今日も皆さんと一緒に、発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させて頂きます。 今日のトピックは「発達障害スクリーニング検査」についてです。

発達障害は先天性の障害なのですが、妊娠中や生まれて直ぐに判別する方法は無いものなのかと調べていると、スクリーニング検査という単語を発見しました。

どのようなものなのか、何が分かるのか、痛みや危険などのリスクが伴うことが無いのかなど、気になるところを調べてみました。

スクリーニング検査とは

まず、スクリーニングという言葉の意味を調べてみると、「ふるい分け」と出て来ます

スクリーニング検査はというと、選別試験や、ふるい分け試験など文字通りの意味となりますが、職場・地域・学校などの団体単位や、新生児・妊婦・老人などの分類別での集団検診と、個人に行う検診とがあるようです。

集団検診は、特定の疾患や異常を発見するためのふるい分けで、個人に行う場合では、医療機関の初診時に受診科の選択や、疾患の部位や程度、更なる精密検査の必要性などを特定するためのもので、一般な尿検査、血液検査のほか、心電図、X線検査、細胞診検査などを組合わされることもあります。

参考元:コトバンク

発達障害のスクリーニング検査

発達障害が確認可能なのは3歳ごろから

先ず大前提として、発達障害か否かを判定するのは、妊娠中や新生児では無理だということを、お伝えしなければなりません。

胎中での発育途中や出産直後でもわかる遺伝子や臓器などの異常に対しては、羊水や新生児の血液や便を検査することで判るので実施されています。

しかし、発達障害は誕生後の発育に伴う脳の発達に遅延やバラつきなどが出ることで起きる障害なので、その性格上ある程度の成長・発育・発達の後でなければ分かりにくいものなのです。

発達状態が成長の個体差ではなく異常だと明確に診断できるのは、障害の種類にもよりますが、他の子と触れ始め社会性が出てくる保育年齢の3歳ごろだといえます。

下記に参考になる記事がありますのでご紹介します。よかったら併せてご覧下さい。

発達全般に対してのスクリーニング検査

JDDST-R

日本版デンバー発達スクリーニング検査といい、1967年に米国のFrankenburg, W. K.とDodds, J. B.によりDDSTが発表され、それを日本で乳幼児向けに改訂し標準化したもので、現在は、1983年改訂版が広く使われています。

対象は生後~6歳までで、実施時間は15~20分程度、母子保健法に基づいた乳幼児健診でもよく使われる検査方法です。

  • 個人、社会領域
  • 微細運動、適応領域
  • 言語領域
  • 粗大運動領域

この4つの領域、104のチェック項目で乳幼児の発達を検査します。

JUMP

日本感覚統合学会が日本で標準化した検査で、元は1982年に米国の作業療法士Lucy J. Miller博士によって発表されたものです。

就学前、2歳9カ月~6歳2カ月の幼児を対象とした、感覚運動・言語・非言語的認知能力などの発達全般にわたる全26項目から成り、発達度合いを検査します。

WAIS

ウェクスラー知能検査といい、成人対象で、内容14項目あり、単語の意味を答えたり、聞いた数字の順番を答えたり、パズルを組む項目などもあり、2時間ほどかかります。

この様々なテストでIQと、行動や認知の特性や実生活の困難さなど、4種類の能力を把握するもので、群指数というグラフで各能力のバラつきが明確になり、自己認識を得る助けとなるものです。

ASDのスクリーニング検査

ASDは「自閉症スペクトラム障害」といって、いわゆる発達障害の傾向があり、社会的なコミュニケーションの取り方の困難さ、こだわりの強さを大きな特徴とする、生活に支障がある方すべてを含むものです。

近年、広く存在が知られてきた知的な遅れを伴わない高機能ASDも含めて、乳幼児期からの早期発見・早期支援の重要性が認識されてきています。

AQ

自閉症スペクトラム指数といい、英国ケンブリッジ大学の研究チームが作成したテストで、個人の自閉症傾向を測定することを目的とした心理検査です。

  • 社会的スキル
  • 注意の切り替え
  • 細部への注意
  • コミュニケーション
  • 想像力

この5項目から成り、27点以上がグレーゾーン、33点以上がASD該当となります。

他にAQ小児用があり、7歳~15歳を対象とした50項目から成る他者評定式の検査になります。

CHAT、M-CHAT

乳幼児期自閉症チェックリスト、通称M-CHATと呼ばれ、英国で開発されたCHATを前身として、米国で2歳前後の幼児を対象として改良されたものです。

CHATは、保護者が回答する9項目と、保健師や医師などの専門家が直接行動観察する5項目の検査なのに対し、M-CHATは2段階検査となっており、1次で保護者が23項目から成る質問形式にYes・Noで回答し、2次で不通過項目を中心とした電話面接を行い、更に詳細な面接などを案内するようになっています。

PARS

広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度といい、幼児から成人までを対象に、保護者への面接をもとに評定するものです。

SCDC

対人コミュニケーション障害チェックリストで、児童・生徒を対象とした、他者の感情の理解、自身の感情表現や対人行動に関する12項目から成る検査です。

SCQ

コミュニケーションと対人機能を評価するためのスクリーニング尺度で、「誕生から現在まで」と「現在」それぞれ40項目ずつから成り、保護者が回答します。

LD・ADHDのスクリーニング検査

LDは「学習障害」といい、基本的には全般的な知的発達に遅れはないものの、聞く・話す・読む・書く・計算するまたは、推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものです。

