のようなものがあります。

発達障害の発見の遅れによる二次的な問題

【身体症状】
・頭痛
・腹痛
・食欲不振
・チックなど
【精神症状】
・不安
・うつ
・緊張
・興奮など
【行動】
・ひきこもり
・暴言
・暴力
・自傷行為など

これらは、集団行動の際に周囲との違いに悩んだり、誤解を受けたりすることで、自分自身を追い込んでしまう場合に見られます。

発達障害は目に見えない障害であるため、その行動により周囲に誤解を与えてしまうことがあります。

発達障害であることに早めに気づくことで、あらかじめ誤解を与えずに周囲との関係を築くことができます。

発達障害を早期発見してくれる保育士の存在は、とてもありがたい存在であるといえます

参照:こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」

保育士と連携して子育てをする

発達障害であることがわかったら、家庭と保育の現場双方で連携すると、よりよい子育てができます。

発達障害の支援には、家庭にしかできないことや、集団生活の中でしかできないことがあります。

それぞれの立場での支援のポイントは次のとおりです。

家族の支援のポイント

・家庭内で共通理解を持って子育てする
・得意なことや苦手なこと、安心させるためのポイントなど、必要な情報を具体的に保育士に伝える
・いつでも安心できる場所を保つ
・面談や連絡帳、送迎時の会話をとおして保育士とコミュニケーションをとる
・家庭でのエピソードを保育士に共有する
・保育士の話をよく聞き、信頼関係を深める

保育士の支援のポイント

・担任だけでなくすべての職員で共通理解をもって援助する
・本人を混乱させないため、統一した対応をとる
・役割分担を明確にし、引き継ぎをしっかりする
・個別の支援記録をつける
・外部の機関とも連携する
・子どもの発達への理解を深める
・面談や連絡帳、送迎時の会話をとおして家族とコミュニケーションをとる
・保育の中でのエピソードなどを家族と共有する
・家族の話をよく聞き、信頼関係を深める

参照:国立障害者リハビリテーションセンター・発達障害情報・支援センター

このように、保育士と家族が連携をすることは、お子さんにとって毎日の生活に直結する重要なことです。

共通の認識をもって対応をすることで、お子さんが安心して毎日を過ごすことができます。

お子さんにとって保育士は、保護者に代わって長い時間を過ごす家族のような存在です。保育士と良好な関係を築くことは、お子さんの健やかな成長のために必須といえるでしょう。

