今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場となることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックスは「手当」についてです。
手当と聞くと重い障害がないと受け取れないイメージがありますよね。ですが、発達障害でも手当が受け取れる場合があります。
この記事を読まなければ、受け取れるかもしれない手当を受け取れずにいるかもしれませんが、読むことで手当について分かり、手当を受け取ることができるかもしれませんので、よかったら参考にしてみてくださいね。
目次
発達障害でも受け取れる手当
発達障害で受け取れる国からの手当は「特別児童扶養手当」と「障害児福祉手当」があります。
そのあたりも含めて、次の項目以降で各手当について解説していきますね。
特別児童扶養手当
特別児童扶養手当とは
20歳未満の障害児を育てている方に対して支給される手当です。
手当額はいくらか
- 1級:月額52,500円
- 2級:月額34,970円
いつ支給されるか
受給資格が認められると、申請月の翌月分から毎年4月・8月・12月に前月分までの手当が支給されます。
例えば、4月に申請して、6月に1級認定された場合に、8月に5月~7月分157,500円が支給されることになります。次の12月分は8~11月分となるため、210,000円が支給されます。
特別児童扶養手当の受給条件
法令で定められている「障害程度基準表」の状態に該当していることが条件になります。「障害程度基準表」の状態に該当しているかは申請した診断書をもとに審査されます。
障害程度基準表↓
1級
(1)両眼の視力の和が0.04以下のもの
(2)両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
(3)両上肢の機能に著しい障害を有するもの
(4)両上肢のすべての指を欠くもの
(5)両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
(6)両下肢の機能に著しい障害を有するもの
(7)両下肢を足関節以上で欠くもの
(8)体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
(9)前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
(10)精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
(11)身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの2級
(1)両眼の視力の和が0.08以下のもの
東京都福祉保険局ホームページ
(2)両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
(3)平衡機能に著しい障害を有するもの
(4)そしゃくの機能を欠くもの
(5)音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
(6)両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
(7)両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
(8)一上肢の機能に著しい障害を有するもの
(9)一上肢のすべての指を欠くもの
(10)一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
(11)両下肢のすべての指を欠くもの
(12)一下肢の機能に著しい障害を有するもの
(13)一下肢を足関節以上で欠くもの
(14)体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
(15)前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
(16)精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
(17)身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
発達障害の場合の受給条件
発達障害については、知能指数が高い場合でも社会行動やコミュニケーション能力の障害によって、対人関係や意思疎通が円滑に行うことができない場合がありますよね。
それによって、日常生活に著しい制限を受けている場合に対象となってくる場合があります。
また、他の対象の精神疾患(てんかんなど)がある場合は、それぞれの症状を考慮して判断されます。
各等級に相当すると認められるものを一部例示したのが下記になります↓
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動が見られるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの |
2級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動が見られるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの |
手当の受給ができない条件
手当の受給ができない条件は
- 施設等に入所している場合(一部例外もあります)
- 対象児童や受給者(申請者)の住所が日本国内にないとき
- 障害を理由にした公的年金を受給できるとき(年金優先)
- 受給者や受給者の配偶者・扶養義務者の所得が、法令で定められている額以上のとき
となります。
4.の所得制限の表は下記です↓(単位:円、平成14年8月以降適応)
扶養親族等の数 | 受給資格者本人 | 受給資格者の配偶者及び扶養義務者 | ||
所得額(※1) | 参考:収入額の目安(※2) | 所得額(※1) | 参考:収入額の目安(※2) | |