ADHDは「注意欠如・多動症」といい、年齢や発達に不相応の、不注意、落ち着きのなさ、衝動性などの問題が、生活や学業に悪影響を及ぼし、状態が6ヶ月以上持続していることと定義されています。

脳機能の発達や成熟に偏りが生じた結果と考えられていますが、その原因はまだ良く分かっておらず遺伝的な素因や周産期の問題、環境要因などが複雑に関連して症状が現れるといわれ、割合は子供の約5%、女児より男児の方が3~5倍多いことも知られています。

ASRS-V1.1

WHO:世界保健機関が作成した、大人ADHDのセルフチェックテストで、病院や書籍などでもよく紹介されており、わずか6つの質問に答えることで確認することがでるものです。

PRS

我が国唯一のLD・ADHD児診断のためのスクリーニング検査で、いろいろなタイプがある中「言語性LD」「非言語性LD」「総合診断」ができます。

5分野、24項目による診断で重要となるタイプ診断ができ、指導プログラムを立てるための基本的資料となります。

ADHD-RS

ADHDの評価に用いられる尺度のことで、5~18歳を対象とし、18項目の設問に答える形で注意欠陥や多動性の程度を検査します。

最終診断は医師によりますが、客観的な尺度として評価の参考にする位置付けとなり、不注意と多動性を分けても見られる、10分程度の短時間で簡便に実施できる検査です。

CAARS

自己記入式のチェックリストで、18歳以上を対象としてADHDの重症度を把握するためのもので、全66項目から成ります。

初診時や治療の途中経過のチェックなどに使われ、回答に矛盾があることを示す矛盾指数も算出されます。

CAADID

成人に見られるADHD関連の症状を評価する目的で作成された検査ですが、その際には、現在の症状だけでなく、子どもの頃に症状があったかどうか確認する必要があるため、CAADIDでは成人期と小児期の両方における症状によって診断できるように構成されています

参考元:日本感覚統合学会クリニックちえのわurracaSACCESS・BELL、 一般社団法人大人の発達障害だった私たちのウェブメディア

スクリーニング検査を受けるには

スクリーニング検査を受けたい場合、一般的には各医療機関や発達障害に関係する専門機関でになり有料ですが、セルフチェックの簡単なものは、サイト上で無料でできるものや、サイトから検査の用紙をダウンロードできるものもあります。

セルフチェックができるサイト紹介

ココオルの無料診断チェック ←こちらをクリックすると、無料で各種のセルフチェックができるサイト「ココオル」のページが開きます。

注意点

受けるにあたって

検査の種類がたくさんあって素人では迷うところですが、各医療機関・専門機関によっても、採用している検査の種類がまちまちですので、どの検査を受けるのかは、受信先に委ねるのが良いでしょう。

費用について

スクリーニング検査には当然ながら、費用が掛かります。

通常(ここで紹介したもの)は、1回につき千円程度~1万円ほどのものが一般的で、ほとんどが保険適用ですが、ここで紹介していないものの中には、数十万円もかかるものもありますので、事前確認とある程度の出費は準備する必要があります。

診断について

無料のセルフチェックも含めて、検査の結果に対する診断は基本的に専門家の判断を受けるのが賢明で、自己判断で一喜一憂するのは間違いです

正常範囲でも、更に詳しい検査をした方が良いとされる場合や、障害と認定される範囲に入るからといって、日常生活に問題なしとされる場合もあり、素人判断では不明なことも多々あります。

判定結果のみならず、日常に気になるところがあるのなら、専門機関でキチンとした診断を受けましょう。

専門機関の紹介

スクリーニング検査を受けるために受診する専門機関は、お住まい近くの小児科や心療内科などの医療機関や保健所が最適ですが、発達障害に関して代表となる専門機関もご紹介します。

発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした、頼れる専門的機関です。

関係機関と連携する総合的な支援ネットワークを構築しており、さまざまな相談に乗ってくれて、指導や助言もしてくれます。

精神保健福祉センターとは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第6条に定められた精神障害者の福祉の増進を図るために設置された機関です。

都道府県単位、または政令指定都市に設置されており、精神医療センターと名付けているところもあります。

放課後デイサービス アレッタの紹介

神奈川県横浜市の放課後等デイサービスアレッタWEBサイトへ

放課後デイサービス アレッタは横浜市を拠点とし、子どもたちの自立や健全な育成のために、障害児と保護者をサポートしています。

「自分の意思で行動する子」を育てようと、指導員はキッカケを与える助け手として接しながら、子供たち自らが選択し、学べる環境を提供しています。

「自分でできる」という自信を持たせ、将来に安心して暮らすことができるようになるための、創意工夫を込めたお手伝いをしていますので、是非上記リンクよりご覧ください。

まとめ

スクリーニング検査とは、一般的には受診先や疾病の種類や程度をふるい分け確認するための検査で、発達障害に於いても同様で、年齢ごとの発達具合や能力ごとのバランスをはかり、異常の有無や程度を確認するための検査です。

スクリーニング検査には目的別に様々な種類があり、自分でできる簡易的で無料なものから、専門機関で受ける、ある程度の費用や検査時間が掛かるものまで多種多様なので、予約なども含め事前確認するのが良いでしょう。

受けられる検査は、施設ごとに採用されているものが異なり、検査結果に対する判定・診断は、無料のものも含めて、自己判断せず専門家に委ねるのが賢明です。