今日も皆さんと一緒に発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害・聴覚過敏」についてです。
皆さんは「聴覚過敏」という言葉をご存知でしょうか。感覚過敏の1つで、簡単に言うと「音に対して過敏に反応してしまう」症状です。
いまいちピンとこない方もいるかと思います。しかし、毎日「音」に悩まされ耳を塞いでいる方が沢山いるのです。
聴覚過敏の症状や特徴を知ることで、周囲の方にも対応出来ることがあります。詳しく解説していきましょう。
目次
聴覚過敏とは
上でも軽く触れましたが、聴覚過敏とは、「感覚過敏」の1つで、特定の音に過敏に反応してしまう状態を言います。
どのような症状なのか
私達の生活は沢山の「音」で溢れています。人の話し声、自動車や電車が動く音、時計の秒針など無数にある中、「特定の音」に耳を覆いたくなるような不快感を受けてしまう人がいます。
「特定の音」とは聴覚過敏を抱えている人それぞれで
- 食器の音(食事中なども含む)
- 掃除機の音
- 水道水が流れる音
- 話し声
- チャイムの音
など様々です。通常の人にとっては「え?なんで?」と思われるような音が、とても大きく聞こえてしまったり、不快に聞こえてしまったりします。
窓ガラスに爪を立てて引っ掻いた音などに不快感を覚えたことはありませんか?そのような不快感を生活中に感じてしまうのです。
聴覚過敏がおきる理由
聴覚過敏がおきてしまう原因として
- 突発性難聴
- メニエール病
- てんかん
- 片頭痛
- 発達障害
などから来るストレス。肉体的、精神的疲労が原因と考えられます。
突発性難聴
急に耳が聞こえ辛くなる症状です。
「突発性」という名だけあって突然現れるのが特徴で、「ストレス」や「疲れ」などが原因です。
メニエール病
グルグル回るようなめまい、難聴、耳鳴りなどの症状です。
こちらも「ストレス」や「疲れ」などの原因があります。
てんかん
脳の病気で、手足のけいれん、突っ張りなど身体の制御が出来ず、一時的に意識も失ってしまう症状です。
突発性のてんかんと、脳が傷付いた原因で起こる症候性のてんかんがあります。
片頭痛
頭の片方がズキズキと脈打つように痛む症状です。
悪化すると吐き気なども現れます。
聴覚過敏と発達障害の関係性
発達障害は、脳の1部の異常により、通常の方に比べ成長に偏りがあることが原因です。
聴覚過敏と発達障害は異なる症状ですが、発達障害を抱えた方の中には聴覚過敏をおこす人がいます。ただ、発達障害の人全てに聴覚過敏があるワケではありません。
しかし、発達障害によるストレスが負担となる為、聴覚過敏をおこしやすい可能性はあるものの、医学的に聴覚過敏と発達障害の関係について明確に分かっていないのが現状です。
聴覚過敏の治療や改善方法
聴覚過敏を完治させる明確な治療法は見つかっていないのが現状です。
しかし、自分におきている聴覚過敏の原因を特定し治療することで軽減が見込めます。では、何科を受診すればよいのか解説していきます。
①耳鼻科、耳鼻咽喉科
耳の機能が影響している場合、耳鼻科、耳鼻咽喉科などを受診しましょう。
突発性難聴、メニエール病の治療を行うことで、聴覚過敏がおきにくい状態が見込めます。
②神経内科
てんかん、片頭痛など脳の機能が影響している場合、神経内科を受診しましょう。
こちらも突発性難聴やメニエール病同様、発端となる原因を治療することで改善が見込めます。
③精神科
ストレスを取り除くには「環境を変化させる」ことが望ましいと考えます。しかし、急に環境を変えるのは難しく、また完全にストレスを取り除くことも難しいのが現状です。
ですので、医師と相談し、今より生活しやすい環境を少しずつでも整えていくことが大切となります。
ほかには、イヤーカフやノイズキャンセラーのイヤホン、耳栓などを活用することで外からの音を軽減させることが出来ます。しかし、完全に音を遮断することは出来ません。
聴覚過敏の問題点
聴覚過敏によって抱える問題とはどのようなことでしょうか。
ストレス
何気ない生活音でも不快感を受けてしまいます。酷いと痛みを伴うほどです。
これによりストレスが溜まり、精神的にも追い込まれます。結果、「うつ」などの精神疾患などを患ってしまうこともあり得るのです。
見た目からは判断出来ない
発達障害も同様ですが、「外傷が無い」為、見た目では聴覚過敏と判断出来ません。
不快を感じるという生活音も、通常の方では「体感出来ない」為、理解がとても難しく「気のせい」「怠けてる」と誤解されやすいのです。
認知度が低い
「難聴」などは聞き覚えのある方も多いでしょう。一方「聴覚過敏」となると、言葉の意味や症状など認知されていないのが現状です。
音を抑制する為のイヤーカフやイヤホンも、「音楽を聴いている」と誤認されやすく、周囲に説明し理解を得られるまでは難しい状況となり得ます。
自分の苦しみを理解してくれる方が周囲に少ないのです。
発達障害の2次障害を生みかねない
発達障害を抱えている方が、ストレスや「生活しづらさ」の原因により、「うつ」や「引きこもり」などの精神疾患、「非行」「暴力的行動」など「発達障害がなければあり得なかった症状や行動」を「2次障害」と言います。
発達障害と聴覚過敏を併せて抱えている方は、さらに生活が大変となる為、精神的に追い込まれる可能性が高くなりやすいのです。
私達に出来ることとは、どのようなことでしょうか。
「よく分からない」「見た目からじゃ判断出来ない」ではなく、周囲の方々が聴覚過敏の知識を「理解」「共有」することで、聴覚過敏に悩む方のストレスを軽減することが見込めます。
まとめ
聴覚過敏は、主にストレスや精神的、肉体的疲労によっておこる可能性があります。何気ない生活音が苦痛となって聞こえる為、さらに情緒不安定から「うつ」などの精神疾患を発症しかねません。
聴覚過敏がおこる原因を知り、治療を行うことで改善は見込めるものの、「聴覚過敏を完治」させる方法は分かっていないのが現状です。さらには「周囲の認知」がまだまだ足りない為、「怠けている」と誤認されかねません。
過ごしやすい環境を作っていく為に、「助け合いの精神」が不可欠です。