0 | 4,696,000 | 6,420,000 | 6,287,000 | 8,319,000 |
1 | 4,976,000 | 6,862,000 | 6,536,000 | 8,596,000 |
2 | 5,356,000 | 7,284,000 | 6,749,000 | 8,832,000 |
3 | 5,736,000 | 7,707,000 | 6,962,000 | 9,069,000 |
4 | 6,116,000 | 8,129,000 | 7,175,000 | 9,306,000 |
5 | 6,496,000 | 8,551,000 | 7,388,000 | 9,542,000 |
※1 所得額は、地方税法の都道府県民税についての非課税所得以外の所得等から、医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた額です。
※2 ここに掲げた収入額は、給与所得者を例として給与所得控除額等を加えて表示した額です。
引用:厚生労働省ホームページ
この表は給与所得者(会社員)を対象とした表です。控除額は人によって違ってきますので、所得制限に引っかかりそうだと思っても、諦めずにお住いの市区町村の障害福祉課に問い合わせをしてみましょう。
個人事業主の方も、表とは違ってきますので同様に問い合わせて確認してみましょう。
また、所得は合計ではなく、一番所得の高い人が基準となります。
申請する場所
お住いの市区町村の障害福祉課になります。
申請に必要な書類
一般的に必要となる書類は
- 特別児童扶養手当認定請求書(窓口で取得)
- 戸籍謄本
- 振込先口座の通帳
- 療育手帳・精神障害者保険福祉手帳・身体障害者手帳のいずれか(取得している場合)
- 特別児童扶養手当用の診断書(手帳を取得していない場合に必要です。窓口で取得し、病院や児童相談所などの専門機関で書いてもらう必要があります)※手帳を取得していても必要になる場合もあります
- 所得証明書
- 印鑑
- マイナンバーカードまたはマイナンバー通知書
となりますが、お住いの市区町村で必要となる書類が違う場合がありますので確認してみましょう。
発達障害でも取得できる手帳に療育手帳や精神障害者手帳があります。それらについて詳しく説明されたリンクがありましたので、よかったら参考にしてみてくださいね↓
特別児童扶養手当に関してはYouTubeにも解説動画がありましたので、よかったら参考にしてみてくださいね↓
次に障害児福祉手当に関して解説させていただきます。
障害児福祉手当
障害児福祉手当とは
精神または身体に重い障害があるために、常時の介護を必要とする20歳未満の方に支給される手当です。特別児童扶養手当と併用できます。
手当て額はいくらか
月額14,880円
いつ支給されるか
原則として毎年2月、5月、8月、11月に、それぞれ前月分までが支給されます。特別児童扶養手当は年3回ですが、こちらは年4回となっていますね。
障害児福祉手当ての発達障害での受給条件
こちらは、特別児童扶養手当以上に受給条件が厳しいものとなっています。
発達障害によるものにあっては、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動が見られるもの
障害児福祉手当及び特別児童扶養手当の障害程度認定基準について
とありますが、これだけみると特別児童扶養手当の条件1級のものと変わらないように思います。ですが、
精神の障害の程度については、日常生活において常時の介護又は援助を必要とする程度以上のものとする。
障害児福祉手当及び特別児童扶養手当の障害程度認定基準について
とあるように、日常生活において常時の介助又は援助が必要と特別児童扶養手当の条件1級よりもさらに手助けが必要ということがわかります。
手当ての受給ができない条件
手当ての受給できない条件は特別児童扶養手当の条件と同じになりますので割愛させていただきますが、所得制限に関しては厳しくなります。詳細は厚生労働省のホームページをご参照ください。
申請する場所
特別児童扶養手当同様にお住いの市区町村の障害福祉課になります。
申請に必要な書類
こちらも特別児童扶養手当とほぼ同じものが必要となります。(認定診断書や診断書は障害児福祉手当て用のものとなります)
都道府県・市区町村で実施されている手当の例
東京都
- 児童育成手当(障害手当)
都内に住所があり、20歳未満の心身障害児などを扶養している方に対して支給されます。発達障害に関わってくるところでの支給対象は、愛の手帳1~3度程度の知的障害が該当になります。
参照サイト:福ナビ とうきょう福祉ナビゲーション
神奈川県
- 神奈川県在宅重度障害者等手当
在宅で、常時介護を必要とする重複障害者の方を対象としています。基準日時点で、6ヶ月以上神奈川県内に継続している方を対象とした手当になります。障害児福祉手当を受給されている方も条件となっています。
参照サイト:神奈川県ホームページ
さいたま市
- 心身障害者福祉手当
在宅の心身障害者に手当てを支給します。療育手帳を所持していたり、
精神障害者保健福祉手帳1級から2級(平成22年1月から)であれば対象となります。ですが、障害児福祉手当を受給していると受給できません。
参照サイト:さいたま市ホームページ
新潟市
- 新潟市重度心身障がい者福祉手当
障がいを理由とする給付を受けることができない重度心身障がい者が対象となっている手当です。療育手帳「A」の方も対象となります。ですが、障害児福祉手当を受給していると受給できません。
特別児童扶養手当や障害児福祉手当以外に手当てを受給している自治体は確かにあるようですが、発達障害で受給できる手当てはないか、条件が厳しいのが現状のようです。
まとめ
条件はありますが、発達障害でも受給できるかもしれない手当ては2種類あります。特に特別児童扶養手当は受給できる額も大きいので、手間かもしれませんが、受給できるか確認してみる価値はありそうです。