では、保育士とはどのような専門職なのでしょうか。

保育士という職業について、具体的にみていきましょう。

保育士とは

保育士とは、児童福祉法に規定されている国家資格です。

児童福祉法には次のように示されています。

保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう

引用元:児童福祉法第18条4項

このように、保育士はお子さんの保育を行うだけでなく、保護者に対して指導を行うことも仕事のひとつとしています。

では、保育士はその資格を取得するためにどのような過程を経ているのでしょうか。

保育士になる方法ついて、くわしくみていきましょう。

保育士になるには

保育士の資格を取得するためには、次の2つの方法があります。

保育士資格の取得方法

1.厚生労働大臣の指定する大学や専門学校、通信教育など学校に入学し、必要な単位を取得して卒業する
2.保育士資格試験に合格する

このように、保育士になるには、大学などの専門機関で専門的な知識を身につけるか、試験に合格する必要があります。

専門機関の卒業までには、講義や試験の他に現場での実習も行われます。

また、保育士資格試験には筆記試験(9科目)と実技試験があります。

どちらの場合も、専門的な知識を身につけるためには、時間をかけてじっくりと知識を習得する必要があります

そのため、簡単には取得できない専門性の高い職業であることがわかります。

参照:一般社団法人 全国保育士養成協議会

保育士の仕事とは

保育士の仕事とは、小学校入学前のお子さんを預かり、保護者に代わって子育てを実践することが中心です。

お子さんの健康状態を確認しながら、年齢や発達にあわせた活動を行います。遊びやさまざまな体験をとおして、総合的な関わりの中で成長の援助を行っています。

また、保育士は保育の基本となる考え方やねらいなどが定められた保育所保育指針にもとづき、次の5つの領域に配慮しながら、豊かな人間性の育成を図っています。

保育所保育指針にもとづいた5つの領域

1.健康
2.人間関係
3.環境
4.言葉
5.表現

参照:全国保育士会

このように、保育士の仕事は子どもの保育をすることだけではなく、保護者や他の機関と連携することも重要な仕事です。

そして、保育所だけでなく小学校の学童保育や各種施設など、活躍の場は多岐にわたっています。

では、保育士は仕事をするにあたってどのような知識をとりいれているのでしょうか。

保育士が保育の参考に読んでいる書籍を紹介します。

保育士が参考にしている書籍

保育士は、発達障害児への保育を実施する上でどのような本を参考にしているのでしょうか。

実際に保育士が参考に読んでいる本をいくつか紹介します。

発達障害の子の脳を育てる忍者遊び 柳沢運動プログラムを活用して

こちらの本は多くの保育・教育現場でとりいれられている「柳沢運動プログラム」を発達障害児向けにアレンジしたものです。

忍者になりきり、うまくいかなくても「修行だから仕方がない」と前向きに思うことができます。

失敗を肯定的にうけいれやすく、発達障害の療育にぴったりな一冊です。

出版社:講談社

著者:柳澤弘樹

価格:1,540円(2020年12月現在)

良い口コミ

・この本を読んだおかげで、療育に通っている子どもへの声かけ方法がわかりました。
・イラストもありとてもわかりやすいので、実践しやすかったです
・子どもが大好きな忍者ごっこをとおして、大人も子どもも一緒に楽しめるヒントがたくさんありました

悪い口コミ

・集団行動向けなので、家庭で実践できるものはほとんどありませんでした

参照:楽天ブックスAmazon

保育者が知っておきたい 発達が気になる子の感覚統合

この本は、発達が気になるお子さんへの対応を、感覚統合の視点から解説しています。

感覚統合とは、触覚や平衡感覚などの「適応力」を育てるための感覚の発達をとおして、子どもの行動などを理解しようとするものです。

知識から実践まで、わかりやすく解説している一冊です。

出版社:学研プラス

著者:木村順、小黒早苗

価格:1,760円(2020年12月現在)

良い口コミ

・発達障害の子どもの行動や特徴がとてもよく理解できました
・図解入りで、とてもわかりやすかったです
・事例や解決策がくわしく載っていて、感覚統合の勉強になりました

悪い口コミ

・用語が難しいので、この本だけを見て実践するのは難しいと感じました

参照:楽天ブックスAmazon

発達障害のある子のサポートブック

この本は、子どもの不適応行動や学習困難などに対し、全国の保育士や教員が実践した2,800もの対応策をまとめた本です。

困っている状況に対し、この本の中から似ている事例を探し、試すことができます。

試しているうちに、特別支援教育の専門性がアップする一冊です。

出版社:学研プラス

著者:榊原洋一、佐藤曉

価格:2,530円(2020年12月現在)

良い口コミ

・内容が盛りだくさんで、お宝の山のような本です
・内容が具体的ですぐに実践できるので、とても役立っています
・実際の指導場面での成功例が書かれているので、困った時にすぐに試せます

悪い口コミ

・ケースが多すぎて、どれを参考にしたらよいか迷ってしまいます
・保育などの現場向けなので、家庭では参考になりませんでした

参照:楽天ブックスAmazon

まとめ

今回は、発達障害の早期発見に大きな役割を果たす保育士について紹介しました。

保育士は集団行動の中で、個々のお子さんひとりひとりにも目を向け、家庭では見つけることができなかった発達障害を発見してくれることもあります。

お子さんの発達障害を指摘されて動揺してしまった場合も、一度冷静になり保育士の話に耳を傾けてみましょう。

今まで気づけなかった、お子さんの新たな一面を知るきっかけになるかもしれません。

保育士はお子さんの成長を支援してくれる心強い味方です。日々の中で連携をして、ともにお子さんの成長に寄りそっていきましょう。